ガバナンスとは?【必要とされている背景や強化方法などを解説します】

記事更新日:2023年04月10日 初回公開日:2023年04月10日

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近年において企業のガバナンスは必須のものと言われています。一方では「コーポレートガバナンスとは何ぞや!」という言葉も良く聞かれ、簡単に説明できない人も多いのではないでしょうか。日本では2015年にコーポレートガバナンスコードが制定され、2018年・2021年と改定が行われています。ここでは、ガバナンスの意味とガバナンスに関わる用語と意味の違いや、ガバナンスがもたらす企業へのメリットおよびデメリットを解説します。健全な企業経営の一助となれば幸いです。

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ガバナンスとは

健全な経営のための管理体制や企業統治

現代において単にガバナンスと言えばコーポレートガバナンスを指すほど、企業にとってガバナンスは重要なものとなっています。ガバナンスとは簡単に言えば、経営管理や企業統治のことです。ただし、日本で言うガバナンスには企業統治の仕組みや、システム構築までを含む広い意味で使われます。ガバナンスという英語は、統治や管理および支配という意味を持ち、コーポレートガバナンスが企業統治を指す正式な言葉です。以下においてはガバナンスという言葉で統一します。

ガバナンスとコンプライアンスの違い

コンプライアンスは法令の遵守

ガバナンスと混同される言葉にコンプライアンスがあります。コンプライアンスとは法令遵守のことで、法で定められたことや倫理や道徳的なルールを守っていこうという努力目標です。対するガバナンスは、法やルールに違反していないかを企業自らが積極的に監視して指揮指導することを含みます。また、コンプライアンスには法令や規則に従うという消極的な意味合いがあり、ガバナンスはルールが守られていることを監視統治する管理体制を指す強い意志を持つ言葉です。

ガバナンスとリスクマネジメントの違い

リスクマネジメントは経営リスクを把握する

リスクマネジメントは、言葉の通り危機回避の意味で、企業の存続に関わる危険を事前に予見して防ぐものです。リスクマネジメントは経営のリスクに重点を置いた管理手法であり、ガバナンスは管理および統制機能という違いがあります。また、リスクマネジメントは収益悪化に繫がるリスクを未然に防ぐために生産体制や管理を見直すことが中心です。対するガバナンスは経営維持ためだけでなく、コンプライアンス強化なども含む、健全経営の施策を管理統制する仕組みを意味します。

ガバナンスが必要な背景

企業の不正や不祥事が相次いだ

日本でガバナンスが企業にとって必要不可欠だと判断されるに至った背景には、企業の不正や不祥事が相次いで起きたことがあります。粉飾決算や横領などの事件が多数報告されるようになり、企業自体が健全な経営を目指すことが必要とされたのです。海外においても2001年に発覚したアメリカのエンロン事件では、関係者に多大な損失を与えることになりました。ガバナンスには企業だけでなく、ステークホルダーと呼ばれる企業運営に関わる人達の利益を守り信頼を維持する目的もあるのです。

ガバナンスコードとは

企業統治において参照すべき原則や指針

日本では企業の不正防止や国際競争力の向上を目的とし、まずは上場企業統治ために参照すべき原則や指針となるガバナンスコードが制定されました。原案の作成は金融庁と東京証券取引所の共同で行われて2015年3月に発表され、同年の6月に全上場企業に適用されています。ガバナンスコードは略してGCコードとも呼ばれ、内容は以下の5つの基本原則より細則にわたります。「株主の権利・平等性の確保」「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」「適切な情報開示と透明性の確保」「取締役会等の責務」「株主との会話」が、基本原則です。

ガバナンスを強化する方法

コンプライアンスを徹底する

ガバナンスを強化する方法として第一に挙げられるのが、コンプライアンスを徹底することです。法令や基本ルールを守ることは人間や企業としてあたり前のことですが、企業の不正が行われるときには、何かしらのルール違反が行われています。企業全体にコンプライアンスという概念が定着することで、ガバナンスを強化することに直結することから、両者は表裏一体の関係性を持つと言えるでしょう。コンプライアンスを常に意識させるようなシステム作りもガバナンスと言えます。

リスクマネジメントを行う

リスクマネジメントはガバナンスを強化するうえで重要な部分を担っています。企業は多数の企業と取引することも多く、他社との取り引きにおけるリスクを推し量って企業にふりかかるかもしれない危険を回避する役目を持つものです。自社だけでなく他社のリスクも見抜くことで、自社の健全な経営に繋がります。取り引き会社がルールに違反しているならば、自社もコンプライアンスに抵触する可能性があり危険です。企業には、あらゆる危険が潜んでいるため、いろんなことを想定してリスク管理する必要があります。

内部監査を実施する

内部監査はガバナンスを強化する方法の1つです。大企業などにおいても内部告発から大きな不正が発覚しています。内部告発ということは、企業内で当たり前のように不正が行われており、正したくても言えない状況にあるため内部告発という方法をとったと言えるでしょう。そのため、内部監査を実施するには外部から客観的に監査してもらうことが効果的になります。深い関わりのある者同士では、不正の事実を知ったとしても指摘および指導がしづらいからです。

内部統制を行う

内部統制とは企業が目標や目的を達成するため、社内のルールや組織および仕組みを変えることになります。組織の構造や仕組みを変更することで、社内のリスクを発見することができ、危険を未然に防ぐことができるため、ガバナンス強化にも効果的な重要事項です。内部統制を行うために社内で定期的な研修や教育を行うことも良い試みと言えます。ただし、内部組織を変えるには相応の時間と労力を必要とするため、経営者と指導部門である人事などとの連携が不可欠です。

