特定技能「宿泊」を徹底解説します!【業務内容・試験は?】

記事更新日:2020年07月28日 初回公開日:2020年07月28日

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外国人労働者の導入に関して何かと話題になる在留制度「特定技能」。日本国内で労働力が不足している業界に対する支援ですが、特に需要が高いと言われているのが「宿泊」分野です。業界でも期待が高まっているこの制度ですが、まだ導入事例・実績も少なく、うまく活用されているとはいえません。本記事ではこの「特定技能・宿泊」の制度に関して制度策定の背景や制度を活用した雇用条件、雇用時の注意点などを詳しく解説します。観光業界の方もそうでない方も、日本国内の労働力確保の潮流の事例としてぜひ参考にしてください。

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特定技能「宿泊」について

特定技能に「宿泊」が追加された

2018年12月の臨時国会において「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が成立・公布され、2019年4月から新たに創設された在留資格が「特定技能」です。一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れる制度で、簡単に言うと労働力を確保するための法改正といえます。そして、宿泊分野においても本制度を活用して外国人材を受入れることができるようになりました。ホテル・旅館が海外人材の在留資格である「特定技能1号」の対象とされ、特定技能ビザを持つ外国人は日本人スタッフとほぼ同じ業務にあたることが可能になったのです。

5年間の受け入れ見込みは最大2万2000人

宿泊分野における今後5年間の受け入れ見込み数は最大22,000人。この人数は、今後5年間で10万人程度の人手不足が見込まれる中、宿泊業界における労働効率化および国内人材確保の取り組みを以てしてもなお不足すると見込まれる数です。毎年2.8%程度の生産性向上を図ることで追加5万人分の労働力確保、3万人分の国内人材確保、さらに特定技能外国人22,000人という政府の試算。これにより、22,000人が受け入れ上限として今後運用されていきます。この程度の人数では焼け石に水との指摘もあり、事業者間で限られた外国人枠の奪い合いになることも予想されます。

人材不足の解消が狙い

この在留資格創設の狙いは何といっても人材不足の解消です。日銀の「雇用人員判断指数」によると、2017年に全産業の中で最も人手不足であった業界は「宿泊・飲食サービス業」でした。宿泊分野における人材不足は後にデータで紹介しますが、かなり深刻です。ホテルは年々増加傾向にある一方で、昔ながらの旅館は年々減少。そのため、宿泊施設の総数は差引では10年前と大きく変わっていません。また、ホテルが東京近辺に林立する一方で、地方部の宿泊施設が衰退し、ホテルの首都圏一極集中も起きており、宿泊業界の業務生産性向上、労働力確保は急務。法改正の狙いはこの課題解決にあります。

そもそも特定技能とは

先にも述べた通り「特定技能」とは「労働力」を確保するため2019年4月に施行された在留資格です。これまで外国人は「特定の業種における技術を学び、本国に持ち帰ること」を名目として「技能実習制度」による労働が主なものでしたが、特に小規模事業者ではこれらの実習生の労働力に依存しているという実態もありました。このような深刻な人手不足に対して策定された在留資格が「特定技能」。「特定技能1号」は介護・ビルクリーニング・素形材産業・産業機械製造業・電気・電子情報関連産業・建設・造船船用工業・自動車整備・航空・農業・漁業・飲食料品製造業・外食業に宿泊を加えた14 業種で認められています。

日本の宿泊業界の現状

外国人観光客が増加し宿泊施設の需要が高まっている

日本の宿泊分野における現状は、外国人観光客が増加し、宿泊需要も高まり続けています。訪日外国人数は2018年に初めて3,000万人を突破し、アジアでも第3位、世界的に見ても11位と観光立国としての地位を築きつつあります。これは2011年訪日外国人数と比べても約5倍という目覚ましい数字です。これに伴い、延宿泊人数も増加の一途を辿っているのは想定内でしょう。観光庁「宿泊旅行統計調査」によると、2012年には4億3950万人泊であった延べ宿泊者数は、2016年には4億9250万人泊と、5300万人泊の 増加。宿泊分野に限らず、日本全体への大きな経済効果をもたらし続けていることは明らかです。

需要に対応できるだけの人材が確保できていない

これだけの需要がありつつ、耐えうる労働力が確保できていないというのが宿泊分野の現状です。総務省統計局「労働力調査」を見ても、宿泊・観光分野の従業員数は2019年の直近10年で300万人から400万人の微増という状況で、これは観光客の宿泊需要に対して全く追いついていません。有効求人倍率で見ても宿泊業界の2018年度末求人倍率は平均6.15倍。中でも飲食物給仕係が7.16倍と、全業種の有効求人倍率1.38倍と比較しても、大変高い結果を残しました。現在約3万人の人手不足が発生しており、今後の訪日外国人観光客の増加等に伴い、2023年までに全国で約10万人の人手不足が生じると推定されています。

特定技能「宿泊」の業務内容

ホテルや旅館などの業務

では、この特定技能「宿泊」の在留資格をもつ外国人労働者に認められる業務内容についても確認します。ホテル、旅館など宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客、レストランサービス等、宿泊サービスの提供に係る業務に従事することができます。つまり、人手不足がもっとも深刻だった飲食物給仕係に従事することも可能だということです。これまで、ホテルや旅館の「フロント業務」や「企画・広報業務」は、例外的な場合を除いて技術・人文知識・国際業務ビザを取得した外国人しか行なうことができませんでしたが、熟練した技能が無く、学歴が無い外国人でも、上記の試験に合格した者であればこれらの職に就くことができます。

