特定技能「自動車整備」を外国人に適用するには【受け入れの要件についても解説します】

記事更新日:2023年09月11日 初回公開日:2023年09月11日

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日本の労働力不足を解消するために、2019年から特定技能という制度が新設されました。特定技能とは、技能実習制度とは異なりある分野で豊富な経験や知識を持っている外国人を労働者として受け入れる制度です。日本では労働力の減少が年々課題になってきており、生産性向上や環境整備を行っても簡単に解決できる課題ではありません。そこで、知識を持った外国人労働者を受け入れる制度が注目されています。今回は特定技能「自動車整備」について解説していきます。受け入れを考えている企業の方は、参考にしてみてください。

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特定技能「自動車整備」(制度)とは

自動車整備を担う人材を外国から受け入れること

特定技能「自動車整備」(制度)とは、自動車整備を担う人材を外国から受け入れる制度です。国内での自動車保有数は横ばいで推移しており、自動車整備の需要も引き続き現在と同じ水準で維持されると予測されています。しかし自動車整備業界では、人手不足が深刻化しています。国土交通省自動車局の資料によれば、自動車整備士の有効求人倍率は平成23年に1.07だったものから平成29年には3.73と他の職種と比べても大きく上昇しています。

特定技能「自動車整備」ができた背景

自動車整備士の人手不足が原因

特定技能「自動車整備」が出来た背景は、自動車整備士の人手不足が原因です。一昔前では車を所有していることがステータスの一つになっていましたが、最近では維持管理にお金がかかる事から若者の車離れが加速しています。車所有者が減っていることから、若者の中で自動車整備士を目指す人が減ってきています。また、自動車整備士には人の命を預かる重要な仕事であるにも関わらず、賃金が低く重労働というイメージを持たれています。そのため、目指す人が減ってきています。

特定技能「自動車整備」の雇用人数と受け入れ人数

在留期間5年及び最大7000人の受け入れを見込んでいる

特定技能「自動車整備」の雇用人数と受け入れ人数は、5年間で最大7000人の受け入れを見込んでいます。特定技能は人材不足のために新設されたもので、試験に合格した場合や技能実習2号・3号を修了した人が移行することが出来ます。特定技能「自動車整備」の実習生を受け入れるためには、自動車整備分野特定技能協議会の構成員になることや自動車整備士の資格者を有している事など様々な要件があります。要件を満たしている企業に、5年間で最大7000人の技能実習生の受け入れを予定しています。

特定技能「自動車整備」が従事できる業務

3級自動車整備士の業務内容とほぼ同じ

特定技能「自動車整備」が従事できる業務は、3級自動車整備士の業務内容とほぼ同じです。特定技能「自動車整備」では、日常点検整備・定期点検整備・分解整備を担当出来ます。日常点検整備では、自動車の簡単な基本点検のことを指しておりエンジンの点検や冷却水の点検をします。定期点検整備では、ステアリング装置や電気装置の点検を行います。分解整備は、自動車のメインになっている部品を分解して行う整備です。特定技能「自動車整備」ではこの3つを担当します。

特定技能「自動車整備」の対象者

技能試験及び日本語試験に合格した者

特定技能「自動車整備」の対象者は、技能試験及び日本語試験に合格した人です。外国人が特定技能1号の資格を得て働く為には、一定程度の知識や日本語が話せるということを試験で証明しなければなりません。技能試験では、特定技能の為に定められた自動車整備分野特定技能評価試験か、自動車整備士技能検定試験3級に合格する必要があります。また日本語試験は、国際交流基金日本語基礎テストもしくは日本語能力試験(N4以上)に合格しなければなりません。

技能実習で自動車整備分野を修了した者

技能実習で自動車整備分野を終了した人も、特定技能「自動車整備」の対象者です。試験を受け合格した人だけでなく、技能実習2号「自動車整備」を良好に終了した人も特定技能「自動車整備」へ移行することが出来ます。技能実習2号を問題なく終えている人は、技能試験や日本語試験を受けることなく、特定技能「自動車整備」に就くことが可能です。しかし特定実習2号「自動車整備」から、特定技能「自動車整備」に移行するには、移行期間として最大3か月ほどかかる場合もあるので、注意が必要です。

特定技能「自動車整備」の試験概要

学科試験及び実技試験による合否

特定技能「自動車整備」の試験概要は、学科試験及び実技試験による合否が記載されています。学科試験は日本語で実施されますが漢字にはルビがふってあります。学科試験の内容は、自動車のシャシ、エンジンに関しての構造や整備・材料の性質の中で初等知識を求められます。実技試験に関しては、基本的な組み立てや点検・修理などを実際に行い特定技能「自動車整備」を行う技術を持っているか確認されます。学科試験は出題の65%,実技試験は得点が60点以上の際に合格となります。

試験問題の内容

試験問題の内容も、特定技能「自動車整備」の試験概要に記載されています。学科試験はパソコンを用いて行われ、正誤問題で回答します。学科試験の例としては、「ノッキング(knocking)とは運転中にエンジンからカリカリ音がする事である。」という用語を問う問題が出題されます。他にも「ディーゼルエンジンの排気ガス(exhaustgas)にはPMが含まれているか」等があります。実技試験の例は、部品を外す際に注意するのはどれかなどの問題が記載されています。

