記事更新日:2022年01月04日 | 初回公開日:2021年12月17日
用語集 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報 採用成功事例出戻り転職とは、一度辞めた会社に転職して戻ることを表します。転職によって一度ほかの企業を経験した社員が、以前の職場でもう一度働きたいという思いから戻ってくるというものです。「エン・ジャパン」の調査によると、出戻り転職によって再雇用された社員に対して8割以上の企業が良い印象を持っているようです。したがって、出戻り転職に対してあまり良いイメージを持っていないという企業も、人材確保のためのひとつの選択肢として考えておくといいでしょう。
採用にかかるコストを抑えられるというのが、出戻り転職における大きなメリットといえるでしょう。新しい人材を獲得する際には、採用のためのコストが発生します。なかでも中途採用では求人内容によって求められるスキルや経験が複雑であるため、マッチする人材を見つけるのが困難になります。その結果、中途採用には新卒採用よりもかかるコストが高くなってしまうことが多いです。出戻り転職においては社員が自発的に応募をしてくる場合が多いため、求人にかかるコストを抑えられるのです。
出戻り転職のメリットとして、採用のミスマッチを減らせるということもあげられます。採用後のミスマッチが、採用活動における大きな課題となっている企業も多いのではないでしょうか。採用後のミスマッチによって早期退職をされてしまうと、採用活動にかかったコストの無駄となってしまうでしょう。出戻り転職によって再雇用された人材は、企業の雰囲気や業務内容などについてすでによく理解しています。したがって、再雇用後にミスマッチが生じてしまうということはほとんど起こり得ないでしょう。
採用した人材が即戦力として活躍しやすいということも、出戻り転職におけるメリットです。先述の通り、出戻り転職によって企業に戻ってきた人材は、業務内容についてすでに把握しています。したがって、新入社員に対して実施するような研修などはほとんど必要ないでしょう。他社での業務を経験することで、転職する前よりもさらに能力を伸ばして帰ってきてくれる場合も多いです。即戦力となってくれる人材を探している場合は、出戻り転職による再雇用を積極的に行うといいでしょう。
出戻り転職で採用することによって、人材不足を解消することにもつながります。労働力の減少が懸念されているなかで、企業にマッチする人材をコンスタントに確保することは難しくなってきています。終身雇用が一般的ではなくなり転職を考える人材が増えているということからも、自社での業務経験を積んでいる人材は非常に重宝されるでしょう。人材不足に悩んでいるという企業は、新卒採用だけでなく出戻り転職による中途採用に注力することで課題の解決につながるかもしれません。
出戻り転職によって採用することで、社員同士の関係が悪化してしまう場合もあります。出戻り転職で戻ってきた社員と一緒に仕事をしていたほとんどの社員が、現在も在籍しているでしょう。その中にもしも、出戻り転職についてよく思わないという社員がいた場合は円滑なコミュニケーションが取りにくくなってしまうということも考えられます。コミュニケーションは業務において非常に重要であるため、現在の社内の雰囲気にマッチしなさそうであれば再雇用は見送るようにしましょう。
出戻り転職によって、社内の人材の流出につながってしまう可能性もあります。出戻り転職による再雇用を行うことで、一度転職してもまた簡単に戻ってこられるというイメージを持たれてしまうかもしれません。その結果として、既存の社員が他の企業への転職を考えるという場合もあるでしょう。即戦力となる人材確保などが出戻り転職の目的でしたが、既存の社員が流出してしまっては本末転倒です。既存の社員が継続して働いていけるように考慮したうえで、出戻り転職による再雇用を行いましょう。
出戻り転職においては、社員に対する待遇を見直す必要があります。出戻り転職によって採用した社員に対して、以前在籍していた時と同じ待遇で採用する必要はありません。むしろそのような基準で待遇を決めてしまうと、既存社員から不満の声があがる可能性が高いでしょう。能力を適正に評価したうえで待遇を決定するべきですが、継続して勤務してくれている既存の社員が不満を抱いてしまうような待遇にしないように注意しましょう。
出戻り転職によって戻ってきた社員は他の企業での業務も経験しているため、既存社員に比べて客観的な視点で企業を見ています。ひとつの企業で継続しているだけでは気づけなかった魅力などに気づくことで、再び戻ってくるという場合も多いでしょう。したがって、以前勤めていた時よりも企業に対する満足度が高いということが期待できます。出戻り転職によって採用した人材は、長期的な戦力となってくれる可能性が高いといえるでしょう。
