日本語教育とは【定義や具体的な方法などについて分かりやすく解説します】

記事更新日:2021年08月17日 初回公開日:2021年08月17日

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近年、日本は少子高齢化や人口減少により、外国人労働者の受け入れを推進しています。しかし、外国人にとって日本語は非常に難解な言語です。外国人が母国にいる間に日本語に触れずに日本の会社に就職すると、言葉がわからないままに仕事を開始し、その傍らで日本語学習をしなければなりません。この記事では、日本語教育の概要や学習の方法、社内での日本語教育の進め方や注意点などについて詳しく解説しています。日本語教育を行っている企業についてもご紹介します。これから外国人を雇用する人事担当の方にぜひ参考にしていただきたい内容です。

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日本語教育の定義

日本語を母語としない人に日本語を教えること

日本語教育とは、日本語を母国語としない人に日本語を教えることを言います。日本語を教える人は「日本語教師」です。また、日本語が母国語である人に日本語を教えることは「国語教育」と言います。その場合、「国語教育」に携わる先生を「国語科教師」または「国語教師」と呼ぶのが一般的です。日本語教育を行うことによって、仕事上での効率的な作業や、現場での事故リスクの低下、職場のコミュニケーションの促進が期待できます。

日本語教育が広まった背景

外国人受け入れの拡大

近年、日本語教育が広まった背景には、外国人留学生の増加や、外国人労働者の受け入れの拡大が大きく影響しています。しかし企業においては、「就業中の外国人に仕事を教えたいけれど言葉がうまく通じない」「外国人労働者に日本語を学んでほしいけれど、社内に教育環境が整っていない」といったように、日本語教育の方法に悩む声も増えてきました。外国人を雇用したものの、受け入れ態勢が整っていないことが課題となっているのです。

日本語教育と国語教育の違い

国語教育は母語が日本語の人を対象とする

日本語教育に対し、国語教育の対象となるのは、母国語が国語である人、つまり「日本人」です。国語教師は日本人に対して、母国語として日本語を使うにあたり、適切な国語表現と、正確な理解能力を育成します。日本語を用いてお互いに伝え合う力を高めながら、思考力、想像力、そして言語感覚を養い、国語に対する関心を高める目的とするものです。日本人として母国語である国語を大切にし、尊重する態度を育成する教育であるとも言えるでしょう。

日本語教育能力検定試験とは

日本語教員になるための知識を検定するもの

日本語教育能力検定試験とは、日本語教員として働くために必要となる資格です。日本語教師の求人の多くは、この日本語教育能力検定試験に合格していることを条件としています。検定試験は、日本語教員となる目的で学習している人や、実際に日本語教育に携わっている人が、日本語の体系的な知識を持ち基礎的水準に到達しているかを図るものです。試験は年に一回、毎年10月に全国7都市で行われます。受験制限がないため、誰でも受験が可能ですが、受験者の約四分の一が合格する難易度です。事前の準備をしっかりしておくことで、合格の可能性は十分にあると言えるでしょう。

日本語教育を受ける方法

入社前に母国の日本語学校で学ぶ

外国人労働者が日本語教育を受ける方法の一つは、入社前に母国の日本語学校などで学習をすることです。入社前であれば、学習のための時間を多く確保できる可能性が高く、じっくりと学ぶことができるでしょう。先に学習を進めておくことで、入社前に行う話し合いも、日本語を用いてのコミュニケーションが取りやすくなると考えられます。また、企業と外国人人材の双方にとって、安心感を高め、不安をあらかじめ解消しておけるため、極めて有効な方法と言えるでしょう。

働きながら日本語学校に通う

入社した後に仕事をしながら日本語学校に通う外国人労働者も大勢おり、このような場合には、日本語学校での学費の一部を会社が一部補助している場合があります。しかし、日本の慣れない環境で働きながら、さらに日本語の学習をすることは、精神面でも容易なことではなく、毎日の時間調整も含め、本人にとってはハードになるでしょう。そのため、日本語学習を行う日には、時短勤務ができるよう会社側の配慮が必要な場合もあります。

企業が提供する研修に参加する

企業の中で、外国人人材を対象とした日本語研修を実施することも効果的です。社内に講師となれる人材がいるようであれば依頼を行い、そういった人材がいなければ、企業が企画し派遣する外部講師を招聘することも視野に入れると良いでしょう。いずれの場合も一定のコストは必要です。日本人とフリートークの機会や、互いに教え合える場を設けると、社内でのコミュニケーションにも非常に役立ちます。他にも日本語検定のレベルアップを目指すカリキュラムも有効です。

日本語教育の行い方

日本語教育教案を作成する

日本語教育を行うために最初に必要なものは、「日本語教育教案」の作成です。教案に特に決まった形はありませんが、いつ授業を実施するかを書いた「授業実施日」、教育を担当する「担当教員氏名」、主教材・副教材を含めた「使用するテキスト」、その日できるようになってほしい「目標」などを記載します。その他「取り上げる文型」「使用する教具」、教案内で略称や記号を使う場合は、それが何であるかを示す「凡例」などをそれぞれ書いておくと良いでしょう。これらを記載し、進行予定を書き込みます。

直接法で教える

日本語教育においての「直接法」とは、日本語だけを使用して授業を行うことを言います。「直接教授法」や「ダイレクトメソッド」とも言い、文法の解説も含めてすべてを日本語で行う方法です。母国語を学んだ時と同様に、日本語をたくさん聞き、学ぶことによって、スキルを習得することを目的としています。直接法ではジェスチャーや教材を活用し、学習を進めるため、イラストが描かれた教材の「絵カード」や、実物を使って授業を行うことがほとんどです。文法解説では、実際の場面を想定し、授業で再現して学習していきます。日本語で教育を行うことから、外国語にあまり自信がない日本語教師でも、現地の言葉が最低限分かれば教えられる点がメリットです。しかし学習を始めたばかりの初心者には日本語だけの授業は難しいのがデメリットともなります。

