依頼退職とは【メリットや注意点についても解説します】

記事更新日:2024年01月16日 初回公開日:2024年01月15日

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依願退職という言葉を聞いたことがある人は多いと思いますが、その意味は「本人の願いによる退職勧奨」です。解雇や会社が勧める勧奨退職のような会社都合退職とは異なり、自己都合退職とも呼ばれます。依願退職は次への飛躍を考えるポジティブ思考の退職が多い反面、会社の体質に個人が耐えられない場合などのネガティブな退職も少なからずあるのも実情です。ここでは依願退職の意味から依願退職のメリットおよびデメリット、また依願退職の手続きまで詳しく解説いたします。依願退職を考えている方をはじめ、依願退職について知りたい方々の一助となれば幸いです。

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依願退職とは

社員側の退職表明を企業側が承諾する自己都合退職である

依願退職とは、社員側の退職表明を企業側が承諾することで成立する自己都合退職のことです。社員が退職を願い出て手続きが始まり、企業側の同意が契約成立の必要条件になるため、社員の自己都合による退職と見なされます。ただし、企業側が退職を強く求めるなど社員が退職届を出す原因が企業にあると考えられる場合には、形式上は依願退職に見えるものの本質は会社都合退職とされるため注意が必要です。依願退職と自己都合退職は基本的に同じであり、対極にあるのが解雇および会社都合退職になります。

解雇や希望退職などの会社都合退職とは異なる

依願退職は、解雇や希望退職などの会社都合退職とは異なります。解雇とは俗にいうクビであり、会社側が一方的に雇用契約を終了させるものです。解雇には、「普通解雇」「懲戒解雇」「整理解雇」があります。整理解雇はいわゆるリストラで本来は普通解雇の一つとされるものです。ただし解雇理由の意味合いが異なるため、別の解雇とも解せます。このように解雇や希望退職は会社の都合による退職ですが、依願退職は従業員から申し出る自己都合退職であり、大きく異なるものです。

懲戒処分を受け依願退職する社員もいる

懲戒処分を受けて依願退職する社員もいます。社員が不祥事を起こすなどし、本来であれば懲戒解雇となるところを、使用者側が温情として依願退職を受け入れる場合などです。懲戒解雇となれば退職金などの金銭面にも影響するうえに、次の就職も難しくなるでしょう。一身上の都合による依願退職とすれば、これらの問題は穏便に済みます。このような場合には一時的に停職処分にとどめておき、その間に退職願を提出してもらい依願退職とするのが一般的です。

依願退職のメリット

企業は助成金制度の支給条件を維持できる

依願退職の企業としてのメリットは、助成金制度の支給条件を維持できることです。雇用に関わる助成金は、労働者の雇用を安定させることを目的としており、優良企業に支給される貴重な財源となっています。しかし、会社都合による退職は助成金の目的に相反するため、対象期間に会社都合による退職者を出した場合には、助成金の支給対象にならないこともあるのです。助成金の不正受給もあるため抜き打ち調査なども行われており、不正が発覚した場合には返金だけでなく、罰金や事業所名の公表など重いペナルティが課されます。

社員は自身の都合で退職できる

依願退職の社員としてのメリットは、自身の都合で退職できることです。よく聞くところでは、他社からのヘッドハンティングやフリーランスとして独立することなどが挙げられます。キャリアの可能性を追求して、海外の大企業に転身するなどがポジティブな依願退職の一例です。野球選手なども世界一のプレイヤーを目指して大リーグに挑戦する人も多くなりましたが、制限もあり簡単ではありません。成功する保証はありませんが、自身の都合で退職でき、自由に次のステップに移行できるのは大きなメリットと言えるでしょう。

依願退職のデメリット

企業のパワハラ行為であると見られる可能性もある

依願退職のデメリットとして挙げられるものに、企業のパワハラ行為であると見られる可能性があります。とくに依願退職者が短期間で複数発生した場合には、本当に自己都合での退職であったのか確認のために、労働基準監督署などの調査が入ることも少なくありません。本来はパワハラやセクハラを受けて退職に追い詰められた場合には、退職の原因は会社にあり会社都合の退職と認定されるからです。また企業だけでなく辞めた本人も、パワハラ行為に加担していたのではないかなど、他に問題があったのではないかと敬遠されることもあります。

社員は金銭的デメリットや転職に影響を及ぼすこともある

依願退職する社員は、金銭的デメリットや転職に影響を及ぼすこともあります。自己都合と会社都合による退職金を見れば一目瞭然です。自己都合では本来もらえる金額の50%支給に対し、会社都合では100%の支給、もしくはリストラなどでは100%に上積みされることもあります。これは単なる例で勤続年数などにもよりますが、自己都合で辞めた場合にはもらえる金額は少なくなるのが普通です。また、依願退職であっても退職回数が増えると、相手企業から不信感を抱かれてしまうことも多くあり、大きなデメリットと言えるでしょう。

依願退職の際に知っておくべきこと

ボーナス

依願退職の場合には、ボーナスの支給日後に退職予定である場合でも、ボーナスを減給されることがあります。ボーナス支給日の翌月に依願退職する際には、前月のボーナスには関係ないと思うかもしれません。しかし、ボーナスの意味には「支給日までの労働に対する対価」と「企業の業績の分配」に加え、「将来の期待」に対する先払い的なものも含まれるからです。ボーナス支給にあたって個々の査定を行うのが一般的ですが、退職する人に高い評価をする上司は少ないでしょう。(特別な規定などがある場合を除く)

