中小企業が海外展開をするには【海外展開の現状や事例などを紹介します】

記事更新日:2021年10月19日 初回公開日:2021年10月11日

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経済の世界でグローバル化が加速をする中、海外から多くの外資系企業が日本市場に参入をしています。それと同時に海外展開をする日本の企業も増えてきています。そこで今回取り上げるのは「中小企業の海外展開」です。昔は資金力や情報力がある一部の限られた大企業が海外展開を行う傾向がありました。しかし近年は中小企業の海外展開もさかんに行われています。ここでは中小企業が海外展開をすべき理由や支援策、事例などについても紹介していくので海外展開を検討している方が是非ご覧ください。

中小企業の海外展開を取り巻く現状

海外進出を図る中小企業は年々増加している

中小企業の海外展開を取り巻く環境は日々変化をしています。特に近年は海外進出を図る中小企業の数は増加傾向にあります。帝国データバンクが2019年に行った調査によると日本企業のおよそ24%が直接、または間接的に海外展開をしていることが明らかになりました。海外進出している企業の割合としては大企業の方が高いですが、中小企業も高い割合を保っているのが現状です。企業にとって海外展開をすることは決して珍しいことではないのです。

大企業のみが海外展開する時代は終わりつつある

そして大企業のみが海外進出を出来る時代は終わりつつあります。一昔前までは海外進出のハードルが高く、一部の大企業が行っているというイメージがありました。しかしそれは過去の話であり、現在は企業の規模に関わらず、多くの企業が海外展開をしています。また、インターネットの普及によって商品やサービスの販売方法も多様化してきています。中小企業にとって海外展開をすることはもちろんリスクもありますが、ビジネスチャンスは大きく広がるでしょう。

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中小企業が海外展開すべき理由

少子高齢化に伴う国内需要の縮小

中小企業が海外展開をすべき理由として主に4つが挙げられます。1つ目の理由は少子高齢化によって国内需要が縮まるからです。日本の人口は今後減少していくことが予想されており、40年後には8800万人まで減少すると考えられています。またそれと同時に少子高齢化もさらに進行し、40年後は19歳以下の人口が約14%に対して65歳以上の人口は38%まで増えることが想定されています。そうすると当然国内需要が縮小し、日本経済も停滞してしまうでしょう。

外資系企業の日本進出

2つ目は多くの外資系企業が日本進出をしているからです。グローバル化が進行している今の時代は経済のボーダーレス化も同時に進み、海外の有名な企業が次々と日本の市場に参入しています。つまり日本企業にとってはそれだけライバルとなる企業が増えることになります。外資系企業は安価で高度な技術力を持った会社も多く、日系企業を脅かす存在となるでしょう。それに伴い日本国内での競争が激化するため、反対に日系企業が海外展開をするこで新たな市場開拓の機会を得ることにつながります。

アジア市場の拡大

3つ目の理由はアジア市場の拡大が進んでいるからです。東南アジアを中心とする国々の人口は増加傾向にあり、今後も豊富な労働力を確保することが出来ます。また人口の増加に伴い、内需も急速に拡大することが期待されており、こうした地域に進出をする海外企業も増えています。さらにアジアの多くの国では経済が発展途上にあるので、日本企業にとってビジネスチャンスは豊富にあると言えるでしょう。今後のさらなる経済成長を見越して、アジア市場に参入してみると良いかもしれません。

節税効果が見込める

4つ目の理由は節税効果が見込めるからです。日本企業の海外進出にあたっては税制対策で注意すべき点があります。しかしこれらを上手く対応することで節税をすることも可能です。海外でもビジネスで利益が出た際は税金がかかりますが、その税率は国によって異なります。特に海外企業の誘致を行っている国や地域では、海外企業に対して税制面で優遇を行う制度も存在します。中国やベトナム、マレーシアなどがその例です。海外進出をするときはこういった節税効果が見込めるかどうかも検討材料にすると良いでしょう。

中小企業が海外展開する際のポイント

資金の確保

次に中小企業が海外展開をする際のポイントを3点ご紹介します。1点目は資金の確保をすることです。海外展開の際は人件費や法人設立費用、市場調査費、運送費など多くのコストがかかります。さらに海外展開後の環境変化による売上低迷や為替リスクに対するリスクマネジメントとしてある程度の余剰資金が必要となります。売上の規模が小さい中小企業にとっては、海外進出に必要な資金を準備することは非常に重要な課題となります。必要に応じて、銀行融資や日本政府の公的支援金などを利用しながら資金を蓄えるようにしましょう。

進出先の市場動向の把握

続いて2点目は、進出先の市場の動向を事前に把握しておくことです。日本とは文化や慣習、法律や制度の異なる海外の進出先では、これまで国内で利益を出している商品やサービスがそのまま成功するとは限りません。つまり、自社の商品やサービスをそのまま売るのではなく、その地域のニーズに合わせることが重要となります。そのため、自社の商品やサービスを海外で浸透させるためには進出先の市場動向を把握し、その地域に合ったローカライゼーション戦略をすることが効果的な手段となるでしょう。

信頼できる販売先の確保

最後に3点目は信頼できる販売先を確保することです。いくら良い商品やサービスがあっても販売先がなければ売上を出すことは出来ません。しかし海外進出をする多くの企業が進出先での販路拡大を重要課題に挙げており、販売先を確保することは容易ではありません。販売先を確保する手段としては現地の販売代理店を探したり、海外向けのECサイトの作成することなどが例として挙げられます。他の企業との競争激化や販売先からの値下げ交渉などのリスクもあるので、信頼できる販売先の確保は難しい課題となるでしょう。