ガバナンス強化のメリット

企業価値が向上する

ガバナンス強化におけるメリットの1つが企業価値の向上です。健全な経営で利益を上げている企業は高く評価されるため、株価にも反映します。株価が上がることは株主の利益を確保することであり、多くのステークホルダーからも信用を得ることができます。また上場企業の中でも高い評価を受けていれば、人材不足といわれる状況下にあっても、優秀な人材を獲得できるでしょう。ガバナンス強化により信頼される企業となれば、企業価値が高まる大きなメリットを得られます。

不正や不祥事を防止できる

ガバナンス強化の大きなメリットは、企業の不正や不祥事を未然に防げることです。前述のようにガバナンスが注目されるきっかけとなったのも、不正や不祥事が頻発したことによります。一流企業であっても、一度の不祥事によって転落してしまうことも少なくありません。不正であることを知っていても、権力や利害関係などにより不祥事が起きる可能性は、どの企業にもあると言っていいでしょう。その危険を未然に防ぐことで、企業は健全な体質を維持できます。

取引が円滑になる

ガバナンス強化により健全な経営体質を築くことができれば、企業の信頼が厚くなるのは前述の通りです。企業の信頼が高くなることで、関係企業との取引が円滑になり、銀行などからの融資も受けやすくなります。円滑な取引は変化の速い現代においてスピードという武器を手に入れることができ、企業にとって大きな効果をもたらしてくれます。また、相手企業も健全経営であれば双方ともに、長期にわたって良い関係を築くことができるでしょう。

ガバナンス強化のデメリット

コストが増える

ガバナンス強化で指摘されるデメリットに、コストの増加があります。外部から監査人を依頼する場合には、支払う報酬が必要になります。リスクマネジメントを行えば、危険を回避するために費用が必要になることもあるでしょう。ガバナンス強化による費用対効果は不祥事が明るみに出ないと理解できないものです。しかし、不正や不祥事および事件などに到った場合に比べれば、損失は少なくて済むでしょう。そして、かかったコストは無駄にはならず信用と言うメリットを得られます。

競合他社に先を越される可能性がある

ガバナンス強化を考えている起業は多くあり、競合他社に先を越される可能性も否定できません。しかし、一時的にガバナンスを強化できたとしても、長く維持するのは非常に難しいことです。また、他社と共に健全な経営を行い、切磋琢磨することは双方に利益を生むでしょう。他社のことを気にするよりも、まずは自社の基盤を確固たるものにするためにガバナンス強化を図るべきです。また、他社から学ぶことがあれば積極的に取り入れることで自社の発展に繋がると考えましょう。

一時的に利益が低下することがある

ガバナンス強化のためには、一時的な利益の低下も考えておくべきです。一時的であっても企業にとってはデメリットになりますが、将来的な目で見ればプラスになるのは間違いありません。不正をそのままにして信頼を失墜させるよりも、過ちや危険を未然に発見して修正したならば、一時的な損失とは比較にならない「信用」が得られます。金銭では買うことができない、企業として最も重要といえる信用を得るための投資と考えてください。

ガバナンス強化の成功事例

キリンホールディングス株式会社

ガバナンス強化の成功例の1つが、キリンホールディングス株式会社です。キリンホールディングス株式会社では、「2027年目指す姿」という中長期での理念を掲げ、透明性と公平性を重視したガバナンス体制を目指しています。掲げた理念を実現するため、ガバナンスコード基本原則に準じて目指すガバナンス構築を実行していることから、ガバナンス強化で成功している代表的な企業です。2020年には、コーポレート・ガバナンス・オブ・ザ・イヤーで、最高賞である「GrandPrizeCompany」を受賞しています。

テルモ株式会社

テルモ株式会社もガバナンス強化によって成長した企業です。テルモ株式会社では社長と会長を二人セットで選ぶという少し変わった手法を用いています。取締役会での議長選抜にも、客観性を確保するために指名委員会という機関により行われているのが大きな特徴です。一般企業では社長が退任すると自動的に会長に就任することが慣例ともなっていますが、テルモ株式会社では社長がそのまま退任しています。自律的なガバナンスが構築されていることで、評価の高い企業です。

TDK株式会社

TDK株式会社では、指名諮問委員会という機関を設置し、第三者の視点から経営についての意見を聞くシステムを構築しています。指名諮問委員会の半数以上が社外取締役であり、ガバナンス強化への取り組みが強く感じられる企業です。社長指名の際には、指名諮問委員会によって候補者へのインタビューが行われるなど、多くの工夫が見られます。客観的な目戦で会社のトップを選ぶなど、アイデアは浮かぶ人もいるでしょうが、実際に行うことは非常に難しいことです。

まとめ

ガバナンス強化に取り組んで企業価値を高めよう

ガバナンスは日本では2000年頃から注目され、現在まで大企業から中小企業まで全ての組織が取り組みを強化しています。それほどまでに日本企業の内部は乱れているのが現状です。不祥事や不正が起きてしまえば企業の存続は難しくなり、それまでの努力は水の泡となってしまいます。それだけに企業におけるガバナンス強化は必須の課題であり、内部統制とともに外部から悪影響を受けることも避けなければいけません。ガバナンス強化を継続することで企業の価値は必ず上がるため、時間をかけてでも取り組んでいきましょう。

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適切なガバナンスで企業価値を高めよう

適切にガバナンスをおこない、ガバナンスが効いた状態を保てば、不祥事が防止され、財務体質も強化されます。そして、企業価値が高まっていくことも期待できるでしょう。そのためには、内部統制やコンプライアンスを強化するとともに、外部の視点からの監査をおこなっていくことが大切です。ガバナンスを効かせることができなくなって、社会的信用を失うことのないように、ガバナンスの状況を随時把握し、必要に応じた見直しをおこなっていくことも重要でしょう。

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