記事更新日:2022年04月26日 | 初回公開日:2022年04月19日
用語集 外国人採用・雇用 グローバル用語解説 人事・労務お役立ち情報プロジェクトアリストテレスは、2012年にGoogleが企業に向けて発信した「効率的なチーム」の研究計画のことを指します。生産性の高い「効果的なチームの条件」を調査して定義づけるというものです。名称の由来は、古代ギリシャの哲学者「アリストテレス」からきています。「全体は部分の総和に勝る」にちなんで、「Project Aristotle」と名付けられました。この研究結果からは、個々で動くよりもチームとして動いた方が生産性も高まり、成果が出やすいと考えられています。
Googleが定めた「効率的なチーム」は、主に「仮説設定」「モニタリング」「分析と仮説検証」「追加検証」の4つの観点を重視しているといわれています。この4つの観点がないと、チーム定めた指標自体が不完全である可能性があったからです。特に定性的な評価においては、どうしても評価の指標がブレてしまっていることにGoogleは気づきました。そこで、「定性的な評価」と「定量的な指標」を組み合わせることにシフトしたのです。4つの観点から見てみると、改めて現段階においてのチームの「見直し」ができると言えます。
プロジェクトアリストテレスを研究しているgoogleは長い間、「最高の人材を揃えること」がチームで動く上で欠かせないということをうたってきました。ですが、このことに関する立証はされてこなかったのも事実です。この成功因子を証明するためにも、Googleは成功するチームの共通点をリスト化して仮説を立てることにしました。具体的な例を挙げると、成功しているチームはランチを共にしているのではないか、学歴に共通点があるのではないか、などです。
Googleは仮説を立てるだけでなく、生産性の高いチームの共通点のさらなる洗い出しを行いました。人員分析部は洗い出しのために、大規模かつ徹底的なモニタリングを開始したのです。例えば、社員それぞれの生活リズムや、社内以外の人間関係などを観察しました。このモニタリングにより、一人一人の細かい行動パターンを探り、共通点を見つけたのです。プロジェクトアリストテレスにおいて、このモニタリング検証は非常に大きな意味を成したと言えるでしょう。
Googleの人員分析部は、100以上のプロジェクトチームにモニタリングを実施しました。それだけでなく、チームワークに重点をおいた分析と仮説の検証を行ったのです。しかし結果的にはGoogleの優秀な人員分析部の力を総動員しても、チームにおける労働生産性の相関性を明確にすることはできませんでした。このような結果だったものの、Googleはめげることなく他の視点からプロジェクトアリストテレスの研究を進めていったのです。
Googleの人員分析部は、チームのメンバー編成だけに重点を置くことをやめました。チーム内で扱われている不文律や、暗黙の了解などの集団規範にも着目することにしたのです。さらに学問的視点からのアプローチも必要だと気づき、集団心理学に関連する学術論文の読解などを行うことにしました。Googleは追加検証として日々トライアンドエラーを繰り返し、多角的なアプローチによるチームの成功因子を発見したのです。
プロジェクトアリストテレスの効率的なチームに必要な要素として5つの柱を導き出しました。5つの柱とは「心理的安全性」「信頼性」「構造と明瞭さ」「仕事の意味」「インパクト」を指します。以上の5つの柱こそが、最高のチームを形成する上で欠かせない要素となります。それぞれの要素の重要性を深掘りして、自社のチームに活かしてみましょう。5つの柱から現チームに今足りていない要素を見出し、今後さらに強化していけばチーム全体の仕事効率が向上する可能性が高くなるはずです。
効率的なチームに必要な要素の1つ目は、「心理的安全性」です。この要素は例えば対人関係において、信頼度が低下するような行動を取ってしまったとします。よくない「行動・結果」に対する、自身の安心感や認知の仕方を指します。この要素においての理想はミスをしてしまっても、「このチームであれば大丈夫だ」と思えるチーム環境があることです。チーム内では自分を馬鹿にする人はいない、という安心感があれば心理的安全性が高いといえます。
2つ目に大事な要素は、「信頼性」です。チームのメンバーをお互いに信頼しあっているかどうかで、各自の仕事のクオリティに差が出ることがわかっています。チームのメンバー同士が信頼し合っていれば、ハイクオリティかつ時間内に業務を仕上げる傾向にあります。一方で相互信頼の低いチームに所属するメンバーは、責任や自身がやるべき業務を他のメンバーに押し付ける傾向があります。このことから、チームの信頼性が仕事の生産性に直接影響を及ぼすということが安易に想像できます。
