リファレンスチェックとは【違法とならないための注意点や質問例などについて解説します】

記事更新日:2023年02月21日 初回公開日:2023年02月21日

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企業が中途採用を実施する中で、求職者の前職の実績・勤務状況・人柄について関係者に確認する調査をリファレンスチェックと言います。応募書類や面接などの限られた材料だけで求職者のスキルや人柄を見極め採用の可否を決めるのは非常に難しい作業です。慎重な判断が求められますが、一方で、スピード感をもって対応しなければなりません。このような重大な決断が迫られる中途採用作業において、判断材料として有効なものがリファレンスチェックです。この記事ではリファレンスチェックを行うメリットや方法、注意点などを解説します。

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リファレンスチェックとは

応募書類の内容と事実を確認すること

リファレンスチェックとは、応募者の身元照会や人物確認のために企業が第三者に対して行う調査のことです。採用の判断材料として、現職や前職の上司や同僚に応募者の業務実績や人物像などを確認し、書類や面接の内容に偽りがないかを把握するのです。経歴詐称や金銭的トラブルの有無などを確認する前職調査とは異なります。海外では一般的に実施されており、日本でも外資系企業では実施される場合が多いです。最近は国内企業でも実施される場合があります。

リファレンスチェックを行う目的

入社後のミスマッチを防ぐ

企業は、リファレンスチェックを行うことで入社後のミスマッチを防ぐことができます。履歴書や職務経歴書などの選考書類や、面接で知ることができる情報には限界があります。そのため業務に必要な経験やスキルなどについて、応募者が実際にどの程度のレベルなのか、どのようなことができるのかを確認するために行うのです。また、短時間の面接では人柄や価値観などを把握することが難しいので、判断材料を得るという目的もあります。

前職における勤務態度などを確認する

リファレンスチェックでは前職における勤務態度などを確認します。面接の限られた時間の中で、応募者自身が本人の長所や短所、職務遂行能力を正しく説明できるとは限りません。そこで応募者の仕事の進め方や周囲とのコミュニケーションの取り方などの働きぶり、仕事に取り組む姿勢などの情報も集めるのです。その上で企業文化や職場に合う人材かの判断します。また、職場でのトラブルや長期間の休職、応募者が申告していない問題点などを把握し、採用後業務に支障なく取り組めるかどうかを見るのです。

内定辞退のリスクを下げる

履歴書や職務経歴書に記載している学歴や職歴が事実と異なる場合には、採用されないでしょう。職歴の詐称があれば、会社側の求める業務ができない可能性があります。また真実を隠す人は信用できないので採用されません。しかし詐称などの問題がなくても、リファレンスチェックで候補者の人物像と企業の社風がマッチしないと判断される場合は落ちてしまうケースがあります。それは企業側が内定辞退のリスクを下げるためなのです。お金と時間をかけて採用活動を行っても内定辞退になるのは企業にとって大きな損失です。

選考の効率化を図る

企業側と応募者の関係や、応募者の勤務態度などにより現職の担当者にリファレンスチェックを頼めない場合もあります。また、何らかのトラブルが発生してしまう可能性もあります。企業の担当者側に問題がある場合もあるでしょう。無理に依頼しても、信頼性のある情報を提供してくれるとは限りません。場合によっては応募者の不利な情報を意図的に出すこともあり、公正な採用検討が行えません。そのような場合にはリファレンスチェック以外の方法で候補者の適性を判断することを考え、選考の効率化を図りましょう。

リファレンスチェックの流れ

応募者に説明して同意を得る

リファレンスチェックの流れとしては、まず応募者に趣旨や方法を説明して同意を得る必要があります。日本ではリファレンスチェックはまだ十分には浸透していないので、言葉だけでは十分に伝わらない可能性があります。流れなどについて説明用資料を用意しておきましょう。次に採用候補者に一緒に働いたことのある現職の推薦者を紹介してもらいます。そして企業が推薦者に連絡してリファレンスチェックを行うという手順になります。

回答者の連絡先を共有してもらう

リファレンスチェックでは、応募者に回答者の連絡先を共有してもらいましょう。応募者をよく知る上司や同僚などが回答者になり、シーン別や職種別などの質問を準備して実施します。採用企業が実施する場合は、応募者の属性別に質問内容を準備する必要があり、人数が増えるほど企業への負担は増加します。リファレンスチェックの専門サービスを利用すると、質問内容を状況によって組み合わせることや、企業独自の質問をすることも可能です。採用の効率化のために、リファレンスチェック専門サービスを検討しましょう。

質問内容を検討する

リファレンスチェックは現職や前職の職場の上司や同僚などを対象に実施します。通常は推薦者限定で実施するため、職場に対して公にはされません。しかし、企業や転職エージェントがランダムに推薦者を選択、決定するケースもあります。その場合は相手との信頼関係によっては職場にバレる可能性もあります。リファレンスチェックの調査では、まず応募者の勤務期間や仕事内容などの基本情報を確認されます。そして職場での勤務態度や人間性、実績や会社からの評価、人物像なども聞かれます。

