技能実習制度について徹底解説!【導入時のメリットとデメリットも】

記事更新日:2020年03月13日 初回公開日:2017年10月17日

グローバル用語解説

外国人労働者はその大半が就労ビザを取得して働いています。ですが、ビザでは許可が降りない職種であっても、技能実習制度を使うことで定められた期間だけ働くことができます。この技能実習制度について詳しく解説します。

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技能実習制度とは

技能実習制度 : 日本が持つ技術・技能・知識を発展途上国へ伝える研修制度

 技能実習制度は、1960年代後半頃から海外の現地法人などの社員教育として行われていた研修制度が評価され、これを原型として1993年に制度化されたものです。この制度は日本が先進国だからこそもっている技術、技能または知識を発展途上国の経済の担い手に修得してもらい、人づくりの援助をすることによって国際社会に貢献し調和を図ることが目的で作られました。
 財団法人 国際研究協力機構が主となって研修生や技能実習生の受け入れを行い、また研修や実習を実施している民間団体や企業、派遣企業・機構などに積極的に援助と総合的な助言や指導を行っています。同時に外国人研修・実習生に対しても入管法令や労働法令等の法的権利を保障し、カウンセリングなどのサポートで悩みや相談にも応え、技能実習の成果向上のために尽力を注いでいます。
 この制度は1993年に「学ぶ活動」に加えて労働するにあたり実践的な技術と技能の取得を目的としてこの「技能実習制度」が導入されるようになりました。昨今の外国人就労者の増加の流れを受けてこの技能実習制度も改正を続けています。
 2016年11月に外国人技能実習の適正な実施と技能実習生の保護という法律が新たに制定され2017年11月をめどにこの新制度へ順次移行していくことを厚生省が発表しています。

技能実習制度の条件

 技能実習制度を利用して人材を受け入れるには条件がいくつかありますのでここでご紹介します。

受け入れができる職種・作業

・農業関係(2職種・6作業)
・漁業関係(2職種・9作業)
・建設関係(22職種・33作業)
・食品製造関係(9職種・14作業)
・繊維・衣料関係(13職種・22作業)
・機械・金属関係(15職種・27作業)
・その他(12職種・24作業)

 以上の75職種・135の作業にのみ実習制度を利用して人材を受け入れることができます。詳しい内容は以下の技能実習の職種と作業内容を参考にご覧ください。
技能実習の職種と作業内容

在留資格と滞在期間

 受け入れ方法として大きく2種類に分かれます(図参照)。
1.企業単独型:実習実施機関、企業が海外の現地法人や取引先企業の職員を技能実習生として受け入れる場合
2.団体監理型:商工会や中小企業団体などの営利を目的としない団体(監理団体)で実習生を受け入れ、監理団体の統制下にある企業や機関で実習を行う場合

入国1年目入国2・3年目
企業単独型在留資格「技能実習1号イ」在留資格「技能実習2号イ」
団体監理型在留資格「技能実習1号ロ」在留資格「技能実習2号ロ」

 技能実習を行う内容や活動により入国後1年目の技術習得期間と、2,3年目の習得した技術を習熟するための期間として3年間の在留期間が認められています。

 これに加え、平成29年11月1日より優良な監理団体に対する拡張策が施行されることになり、滞在期間が一度帰国を挟んで3年から5年に延長されることになりました。

技能実習生の受け入れ人数

実習実施者の常勤の職員の総数技能実習生の人数
301人以上常勤職員総数の20分の1
201~300人15人
101人~200人10人
51人~100人6人
41人~50人5人
31人~40人4人
30人以下3人

 ※法務省・入国管理局による平成28年度外国人技能実習制度改正より
 赤色で表示されている人数は平成28年度に改定された技術実習制度の拡充のために増設された人数を示しています。

人数枠(団体監理型)*常勤職員数には、技能実習生は含まれない
人数枠
第1号
(1年間)
第2号
(2年間)
優良基準適合者
第1号(1年間) 第2号(2年間) 第3号(2年間)
基本人数枠 基本人数枠の2倍 基本人数枠の2倍 基本人数枠の4倍 基本人数枠の6倍
人数枠(企業単独型)
企業 技能実習生の人数枠
第1号
(1年間)
第2号
(2年間)
優良基準適合者
第1号(1年間) 第2号(2年間) 第3号(2年間)
法務大臣及び厚生労働大臣が継続的で安定的な実習を行わせる体制を有すると認める企業 基本人数枠 基本人数枠の2倍 基本人数枠の2倍 基本人数枠の4倍 基本人数枠の6倍
上記以外の企業 常勤職員総数の20分の1 常勤職員総数の10分の1 常勤職員総数の10分の1 常勤職員総数の5分の1 常勤職員総数の10分の3

