JLPT(日本語能力試験)とは【各レベルにおける日本語能力について解説】

記事更新日:2022年01月18日 初回公開日:2022年01月18日

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グローバル化が進む現代において、積極的に外国人社員の採用を行なっている企業が増えています。外国人を採用するにあたって重視されるのが、どの程度の日本語能力を有しているかという点です。今回は日本語の能力を測定する試験であるJLPTについて、取得レベルにおける能力の目安などについて解説します。外国人を新たに採用しようとお考えの企業や、外国人社員の日本語能力向上を課題としている企業の方はぜひご一読ください。

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JLPTとは

日本語レベルを測る検定試験

JLPTとは外国人の日本語レベルを測るための検定試験であり、「日本語能力試験」とも呼ばれています。N1レベルからN5レベルまでの5段階が設定されており、N1は最も難易度が高く平均合格率は30%程度となっています。1年間に2回実施されているJLPTは海外でも受験することが可能であり、2019年の受験者は100万人以上にものぼりました。世界中で受験されている試験であるからこそ、その結果は日本語能力を証明するうえで大きな説得力を持つでしょう。

応募条件のひとつとしている企業もある

JLPTの取得結果を、求人への応募条件のひとつとしている企業もあります。特にN1レベルなどを有する外国人材は、日本語について非常に理解度が高いといえるでしょう。業務を行う際にも、高い日本語レベルを持っていることによって比較的スムーズなやり取りが可能となります。しかしJLPTはあくまで日本語能力を測るひとつの指標であり、N1レベルを取得していなくても問題なくコミュニケーションが取れる外国人材もいます。選考において日本語能力をある程度確認しておきたいのであれば、応募条件としてみるのもひとつの方法でしょう。

JLPTとJPTの違い

JPTは無段階評価である

JPTとは「JPT日本語能力試験」のことです。JLPTにおいては日本語能力に応じてN1レベルからN5レベルまでが設定されているのに対して、JPTは得点による無段階評価となっています。TOEIC試験と同様に990点満点となっており、獲得した得点によって日本語の能力を測定することができます。JLPTでは5段階でしか評価できないのに対して、得点に応じた細かい能力差が把握しやすいというのがJPTの特徴といえるでしょう。

JLPTとBJTの違い

BJTはビジネスに関する日本語能力試験である

BJTとは、ビジネスにおける日本語でのコミュニケーション能力を測る「BJTビジネス日本語能力テスト」のことです。その名の通り、ビジネスシーンにおいて必要とされる日本語の能力を測ることができます。試験の結果は、0点から800点までの点数とJ5〜J1+までの6段階で評価されます。BJTにおいて高得点を取るためには必然的に高い日本語能力が必要とされるため、基本的な日本語能力を持っている外国人が次のステップとして受験する場合が多いです。

JLPTの各レベルにおける日本語能力の目安

N1レベル

JLPTのN1レベルを取得していれば、幅広い場面で使われる日本語を理解することができるといわれています。少し内容が複雑な文章が読めるというだけではなく、抽象度の高い文章からもその内容や構成を理解することができます。聞く能力に関しても自然なスピードでの会話を理解できるため、日本人とほとんど同じ感覚で話を伝えることができるでしょう。しかし会話が理解できるからといって円滑なコミュニケーションが取れるというわけではありませんので、一方的なやりとりになってしまわないように注意しましょう。

N2レベル

JLPTのN2レベルでは、日常的な場面で使われる日本語の理解に加えてさらに幅広い場面で使われる日本語をある程度理解できるとされています。新聞や雑誌の記事、評論文などの内容を理解することも可能となります。さらに話の流れや著者の表現意図などについても理解することができ、かなり高いレベルで日本語を読むことが可能といえるでしょう。聞く能力については、日常会話だけでなくニュースなどの内容から登場人物の関係を理解することもできます。

N3レベル

JLPTのN3レベルでは、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができるとされています。読む能力については日常的な話題についての理解だけでなく、新聞の見出しなどからおおまかな情報を読み取ることも可能なレベルです。少し難易度の高い内容の文章は、簡単な言い換えの表現などを与えることで内容を理解することができます。さらに聞く能力に関しては、ほぼ自然な会話スピードにおいても具体的な内容を理解することが可能です。

N4レベル

JLPTのN4レベルは、基本的な日本語を理解することができる程度のレベルといわれています。読む能力としては、基本的な語彙や漢字を用いて書かれている日常的な内容であれば読んで理解することができます。聞く能力についても同様に、日常的な会話であれば内容をほとんど理解することが可能です。N5レベルと異なる部分は、定型的な文章でなくても読んで理解ができることと、短い会話でなくても内容がほぼ理解できるという点です。

