出入国在留管理庁とは?【組織・新たな外国人材受け入れのための役割を解説】

記事更新日:2020年04月20日 初回公開日:2020年02月14日

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慢性的な人手不足や人事の方針として、在留外国人を新たに採用したい企業はたくさんあることでしょう。また、大学卒業後に日本での就職を希望する留学生や、新しい在留資格制度を利用し、日本で働きたい外国人も増えています。ざまざまな国籍の優秀な外国人材を採用すれば、双方にとって利益も増えますね。外国人材の採用を考えているならば、まず知っておきたいのが出入国在留管理庁の役割や必要性。増え続ける外国人労働者を管理するために、入管法が改正され、新しく出入国在留管理庁が編成されました。企業の外国人採用担当者は、出入国在留管理庁へ提出する申請書や証明書類がたくさんあります。まずは、出入国在留管理庁の業務内容や役割、現在抱えている問題や今後の展望などを知ってみましょう。

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出入国在留管理庁とは?

2019年4月に法務省の外局として設置

出入国在留管理庁は、2019年3月までは入国管理局と呼ばれていた、いわゆる入管のことです。外国籍を持つ人が、日本に入国や滞在をする場合、まず必要なのが日本政府の許可。出入国在留管理庁は、日本に滞在する在留外国人の管理や、出入りする外国人の出入国管理などを行っています。以前は法務省の内部部局として、補助的な役割を果たしていました。現在は法務省の外局として、出入国在留管理庁というひとつの独立した庁になり、あらたに国の行政機関という位置付けになったのです。つまり、増え続ける外国人の受け入れや出入国に対応するために、入国管理局を再編成したということですね。

日本の出入国を管理するための機関

それでは、日本を訪れる外国人にはいったいどのような人たちがいるのでしょうか。単純に思いつくのは、観光や留学で訪れる観光客や留学生です。そのほか、仕事で滞在するビジネスマンや技能実習生、日本人との結婚で移住する永住希望者も多いでしょう。さまざまな理由で日本への入国を希望する外国人に対して、出入国在留管理庁は国籍や性別に関わらず、同じ厳格な規則に基づく出入国管理を行います。外国人が安心して日本に滞在したり生活したりできるよう、いつ、どのような人がどのような目的で出入国をしているのか把握し、管理する必要があるためです。また、防犯や防疫の管理をするのも、大きな目的のひとつですよ。

出入国在留管理庁の必要性

外国人材の受け入れに関する業務を推進していくこと

ますます問題となっていく少子高齢化。外国人材を受け入れる背景には、将来的には逃れられない、労働者人口減少という現実があります。特に地方都市の過疎化は、働き手不足に拍車をかけています。いま、人手不足を外国人労働者によって補う必要が出てきたのです。外国人留学生には、資格外活動以外の就労が認められていません。技能実習生は目的が違うので、労働力として雇うことが出来ません。そのような中で、外国人材を積極的に採用する企業が増加しています。出入国在留管理庁は、外国人材の受け入れに関して情報提供や法の整備を含め、まだ表面化していない問題への対応策を、今後できるだけ早く推し進めていく必要があるでしょう。

外国人受け入れ環境の整備をすること

企業のグローバルな展開や人事戦略として、国内では外国人材がますます増える傾向にあります。ところが、外資系企業以外の多くの場合において、現実的な問題として受け入れ体制が整っているとは言いがたい状況でしょう。例えば、外国人材が日本で仕事をする場合に、仕事以外の住居や生活の面でのサポート、様々な公的手続きや日本語学校への入学など多くの手助けが必要となります。また、受け入れ側はより良いサポートを提供する義務があります。外国人材受け入れのための様々な支援を委託できる登録支援機関もあります。登録支援機関については、法務省のホームページに一覧が記載があるので参考にしてみて下さいね。

出入国在留管理庁となった背景

訪日外国人が増加したため

出入国在留管理庁となった背景には、入管法の改正があげられます。それまで日本へ長期滞在が認められていたのは、特殊分野の研究員や技術職、特定技能を持つエンジニアや大学教授などの有資格者、企業の経営者などの外国人だけでした。しかし入管法が改正され、介護や建設業、農業や漁業などの不足しがちな労働力確保のために、外国人材へ門戸を開くことになったのです。そのため、特に東南アジア各国や、スリランカなどからの訪日外国人が増加しました観光ではなく、就労目的で日本を訪れる外国人や在留外国人の出入国を管理するために、新たに庁として格上げされたというわけなのです。

不法滞在の取り締まり強化が必要のため

不法滞在には、在留許可を持たずに入国する不法入国と、在留期限が過ぎても滞在を続けるオーバーステイがあります。陸続きの国と違い、島国である日は密入国が困難なため、不法滞在の多くがオーバーステイによるものでしょう。外国人不法滞在者は、どの国でも大きな問題です。2010年以降、政府が東南アジア各国に対し実地したビザの緩和や、積極的な留学生と技能実習生の新規入国に伴い、不法残留者も増加傾向にあります。実際、毎年技能実習生として来日したうちの2%程は失踪しています。出入国在留管理庁が外国人の入国者を管理するのは、日本の安全と秩序を守るためにも必要だと言えるでしょう。

出入国在留管理庁の役割

特定技能外国人の適正な在留管理

企業や受け入れ側が、以前採用していた人や現在受け入れ中の実習生を、引き続き採用したい場合があるでしょう。以前の実習生を本国から再度呼び戻す場合、あらたに雇用契約書を結び、出入国在留管理庁へ在留資格認定証明書を申請する必要があります。また、採用中の実習生を引き続き受け入れる場合は、在留資格を特定技能1号に変更する手続きをします。在留資格変更の許可が下りれば、引き続き仕事をすることができますが、許可が降りない場合は一度本国へ帰さなければいけません。このように出入国在留管理庁は、外国人労働者や技能実習生として日本に滞在している外国人に対し、適切な在留許可を与えるよう管理しています。