3つ目に大事な要素は「構造と明瞭さ」です。企業において高い生産性を求める上で、チームに必要なことは大きく分けて3つと言われています。「何を要求されているのか」「要求を満たすためのプロセスは何か」「メンバーそれぞれの成果」です。この3つを明瞭化し、さらには各メンバーがこの構造を理解している必要があります。Googleではメンバーに周知する「目標と成果指標(OKR)」という手法も広まっています。
4つ目に大事な要素は「仕事の意味」です。チームでの生産性を上げるためには、「仕事」と「仕事の成果」に対してきちんと意味を持たせる必要があります。具体的には例えば、「家計を支えるため」「プロジェクトを成功させるため」など具体的なことを指します。仕事の意味を感じられるチームに所属することで、モチベーションアップや働き甲斐がアップします。それぞれのメンバーが具体的な仕事の意味を見出すことで、業務そのものの取り組み方や見え方も変わるでしょう。
最後に大事な要素は、「インパクト」です。ここでのインパクトは「自分の仕事には意義がある」ということを、チームのメンバーが自覚できるかどうかを指します。自身の仕事がチームに良い影響を与え、目標達成に貢献しているかが重要です。できればこのことを可視化して、メンバーが仕事へのインパクトを把握できているかを確認しましょう。インパクトを見える化することで、自分の仕事には意義があり、会社に必要だと思わせることが大切です。また、業務に対するモチベーションアップにも繋がります。
プロジェクトアリストテレスにおいて必要な5つの柱とは反対に、チーム全体にそこまで影響がない要素もあります。上司や部下・同僚などの関係性の有無や、チーム規模などがそれに当たります。このことから基本的に5つの要素以外のものは、必要以上に取り入れたり、意識しすぎる必要はないと言われています。その理由としては、あまりに指標が多いとチーム全体の士気が下がってしまうからです。プロジェクトアリストテレス5つの柱を可視化し、共有することがベストと言えます。
Googleのような大企業は特に、同時進行で複数のプロジェクトが動くことが当たり前です。そのため、1人の社員が複数のプロジェクトに参加することも珍しくありません。その過程でGoogleは、1人が両立している2つのチームにおいて、新しい実験を試みました。その結果個人へのアプローチよりも、チームに対する「具体的な施策」を提示する方が効果的であることがわかりました。このことから良いチームには、「集団知性」が重要だという結論が導き出されたのです。プロジェクトアリストテレスにおいては、個々の能力よりもチーム全体の能力が重要だということがわったのです。
Googleの調査によると、生産性の高いチームには2つの共通点があることがわかりました。1つ目の共通点は「均等な発言機会」というものです。生産性の高いチームは、日常的に均等な発言機会を設けていることがわかったのです。2つ目の共通点は「社会的感受性の平均値」です。自分の発言がチームにどのような影響を及ぼすのか、理解できているかどうかを指します。定期的に発言機会を設けることができ、個々が発言を汲み取る能力があれば、生産性の高いチームと言えます。
プロジェクトアリストテレスを意識する上で、「心理的安全性と疲弊」についても理解しておくべきです。リクルートマネジメントソリューションズが行なった調査結果によると、チームでは心理的安全性が必要だと思っている人が大半だそうです。それは個人よりもチームで仕事をする方が、ストレスを感じやすいということが原因と考えられます。リクルートソリューションズが行なった調査で、心理的安全性と疲弊は密接な関係があるとわかりました。個人個人がどのようなモチベーションで業務を行うかは、チームにとって非常に重要と言えます。
「心理的安全性」によってチームの生産性を上げるために、土台のある組織を作り上げることができます。その一番大切なこととして、目標を達成するためにも個々が心理的に安心できる必要があります。個々が心理的安全性を理解することで、それがチームの土台になります。土台が揺らがなければ、チームも安定し、効率も上がると言えます。まずは、リーダーを中心に、心理的安全性を深く理解することから始めてみましょう。リストアップして、定期的に理解できているかチェックするのがおすすめです。
プロジェクトアリストテレスにいついて理解を深められる「働きがいのある会社」著書があります。世界最高のチームと言われているGoogleが、なぜナンバー1に上り詰めたのかが書かれています。チームのパフォーマンスを向上させる良質な会話や、一瞬で差をつけるチーム時間の使い方がわかります。大企業だけでなく最少の人数で最大の成果を生み出す方法も書かれているので、中小企業にもおすすめです。熟読して、プロジェクトアリストテレスにいついての理解を深めましょう。
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