記事更新日:2021年07月14日 | 初回公開日:2021年07月14日
用語集 外国人採用・雇用 グローバル用語解説 人事・労務お役立ち情報残業禁止というのはその名の通り、社員に対して残業の禁止を命じることです。残業とは企業が定めた所定労働時間を超えて労働することであり、業務量の多さや人員不足などのさまざまな原因によって発生しています。社員に対して当然のように毎日残業をさせることは、企業にとって決して良いことではありません。したがって残業を禁止しても社員が業務をこれまで通り円滑にこなせるように、企業側は十分に配慮する必要があるのです。
残業禁止の最大の目的は、労働環境を改善することです。長時間にわたる残業が当然とされる職場は、社員にとって決して快適とはいえないでしょう。実際に日本では過労が原因で事故が起こった例も多数あります。社員がストレスを感じずに働ける環境作りをすることが、企業の業績向上につながってくることは間違いありません。残業禁止にすることで、社員が決められた時間の中でメリハリをつけて業務を行えるような環境を整えましょう。
企業の生産効率を向上させることも、残業禁止する目的のひとつと言えるでしょう。長時間労働したからといって、仕事の成果がそれに比例して良くなっていくのかというと必ずしもそうではありません。集中力が途切れてしまっているのに無理して業務を続けても、ミスをしてしまう可能性が高くなるだけです。残業して終わらせればいいかという気持ちで、社員がダラダラと作業しているような環境にしないように注意しましょう。限られた時間でいかに要領よく業務に取り組めばいいかということを、社内全体で意識することが大切です。
残業禁止による企業側のメリットとして、残業代を削減できるということが挙げられます。もちろんこれまでの残業によって社員に支払ってきた残業代の全てが、無駄なコストだったというわけではありません。しかし実際には時間内に終えられる量の業務を、ダラダラと残業していた社員がいるという場合もあるでしょう。これまでと同じ量の業務を残業無しでこなすことができれば、それは企業にとってかなり大きなコストの削減になります。
残業禁止にすると、十分な休息を取ってもらうことができるので社員の健康状態の改善につながるでしょう。長時間の労働を続けても全く問題ないという元気な社員もいるかもしれませんが、そうではない社員がほとんどです。成果を伸ばすために長時間労働をしたのに、それによる疲労が原因で病気になって他の業務に支障をきたしてしまっていては本末転倒でしょう。社員全員が常に万全の体調で業務に取り組める環境を作る必要があります。
残業禁止にすることによって、社員の業務外の時間を充実させることができます。職場にいる間はもちろん社員は真面目に業務に取り組んでくれているので、疲れがたまるのは間違いありません。したがって業務から解放される時間にいかに気分をリフレッシュさせて、また次の業務に取り組んでいけるかが重要となります。残業禁止によって社員が自分の趣味や休息に使える時間を増やすことで、そうしたリフレッシュの手助けとなるでしょう。
残業禁止しながら企業の生産効率を上昇させることができれば、企業の大きなイメージアップにつながるでしょう。新卒の方や転職希望の方が企業について調べたときに、残業が多い企業と無い企業ではかなり印象が違ってきます。特に最近ではプライベートの時間を大切にしたいと考える人が増えてきているので、残業禁止はそうした人材にとっても大きな魅力となるでしょう。多くの人材に企業の良いイメージを認知してもらえれば優秀な人材を獲得できる機会が増えるので、残業禁止による企業のイメージアップを図ってみるも良いかもしれません。
残業禁止によるデメリットもあり、そのひとつとして社員同士のコミュニケーションが減るということが考えられます。残業禁止となるとこれまで以上に、限られた時間の中で効率良く業務に取り組まなくてはなりません。その結果、ふとした会話などのコミュニケーションを、時間の無駄だと考えてしまう社員も出てくるでしょう。もちろん無駄話ばかりして業務に悪影響が出てしまってはいけませんが、普段からコミュニケーションをとることによって業務が円滑に行えるという側面もあります。社員同士でのコミュニケーションが完全に無くなってしまわないように配慮しましょう。
残業禁止とすることで、残業代が発生していない時間外労働であるサービス残業が発生する可能性が考えられます。残業禁止によって定時までに終えられなかった仕事を、自宅に持ち帰ろうと考える社員もいるためです。自宅での時間外作業については企業が正確に把握することは難しいので、結果的にサービス残業となってしまうということが考えられるでしょう。サービス残業は違法行為であるため、残業禁止とする場合は社員に仕事を持ち帰らせないようにするための工夫を施す必要があります。