間接法で教える

「間接法」とは、日本語以外の言語を使って日本語を教える方法です。例えば、日本語で行う英語の授業は間接法に該当します。間接法の場合、学習する人の母国語もしくはクラス全体の共通言語を用いて授業と行う形です。海外で日本語を教えるケースでは、ほとんどの場合その土地で使われている言語を用います。学習する人が理解できる言語での授業が行われるので、説明を正しく理解できるため、短い時間で効率よく日本語学習ができる方法と言えるでしょう。しかし日本語教師が授業で使う言語に精通している必要があります。また、日本語教育の目標が「日本語で考え、日本語を使うこと」であっても、「母国語で考え日本語で答える」習慣がつきやすいことや、会話よりも読み書きを重視する傾向にあることはデメリットと言えるでしょう。

日本語教育の問題点

日本語教育を行う人数の不足

日本では、少子高齢化や人口の減少を受け、外国人労働者の受け入れを推進しています。そのため多くの外国人が入国し、日本語の学習を必要としているにも関わらず、現在は日本語教育を行う人員は不足している状況です。その理由の一つが、文化庁推進の「420時間講座の受講」であると言われています。レベルを維持した日本語教師を育成するために推奨されており、求人でもこの420時間の講習を修了していることを条件としていることが少なくありません。しかしそれが日本語教師を志望する人にとっても高いハードルとなっているのです。

教材の不足

日本語学校で使用する教材が不足していることも、日本語教育が進みにくい原因として挙げられています。外国人学習者の関心や興味に応えられる学習教材が、日本語教育においてはまだまだ不足しており、十分とは言えません。また、映像教材では、数十年前に作成された日本語教育の映像をまだ使用しているようなケースもあり、現在の世相を反映されていないものでは教材としては不十分です。貴重な学習時間の中で、少しでも多くの日本語理解に通ずる教材の作成が求められています。

日本語教育を行う際の注意点

日本語教育を行う環境を整える

企業が外国人人材を雇用する時には、入社した後の日本語教育についても想定し、用意しておく必要があります。現状では一般的に、外国人人材の日本語学習環境は充実しているとは言えません。そこで、外国人を雇用する会社それぞれが、内容が濃く充実した、しかもすぐに実践可能な日本語研修を提供する必要があります。併せて、日本語でのコミュニケーションの機会を意図的に増やし、日本語を用いる機会をどんどん増やせる環境づくりは、日本語教育においても大きなポイントと言えるでしょう。

日本語の文法を学ぶ必要性がある

日本語は世界の水準で見てとても習得が難しい言語で、特に文法は非常に難解とされています。そのため、日本語の文法を外国人に教えるためには、日本語教師が日本語の文法を学び、深く理解していなければなりません。理解が浅ければ外国人の質問に回答することもできないでしょう。日本語の文法を論理的に説明できてこそ、外国人に正しく日本語を教えることができるのです。日本語教師自らが手を動かし、主体的に文法を学習する機会を設け、自らの能力を強化する必要があると言えます。

敬語を教える必要がある

敬語とは、話している人が聞き手に対しての敬意を表すために使用します。そのため、話している人は、社会的な人間関係を理解して、必要に応じ適切に敬語を使わなければなりません。敬語は、先生や上司などの目上の人や、親しくない初対面の人、自分の属する組織に属さない人に対して使うものです。しかし、敬語の概念は外国人にとっては難解であることが多く、覚えることも多いため、実際に経験しトライアンドエラーを繰り返しながら身に着けていくのが一番の近道と言えるでしょう。

簡単な日本語で教える

日本語では主語や述語を無意識に省略して表現することが多く、外国の人にとってはわかりにくいことがあります。ですので、意識的に言葉を省略しないよう心がけましょう。日本語には、独特の言い回しや曖昧な表現も多く、日本語を学習し始めたばかりの外国人にとってはとても難しく感じます。また、接続詞を多く用いた文章は複雑になってしまい、理解するのが困難です。「AとBを買いたいのですが、値段は合わせていくらですか?」ではなく「AとBを買いたいです。値段はいくらですか?」などのように、2文に分けることでわかりやすくなります。

日本語教育を実施している企業

ブロードメディア株式会社

ブロードメディア株式会社では、「日本語は日本語で」の理念の元、グローバル化した世の中で、個々の国の存在意義こそ独自の「文化」であると考えている企業です。そこから、外国人に日本語教育を実施することを、ただ「言葉を教えること」とは捉えず、日本の人やその文化を含め、日本語を通して「日本」を理解してもらうことであると考えています。業務の合間などの短時間を利用して行う法人向け研修は、企業に非常に人気の研修内容です。また、オンラインを利用し、インターネット環境のある場所からであれば世界中のどこからでも受講可能な研修も行っています。

まとめ

日本語教育体制を整えよう

日本で働く外国人にとって日本語を用いたコミュニケーションは、仕事をスムーズに行う点でも、また社内での円滑なやりとりにおいても必要です。しかし実際にはその難易度のために大きな壁となっています。日常生活の面でも日本語を自在に使えることが重要な意味を持っていますが、習得には長い時間がかかることは言うまでもありません。外国人労働者の受け入れ推進をする国として、あるいは外国人を労働者として迎え入れる企業として、今後も一層教育環境を充実させていく必要があると言えるでしょう。

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