関連業務としてホテル内の販売員や設備交換業務も

また、上記に加えた関連業務として ホテルや旅館施設内の売店での販売業務、備品の点検や交換業務なども認められています。当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(例: 館内販売,館内備品の点検・交換等)に付随的に従事することは差し支えない、とされており「ベッドメイキング」業務に関してもメインではなく、「付随的に」なら従事することが可能です。あくまでも、「付随的」であって、メイン業務とすることは許されておらず、その他フロントやレストランサービスなどの業務を行った上でのサブ業務であればという位置付けです。

特定技能「宿泊」の課題

特定技能2号が認められていない

では、この在留資格の課題点を2点確認しておきます。1点目に、宿泊業は「特定技能1号」の対象とではあるが「2号」への承認には至っていない点です。1号は「一定の知識や経験を要する業務」を行う外国人を対象とし、最長5年の滞在を認める在留資格。一方、特定技能2号は「熟練した技能を要する業務」を行う外国人を対象とするため最長3年の在留資格を何度も更新でき、家族の呼び寄せも可能です。2020年2月より宿泊分野でも2号技能実習の許可がおりたものの、現行宿泊業においては外国人労働者がどんなに優秀であっても、最長8年の就労に限定されています。

申請時の入管局の審査に通りにくい

次に、特定技能ビザは各ホテル・旅館が入国管理局に申請をするため、審査に通りにくいという課題があります。今までの「技能実習生」ビザは各ホテル・旅館ではなく事業協同組合が入国管理局に申請していましたが、特定技能ビザは各ホテル・旅館が個別に入国管理局に申請しなければなりません。従って各ホテル・旅館の財務・経営状況が審査対象となるため小規模ホテル・旅館では、入国管理局の審査に耐えられないケースがあるのです。特定技能ビザに限らず一般に、就労ビザは個人事業主よりも法人の方が、中小企業よりも大企業のほうが審査は通りやすいため、比較的慎重な申請が求められる業界となるでしょう。

特定技能「宿泊」を雇用する際の注意点

旅館やホテルの許可が必要

では、特定技能「宿泊」の在留資格を持つ外国人を雇用する際、注意しなければならない点を確認します。まず、雇用先が旅館・ホテル営業の許可を受けたものであることが大前提となります。この営業許可は「旅館業法」により定められたもので、旅館業とは「施設を設け、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」のこと。旅館業も旅館・ホテル営業、簡易宿所営業、下宿営業の3つに分類されますが、この中で「旅館・ホテル営業」の許可を得ている施設のみが雇用主となる資格を得ます。近年民泊の増加などで取り上げられることの多い旅館業法ですが、営業許可には各都道府県知事の承認が必要となります。

接待を強要しない事

また、是非押さえておきたいのが、特定技能外国人に風俗営業法第2条第3項に規定する「接待」業務を強いることはできない、という点です。 わかりやすくいうとコンパニオンサービスのように、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことはできないということです。同様に、簡易宿所及び下宿、ラブホテルでは特定技能外国人を雇用することはできません。簡易宿所とは、ペンション、民宿、キャンプ場、ゲストハウス等のこと。ラブホテルは、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に規定する施設に該当するため雇用できません。

宿泊分野における外国人材受入協議会の構成員になる

また、雇用にあたっては国土交通省が設置する「宿泊分野特定技能協議会」の構成員になることも条件とされています。構成員になるには、観光庁webページにある入会届出書式に入会希望の旨記入し、観光庁観光人材政策室宛に郵送します。特に会費等は発しませんが、入会届と併せて特定技能開国人の在留カードや雇用条件に関する書面の写しを添付する必要があります。特定技能外国人を受け入れた日から4ヶ月以内に協議会の構成員になることが義務づけられているため、注意しておきましょう。より良い外国人材受け入れのため半年に1度を目安に定期的に協議会が開催されています。

国交省の調査や指導には協力する

特定技能外国人を雇用する際、受け入れ企業は適切な支援計画を作成し実施する必要があります。この支援計画には入国前のガイダンス、空港送迎、住居確保のサポート、職務上・生活上必要な情報の提供等も含まれ、雇用者の義務として位置づけられています。なお、この支援業務を登録支援機関に全部委託することも可能。その場合には、その登録支援機関が、同じく宿泊分野特定技能協議会の構成員である必要があります。雇用にあたり企業も特定技能外国人双方が、上記諸々のルールに関して了承した旨、誓約書として出入国在留管理長長官宛に提出をしています。

2万2000人の上限があります

雇用を考えている企業は早めに着手しましょう

以上、新たな在留資格「特定技能(宿泊)」に関して、その設立背景や活用のポイントに関して説明してきました。今後は日本全国で、宿泊業界に限らずすべての業界で特定技能外国人が活躍してくることでしょう。特に宿泊業界においては5年間で22,000人という上限があり、コロナウィルス流行が落ち着けば争奪戦になることが予想されます。もちろん、雇用される外国人もこの資格を得るためには規定の日本語能力試験と宿泊業の技能評価試験に合格することが求められ、雇用成立までには時間がかかりますよね。早期の着手が上手な制度活用そして人材不足解消へ繋がるはずです。

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