GIGAスクール構想とは?【目的や課題は?】

記事更新日:2020年11月18日 初回公開日:2020年11月09日

グローバル用語解説 用語集
2019年に文部科学省が打ち出したのが「GIGAスクール構想」です。新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言や休校措置(自粛含む)を受け、早期に実現するための支援を積極的に推進すると政府が表明しました。教育現場の改善についてはかつてより取り沙汰されていましたが、「GIGAスクール構想」は未来を担う子どもたちの教育に大きく係る問題です。本記事では、あらためてGIGAスクール構想について詳しく解説していきます。

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GIGAスクール構想とは

GIGAはGlobal and Innovation Gateway for Allの略

GIGAスクール構想とは、2019年12月に文部科学省から発表されたGlobal and Innovation Gateway for Allの略称です。小学・中学校の児童に対しPC環境を整え、全国の教育現場に高速大容量の通信ネットワークインフラを整備し、多様な子どもたちに最適な教育を実現する構想です。現代の変化が激しい時代を生き抜くためには従来の一斉教育だけでなく、子どもたち一人ひとりに個別最適化された教育が臨まれています。

校内通信ネットワーク整備事業

学校における校内LANを整備

これまでの端末利用は一部の生徒のみであったため、無線LAN環境はPC教室など一部のみで可能でした。しかし、生徒1人に対する端末利用の増加や同時接続などが増えることで全教室での無線LAN環境が必要になり、ネットワークが切迫されることが予想されます。GIGAスクール構想における学校内でPCを利用した教育を実施するためには、まずは校内の通信ネットワークの安定稼働を整えなければいけません。

電源キャビネットを整備

高速大容量の通信ネットワークを整備するためには、無線LANと合わせて電源キャビネット整備を用意する必要があります。ただし、校内LANの整備と電源キャビネットと同一の契約内で行う必要はありません。校内LANの整備は完了しものの、電源キャビネット整備は未だ完了していないといった状況が生まれる可能性もあるでしょう。どちらにせよ、双方がGIGA構想には必須項目になっているので順を追って進めていくようにしましょう。

児童生徒1人1台の端末の整備事業

文部科学省の調査報告によると、2020年時点の学校現場において学習者用端末の導入台数は、生徒5人あたりに1台程度です。この整備は先進国と比較しても遅れており、現状では地方自治体間の格差が大きいと言えるでしょう。GIGA構想においては児童向けに1人1台の端末は必須とされています。「1人1台の環境を整備する必要はあるか」という声もありますが、生徒一人ひとりに柔軟な教育を行うためにはなくてはならないインフラとなってきます。

GIGAスクール構想の目的

個別最適化された教育の実現のため

かねてより人口減少地域での教育格差、離島など長距離移動をしないと教育を受けられない子どもの肉体的負担などが問題視されてきました。子どもたちへの個別最適化された教育の実現のためには、場所やインフラ格差によって教育格差が生まれてはなりません。そのためにも全国一律でのICT環境整備が急務とされています。生徒一人ひとりにあった教育の実現は、個性や創造性を育むことにも繋がり、引きこもりやいじめの解消にも期待されています。

教員の働き方改革に繋げる狙いもある

GIGAスクール構想では、児童1人1台の端末整備と合わせて、学習用ツールと校務関連のクラウド化も推奨しています。クラウドサービスを利用することで、ネットワークで繋がったサーバーにアクセス権限があれば誰でもアクセスすることが可能になります。クラウドサービスに代表されるICT導入・運用が進むことで、名簿や出欠管理、授業の事前準備などの負担を軽減することができ教員の働き方改革にも繋がるでしょう。子ども達のためのGIGAスクール構想と思われがちですが、教員のためのGIGAスクール構想でもあります。

GIGAスクール構想の課題

教師や親のITスキルの不足により子供に教えられない

リモート会議に代表されるようにネット環境なしでは仕事に支障が出るほど、私たちの生活になくてがならないのがITスキルでしょう。そんなSociety5.0時代を生きる子供たちには、教育においてもICTを基盤とした先端技術などの効果的な活用が求められています。しかし、時代の流れに追いついていけない教師や親がいるのも事実。「ITスキル不足により子供に教えられない」というのは、子どもたちにとって大きなダメージとなってしまいます。多様な子どもたちを誰一人として取り残さないためにもGIGAスクール構想の加速化が求められています。

各家庭の通信環境が整っているとは限らない

社会にPCやスマートフォンが幅広く普及する一方で、教育現場における教育用コンピューターの配備などの通信ネットワークはまだまだ脆弱です。また、ICT環境の整備が地方自治体では不十分で、地域格差も大きいと言わざるおえません。一昔前までPCやインターネット環境が整っていなくても大きな教育格差は生まれていませんでしたが、現代社会においては通常の教育も難しくなっていると言えるでしょう。低学年からインターネットスキルがなければ、通常教育にもついていけず大きな差が出てくると考えられます。

セキュリティーやフィルタリングが必須

GIGA構想に限らず今まで紙で管理していたものをデータ化、クラウド化することでセキュリティー面の不安が出てくるものです。もちろん、GIGA構想においても子どもたちの個人情報の流出はあってはなりません。セキュリティ対策を考える上でどのような状況で、どんな人が、どのような機器を使用するのか実証的な検証やフィルタリングが必要になります。セキュリティーやプライバシー保護の観点からデータ管理のあり方を学校単位で考えていかなければなりません。

