採用ブランディングが注目される理由を解説【成功事例と注意点】

記事更新日:2020年06月03日 初回公開日:2019年08月29日

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最近はどの企業も人手不足のため、採用競争が激化していますね。単に求人を出すだけでは採用が難しくなっている状況なのでしょう。そこで、自社の認知度を高め求職者に「入りたい」と思わせる採用ブランディングの取り組みが盛んになりつつあります。求職者に対してイメージをよくすることで自社に興味を持つ母集団を増やすことが主な狙いです。採用ブランディングは今までの取り組みとどこが違うのでしょうか。採用ブランディングのやり方についてまとめてみました。

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採用ブランディングとは

求職者へ企業の認知度を高める仕組み

採用ブランディングとは、「ブランディング」の取り組みを採用分野に適用した取り組みです。「ブランディング」は自社の認知度や理解度を高め、自社製品への購入へとつなげる活動と定義できるでしょう。採用ブランディングは、自社のことを求職者に認知してもらい、さらに理解してもらうことで求人への応募増へとつなげることが狙いです。採用ブランディングの取り組みを行うことで、自社に興味のある求職者の母集団を増やすことができます。

自社に興味のない人材の興味関心を高める

採用ブランディングを行うことで、自社に興味のない人材にも自社のことを理解してもらえるチャンスが広がります。例えば、自社の魅力を積極的にWEBサイトやSNSを使用して発信することで、より多くの人材にアプローチできるでしょう。また、現在求職活動中ではない将来の潜在的な求職者に対しても自社の認知度を高めることもできるようになりますよね。こうした取り組みにより、短期的にも中長期的にも自社に興味のある求職者の母集団を増やすことが可能です。

採用ブランディングが注目される理由

人材不足から人材獲得競争が激化している

採用ブランディングの取り組みが注目されている背景として近年の人材不足があげられます。日本企業の多くは、2000年代前半のITバブル崩壊と2008年のリーマンショック後に新卒採用を凍結しました。そのため、日本企業ではちょうど30代前後の「中間層」が不足しているのです。同時に少子化により20代の人材が減少している状況が顕在化しています。そのため、若い人材を獲得する難易度が日本企業全体で高まりつつあるのでしょう。そこで自社の採用の競争力を上げる試みとして採用ブランディングが注目されているのです。

WEBの発達で自社の魅力を自ら発信できるようになった

また、採用ブランディングが注目され始めたもうひとつの背景として、WEBやSNSの発達があげられます。いままでは採用情報を発信するのは、求人広告や大手求人サイトが中心でした。しかし、最近はSNSやブログを通じてだれでも簡単に自社の情報を発信することができるようになったのです。そのため、WEBの専門知識がない担当者でも採用ブログや自社サイトで自社について積極的に情報発信する事例がますます増えてきています。

採用ブランディングのメリット

最終的に採用コスト削減につながる

採用ブランディングのメリットとして、最終的に採用コストを削減できるというメリットがあります。例えば、人材紹介会社を活用して人材を獲得した場合、手数料として1人200万円程度の費用が発生しますよね。しかし、採用ブランディングを行い自社の認知度を高めることで求職者の応募数を増やすことが可能になるでしょう。これによりコストをかけずに自社へ応募する人材の母数を増やすことができます。

自社のイメージがUPする

また、採用ブランディングを行うことは、自社の魅力を積極的に発信することです。そのため、今まで知られていなかった自社の事業内容について多くの人が知る機会を増やすことができるようになるでしょう。それにより、求職者だけではなく現在転職や就職を考えていない人材に対しても自社のイメージをアップさせることにつながります。

採用ブランディングのデメリット

「ブランド」の確立には時間が必要

採用ブランディングのデメリットは、採用ブランディングの取り組みが成果につながるまで時間がかかることです。既に知名度のある企業であれば問題ありません。しかし、知名度が高くない企業が求職者に対して知名度を高めることはそう簡単にはいかないでしょう。まずは自社の社名を多くの人に知ってもらうだけでも、多くの手間と時間が必要になります。

専門的な知識が必要

また、採用ブランディングには専門的な知識が不可欠です。採用ブランディングには、「採用」の知識に加え「マーケティング」や「ブランディング」の知識が必要になります。今までの採用担当が明日からすぐに取り組めるものではありません。採用ブランディングを活用するための知識習得には、それなりの学習時間が必要でしょう。

採用ブランディングでおすすめの方法

マーケティングの考え方を適用する

採用ブランディングは求職者というターゲットに対して「自社に応募してもらう」というアクションを起こしてもらうことです。これはまさにマーケティングの考え方に当てはまりますよね。マーケティングの考え方にAIDMAという理論があります。Attention(認知する)、Interest(興味を持つ)、Desire(欲しいと感じる)、Memory(記憶する)、Action(購入する)の5つのプロセスです。これをそのまま採用ブランディングのプロセスに適用してみましょう。

「4P」で採用ブランディングを考える

他にはマーケティングの「4P」を活用する方法があります。「4P」は、「Product」「Place」「Price」「Promotion」の4つの単語の頭文字です。