 団体監理型・企業単独型共に「1号実習生」は常時勤務職員の総数を、「2号実習生」は常時勤務職員総数の2倍、「3号実習生」は常時勤務職員総数の3倍を超えてはなりません。特有の事情がある職種に関しては事業所管大臣が定めた人数に従わなければなりません。やむをえない事情で他の実習実施者から転籍があった場合、以上の人数枠とは別に受け入れが許可されます。

技能実習生を受け入れるまでの流れ

 企業単独型と監理団体では技能実習生の受け入れの方法が違いますので法務省が平成29年度11月から施行される新制度を含めた機関別受け入れをまとめた表をご覧ください。

新職種の外国人技術実習制度への追加について

 平成28年度の第192回の臨時国会内で「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」が制定され、介護福祉士の資格を有する外国人が介護業務に従事するために在留資格を「介護」として認定し、在留できるようになりました。この導入を受けて、さらに日本での介護人材を確保するために技術実習としても受け入れができるよう適用職種に「介護サービス」も追加されました。

技能実習制度導入のメリット

<企業内活性化を図る>

 技術を習得を目的とした高いモチベーションをもった海外からの若者が意欲的に作業に取り組むことで、既存社員やアルバイト・パートタイマー職員に至るまで、良い刺激となり、職場全体の活性化を図ることができ、企業の向上につながります。

<国際貢献・技能支援>

 とくにアジア圏からの実習生を受け入れる企業や団体にとっては日本の先進国としての高い技術を学び、身に着けてもらうだけではなく、日本の文化や習慣語学も身に着けて帰国することができますので、将来の母国の発展のために活躍する人材を育て、ひいては国際友好に貢献することになります。

<安定した人材の確保>

 定められた一定期間内で、安定した技術実習人材を確保していることで、積極的な営業活動が展開でき、企業や機関全体の業績向上と利益向上につながります。

<採用においてのリスクを軽減する>

 新しい求人を募集するための広告費や人件費を費やすことなく、実習生に業務を任せることができ、実習期間内は離職の心配もありませんので、不安定な人材を採用するリスクを軽減することができ、企業のスムーズな経営を支えてくれます。

技能実習制度導入のデメリット

<実習期間に制限がある>

 技能実習制度を活用しての就労は、3年間という期限があります。
 現時点では、延長も再活用も認められていません。
 せっかく育った人材、これから益々の活躍が期待される段階で手放さなければなりません。

<手続きや準備が煩雑>

 入国や入社までの手続きや準備に抜け漏れなく対処しなければなりません。
 準備や手続きの項目がとても多いため、手間と時間はかかってしまうでしょう。

<外国人制度の策定>

 社内に外国人を受け入れることで、新たな制度を策定しなければならないことも多いです。
 法律に則った上で、現存社員と技能実習生の調整をする必要があります。

<コミュニケーションにおける壁>

 どんなに優秀な人材でも、生活や仕事の環境に慣れるまでの時間が必要となります。
 言葉や習慣の壁がコミュニケーションに影響を与えやすい時期ともいえるでしょう。
 当たり前の現象でもあるのですが、企業側の配慮や支援は欠かせないものとなります。

<法律に反するリスク>

 自社の故意ではなかったとしても、不法滞在者を生むなど、制度に違反することを進めてしまう可能性はあります。
 もちろん、長時間労働や賃金未払いなどを発生させないような管理徹底が必要です。
 制度内容をきちんと理解し、受け入れる実習生とも理解を共有し、確認しておくことが大切です。
 また、今後はアップデートされる項目も頻度も増えることが見込まれます。更新事項のチェックも怠らないようにしたいものです。

まとめ

 外国人留学生がインターン制度を通して、実務体験することで企業への関心や理解が深まり、就職率も上がっています。体験することで実際に得る知識や技能は大変貴重なものです。とくに海外に支店や関連会社を持つ企業にとっては、この技能実習者は将来海外の自社で就業することも可能になりますので、国際交友と人材養成のための制度ではありますが、外国人に日本を良く理解してもらうよい機会でもありますし、日本人が技術実習をつじてインターナショナルな交流を持てる場でもあります。
 政府がグローバル化の社会形成に向けて法律や制度改正をしていく中で、国民一人一人の個人的レベルでもグローバル社会の一員として実感できる非常によい制度です。

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