人事部とは【仕事内容や必要とされるスキルについて解説します】

記事更新日:2022年09月30日 初回公開日:2022年09月30日

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人事部について働く社員はその業務の理解はなんとなくしか分からないという人が多いでしょう。実際の人事部の役割は採用はもちろんのこと、労務管理や人事評価にも携わります。企業によっては総務部や経理部の業務を兼ねるということもあり、多岐にわたる業務をこなす部署と言えます。人事部は企業の人材採用や採用後の人材教育、モチベーションを高めるための評価制度の策定や運用を行います。他にも社員との面談を行い、状況によっては人事異動させるなど社員の働きやすい環境づくりが重要です。この記事では、人事部の役割や業務について解説していきます。

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人事部とは

人材を管理する部署のこと

企業は経営資源を活かすことで成長しますが、なかでも人を扱う部署が人事部です。人事部の業務を大きく分けると、入社前の人へのアプローチや採用、入社後の社員の働く環境づくりや評価制度、人事管理となります。それらを企業の方向性に合わせて経営層とコミュニケーションをとることも、人事部の役割です。採用業務では企業の文化や環境に合う人材を獲得するために、自社や人材会社と連携して効率的に行います。採用後は入社までのフォローだけでなく、入社後は適切な人材配置や研修を行うことで通常業務に入りやすい環境を整備します。そのうえで適切な人事制度をもとに評価をすることも人事部の役割です。

人事部が担う役割

組織体制の整備を行う

人事部は経営者や経営幹部の戦略的パートナーとして、企業の目標達成や事業戦略を理解しなければなりません。そのうえで人材と組織の両面から目標達成のための計画立案や実行をサポートする役割があります。役割は4つに分かれます。1つ目は正社員や非正規社員など社員の採用機能、2つ目が社員の異動や昇給などの人事評価機能です。3つ目は人事評価をするための基準策定などの人事制度の構築、4つ目が企業全体としての社員の給与管理を行う労務管理機能です。

人事部と総務部の違い

管理するのが人材だけかどうかの違い

人事部はもともと総務部の中にあった部署で、他にも総務部には経理、法務、広報を含んでいますが、多くの企業はこれらを分けた組織にしています。また最近は人事部と総務部をひとつにしている企業が多いようです。総務部の業務は備品の管理や社内外のイベントの企画と運営、法人対応、さらには社内の重要書類の作成や管理など、事務全般を受け持つ全体をサポートする部署といえます。よって人事部と総務部の違いは、人材に直接または間接的に関わっているかどうかと言えるでしょう。

人事部と採用担当者の違い

採用業務だけを行うかどうかの違い

人事部は人材と直接関わる部署と前述しましたが、採用担当者も人材と直接関わります。多くの企業では人事部のなかに採用担当者がおり、採用以外の業務も担っているケースが多いでしょう。また採用だけを担当する部署をもつ企業もあり、組織に必要な人材を外部とのネットワークを構築することで人材を集めます。外部の紹介会社を企業組織に持っているようなイメージです。ゆえに採用担当者は採用前は人材を集め、企業へ誘致を行い、採用後は人材をケアするために相談相手になるなどの役割を担います。

人事部の仕事内容

採用業務

人事部のおもな仕事内容は、採用業務です。採用業務においては、企業の目標達成に合わせた年間計画を立てます。また計画にはない突発的な離職に伴う人員補填なども行います。自社にマッチした人材を募集するために、企業説明会や求人サイトへの掲載、紹介会社との調整を行います。最近ではソーシャルメディアの活用、既存社員からの紹介の呼びかけなど幅広い手段をとることが増えています。さらに集まった応募者の面接を行いますが、企業によっては正社員は人事部が行い、非正規社員は各部門、各事業所で行うケースもあるようです。

人材配置

人事部の業務の中で、人材配置は重要と考えられます。人材配置は各部門や事業所との連携が重要です。そのうえで適切な人材配置をすることによって、企業の目標達成へ貢献することができます。そのためには日頃から経営者の意向を把握し、各部門、各事業所で働く社員のスキルや経験、志向、現在のモチベーションまでを各責任者や社員とのコミュニケーションをすることが必要です。そのうえで既存メンバーの人材配置転換や必要な人材の登用と配置を適切に行う必要があるのです。

人材評価

人事部は人材評価制度の策定から運用までを行うので、重要な役割と言えるでしょう。人材評価は社員一人ひとりの知識やスキル、経験、与えられた業務のプロセス、目標設定とその結果などを企業の人材評価制度と照らし合わせて行います。人材評価制度は企業の理念や方針に合わせて経営者や経営幹部の意向に合わせて策定し、その人材評価制度に合わせて運用を行います。評価者は人事部だけでなく、各部門や事業所の責任者、企業によっては自己評価を取り入れる会社もあるでしょう。それらを精査し、昇給、昇格などを行います。

人材育成

人事部では人材育成の仕組みや制度の構築を行います。経営者の意向や企業の理念に沿った人材を育てるための育成計画を社員の経験に合わせて年間スケジュールや、期間を定めて育成計画を策定するのが良いでしょう。また育成は人事部だけでなく、各部門や事業所でのメンター制度やOJT制度を導入する企業が増えているようです。また育成計画の運用も行い、社員からのフィードバックによる効果測定や面談などを行うことも重要です。