リファレンスチェックを実施する

リファレンスチェックの推薦者には、自分のことをよく知る信頼できる人物を指定しましょう。直属の上司などを推薦するのが一般的です。推薦者を決めたら、すぐにその旨を伝えるようにしましょう。相手が推薦者に指定されていることを知らずに企業から連絡を受けた場合には推薦の質が悪くなる、仕事の機会を危険にさらすなどの可能性もあります。リファレンスチェックは推薦者にとっては負担がかかるものです。リファレンスチェックの依頼を検討する時間を十分に与え、時間と労力を割いてくれたことへの感謝をしましょう。

回答結果を分析する

リファレンスチェックを実施すること自体を禁止する法律は存在しません。しかし実施の仕方によっては個人情報保護法に関して問題を生じる可能性があります。回答結果を分析し、個人情報保護法に抵触しないことを確認しましょう。また、リファレンスチェックの内容が良くないからと、安易に内定を取り消すと違法となる場合があります。候補者に内定を出した時点で雇用契約は成立しているとされます。内定を出した後に内定取り消しをする行為は、法律上は解雇と同様のものとして扱われるのです。

リファレンスチェックの質問例

勤務態度に関する質問

リファレンスチェックの質問例としては、在籍期間や仕事内容などの基本情報を確認する質問だけでなく、勤務態度に関する質問をすることがあります。欠勤、遅刻、早退についてや仕事の進め方なども確認するケースがあるのです。また、職場での人間関係や仕事に対する価値観、実績などを質問することによって人物像を明らかにしていきます。これらを確認することで、企業風土に合う人材かどうかを判断する材料にすることができ、事前にミスマッチを防ぐことにつながるのです。

スキルに関する質問

リファレンスチェックでは、勤務期間や業務内容を確認するだけでなくスキルに関する質問をすることも多くなっています。一緒に働いた第三者にしかわからない長所や短所、マネジメント能力などを確認します。リーダーシップや部下への対応なども確認するポイントです。また、問題解決能力、意思決定力など業務に必要な能力の有無や、改善が必要な点なども聞く可能性があるでしょう。企業は求めるスキルが本当にあるのかを事前に把握することにより入社後のミスマッチを軽減したいのです。

人間性に関する質問

人間性に関する質問をすることも良くあります。職場での働きぶり、仕事の進め方、上司や部下など周りの人とのコミュニケーションの取り方などを聞くことが多いでしょう。また、チームで仕事を進める方が合っているのか、個人の方が良いのかなども企業が把握したいポイントです。コミュニケーション能力やどのような性格かを事前に確認することで、面接の限られた時間では分からない人物像を知ることができるでしょう。それにより自社の社風と合っているかなどを確認できるのです。

リファレンスチェックにおける注意点

同意を得ないと違法になる

リファレンスチェックにおける注意点として、応募者本人の同意を得ないと違法になる場合があることが上げられます。特に気をつけなければならないのは、個人情報保護法に抵触しないかということです。個人情報保護法第23条には「第三者は本人の同意なしに個人データを提供してはならない」という記載があります。また、職業安定法第5条の4では「採用活動において個人情報を収集する際は、収集できる情報に制限がある」として採用調査における収集情報について制限しています。

複数のリファレンス先を紹介してもらう

客観的な評価を得るために複数のリファレンス先を紹介してもらうようにしましょう。1人だけでは、その人が個人的に偏ったイメージを応募者に対して抱いている場合があり、正しい評価が得られない可能性があるからです。複数人に対して話を聞くようにすれば、候補者の働きぶりについてより広範囲に把握できます。また個人的に恨みを持っていて意図的にネガティブなことを話すことがあっても、他の人の評価を聞くことでうがった見方をせずに済むでしょう。このように客観的な評価を知るために、複数の人をピックアップしてリファレンスチェックを行うのが一般的なのです。

質問内容に注意する

リファレンスチェックでは、質問内容に注意することが大切です。応募者の上司や同僚を対象に実施するヒアリング調査のため、自己破産歴や反社チェックなどを含めることはできません。調査項目に業務と無関係なものが含まれている場合は違法となる可能性があります。これらはバックグラウンドチェックの調査対象になります。このような内容ついて知りたい場合は、別途バックグラウンドチェックを実施しましょう。また、リファレンスチェックの専門サービスでバックグラウンドチェックも併用できるサービス業者に依頼することも選択肢の一つです。

あくまで指標のひとつにする

リファレンスチェックはあくまで指標の一つです。採用前にミスマッチを防ぐことが目的であり、応募者の欠点を探すためではありません。リファレンスチェックの実施は、応募者が入社後早く職場や業務に慣れ、活躍してもらうためであることを念頭に実施することが重要です。大きな問題点やミスマッチが見受けられなければ、リファレンスチェックはあくまでも参考と捉えるようにしましょう。リファレンスチェックの実施により、企業で活躍できる人材の採用をスムーズに進めることが可能になるのです。

まとめ

リファレンスチェックで応募者への理解を深めましょう

リファレンスチェックを行うことで、第三者からの客観的な情報を集めることが可能になります。そのため求職者を多角的に捉えられるようになるのです。書類や面接などの通常の採用プロセスでは、求職者の実際の働きぶりまでは十分には把握できません。採用した人材が入社後に人間関係や職場環境によってパフォーマンスを発揮できないケースもあります。そのようなミスマッチを防ぎ企業で活躍する人材を採用するために、リファレンスチェックで応募者への理解を深めましょう。

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