出戻り転職をする社員は、必要以上にプレッシャーを感じている場合が多いです。一度やめた職場に戻ってくることになりますので、ミスは許されないのではないかと気負ってしまう社員もいます。企業側としては決してそのようなプレッシャーをかけているということはないかと思いますが、戻ってきた社員にそう感じさせないような雰囲気を作りましょう。以前に勤めていた時と異なる点などについては、特に詳しく共有するといいでしょう。
出戻り転職をする社員の中には、人間関係に不安を抱えている社員も多いでしょう。先述の通り、既存社員との人間関係で悩んでしまうという可能性もあります。新卒採用か中途採用かということには関係なく、人間関係の悩みが原因となって離職してしまうケースは非常に多いです。業務に関する指導については新入社員に比べると手間がかからないかもしれませんが、定期的な面談を実施するなど精神的なケアは他の社員と同様に行うようにしましょう。
出戻り転職を成功させるためには、社員がどのような経緯で転職に至ったのかということを詳しく確認しておく必要があります。例えば前回の退職時に揉め事があった場合などは、出戻り転職で戻ってきたとしても周りの社員が受け入れてくれる可能性は低いでしょう。また勤務年数が短いという場合も同様に、企業での十分な信頼が得られていないということが多いです。一方で惜しまれながらも円満退社をした社員などについては出戻り転職で再び活躍してくれる可能性が高いため、再雇用を前向きに検討するといいでしょう。
社員の能力を適正に評価するということも、出戻り転職を成功させるのには重要なポイントとなります。出戻り転職によって戻ってくる社員は、他の企業においてキャリアを積んでから戻ってくる場合が多いです。社外で培った知識や経験を正しく評価して再雇用することで、企業への満足度が向上して定着しやすくなるでしょう。一方で、過剰な評価は既存社員の不満の原因となってしまうため注意が必要です。評価基準について、明確な指標をあらかじめ用意しておくといいでしょう。
再雇用に関する制度を見直すことで、出戻り転職による採用がさらに成功しやすくなるでしょう。実際に出戻り転職を積極的に導入している企業では、受け入れのための条件を設定している場合が多いです。具体的には勤続年数や採用後の役職などについて定めておくことで、既存社員も納得して受け入れてくれるでしょう。一般的には、3年以上の勤続経験を条件にしている企業が多いです。出戻り転職を検討している社員としても、そういった制度が整っていることでより戻ってきやすくなるでしょう。
明治乳業株式会社では2020年4月より、退職後の社員を再び受け入れるための「リ・メイジ制度」を導入しています。広がるダイバーシティへの取り組みの一環として導入されたこの制度は、社員が退職後に得た知識などを社内の活性化につなげるということが目的です。この制度では「当社にて正規従業員として3年以上勤務した後に退職した者」が対象とされているため、出戻り転職を導入する際の目安として考えておくといいでしょう。
パナソニック株式会社では、社員の再雇用を推進する「A Better Career」という取り組みを実施しています。家庭の都合や転職などを理由に退職した社員に、培った知識や経験を活かして再びパナソニック活躍してもらうことが目的です。選考においては在職時の勤務実績などをもとに、面接試験や適性検査が実施されます。採用後も見習い社員として3ヶ月間の使用期間が設けられており、出戻り転職によるミスマッチが生じないように考慮されています。
アクセンチュア株式会社には、「アクセンチュアアルムナイネットワーク」という繋がりがあります。「アルムナイ」というのは「同窓生」などを意味しており、アクセンチュア出身の人間が繋がりを持つことで出戻り転職に役立っているのです。アクセンチュアを退職した後も、社内の人間と関係を持てるネットワークというのは社員にとっても非常に魅力的でしょう。出戻り転職に対して、かなり肯定的である企業だということがわかります。
出戻り転職のメリットや採用におけるポイントについて、お分かりいただけたでしょうか。出戻り転職に対してマイナスのイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、即戦力となる人材を雇用しやすいというのは非常に大きなメリットでしょう。しかし同時に、既存社員から不満の声があがらないように待遇面などにおいては特に注意する必要があります。出戻り転職によって戻ってきた社員と既存社員が、お互いに働きやすいような環境を作り上げることを心がけましょう。
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