記事更新日:2022年03月28日 | 初回公開日:2021年12月15日
用語集 外国人採用・雇用 グローバル用語解説 人事・労務お役立ち情報技人国とはビザのひとつで、おもに大学などを卒業した外国人や実務経験を積んだ外国人が日本の会社に就職する際に取得できます。学んだ分野の専門性を活かして関連する職に従事する必要があるため、専門分野と本人が就く職務内容が密接に関連していることが条件です。技人国とは「技術・人文知識・国際業務」のことで、技術は理系の分野に属する技術や知識を必要とする業務を指します。また、人文知識は文系の分野に属する知識を必要とする業務を、国際業務は外国人特有の文化に基盤を有する思考や感受性を必要とする業務のことを意味しています。
技術・人文知識・国際業務ビザは、高度専門職ビザや企業内転勤ビザなど19種類ある就労ビザのうちのひとつです。実は、就労ビザというビザはありません。それぞれの在留資格に就労可能の在留資格か、就労不可の在留資格があるのです。この場合、就労不可の在留資格であっても、資格外活動許可申請をして就労が認められる場合もあります。例えば、留学生が生活費や学費のためにアルバイトをするのはこの資格外活動許可があるためです。
技人国ビザはホワイトカラーの外国人が取得することのできるビザです。ホワイトカラーとは「白い襟」の意味で、オフィスで机に向かって働く人を指します。これはオフィスで働く人々が白いワイシャツを着ていることに由来しており、具体的には、事務職や営業職、管理部門で企画や管理商務などの事務労働に従事する人がホワイトカラーに含まれます。技人国ビザの場合は、公務員やプログラマー、税理士、弁護士などの専門的な資格を所持している職業が該当します。
技人国ビザを取得するためには、日本の学校の場合では大学または大学院を卒業していることが必要な条件となります。大学には短期大学も含まれ、学士もしくは短期大学士以上の学位を取得しなければなりません。また、技人国ビザは大学卒業以上と同等の教育でも取得する事が可能となっています。大学卒業以上と同等の教育とは、航空大学校、防衛大学校、職業能力開発大学校、国立看護大学校、高等専門学校などの学校のことを指します。
日本の学校の場合、専門学校を卒業して専門士の称号を所持していると技人国ビザを取得することができます。この場合、専門学校で専攻していた内容と企業における職務との関連性に注意して下さい。専門学校は専攻する範囲が大学に比べ限定的になってしまうため、職務内容との関連性がないと不許可になる可能性があります。工業や商業の課程の専門士であれば関連性を持たせることは容易ですが、それ以外の専門士は関連性を持たせることが難しいケースもあります。
海外の学校の場合、海外の大学が日本の大学と同等にならないことがあります。各国の教育が異なるため学校を卒業しても大学と同等以上の教育を受けていると認められません。海外の大学を卒業することで大学と同等以上の教育を受けていると認められるケースも存在します。しかし、海外の専門学校は教育として認められません。認定されるかどうか判断が難しい場合は課程や就業年数、学位授与、卒業論文などによって高等教育機関として評価されていることを立証する必要があります。
技術・人文知識のカテゴリーでは高い専門性が必要とされています。そのため、単に大学を卒業しているだけでは要件を満たしません。ただし、大学等を卒業していなくても10年以上の実務経験を行っていれば要件を満たすことになります。これは大学を中退してしまった場合にも適用され、関連する科目を専攻した期間を10年の実務経験の中に含めることができます。国際業務のカテゴリーでは3年の実務経験があれば要件を満たすことになりますが、この場合は国際業務分野の中でも、翻訳通訳業務が対象となることに注意しましょう。
技人国ビザを申請するために用意する書類は企業の源泉徴収税額によって異なります。源泉徴収税額が1500万円以上となる場合、前年分の職員の給与所得の源泉徴収等の法廷調書合計表が必要となります。法廷調書合計表が必要な場合、受付印のあるものの写しを提出します。1500万円未満の企業や新設会社の場合は登記事項証明書や定款のコピー、実績などが記載された会社案内や直近年度の貸借対照表のコピーなどいくつかの書類が必要となります。
技人国ビザを申請するために本人が用意する書類はいくつかあります。専門学校を卒業し、専門士または高度専門士の称号を取得したものはそれを証明する文書が必要となります。また、学校の履修内容と仕事内容の関連性を判断するために成績証明書が必要となる場合もあります。卒業証明書の他にはパスポートすべてのコピーや履歴書、日本語能力を証明する書類も必要です。資格を持っている場合は仕事内容と関連していると有利になるので、その合格証も用意しておきましょう。
技人国ビザの中でも、技術・人文知識のカテゴリーにおいては特に、学校の履修内容と職務内容の関連性について注意しなければなりません。大学においては、現在の企業活動において広範な分野の知識を必要とされているため、専攻していた分野と近い分野の職務は行うことができるようになりました。だからといって、全く関連性がなくても許可されるというわけではありません。専門学校においては特に厳格に審査されます。専門学校の方が高い専門性を持った分野を履修しているためです。業務内容も基本的には現場作業などは認められていません。