残業禁止の影響で管理職の負担が増えてしまうことが懸念されます。通常の業務に加えて、残業禁止を管理する場合には部下への仕事の指示をより細かく行う必要があるためです。つまり管理職の人間が部下にどれだけ的確に仕事を割り振れるかということが、残業禁止の取り組みにおいては非常に重要となるでしょう。さらに、残業禁止を進めていくうえで上司が残業を続けていては良い効果が得られません。管理職に負担が集中しないような仕組み作りを行いましょう。
残業禁止を企業から命じている場合には、基本的には社員は残業をしてはいけないことになっています。しかし残業しないと終わらない量の仕事を社員に押し付けて、残業を禁止しているから残業代を払わないというのは法律上認められません。上司からの明確な指示が無くとも、明らかに期限までに間に合わなさそうな場合などはこれに該当します。残業代の発生、すなわち給与に関する問題ですので、残業禁止を導入する際にはそれに関する法律をしっかりと確認しておきましょう。
残業禁止に関連したパワハラも問題視されています。定時までに業務が終わっていないことを社員の能力のせいだと責め立てることなどが具体的な例として挙げられます。これまでは残業時間を使ってこなしていた仕事を定時までに終わらせる必要があるため、同じ仕事量なら社員の負担が増えてしまうのは当然と言っていいでしょう。それを責め立てたりするようなことはパワハラにあたるので絶対にしてはいけません。その他にも、定時になると消灯して帰宅を強制するという例もあるようですが、こちらもサービス残業につながってしまう可能性があるので注意すべきです。
残業禁止を社員がきちんと認識していないと、業務を終わらせるためにサービス残業をさせてしまうおそれがあります。一部の人が残業をしてしまっていては、企業として残業禁止を実施している意味が全くありません。したがって、残業禁止を導入する場合には全社員にそのことを知らせておくことが大切です。社内放送でアナウンスするという例もあるようですが、その他にも書面や朝礼でのアナウンスなど、企業の規模や形態によって伝え方は工夫しましょう。
これまでよりも業務時間が短縮されることになるため、残業禁止を取り入れてもすぐに全社員が対応することは難しいでしょう。したがって残業禁止をスムーズに導入するためにも、残業が発生する原因を分析する必要があります。企業によってその原因はさまざまですので、上層部のみで分析を行うのではなく実際に残業をしている社員たちに直接原因を聞くようにしましょう。そしてそれは残業禁止を導入することによって、どのように影響するのかを検討してみてください。必要に応じて仕事の振り分けの見直しや、人員の増加といった対策を打つようにしましょう。
残業禁止がうまくいかない原因としてまず考えられるのは、業務量と勤務時間のバランスが取れていないということです。とにかく効率を上げるように頭ごなしに指導するのは良い解決策とはいえません。ひとりひとりに適切な量の仕事が割り振られているかをもう一度よく確認してみましょう。さらにこれまで以上に時間を有効に使う必要があるため、当たり前のようにしていたルーティンワークも見直して必要が無さそうなものは廃止するのも一つの手段です。
残業禁止を徹底するために、定時を過ぎても全く帰る気配のない社員がいたら注意するようにしましょう。そのような社員を放置してしまうと、他の社員もそれを見て残業禁止に対する意識が薄れてしまいます。また、自分の上司が残業しているのに自分だけ先に帰るのは申し訳ないと感じる社員も多いようです。したがって特に管理職などの人は、部下が定時できちんと退社できるように監督すると同時に自分も残業せずに帰るよう心がけましょう。
残業禁止において問題視される業務量についてのデメリットを防ぐために、新規雇用で労働力を増やすのも一つの方法として考えられるでしょう。人員を増やすことによって一人当たりの業務量を減らすことにつながり、結果として残業禁止の取り組みを円滑に行うことができます。しかし新規雇用の際には募集から採用にかけてある程度のコストが必要になるのは言うまでもありません。新規雇用を行うのか、今の人員のままでさらなる工夫をして残業禁止を続けるのかどちらの方が企業にとってプラスになるかを検討する必要があります。
残業禁止のメリットに加え、注意点についてご紹介しました。完全に残業を無くしたからといって、必ずしも企業にとってメリットばかりではないということがお分かりいただけたかと思います。しかし時間外労働を削減する姿勢が、世間や求職者にとって企業のイメージアップにつながることは間違いありません。残業禁止をいきなり導入するのが難しい場合は曜日を決めて実施するなど、段階的に導入してみるのも一つの手です。限られた勤務時間の中で社員が成果を出せるような環境を作っていきましょう。
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