退職金

依願退職者の退職金については、在職している会社の就業規則に従うことになります。退職金やボーナスは法律による規制がないため、個々の会社の取り決めに則るのが一般的であるため、退職前に就業規則を確認しておきましょう。前述のように通常は、自己都合退職のときと会社都合退職、定年退職によって金額が変わります。一般的には自己都合による依願退職の場合が最も低い金額に設定されていますが、企業や勤続年数によっては依願退職であっても満額を支給されることもあるので、事前に就業規則を確認してください。

有給休暇

有給休暇は労働基準法に定められた労働者の権利であるため、与えられた日数を消化できるのは当然です。在職年数によっては1ヵ月以上の有給休暇が残っている場合もありますが、全て消化する権利を有するため、他人の目などは気にせず有効に使用しましょう。働き詰めだった日々や、同僚の仕事量の増加などを考えると後ろめたい気持ちに苛まれそうになりますが、割り切って取得すべきです。ただし、未消化の有給休暇が多い場合には、やはり職場との相談が必要になることもありますので、相談には応じるようにしましょう。

失業手当

失業手当は、自己都合による依願退職でも、失業給付金を受給できます。注意したいのは、自己都合と会社都合によって、給付金を受け取るまでの待機期間や受給金額が大きく変わることです。会社都合退職では退職者が多く不利益を被るため、退職者を守る措置が取られます。自己都合による依願退職は、退職者が不利になることは少ないと考えられるため、受給条件は大幅に悪くなるので注意が必要です。依願退職では失業給付金が受給されるまでの待機期間が非常に長いうえに、受給できる金額も大幅に少なくなることを覚えておきましょう。

依願退職の流れ

企業と社員で退職日を決める

社員が依願退職を申し出て会社側が了承するようであれば、上司などと相談して退職日を決定します。人事部門と直接話すこともありますが、直属の上司がいれば人事と間を取り持ってくれるのが一般的です。職場の勤務の兼ね合いや、就業規則と照らし合わせて、具体的な退職日を決定します。給与の締め日や、有給休暇の残日数、職場での引継ぎも十分に考慮して円満退社を目指しましょう。一度はお世話になった会社ですから大人のマナーを守り、残る人たちに迷惑がかからないようにするのが基本です。

社員が退職願を提出し受理する

退職日が決まったら、退職願を会社に提出して受理してもらいましょう。依願退職の際に提出するのは退職願です。退職届でもいいのではと考える方もいらっしゃるでしょうが、退職届は会社に対して退職者が一方的に退職を告げるものと解されます。依願退職は、社員側から退職したいという申し出に対して会社が受理する退職方法ですので、退職願が最も相応しく提出後は会社が受理するのを待ちましょう。事前に上司などに相談しておくことで、手続きがスムーズに進みます。また、就業規則には退職願の提出期限が定められていることもあるので注意してください。

企業が社員へ業務の引継ぎの要請をする

社員の退職願を受理した企業は、業務に支障が出ないように退職社員に業務の引継ぎの要請をする必要があります。営業などでは営業マンを気に入って顧客になることも多いため、退職社員が在籍中に顧客に挨拶できるように時間を用意しましょう。細かい引継ぎも複数人で分けるなどして、漏れなく行っておくべきです。退職する社員が行っていたため業務が滞りなく進んでいたことが、退職によって業務に支障をきたしトラブルに発展することもあるので注意しましょう。退職する側も、会社に恩返しするためにも、十分な引継ぎをするのが企業人としてのルールです。

書類を作成し返却物を返却する

会社側は社員に、退職に関わる書類を作成し返却物を返却してもらわなければいけません。退職する社員に渡す書類としては、雇用保険者証や源泉徴収票および離職票や退職証明、被保険者証喪失届などです。社員が必要としない場合には用意しなくても良い書類もありますので、退職予定者に確認しておきましょう。また、社員側で転職先が既に決まっている場合には、転職先で必要な書類を確認し事前に会社に伝えておくとスムーズに手続きができます。また、退職にあたって返却しなければいけない社員証や保険証、貸与されていた制服などは退職日までに返却しましょう。

一般企業において依願退職が認められない場合

企業の同意は必須ではない

依願退職を申し出た場合に、会社側が退職の申し出を認めてくれるか不安に思っている人もいるでしょう。結論から言えば、依願退職では企業の同意は必須ではありません。つまり会社が同意せずとも退職は受理されるということです。日本の憲法では、職業選択の自由を明記しており、従業員が退職を申し出た場合には、その意思を尊重し拒否することはできません。ただし、一般の社員と有期雇用の契約社員では、退職のルールが変わることもありますので、事前に確認しておきましょう。

公務員の退職は一般企業とは異なる

任命権者の承諾を得なければ退職できない

公務員の退職は一般企業とは異なり、任命権者である行政の承諾を得なければ退職できないとされています。公務員はご存じの通りに滅多に解雇させられることのない安定職です。重大な事故を起こしても解雇になることは稀である代わりに、退職届を出すだけでは退職が成立せず、任命権者からの承諾通知を待つ必要があります。ただし申請された退職届は、犯罪の捜査中であるなどの特別な場合を除き、基本的に個人の意向を優先して任命権者に許可を出すよう義務付けられているのでご安心ください。

まとめ

依願退職の意味を理解し適切な手順を踏めるようにしよう

依願退職とは従業員が申し出て会社が受理し、双方の合意によって成立する自己都合による退職です。会社側としては会社都合で退職されるよりも、自己都合で退社してくれた方がペナルティが少なく済みます。退職者からすれば退職金や有休消化および失業給付などは会社都合退職が有利であり、自己都合による依願退職では大きな不利を被ることもあるのです。ただし基本的に、依願退職を企業側が拒むことはできません。依願退職の際には依願退職の意味を十分に熟慮し理解したうえで、適切な手順を踏んで円満退社を心がけましょう。

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