サバティカル休暇とは【日本企業における事例などについても詳しく解説します】

記事更新日:2023年03月02日 初回公開日:2023年03月02日

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多くの企業は、働き方改革により従来の働き方を見直すようになりました。多様な働き方を選択できる社会を実現するため、時間外労働の制限や有給休暇の取得の義務化などが導入されています。その中で、サバティカル休暇など新しい休暇制度を取り入れる企業も出てきました。サバティカル休暇は、社員が長期休暇を利用して新しい挑戦やリフレッシュができるため、近年注目を集めています。この記事ではサバティカル休暇を導入するポイントや企業の導入事例を詳しく解説します。休暇制度導入を考える際の参考にしてみてください。

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サバティカル休暇とは

一定期間の勤務を条件に与えられる長期休暇

サバティカル休暇は、企業が定める一定期間勤務した社員に与えられる長期休暇制度です。休暇期間は企業によって異なりますが、基本的に1ヶ月から長くて2年にまで渡ります。かつてはヨーロッパを始めとした欧米諸国で取り入れられていた制度で、最近は働き方の多様化とともに日本でも浸透しつつあります。サバティカル休暇の取得理由は自由で、休暇取得者のスキルの向上や視野を広げる機会となり、復職後の業務で活かされることが期待されています。

サバティカル休暇が注目される背景

ワークライフバランスの考えが広がった

サバティカル休暇制度は、日本でワークライフバランスの考え方が広がったことにより注目されるようになりました。2019年から働き方改革が施行されたことがきっかけの一つで、多様で柔軟な働き方の実現に向けて制度を見直す企業が増えています。そんな中、仕事だけでなく家族や自分自身の生活を大切にする考え方が重要視されるようになり、大企業を中心にサバティカル休暇が普及し始めています。働き方に対する価値観が変わりつつある中、サバティカル休暇を取り入れる企業は増えるでしょう。

サバティカル休暇とリフレッシュ休暇の違い

リフレッシュ休暇の過ごし方は基本的に自由

リフレッシュ休暇は社員のリフレッシュが目的で与えられる休暇のため、会社に休暇の理由を申告する必要がありません。基本的には過ごし方も自由です。また、サバティカル休暇に比べて、取得できる日数が短いという特徴があります。サバティカル休暇は社員の成長を主な目的とされるため、取得する目的を明確にする必要があります。企業によっては、休暇中でも定期連絡を必要とする場合や学んだことをレポートで共有するなど求めることもあるでしょう。

サバティカル休暇を導入する際のポイント

休暇の目的を明確にしてもらう

サバティカル休暇の取得を希望する社員は、休暇の具体的な目的を明確にし、達成できるように取り組む必要があります。事前に取得申請書に申請理由の記入欄を設けることや、面談でヒアリングするなどで社員の意向を把握できるでしょう。申請理由の例としては、留学や資格の取得などのスキルアップを始め、ボランティア活動や介護などプライベートの関係まで様々な理由が挙げられます。取得理由の例として社員に周知すると、申請がスムーズになるでしょう。

給与や社会保険の取り扱いを決める

サバティカル休暇は日本で正式なルールや規定がないため、給与や社会保険の取り扱いは社内で定めておく必要があります。給与に関しては、休暇中は無給としながらも多くの企業は休暇手当として一定額を支給しています。取得理由に応じて支給額や支給の有無を変えることもできるでしょう。社会保険料は、サバティカル休暇中でも加入が必須です。無給になると、休暇取得者自身が負担する社会保険料や住民税は会社口座へ振り込みが必要になるため、事前に周知しておく必要があります。

場合によってワーケーションにする等の工夫を行う

人員の調整が難しくサバティカル休暇の導入が会社の業績に支障が出る場合は、ワーケーションを取り入れる等の方法で工夫ができます。近年注目されているワーケーションは、旅行先や帰省先でもリモートで仕事ができるため、完全に仕事から離れる必要がありません。人員の調整が不要になるため、休暇を取得しやすくなります。リモートでできる業務の場合は、ワーケーションを視野に入れてサバティカル休暇を取り入れることもおすすめです。

休暇を取得しやすい雰囲気を作る

社内で休暇を取得しやすい雰囲気を作ることは、サバティカル休暇の導入にあたり非常に重要です。社員一人の長期休暇によりポジションに穴が開くため、業務が変わりなく進むためには各部署との調整が必要になります。導入を試みても、会社や他の社員に迷惑が掛かると感じて取得をためらう社員もいることが考えられます。企業は業績や他の社員に影響が出ないように人員の調整ができるような環境に整え、社員に積極的に推進する必要があるでしょう。

サバティカル休暇のメリット

長期間の休暇を活かして貴重な経験ができる

サバティカル休暇は、日常生活では体験できない、長期休暇ならではの貴重な経験ができるメリットがあります。日本企業では、1カ月以上の休暇を取るには休職や退職を選ぶことが一般的でした。そのため、自身のキャリアを優先して海外留学や大学院の進学などを諦める人もいたでしょう。サバティカル休暇の導入で、社員が休暇を利用して新たな経験を積むことでキャリアアップにも繋がります。サバティカル休暇で得た知識やスキルを活かして、企業で活躍する優秀な人材となるでしょう。