中小企業が海外展開に失敗する要因

環境変化にすばやく対応できない

海外展開はすべての中小企業が成功できる程甘いものではもちろんありません。ここでは海外展開に失敗する主な要因を紹介します。まず1つ目は、環境変化にすばやく対応できないからです。中小企業白書のデータによると、海外からの事業撤退の一番多い原因として環境の変化などによる販売不振が挙げられています。具体的には進出先の経済危機や競争激化、政治的な混乱などの様々な要素が影響を及ぼしています。これらの環境の変化に企業として対応出来なければ、長期的な利益を生み出すことは難しくなるでしょう。

グローバル人材や現地職員の不足

2つ目はグローバル人材や現地社員が不足しているからです。中小企業が海外展開を成功させるためにはグローバル人材や現地社員の存在が重要となります。販売先の確保や現地のニーズを調査するときに彼らの活躍が必要となるでしょう。グローバル人材や現地社員は単に現地の言語を話せるだけでなく、相手の文化を理解しながら現地の人との円滑なコミュニケーションを行うことが出来ます。しかし中小企業は資金や人手不足のためにこうした人材を獲得できず、海外展開に失敗してしまうことも珍しくありません。

事前の現地調査や戦略立案が不十分

最後の3つ目は、事前の現地調査や戦略立案が不十分だからです。先程も言ったように海外展開をする際は現地のニーズに合ったローカライゼーション戦略をすることが重要です。しかし海外展開に失敗する企業が現地のニーズの調査や具体的な戦略立案が出来ていないことが多々あります。もし自社ですべてを行うことが困難な場合は、海外事業に強いコンサルティング会社などを使って事前調査や戦略立案をすると良いでしょう。

中小企業が活用できる支援策

中小企業海外展開サポートデスク

続いて海外進出を検討する際に中小企業が活用できる支援策を4つ紹介します。初めに紹介するのは「中小企業海外展開サポートデスク」です。この取り組みは様々な団体が行っていますが、今回は商工中金の例を取り上げます。商工中金の国内外全店舗にこのサポートデスクが設置され、海外進出に必要な海外投融資や、貿易金融に関するサポートが行われています。海外進出の際の金銭面に関する相談等をしたい場合は、サポートデスクを利用してみると良いでしょう。

中小企業海外ビジネス人材育成支援事業

2つ目は「中小企業海外ビジネス人材育成支援事業」です。この事業は中小企業の海外ビジネスの担当者を対象としています。具体的には海外市場の開拓に必要な知識や能力の育成やグループワークによる研修プログラムを提供する取り組みです。参加者とその上長がプログラムの参加にあたって事前、事後評価を行うことで、その成果を自ら把握することが出来ます。また、参加者がこのプログラムへの参加報告を発表する場も設けられているので、他の中小企業の担当者と比較も行うことが可能となっています。

国内・海外販路開拓強化支援事業

3つ目の国内・海外販路開拓強化支援事業は経済産業省が主導する海外展開支援事業の一つです。地域経済の活性化を図る目的で、国内や海外の販路拡大のための支援をしています。具体的には海外の展示会出展を通じたブランドの確立や海外での販路拡大に取り組む事業の支援などを行っています。さらに中小企業海外展開現地支援プラットフォームの整備によって海外進出後の課題対応しているので、是非利用してみると良いでしょう。

海外展開に成功した中小企業の事例

株式会社グルメストーリー

ハラール認証を得たドレッシングを中東へ輸出

最後に海外展開に成功した中小企業の実例を2つ紹介します。まず1社目は食品総合企業である株式会社グルメストーリーです。創業者である鈴木社長は、創業当時から世界に通じる自社製品を開発したいという思いがあり、それを実現するために海外展開を決意しました。そこでサウジアラビア大使館主催のビジネスツアーに参加し、自社製品を現地の人に試食してもらったところ、それが好評でした。さらにイスラム圏では食品にハラール認証を得るが必要なことを知り、認証を得たドレッシングを開発しました。現在はドバイを中心とした中東地域で大きな売上を生み出しています。

開化堂

京都伝統技法の茶筒を海外へ

2社目は京都で140年以上続く老舗茶筒店の開化堂です。八木社長が伝統工芸品店で働いていた頃、外国人観光客が開化堂の茶筒を購入するシーンを目の当たりにして、これは海外展開できるのではないかと考えました。そこで単身ヨーロッパに渡り、茶筒の販売をしたところ、パリでは1週間で約50万円の売上を出すことが出来ました。それから展示会などを利用しながら、現在に至るまでに15か国に販路を広げました。海外の売上比率も2割を超えています。

まとめ

海外展開の際は支援策を活用しながら入念な準備を行うことが大切

今回は中小企業の海外展開について詳しくご説明をしてきました。大企業のみが海外展開をする時代は終わり、現在は中小企業も積極的に海外展開を行っています。しかし海外展開は国内のビジネスをそのまま海外で行えばいいという訳ではありません。特に中小企業が海外展開をする際は、今回ご紹介した支援策を利用しながら入念な下準備を行い、その国に合ったビジネスを行うことが大切です。海外展開に興味のある企業の方は今回紹介した内容を活用して、ビジネスチャンスを広げていきましょう。

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