記事更新日:2020年11月18日 | 初回公開日:2020年11月05日
人事・労務お役立ち情報 採用・求人のトレンド構造化面接とは、あらかじめ決めておいた質問項目や質問順序に沿っておこなう面接です。面接の途中で新たに疑問が生じても質問をすることはありませんし、面接官によって異なる質問をすることもありません。面接結果は、あらかじめ定めておいた評価基準に基づいて評価します。質問項目や評価基準は、採用したい人材像を明確にしたうえで設定するのです。構造化面接は、もともとは精神科や臨床心理学の分野で発展しました。うつ病や統合失調症の診断などに使われてきており、たくさんの書籍も発刊されています。そして、近年では採用面接にも転用されているのです。
面接法には3つの種類があり、構造化面接の他に、非構造化面接と半構造化面接があります。非構造化面接は、事前に質問を準備せずに、自由に質問し、回答に応じて臨機応変に新たな質問をおこなっていくという面接方法です。会話の流れが生じることで、応募者はスムーズに話しやすくなるでしょう。また、応募者の適性などを掘り下げていくことも可能で、応募者の思わぬ側面を発見することもできます。しかし、面接官によって得られる情報が異なってしまうことにもなりかねません。また、応募者に対して統一的な評価をおこないにくくなります。
半構造化面接は、構造化面接と非構造化面接の中間的な面接方法です。あらかじめ定めておいた質問項目に加えて、応募者をより深く知るために、面接官が臨機応変に自由な質問を加えるのです。通常は、前半で志望動機など全応募者に共通する事項を尋ね、後半で自由に面接を進めていきます。適切に面接できれば、応募者の能力や適性を的確に評価できるでしょう。しかし、面接官に十分な力量がない場合には、主観に流れてしまったり、うまく応募者の能力を把握できなかったりする危険性は残ります。
構造化面接をおこなう目的は、面接官のレベルや個性に影響されることなく応募者を公平に評価して、入社後に高いパフォーマンスを発揮する応募者を見極めることです。構造化面接では、採用予定の職務や役職に応じた人材像をあらかじめ明確にし、そのうえで、面接における質問項目や評価基準を厳格に定めます。したがって、面接官に影響されずに偏りのない面接を行うことができるのです。そして、肝心な点を質問しないということはなくなりますし、評価のばらつきもなくなります。その結果、あらかじめ設定した人材像に合致した人材を見極めやすくなるわけです。
まずは、どんな能力を持つ人材を採用したいのかを明確にすることが大切です。不明確な状態では採用面接にふさわしい評価項目や評価基準を設定することはできません。例えば、業務上の深い知識や実績を重視する場合があるでしょう。また、強いリーダーシップや企画力を期待することもあり得ます。協調性や社風に合うかを知りたい場合もあるかもしれません。どんな能力を必要とするのか明確にし、必要とするいくつかの能力について、どの能力を重視するのか重みづけをしておくことが望まれます。
人材像を明確にしたあとは、その人材像に見合った評価項目と評価基準を設定することになります。採用する基準となる水準も設定しましょう。まずは、評価項目に沿った質問項目を作成します。そのうえで、質問への回答を客観的に評価するための評価基準を作成しましょう。それぞれの評価項目について、4~5段階で評価することになります。面接官によるばらつきを防ぎ、公平に評価していくためには、わかりやすい評価基準を定めることが不可欠です。わかりやすくするために、実例もあげて明文化しておくことが必要となります。
実際の面接にあたっては、話題の起点となる質問をし、次にその質問を掘り下げる質問をおこないます。起点となる質問例としては「これまでの仕事の中で、あなたの企画がうまくいった経験を教えてください。」といった質問が考えられるでしょう。掘り下げる質問例としては、次のようなものが考えられます。「どんな役割でしたか。」「企画を成功させるためにどんな行動をとったか教えてください。」「ほかの社員とどうかかわりましたか。」「どの程度計画どおりに実行できたか聞かせてください。」などです。こうした質問への回答で応募者の特性を評価していきます。
構造化面接における質問の作成方法を紹介します。まずは、行動面接の枠組みで質問項目を考えましょう。行動面接は、応募者の過去の行動や業績に焦点をあてて掘り下げていく面接手法です。行動面接によって、実際の行動を検証したうえで、応募者の行動特性や思考能力を的確に把握することができます。具体的には、過去に経験した状況に関する質問(起点となる質問)をおこない、次に、その時の状況(Situation)を掘り下げて質問するのです。更に、その時の課題(Task)と応募者の行動(Action)を詳しく問い、最後に成果(Result)も詳細に聞いていきます。行動面接は、これらの頭文字からSTAR面接と呼ばれます。