受け入れ企業側の要件

国土交通省自動車局による5つの受け入れ指針がある

受け入れる企業は、国土交通省自動車局によって定められた5つの要件を満たす必要があります。受け入れを行う企業は、自動車整備分野特定技能協議会の構成員でなければならず、構成員は協議会に必要な協力をしなければなりません。また国土交通省または委託先が行う指導や調査にも協力が必要です。更に受け入れ企業は、自動車分解整備事業を営む事業所として地方運輸局長の認証を受けている事も前提とされます。1号特定技能の支援計画を外部に委託する際には、要件を満たしている委託機関に委託が必要です。

自動車整備分野特定技能協議会への加入と協力が求められる

受け入れ企業側の要件は、自動車整備分野特定技能協議会への加入が必須です。自動車整備分野特定技能協議会は、特定技能「自動車整備」を適正かつ円滑に実施する為に設立された組織で関係省庁や有識者などで構成されています。受け入れ企業は構成員になる事が必須とされており、構成員になった際には適宜必要な協力を行わなければなりません。自動車整備分野特定技能協議会への加入をしていない企業は、技能実習生を特定技能「自動車整備」で受け入れることは出来ません。

一定の要件を持つ登録支援機関への支援委託をする

一定の要件を持つ登録支援機関へ支援委託をすることも、受け入れ企業側の要件です。外国人を受け入れる企業は、外国人が日本で問題なく生活していけるよう支援を提供しなければなりません。その為には、生活オリエンや住居確保・相談や苦情の対応、日本人との交流の場などを積極的に実施する必要があります。これらを外部に委託することも可能ですが、支援が行われなかった場合の責任は受け入れ企業が負うことになります。その為、委託先企業を選定する場合は要件を満たしているか必ず確認しましょう。

自動車整備分野特定技能協議会とは

特定技能外国人の適正な受け入れを促す機関

自動車整備分野特定技能協議会とは、特定技能外国人の適正な受け入れを促す機関です。自動車整備分野特定技能協議会は、登録支援機関・有識者・自動車整備事業者団体などの団体で組織されています。技能実習でやってくる外国人が適正な環境で実習を受けれるようにするため、受け入れ企業は必ず構成員になる必要があります。自動車整備分野特定技能協議会では、受け入れ企業の法令順守や外国人に対しての人権問題への対応策検討・地域別の人材不足などを把握に努めています。

受け入れ企業側の注意点

日本人労働者と同等の待遇を受ける権利がある

受け入れ企業は、技能実習生が日本人労働者と同等の待遇を受ける権利を持っている事を覚えておく必要があります。技能実習生だからといって、給料を安く設定する・労働時間を長めに設定するという事は違法です。拘束時間や給料だけでなく、研修や訓練の実施・福利厚生施設の利用など様々な点で差別することは許されていません。更に自動車整備分野においては、直接雇用のみが許可されており特定技能の外国人を派遣することや派遣されてきた外国人を雇用することは出来ません。

採用時の費用を企業側が全て負担しなければならない

採用時の費用を企業側が全て負担しなければならない為、受け入れ企業は注意が必要です。受け入れ企業として支援が義務付けられている物は、全て企業側で負担します。技能実習生を受け入れるには、入国前後の研修費や管理費・技能検定料など様々な費用が掛かります。定期的に発生する費用(家賃や食費など)は適正価格を事前に提示し合意しておきましょう。一見すると多くの費用が掛かるように見えますが、技能実習生は特別な理由が無い限り転籍は出来ず3年は自社で働くことになり結果として費用を抑えることが出来ます。

受け入れの流れ

認証工場であり自動車整備士指導歴5年以上の者がいること

特定技能人材を受け入れるためには、認証工場であり自動車整備士指導歴が5年以上ある人材が在籍している必要があります。特定技能人材は、技能実習生よりも経験や知識を求められることから特有の要件があります。大前提として、受け入れ企業である工場は地方運輸局長から認定を受けている自動車分解整備事業所でなければなりません。また特定技能人材を教育出来る人材が必要な為、整備指導が5年以上ある人や5年の経験がない場合には 自動車整備士1級または2級の資格を有すしている人が必要です。

雇用したい外国人との雇用契約後協議会へ入会届を提出する

特定技能人材の受け入れには、雇用したい外国人との雇用契約後協議会へ入会届を提出します。特定技能人材を受け入れる企業は、必ず国土交通省が設定している自動車整備分野特定技能協議会の構成員になる必要があります。既に何名かの受け入れを行っており、構成員である企業は問題ありませんが初めて外国人を受け入れる企業は外国人が入国後4か月以内に入会が必要です。入会の届け出が受理された企業は、協議会事務局から構成員資格証明書を受取り構成員として認定されます。

地方出入国管理局へ誓約書を提出する

受け入れ要件を満たし、協議会の構成員になった後には地方出入国管理局へ誓約書を提出しなければなりません。提出が必要な書類は、雇用契約や支援計画・構成員資格証明書といった特定技能人材の受け入れ態勢がしっかりしているかどうかの資料です。他にも、自動車整備分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書や地方運輸局長の認証を受けている企業であることの証明書が必要になります。こういった必要書類を地方出入国管理局へ提出し、特定技能人材の受け入れ手続きが完了します。

まとめ

特定技能「自動車整備」について熟知し外国人を適切に雇用しよう

特定技能「自動車整備」を受け入れる際の企業として求められる要件や、注意点などについて解説しました。日本では年々自動車整備士が減ってきています。特定技能「自動車整備」制度を活用することで、日常点検整備や定期点検整備を任せることが出来ます。自動車整備業界にとって人材不足の解決策の一つになりうる重要な制度です。しかし受け入れる企業は、定められた要件を満たすだけでなく受け入れの際の費用負担や複雑な手続きが必要です。しっかりと特定技能「自動車整備」について理解し、外国人を雇用していきましょう。

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