・Productは自社はどんな会社か
・Placeはどんな場所で採用活動をするのか
・Priceは採用コストはいくら必要か?
・Promotionは自社を知ってもらうためにどんな活動をするか

この4Pをもとに分析を行うことで、採用ブランディングに必要な採用戦略を立てることができるでしょう。

採用ブランディングでおすすめの事例

サイボウズ

サイボウズは、積極的に自社の「働き方」の取り組みを発信しています。サイボウズは、ユニークな人事制度を採用していますよね。代表的な制度が、全社員が働く時間と働く場所を自由に選べる仕組みです。また、最長6年間の休職制度を導入し社員の留学や一時的な転職を認めていますね。休職期間中はいつでもサイボウズの仕事に戻ることができるのです。また、「感動課」という部署を設置し社員を感動させることを目的に社員旅行などの社員イベントをたくさん企画しています。サイボウズは、こうした社内の「働き方」に関する情報を積極的に発信することで、ほかの企業で働くことが難しい時短社員や副業をしている社員といった人材を獲得することに成功しました。さらには社長の青野氏が自ら積極的に講演活動を行うことで、こうしたサイボウズの取り組みを世の中に認知させることができているのでしょう。

面白法人カヤック

面白法人カヤックでは、以前から非常にユニークな採用活動を行っています。2014年には「ぜんいん人事部」という試みを行いました。「ぜんいん人事部」は社員全員が人事部員になり、採用活動を積極的に行うというものです。この制度のスタート後、社員には採用活動用に2種類のカードが渡されました。書類選考を免除する「ファストパス」と、いきなり最終面接から選考が始まる「ラストパス」です。また2017年からは「いちゲー」採用を行っていますよね。これは「ゲームのうまさ」で人材を評価する採用方法なのです。「ゲームがうまい」人が面接をうけ、実際にいままで7名が内定を得ました。もうひとつのユニークな採用方法として「エゴサーチ採用」があります。こうしたユニークな採用方法により多くのメディアに取り上げられました。そして実際に応募者数も増えているほか、結果的に自社のブランドアップにもつながっているのですね。

トランスコスモス

トランスコスモスはコールセンターの運営を中心にビジネスアウトソーシングを手掛ける会社です。しかし、自社が「何をやっている会社かわかりづらい」という課題がありました。そこで「何をやっている会社かわからない」ということを逆手にとって、「謎の大企業の全貌」というタイトルで採用ブランディングを実施しています。主にNewspicksを活用して採用広告記事を掲載し、「謎の大企業」であるトランスコスモスが何をやっている会社なのかを解説しました。NewspicksではSNSを通じた拡散ができるようになっているため、この取り組みはすぐに反響を呼び、トランスコスモスの求人への応募者数は増加することになったのです。また、Newspicksを活用したことでNewspicksのユーザーに対してもトランスコスモスの認知度が上がり、採用のみならず自社のサービスを知ってもらえるきっかけにもなりました。

三幸製菓

新潟に三幸製菓というお菓子メーカーがあります。ご存知の方も多いですよね。「雪の宿」など、おせんべいのヒット商品を生み出してきた会社です。三幸製菓の採用に関する悩みは「なかなか応募者が増えないこと」でした。新潟という立地上、どうしても都会の企業と比べ応募者が少ないことがネックだったそうです。そこで三幸製菓は採用ブランディングの手法を活用することにしました。具体的には応募者が自分の得意な選考方法を選ぶ「カフェテリア採用」という取り組みを始めたのです。その採用方法はとてもユニークです。とにかくおせんべいが好きだという情熱を訴える「おせんべい採用」、新潟で働きたいという「ニイガタ採用」、新たなことへの好奇心をもとに合宿型で採用活動を行う「未知への探求採用」などの多様な採用方法があります。こうした取り組みにより、三幸製菓は、最終的には今まで300名だった応募者数を、13,000名にまで増やすことに成功しました。

GYAO

採用ブランディングは、人事部の労力を削減する効果もあります。GYAOでは「新卒採用アプリ」を開発し、エントリーをアプリ上からしかできないようにしました。エントリーをアプリに限定することでITに興味関心の高い学生を採用ターゲットとして絞りこむことができます。また、アプリ上で積極的に先輩社員の活躍など自社の魅力を学生にダイレクトに届けました。結果として今までよりエントリー数は減りました。しかし、より興味関心の高い学生の応募が増えたことで採用の「歩留まり」を増やすことに成功したのです。また、採用担当が学生ひとりひとりのエントリーシートをアプリ上で確認することが可能になりました。それにより、面接での質問を効率的に行うことができるようになったそうです。GYAOの採用ブランディングは、採用ターゲットをうまく絞りこんだことで採用の労力を削減した好事例ですね。

究極の採用ブランディングは、「働きがい」のある会社になること

採用ブランディングにおいて最も効果的な手法は、サイボウズのように「働きやすく」、「働きがい」のある会社になることです。いくら認知度が高い会社でも、「働きやすさ」や「働きがい」がなければ社員が辞めていってしまいます。最近は転職の口コミサイトが多くありますよね。「働きやすさ」や「働きがい」を高めることができれば、きっと社員がポジティブな口コミを投稿してくれるでしょう。そして、自然と自社への応募を増やすことができます。

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