GIGAスクール構想の補正予算

GIGAスクール構想の加速による学びの保証は2,292憶円

GIGAスクール構想のなかでもとくに「校内LAN整備」と「ひとり1台の端末整備」といった整備事業は、大きな費用がかかり教育現場の努力では難しいのが現状です。そのため、GIGAスクール構想では2020年度の補正予算案に総額2,292億円が計上されました。現状の見直しなど教育現場の時間的コストは発生しますが、教育現場の環境改善は急務課題と捉え、IT環境の設備やデジタルならではの学びの充実に力を入れています。

緊急時でも学習が保証される環境づくりのための予算

政府が打ち出した2,292億円の補正予算は、緊急時においても子どもたちの学習が保証される環境づくりのための予算でもあります。とくに新型コロナウイルスによる自粛や学校休校に伴い、ICTを効果的に活用した学習活動を取り入れることによる、子どもたちの安定した教育環境の設備は急務に。今後は、入院や引きこもりなどで学校に通えない子どもたちと教室を繋ぐツールとして、遠隔教育の実現にも期待されています。

学校情報通信ネットワーク環境施設整備費補助金について

ネットワーク機器やLANケーブルの補助金

計上した補正予算では、校内LAN整備に伴う工事費用や電源キャビネットなどの高速大容量のネットワーク環境整備工事、ネットワーク機器の購入費用が対象になります。具体的には、サーバーやルーター、ハブや情報コンセントなど。ただし、ソフトに関しては校内LANとして機能・活用するために最低限必要なものに限られます。算定範囲は、調整中ではありますが上限額3,000万円以下(学校単位)、下限額400万円(設置者単位)となっています。

補助割合は1/2

文部科学省によると、学校教育施設などの整備事業債を75%、後年度における元利償還金はその70%を普通交付税の基準財政需要額に算入することとされています。さらに、財源対策債を15%当て、後年度における元利償還金をその50%を普通交付税の基準財政需要額に算入すると定められています。詳しくは、文部科学省のHPで確認する必要がありますが、GIGAスクール構想のためにかかる費用の補助割合は、おおよそ1/2と考えておくと良いでしょう。

公立・私立・国立によって補助対象が異なる

補助金の対象は、公立・私立・国立によっても異なり、令和元年度補正予算額では公立は2,173億円、私立は119億円、国立は26億円となっています。この比率理由としては、私立学校ではすでにインターネットインフラなどの設備が整っている学校が多いこと、全体に占める公立学校の比率が高いことが挙げられるでしょう。ただし、地域差が大きいため都道府県別に割り当てられた場合はかなりの隔たりが出てくることが懸念されています。

学校情報機器整備補助金について

学習者用PCの補助金

GIGAスクール構想において、1人1台端末の早期実現や家庭でも繋がる通信環境を整えることが大きな課題になっています。そのため、政府として学習用PCの補助金として1,951億円を支援する意向を示し、障害のある生徒のための支援装置整備にも11億円を用意。また、急速な教育現場のICT化を進めるうえで自治体や教職員などを支援するため、ICT関係企業のOBなど、ITに詳しいICT技術者の配置経費も支援しています。

補助割合は定額で4.5万円

GIGAスクール構想に向けた児童生徒1人1台に割り当てる端末の予算は、定額(上限4.5万円)です。補助対象は学習者用コンピュータ機器の運搬搬入費(機器の設置・据え付け)に限られ、トラブル対応などは、ICT活用教育アドバイザー等を活用するが決められています。有償のソフトウェアに係る経費や消耗品(タブレット型コンピュータのカバー等)は対象外になるため購入前にしっかりと確認するようにしましょう。

公立・私立・国立によって補助対象が異なる

上記の定額補助金とは別に公立学校情報機器整備費補助金があります。そちらは生徒1人1台端末設備について、公立の小・中学校や義務教育学校、中等教育学校や特別支援学校など一部に限定されています。また、へき地学校などは2%を加算した額を上限として補助するなど追加支援を用意。私立や国立の学校も対象になるケースもありますが、補助金額は変わってきます。詳しくは、文部科学省の公式サイトでチェックするようにしましょう。

コロナによるGIGAスクール構想の前倒しについて

令和5年(2023年)達成の予定だったが前倒しになった

2019年から5年間かけて行われる予定だったGIGAスクール構想。しかし、新型コロナウイルス感染拡大による学校の休校措置の影響によって前倒しで進められることになりました。具体的には、当初のスケジュールの2023年度内の1人1台端末の配備を前倒しし、2020年度中の完了を目標とすると変更になりました。先の見えない新型コロナウイルスによる子どもたちの教育不足が発生しないように政府としても対応しています。

オンライン学習の対応も含め通信環境の設備の加速

2020年には、50以上の企業や団体、教職員を初期メンバーとした「GIGAスクール構想推進委員会」が設立されました。日本の教育現場のICT環境の整備は遅れており、とくにオンライン学習の対応は世界的にみても遅れをとっているといっても過言ではありません。日本は地震や台風など災害大国でもあり、通学できない場合でも自宅でオンライン学習ができるようになることが強く臨まれてきました。学校でのIT学習に加え、オンラインでの学習を含めた通信環境の設備が急務とされています。

まとめ

GIGAスクール構想は生徒と教師の力が最大化できると言われています

学校現場でのGIGAスクール構想の実施は、今回の新型コロナウイルス感染拡大による学校休校など、これから大きな変化と対応を求められていることでしょう。生徒1人1台PCや高速通信ネットワーク整備といったICT環境の整備は子どもたちのみならず、教員の力を最大限に引き出すと期待されています。GIGAスクール構想の実現は日本の教育現場が大きく変わっていくスタートにすぎず、これからも柔軟に対応していくことが求められます。

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