ストレスや疲れをリセットできる

サバティカル休暇を利用して、社員が仕事で抱えるストレスや疲れをリセットすることができます。会社は週休2日を取り入れていることが多いですが、通常の休日では疲れを取るのに不十分なこともあるでしょう。サバティカル休暇は長期的に業務から離れ、休養を取ることで心身ともにリフレッシュができます。過労防止やメンタルヘルスのケアなど社員の健康にもつながります。また、業務から離れてリフレッシュすることで、新たな気づきや発想を得ることができるでしょう。

企業のイメージアップに繋がる

サバティカル休暇を導入するメリットの一つに、社外から持たれる企業のイメージが良くなることがあります。サバティカル休暇を導入している企業は少ないため、働き方の多様性を重視している企業として一目置かれるでしょう。良い印象を持たれる企業には優秀な人材が集まりやすいため、組織力が向上することにつながります。社員からしても、自分の会社の福利厚生が充実していると、社員が大切にされていることを実感できるため、会社に対する帰属意識が高まるでしょう。

サバティカル休暇のデメリット

業務が滞る可能性がある

社員がサバティカル休暇を取得することで、人員が減って業務が滞る可能性があります。サバティカル休暇を取得できるのは一定期間勤務した社員であるため、業務知識や経験が多く会社にとって必要不可欠な存在です。業務に携われる優秀な人材が減ると、会社の業績の悪化が懸念されるでしょう。休暇前には業務量や人員の調整を考え、引継ぎを行う必要があります。他の社員の負担が増えて不満を抱える社員が増えることを防ぐためにも、休暇中の業務をフォローするための調整が必要です。

復職しづらくなる

サバティカル休暇で長期間業務から離れた場合、復職の際に環境に追いつくために苦労することがあります。特に年単位で休暇を取るとパフォーマンスは下がり、会社のマニュアルやシステムが変わることもあるかもしれません。異動等の発生で会社の人間関係が変わっていれば、一から関係性を築き上げることにもなります。長期休暇によって同期より昇進が遅れれば、モチベーションが下がることもあるでしょう。社員が環境に追いついてスムーズに復職するために、会社はフォロー体制を整えておく必要があります。

新しい興味関心が出てきて離職されることもある

サバティカル休暇のデメリットは、新しい経験を積むことで仕事以外のことに興味関心が沸き、離職されるリスクがあることです。スキルアップのためにサバティカル休暇を利用しても、新しいことに取り組む中で別分野に興味を持ち、復職せずに転職するというパターンになる可能性があります。本人の意思は大切ですが、会社にとっては貴重な人材が減ってしまうことなので避けたいことです。離職に繋がらないように、サバティカル休暇を導入するにあたって、すぐに離職を考えないよう取得要件を整えることが必要です。

サバティカル休暇の導入事例

全日本空輸株式会社(ANA)

全日本空輸株式会社は、2021年4月からサバティカル休暇を導入しており、理由を問わずに最大2年間の長期休暇が取得できます。以前は介護休職や会社に貢献するための進学・留学による休暇制度がありましたが、それらが一括りになってサバティカル休暇となりました。給与は発生しませんが、社会保険料は会社が負担し、1年以上の休暇の場合は補助金として20万円が支給されます。休暇として取得できる期間は1~5カ月、1年、1年半、2年の中でそれぞれの目的に合わせて選択ができます。

MSD株式会社

MSD株式会社は「ディスカバリー休暇」と呼ばれる制度を導入しています。社外活動で自己研鑽をしたいという社員の提案により、2016年から運用が始まり2018年に制度化されました。年間で40日間、連休または断続的に自由に取得でき、理由は問われません。過去に40人の社員が、休暇を利用して短期海外留学やボランティアへの挑戦、家族と過ごす時間などに充てた実績があります。社員が気兼ねなく休暇に専念できるという意見を反映して、無給の休暇となっています。

ヤフー株式会社

ヤフー株式会社は2013年に、勤続10年以上の社員に対して最長3カ月間の休暇を取得できるサバティカル制度を導入しました。社員がキャリアを見つめなおし、考える機会を作ることで新たな成長につなげることを目的としています。休暇中でも無給にはならず、休暇支援金として基準給与の1カ月支給されます。ヤフー株式会社では、他にもボランティア活動を通して社会に貢献する「課題解決休暇」や「子供の看護休暇」など充実した休暇制度を取り入れています。業務以外のことにも目を向けられるため、社員が自分らしく働ける環境といえるでしょう。

ソニー株式会社

ソニー株式会社では、キャリア展開のために2015年から「フレキシブルキャリア制度」が導入されています。最長5年で配偶者の海外赴任や留学に同行して知見を広めるための休暇と、最長2年で国内外で就学のための休暇が定められています。2020年までの5年間で配偶者同行が50名、就学が20名の利用実績です。休暇中は無給ですが社会保険料は会社から支払われ、就学に必要な初期費用は50万円まで会社から支給されます。休暇はキャリアを広げる機会となり、会社に新しい発想や気づきをもたらすでしょう。

まとめ

サバティカル休暇の導入で従業員のワークライフバランスを保とう

サバティカル休暇を導入するポイントやメリット・デメリットをご紹介しました。社員が仕事以外にも目を向ける機会を設けることで、会社に新しいアイデアやスキルを取り入れることにつながります。また、ワークライフバランスを大切にする制度は社員の満足度にも繋がるため、会社への定着もしやすくなるでしょう。サバティカル休暇の制度は企業によって期間や給与形態も様々です。他企業の導入事例を参考に、自社に合ったシステムのサバティカル休暇の導入を考えてみてはいかがでしょうか。

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