特定技能を派遣できる条件とは?【雇用時に気を付けるべき点も解説します】

記事更新日:2023年09月11日 初回公開日:2023年09月11日

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特定技能は特定の産業に対して人手不足を解消するために発足された在留資格です。そのため、日本で働くために特定技能の在留資格を取得した外国人も少なくありません。特定技能人材の雇用を検討している企業の中には派遣制度を利用して、期間限定で外国人を雇いたい企業も多く存在します。しかし、派遣制度を利用すると言っても具体的にどのような分野が派遣雇用可能で、どのような要件を満たす必要があるのかわからないという方も多いのではないでしょうか。今回はそんな特定技能人材の派遣について、制度の内容や注意点についてご紹介します。

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特定技能とは

特定産業分野において知識と経験を要する資格

特定技能とは日本で認められている在留資格の一種です。特定技能は日本の特定の産業に関して、一定の水準以上の技能や知識を持つ外国人の在留を認めて人手不足を解消するための在留資格です。特定技能で就労が認められている職種には介護や漁業など全部で12種目の分野が設定されています。また、特定技能は1号と2号に分類できます。1号は「特定産業分野への一定の知識や経験が必要な業務に従事する外国人」で、2号は「特定産業分野への熟練した技能が必要な業務に従事する外国人」と定められています。

開発途上国への国際協力を目的とする技能実習とは異なる

技能実習は日本の在留資格の一種で、呼び名が特定技能と似ているため勘違いをされやすいですが、根本的な目的が特定技能とは異なります。技能実習とは開発途上国の人材を受け入れ日本の技術を学び持ち帰ってもらうことで、母国の経済発展に役立てようという試みで作られた資格です。そのため、技能実習はあくまで人材育成を目的としていることに対し、特定技能は人材不足解消を目的としている資格というように区別できます。また、技能実習と特定技能では従事できる業種も異なるので注意が必要です。

特定技能の一般的な雇用形態

直接雇用の正社員である必要がある

特定技能の在留資格を持つ外国人は原則、週5日、30時間以上の労働時間が必要なため正社員としてフルタイムで雇う必要があります。そのため、基本的には特定技能でパートとアルバイトや派遣などで雇用することはできません。また、正社員で雇用する場合には本人の経験や資格に応じて日本人と同等の賃金を支払う義務も発生します。そのため、雇用条件を定める際には注意が必要です。ただし、日本での永住権を持つ外国人や、特定の分野であれば派遣雇用も認められています。

特定技能で派遣雇用が認められる分野

農業と漁業分野では派遣雇用が認められる

特定技能は原則派遣雇用が認められていませんが、農業と漁業分野に関しては例外的に派遣雇用が認められています。理由としては上記の分野は季節によって繁忙期と閑散期があり、時期ごとに必要な人手の数が変動するためです。例えば上記の分野で外国人を雇った場合、閑散期で仕事が無い時期にも賃金を保証しなければいけないとなると、事業を執り行う企業の財政状況を人件費で圧迫しかねません。また、繁忙期の場合でも正社員雇用で限られた人数を雇うよりも、派遣でより多くの人材を雇う方が効率的に作業を行えます。

農業分野で派遣として従事できる内容

農作物の出荷や選別などの業務

特定技能の派遣では農業分野の場合農作物の出荷や選別などの業務に就くことが可能です。この他にも農業分野は耕種農業と畜産農業の2種類に分かれていて、これ等の業種であれば全般の業務を任せることができます。ただし、業務内容には必ず栽培管理や飼養管理が含まれている必要があります。さらに、除雪や作物の運搬など、直接農業には関係ないが必然的に発生する雑務にも従事させること自体は可能ですが、専門として雇うことはできません。

漁業分野で派遣として従事できる内容

漁業及び養殖業での機械操作や収獲などの業務

漁業分野で特定技能が派遣として従事できる業務は漁具の製作や漁獲物の処理・保蔵と安全衛⽣の確保や漁労機械の操作などです。さらに、養殖業の現場では養殖資材の製作や養殖⽔産動植物の育成管理など、養殖⽔産動植物の収獲や処理も行えます。農業と同じく漁業分野は業務に付随する雑務も任せることができますが、雑務専門で雇い入れることはできません。また、派遣事業者は、地方公共団体や漁業協同組合など漁業に関連する業務に携わっている必要もあります。

派遣先事業となるための要件

法務省の指針に沿った4つの要件をすべて満たす必要がある

特定技能を雇用できる派遣先事業所となるためには法務省の指針に沿った4つの要件を全て満たす必要があります。要件のうち二つは派遣先が法令の遵守に関わることです。具体的な要件は社会保険や税金をきちんと納めているか、刑罰法令違反による罰則を受けていないかが具体的な要件となります。残りの要件は過去一年以内に非自発的な離職者を発生させていないか、過去に技能実習生や特定技能人材を失踪させたことがないかの二つです。基本的に、外国人労働者を適切に管理できる状態が維持されていれば問題ありません。