人事制度の構築

人事部の役割の中で最も重要と言って過言ではないのが、人事制度の構築です。企業の経営理念や事業計画をもとにして、社員の採用や人材配置などの企画立案を行います。人事制度は3つの柱から構成されます。まずは等級制度と社員のスキルや経験にもとづいて、社員を役職などの等級分けします。次に人事制度は社員の業務を一定期間において成果やプロセス、勤務状況などをもとに評価します。最後に賃金制度は前述の2つの制度をもとにして、企業への貢献度から給与や賞与を決める制度です。

労務管理

労務管理とは経営資源のうち人に関する業務で、社員の労働時間や休暇、労働環境、給与計算などの管理を指します。管理するのは社員がそれぞれ業務の成果などに見合った給与が支払われているか、人材配置が適切にされているかなどです。特に昨今の働き方改革の浸透により労働時間の管理は重要な役割と言えるでしょう。管理の仕方はデジタル化しており、勤務時間や休暇、休日出勤などをクラウドで管理し、業務時間が超過しそうな社員には自動で警告をすることもできます。

人事部に配属される人が持つスキル

コミュニケーション能力

人事部は採用前の人や社員、経営者や経営幹部、さらには外部の企業との関わりがかなり多い部署といえるでしょう。そのため人事部にはコミュニケーション能力は重要なスキルです。企業説明会では、同時に多くの方に伝えるプレゼンテーション力も必要とされます。面接ではヒアリング力と対話力も必要です。社員に対しては現場に足を運んで社員の声を聞く場合や、相談に乗ることもあります。最近では営業経験のある人材を人事部に配置することで、営業力の高さを人事としてのコミュニケーションに活かしているケースもあります。

リサーチ力

人事部にはリサーチ力が必要です。企業の方向性や事業計画をもとに、人材を活かすために経営者や経営幹部から情報を引き出す必要があります。また日頃から外部の企業や学校などとコンタクトをとり、自社に必要な人材の情報を集めなければなりません。紹介会社とも繋がりを持ちつつ紹介はもちろん、人の流動や傾向などの情報収集も行いましょう。人を扱う部署ですのでコンプライアンスや企業の労働環境が法律や規則に抵触しないように、常に新しい情報を集めなければなりません。さらには社内において各部署、事業所と連携して必要な人材やスキルを把握します。社員の声を聞き出すことも重要です。

経営戦略の構築力

人事部は経営者や経営幹部と経営計画や事業計画や把握しなければなりません。なぜなら人事部は経営パートナーとしての役割を持つからです。企業のおかれている市場や環境などに合わせて人事制度を見直します。また新しい施策を打つなど経営と一体になる必要があります。各部署や事業所の責任者や社員の声を聞き、採用や人員配置、人事異動を行いましょう。そのうえで人材と組織の両面から企業の目標達成へ経営戦略を立案し、実行します。

人事部に求められる資格

キャリアコンサルタント

キャリアコンサルタントは、働き手のキャリアを扱う国家資格です。社員や求職者のキャリアプランへのアドバイスや、社員の目標達成に向けてスキルを高めるサポートを行います。さらに社員の自己分析や、多岐にわたる社員のキャリアを支援するなどキャリアのプロフェッショナルと言えます。キャリアコンサルタントに必要なスキルはキャリアに関する理論や、職業能力開発、メンタルヘルスの知識などです。試験は学科試験と実技試験があり、合格するとキャリアコンサルタントとして業務を行い、5年ごとに更新が必要です。

個人情報保護士

個人情報保護士とは個人情報の保護に関する正しい知識を保有し、企業において個人情報を正しく管理することを目的とした資格です。すべての企業において個人情報は正しく扱われなければならず、幅広い企業で高いニーズがあります。企業によっては資格手当としての給与への上乗せも期待できます。また資格取得の難易度は社会保険労務士や他の法律系資格などと比較すると低いと言えます。合格率は約35〜40%となっています。日頃から個人情報保護やセキュリティに携わる業務をしている人なら有利かもしれません。

人事総務検定

人事総務検定とは、人事部や総務部の業務や法規制知識などを取得に役立つ資格です。資格は1級から3級まであり、人事部や総務部の方がスキルアップをするには良い資格でしょう。2級と3級は検定試験を受けずに特別認定講習を受講し、そのなかで行われる確認テストを受けることで取得できます。3級合格で人事総務リーダーとなり、2級合格で人事総務エキスパートとなります。1級の受験資格は2級合格で得られることが出来て、1級に合格すると人事総務マスターとなります。

社会保険労務士

社会保険労務士は労働環境や社会保険などに関する諸問題、労務管理に関する相談や指導、年金手続きなどを行う専門家です。よって人事部や総務部で働く人にとって重要な資格と言われています。資格取得のための勉強をすることで、人事総務で働くためのスキルアップになります。業務としては社会保険に関する手続き、企業の円滑な運営に必要な労務関連知識を活かし、企業と社員のトラブルやリスク回避対策を行うなど重要な役割を担っています。資格取得には2年以上の実務経験(合格の前後問わず)または事務指定講習の受講が必要です。そのうえで資格試験に合格すると資格取得となります。

まとめ

人材管理で働きやすい環境作りを行おう

人事部は企業において経営者の戦略パートナーであり、企業が目標達成するための経営資源である人を活かすために重要な部署と言えます。そのためには社員にとって働きやすい環境になっているか、各部門や事業者の責任者や社員の現場の声を集めるリサーチ力が重要です。さらに経営者や経営幹部、社員の良き相談相手としてコミュニケーション力も必要でしょう。他にも労務管理、人事制度、人材教育制度などを整備することで社員が脳力を発揮しやすい環境にしなければなりません。多岐にわたる重要な役割が人事部に求められています。

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