不適切な外国人受け入れ機関に対しての指導

出入国在留管理庁は、日本国内にある外国人受け入れ先が不適切であると判断した場合、管理団体としての許可を取り消しできる権限を持ちます。例えば、技能実習生として来日した外国人材が失踪した場合に送り出し先に違約金を支払わせたり、支払いの一部を賄賂として受け取ったりする事です。実際には、きちんとした契約書を結ばずに技能実習生を受け入れたり、実習生1人当たりいくらかの手数料を貰って受け入れていたりと言うような事がありました。出入国管理庁はそのような不適切な受け入れ先に対し、注意を促したり、場合によっては懲役や罰金などの罰則を求める事ができます。

送出国における悪質ブローカーの介在防止

多くの技能実習生は、東南アジアの国々から来日します。みなさんも悪質ブローカーの仲介で来日し、借金を抱えて困窮する実習生について見聞きしたことはあるでしょう。多額の手数料を要求され、多くの若者が親戚中からお金をかき集めて日本へやってきます。例えどんなに劣悪な労働状況でも、借金のために仕事をせざるを得ません。ボロボロになるまで働いても、国へ帰ることも許されないのです。出入国在留管理庁は、悪質ブローカーを取り締まるため、各国と連帯して協力覚書を作成しています。協力覚書には実習生の選定から人権の保護、帰国後の就職先の斡旋まで、様々な取り決めが記されていますよ。

必要に応じた外国人の受け入れ停止措置

出入国在留管理庁は、受け入れ先の不正行為が発覚した場合、技能実習生の適正な実地を妨げる行為と認められる場合に関して、受け入れ停止措置を取る事ができます。例えば、実習生に対して精神的および身体的に虐待や脅迫をしたり、賃金の未払いや不法な拘束によって人権を侵害したりした場合です。実際、時給400円程度で17時間労働を課せられたり、暴行による妊娠中絶、労働契約を破棄されたりしたケースがあります。安定した技能実習生の確保や継続的な受け入れには、基本的な労働法を守り、厳しく取り締まることが必要でしょう。出入国在留管理庁は日本の安全の為にも、人権保護の観念や相互の国の利益の為にも、違反者に対し外国人材受け入れ停止や取り消しを求める事ができるのです。

出入国在留管理庁の課題

難民申請が受け入れられにくい

なぜ日本では難民申請が通らないのでしょうか。心理的に、本来人には異質なものを排除する傾向があります。政治的に人々が起こした難民問題は、本来ならば同じ人間の手によって収拾されるべきです。技能実習生も、国際結婚も、移民も難民も人権から言えば同権でしょう。しかし現在では難民を保護するという人権的な観念よりも、日本国内に異質なものを積極的に持ち込まず、いかに取締を強化して行くかに重点が置かれているのです。そのため、日本での難民認定者は、世界でも最低レベル。今後も増え続ける難民問題と真摯に向き合い、国際社会にどう対応していくかは大きな課題で、明確な解決策が必要と言えますね。

入管収容者の待遇の改善が必要

入管収容者への待遇は、早急に改善が必要でしょう。入管は犯罪人を収容する刑務所でないにも関わらず、職員による集団暴行や虐待、監禁などの精神的な制圧が問題となっています。入管は在留資格を持たない外国人を、送還までの間収容する施設。中には日本人と結婚をしたにも関わらず、在留資格が認められずに不法滞在となってしまうケースもあり、当事者の精神的な苦痛は察するに余りあるでしょう。パレスチナ人やクルド人など国籍を持たない外国人の場合、送還先がないなどの新たな問題も。数年に及ぶ監禁生活で自殺してしまう収容者もいます。日本の入管の待遇は、世界に大幅に遅れを取っているのも事実です。不当な拘束は人権的にも許されない例が多く、法自体の改善が必要と言えますね。

外国人向け相談の充実化

慣れない外国で、家族の支援もなしに日本語で仕事をするのは、相当大変でしょう。日本人ですら難解な諸手続きを助けるために、特定技能1号の在留資格を持つ外国人に対し、支援を受託できる登録支援機関が儲けられています。出入国時の手伝いや住宅・ライフラインの確保、病気の時の補助など内容は様々。現在は英語以外にも、多様な言語によって週末や年末年始にも対応できる体制が求められています。登録支援機関になるためには、出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要がありますが、営利団体や個人での登録も可能。海外15カ国からやってくる外国人材を受け入れるにあたって、今後は更に充実したサポート体制が必要ですね。

外国人採用担当者は新しい機関のため随時情報の確認が必要

出入国在留管理庁は、再編されたばかりの新しい組織。そのため、今後新たに起こり得る多種多様な問題についても対処する必要があります。来日する外国人の中には正規に入国する人だけでなく、悪徳ブローカーや偽装書類によっての不法入国者もいないとは言い切れません。特定技能制度を利用した在留資格の取得も、受け入れ側と雇われ側の双方の理解と協力が不可欠です。少子高齢化に向けた取り組みと言えど、むやみやたらに外国人材を受け入れるわけにもいきません。外国人を採用するためには、法的にも倫理的にも正しい知識が必要です。そのため、外国人採用担当者は、日頃から国内外の情報に対し積極的にアンテナを張り、新しい情報を収集することが不可欠です。

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