技人国ビザを利用して外国人を雇う場合、報酬について満たすべき条件があります。外国人労働者は、日本人が働く場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けなければなりません。企業間で報酬は異なるため、基準となるのは所属機関の同等の社員の報酬になります。大卒であれば日本人の大卒と外国人労働者、専門側なら日本人の専門職の賃金との比較を意味します。ただし、企業で異なるとはいえ、水準が低い状態で申請すると許可されない可能性があります。
技術・人文知識のカテゴリーでは、10年以上の実務経験によるがある方の(?)技人国ビザの申請が許可されることは難しいです。また、国際業務カテゴリーでも3年以上の実務経験が必要となります。日本の大学を卒業していることでいれば、翻訳、通訳、語学の指導のような業務に従事する場合の3年以上の実務経験が不要となります。専門学校でも同じように不要となりますが、専門学校での習得内容が翻訳、通訳、語学の指導に関連しているものでなければなりません。
在留資格の許可における代表的な要件として、本人の素行があげられます。素行が善良であることが前提条件となるのは、技人国ビザに限らずどのビザにも関しても共通しています。強制退去に準ずるような刑事処分など、出入国管理行政上で看過できない行為を行った場合は素行不良と判断され、在留資格が取り消されます。公文書や私文書の偽造や、不法就労活動なども素行不良の一つです。素行が不良とみなされるとビザの許可は不可能になります。
技人国ビザを申請しているうえで転職する場合は、就労資格証明書が必要となります。就労資格証明書とは転職先の企業で働くことができる、あるいはできないという証明が記載されたものです。取得させておくと次回更新申請時に申請が省略され、手続きを楽に行う事が出来ます。この証明書を所持しておくことで不法就労ではないことを証明できるようになる、ビザ更新がスムーズになるなどのメリットが生まれます。また、この証明書が通らないと最悪の場合在留ができなくなってしまうので注意が必要です。
技人国ビザは、留学ビザからの変更申請をすることができます。留学生などは、留学ビザを所持していると週28時間までアルバイトをすることが可能です。しかし、就職する場合企業にフルタイム社員として就職することができません。就職する際には留学ビザを技人国ビザへ変更することが可能です。変更する際は申請が必要となります。申請にかかる期間は2週間から1か月ほどです。また申請には在留資格変更許可申請、卒業証明書や成績証明書、履歴書等に加え企業側の書類などの提出が求められます。
技人国ビザを更新して働き続ける場合には、在留期間延長許可申請書を提出する必要があります。働いている企業によって分類されているカテゴリーが異なり、それに沿って提出する資料が異なります。どのカテゴリーにおいても共通して用意しなくてはならないのは、在留期間更新許可申請書とパスポートまたは在留カードです。申請人本人または法定代理人が用意する必要があり、収入印紙で4000円の手数料を納入しなければなりません。
技人国ビザの技術に該当する業務はプログラマーや建築系エンジニアなどが該当します。プログラマーの場合は情報工学を専攻して大学を卒業しなくてはなりません。技術のカテゴリーで申請できるプログラマーは、理科系の分野の学部を卒業している者に限ります。人文科学の分野の知識を必要とする場合は人文知識での申請が必要です。建築系エンジニアは主に建築学を専攻して大学を卒業していなければなりません。現場で業務を行わなくてはならない場合は、その内容に注意が必要です。
技人国ビザの人文知識に該当する業務は、外国航空会社との提携業務やコンサルティングなどです。外国航空会社に就職する場合は語学を生かした通訳等のみの従事となるとカテゴリーが変わるので注意が必要です。ここでの業務は総合職にあたります。コンサルティングの場合は大学等で経営学を専攻しなければならず、企業の経営戦略やマーケティング業務に従事している必要があります。また、コンサルティングは経営だけでなく会計や金融コンサルティングなど、専門性の高い分野に特化している企業も多いです。
技人国ビザの国際業務に該当する業務は語学講師などです。語学講師の場合、指導としては通訳同様の扱いになりますが、教育の在留資格について注意しなくてはなりません。日本の教育機関において語学教育に従事することは教育の在留資格に該当します。教育機関に所属する場合や一般企業等との雇用契約に基づいてこれらの教育機関に派遣される場合は教育の在留資格が必要です。国際業務のカテゴリーの範囲内で行える語学の指導は、教育機関以外の外国語のスクールなどのような一般企業での活動が該当します。
技術・人文知識・国際業務ビザは高学歴が条件というイメージが強いです。しかし学歴だけではなく、さまざまな要件をクリアする必要があります。大学を卒業しているだけで在留許可を得られるというわけではありません。また、一度許可されていたとしても、就業の内容によっては更新の時点で実証できないと許可が得られなくなってしまうことがあります。技人国ビザで外国人を雇用する際は学歴や実務経験、従事する業務内容についてしっかりと確認し、適切に申請するようにしましょう。
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