仮説に基づく質問も作成しましょう。「もし~という状況になったら、あなたはどう対応しますか。」といった質問です。架空の状況に対する行動や思考を尋ねるわけですね。この質問を起点として、行動面接と同様に、内容を詳しく掘り下げるフォローアップ質問をおこなっていくのです。仮説に基づく質問をおこなう面接は、状況面接と呼ばれています。状況面接により、応募者が将来の新しい状況に対応していくための行動力や思考力を明らかにすることができるのです。
コンピテンシーモデルの利用で、質問を作成しやすくなるでしょう。コンピテンシーモデルとは、ある特定の企業において優れた成果を生み出す人材に共通する行動や思考法を、職務や役職ごとに整理したものです。コンピテンシーモデルを作るには相当の労力がかかるでしょう。しかし、コンピテンシーモデルがあれば、高い成果を生み出す人材の特徴が明らかになっています。したがって、応募者がそうした特徴を持つ人材かどうかを、行動面接などを利用して質問・評価することができるのです。コンピテンシーモデルを活用した面接方法はコンピテンシー面接ともいわれています。
構造化面接の大きなメリットは、面接官のレベルに影響されずに適正な評価を行うことができるという点にあります。面接官のレベルに左右されず、面接官が応募者の第一印象や学歴に引きずられてしまうこともなくなるのです。その結果、あらかじめ定めた水準に合致した人材かどうか適切に判断できます。優秀な人材を見逃す可能性は少なく、採用のミスマッチも防げるでしょう。また、多数の応募者の面接を行う場合においては、大人数の面接官で効率的に面接を進めることが可能です。不要な質問をしてしまうことや雑談的になってしまうことがないので、時間の節約にもなるのです。
構造化面接では,あらかじめ準備した項目を質問していくので、質問項目ではカバーできない応募者の長所を把握しにくいというデメリットがあります。質問項目に含まれていない創造性や自由な発想力があったとしても、それを捉えることができないのです。あらかじめ準備した枠を超える人材をうまく評価することができません。加えて、応募者が面接で話したことが本当のことではなく誇張したものである可能性もあります。誇張したものとすれば、応募者の真の能力を評価することができなくなってしまいます。
構造化面接では、応募者が採用したい人物像に合致するかどうかを把握しやすくなっています。しかし質問項目に現れていない長所を把握しにくい等の問題もあり、万能ではありません。構造化面接の質問項目が終わったあとに自由に面接する時間を設けることで構造化面接では把握できなかった応募者の特性を捉えることもできるでしょう。また、適性検査やリーダーシップ検査などを用いて多角的に評価することも可能です。構造化面接以外の方法も併用し、求める人材像に応募者が合致するかどうか確実に評価できるようにしておくことが大切でしょう。
質問項目は一度定めたらそれを固定しておくものではなく、随時変化させていく必要があります。それは、応募者が質問項目をインターネット上に公開し、それを見た別の応募者が対策を立てる可能性があるからです。公開されてしまうと、その質問項目を使うことができなくなってしまいますから、公開される前に質問項目を変化させる必要があります。また、企業の業態の変化により、求める人材像が変化していく可能性もあります。人材像の変化に合わせて、質問項目を変化させていかないと、業態に見合った人材を採用することができません。
Googleが構造化面接を導入していることを聞いたことがあるでしょうか。Googleによると、構造化面接には次の3つの利点があります。1つ目は、応募者が採用されて実際に職務に就いた場合のパフォーマンスを予測しやすいという点。適切な人材を採用できることになります。2つ目は面接官における満足度が高くなるとともに、面接時間を短くできるという点。面接1回あたりで平均40分短くすることができるといいます。そして、3つ目は不採用となった応募者の満足度が高くなるという点。構造化面接を受けたうえで不採用となった応募者は選考への満足度が高くなっているのです。
構造化面接は、面接官の個性やレベルにかかわらず応募者を適正に評価でき、時間の節約にもなる優れた面接方法です。しかし、質問項目から外れた応募者の長所を把握できないことがあります。応募者が誇張した応答をすれば正しい評価ができなくなる点も見逃せません。また、質問項目を作成・更新していく労力も必要です。したがって、企業によっては、他の面接方法の方がふさわしい場合も生じます。また、構造化面接を採用する場合は、状況に応じ、他の適性検査を加えたり、面接の後半に非構造化面接を加えたりすることで、応募者への評価がより適切になるでしょう。
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