N5レベル

JLPTのN5レベルは、基本的な日本語をある程度理解することができるほどのレベルだといわれています。日本語を読む能力に関しては、ひらがなやカタカナにくわえて基本的な漢字で書かれた定型的な文章を読むことができます。聞く能力については、日常生活で交わされる短い会話から必要な情報を聞き取ることができる程度とされています。日本語の基本的な部分であれば理解できているということになりますが、聞く能力については会話のスピードによって聞き取れなくなることがありますので注意しましょう。

JLPT取得のメリット

日本語能力の証明になる

JLPTを取得することによって、現時点でどのくらいの日本語能力を有しているかということをある証明することができます。日本の企業への就職を考えている外国人にとって、自身の日本語能力を具体的な結果として証明できるというのはJLPTを受験する大きなメリットでしょう。外国人の採用を考えている企業にとっても同様に、日本語の能力を把握できるだけでなく試験のために継続的に勉強できる人材だということを確認することができます。

出入国管理において優遇される

JLPTの取得状況に応じて、出入国管理における優遇措置がなされます。平成24年から、一定以上のポイントを有している高度外国人材に対して出入国在留管理上の優遇措置をとる制度が導入されました。学歴や職歴、年収などに応じてポイントが与えられますがJLPTの取得状況もポイントの対象となります。N2レベル取得者には10ポイント、N1レベル取得者には15ポイントが付与されます。大学の卒業によって得られるポイントが10ポイントであることからも、JLPTの結果が重要視されていることがわかります。

外国人社員の能力が向上する

JLPTの取得に向けて勉強することで、日本語能力をはじめとして外国人社員の能力向上にもつながります。N1レベルやN2レベルを取得するために勉強していれば、自然と日本語能力は向上していくでしょう。もしすぐに取得することが難しかったとしても、日々の業務において日本語でのやり取りがこれまでよりもスムーズになることが期待できます。JLPTの受験が結果として業務能力の改善につながるということも、企業としては知っておくべきでしょう。

JLPT取得にかかる費用

国内での受験料は6500円

JLPTを受験する場合、国内での受験料は6500円となっています。JLPTは海外でも受験することが可能ですが、海外で受験する場合にはそれぞれの国や地域の実施機関へと問い合わせる必要があります。その他受験料以外に発生する費用としては、成績証明書の発行費用などがあげられます。これらの費用は受験者である外国人が負担するのが一般的であるため、企業としては特に負担する費用はありません。受験時期によって出願の期間が決められていますので、外国人社員が受験する場合などについてはそちらも注意しておきましょう。

JLPTに関する注意点

あくまでひとつの指標としてとらえる

外国人材の採用活動や能力評価において、JLPTの取得状況はあくまでひとつの指標のひとつとしてとらえるようにしましょう。JLPTにおける問題の構成上、日本語能力を網羅的に測定することはできません。日本語を読む能力や聞く能力は測定できますが、読む能力や話す能力まで正確に測定することは難しいです。したがってJLPTの取得結果のみを採用の判断材料としてしまうと、日本語能力に関するギャップが入社後に生じる可能性があります。

コミュニケーション能力と分けて考える

JLPTの結果と、実際の日本語でのコミュニケーション能力は別のものとして考えるべきです。たとえJLPTにおいてN1レベルやN2レベルを取得していたとしても、日本語での円滑なコミュニケーションが取れるとは限りません。社員同士での会話が頻繁に生じるような職場であればなおさら、コミュニケーション能力の低さは悪影響を及ぼします。したがって、日本語の会話能力などについては採用面接の時点でしっかりと見極められるように注意しましょう。

日本語を書く能力は測定できない

先述の通りJLPTにおいては日本語の文法読解や聴解問題が出題されるため、日本語を書く能力まで正しく測定することは難しくなっています。したがって、業務において日本語を書く必要がある場合などは特に、JLPTの結果だけではなく実際に日本語を書く能力を把握しておく必要があるでしょう。入社後の業務に必要な日本語能力を正しく把握したければ、自社で簡単な書き取りテストなどを準備しておくというのもひとつの方法です。

中国語圏の人材には有利な場合もある

JLPTでは漢字を用いた問題も出題されますので、中国語圏の人にとっては有利となる場合もあります。一方で、ある程度日本語の能力があってコミュニケーションを測れるのにも関わらず、漢字が苦手なためにJLPTで思うような結果が残せないという外国人がいるというのも事実です。したがって、中国人のJLPTの試験結果を評価するときには特に、漢字以外の部分をしっかりと理解できているかということを確認するようにしましょう。

まとめ

JLPTだけでなく総合的な評価を行いましょう

JLPTの各レベルにおける能力の目安などについて、お分かりいただけたでしょうか。JLPTの受験結果によって、外国人が有している日本語レベルをある程度は測定することができます。しかし先述の通り、実際に日本語を書く能力や話す能力などを正しく測定することは難しいとされています。したがってJLPTはあくまで日本語能力を把握するためのひとつの目安として考え、外国人を新規採用する際には面接などもふまえて総合的な評価を行うようにしましょう。

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