要件を満たしていなかった場合は罰則を科せられる

派遣先事業所が上記の要件を満たしていないのにも関わらず特定技能外国人を派遣として雇っていた場合には、不法就労助長罪に問われる可能性があります。不法就労助長罪とは外国人が不法に就労する行為を手助けした場合に問われる罪状です。不法就労助長罪が成立した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金もしくはどちらの罰則も課されることになります。そのため、派遣先事業所として特定技能を雇い入れる場合には必ず要件をそろえておきましょう。

派遣元事業となるための要件

法務省の指針に沿った4つの要件のいずれかを満たす必要がある

特定技能の派遣元の要件は4つあります。1つ目は、当該の産業に関連する業務に携わる個人または団体であることです。2つ目は地方公共団体または1つ目の要件を満たす者が、資本金の過半数を出資していることも挙げられます。3つ目は地方公共団体の職員または1つ目の要件の者または、その役員か職員が役員であることです。さらに、当該人物が業務執行に実質的に関与していることも条件です。4つ目は 外国人の派遣先分野が農業である場合は国家戦略特別区域法第16条の5第1項に規定する特定機関であることです。

農業分野ではさらに3つの要件のいずれかを満たす必要がある

農業ではさらに3つの要件のいずれかを満たす必要があります。1つ目は農業分野に関連する職に従事していること、2つ目は地方公共団体または農業に従事している人が資本金の過半数を出資していることです。つまり、農業関連の機関に所属している経営者などが該当します。また、地方公共団体や農業に従事している職員や役員が、業務執行に実質的に関与していると認められている者もこれに当たります。3つ目は国家戦略特別区域法16条の5第1項に規定する特定機関であることです。

漁業分野ではさらに3つの要件のいずれかを満たす必要がある

漁業分野も農業と同じくさらに3つの要件のうちどれかを満たす必要があります。1つめは漁業分野に関連する職に従事していること、2つ目は上記の要件を満たした人もしくは地方公共団体が資本金の過半数を出資していることです。具体的には経営者や業務の責任者等が該当します。3つ目は1つ目の要件を満たした状態で業務の執行に実質的に関与している人も要件を満たすことができます。例えば当該業務の現場責任者も実質的に業務に関与しているとみなされるため派遣元として特定技能派遣を行えます。

特定技能人材を派遣雇用するメリット

人材不足を解消できる

特定技能人材を派遣雇用することで得られる最大のメリットは人材不足を解消できることにあります。昨今日本では農業や漁業関連の職が特に携わる人が少ないため、繁忙期には業務量が多いけれど人が少なく現場が回らないという事態が起こりがちです。海外から労働者を雇い入れると、このような慢性的な人材不足を解消できるので安定して業務を行えます。また、人材不足を解消すると既存の従業員の負担が軽減できるため、業務過多による離職を防げるというメリットもあります。

人件費を抑えられる

特定技能派遣は外国人を期間限定で雇えることで人件費を抑えられるというメリットがあります。農業分野と漁業分野は繁忙期と閑散期の波が激しく、繁忙期には多くの人手を必要としますが、閑散期には必要とする人数に限りがあります。正社員で人を雇った場合には閑散期も仕事が少ないのにも関わらず賃金を払わなければならないため、人件費がかさんでしまいがちです。しかし、派遣で特定技能外国人を繁忙期だけ雇えば、閑散期の人件費はその分浮くので年間通しての出費を抑えることができます。

派遣雇用時に気を付ける点

派遣先管理台帳を作成する

特定技能人材を雇用する場合、派遣先は派遣先管理台帳を作成する必要があります。派遣先管理台帳は派遣先が労働者の情報や労働時間について管理するために作成するもので、雇用する労働者ごとに作成する義務があります。記載する内容は労働者の名前や生年月日などの個人情報や派遣就労日や時間についてです。記載した内容は派遣元にも通知の義務があるため、必ず作成しておかなければなりません。また、派遣先管理台帳は派遣終了から3年間保存しておかなければならないので、書類の管理には注意を払いましょう。

雇用地域は派遣元と派遣先が日帰りできる距離であること

雇用地域は派遣元と派遣先が日帰りできる距離でなければなりません。特定技能人材を派遣で雇う場合派遣先は責任者を設定する必要があります。派遣責任者は雇用した労働者からの苦情がある場合、対応や処理を行わなければなりません。日帰りできる距離でなくてはいけないのには、対応するにあたり直接派遣先に出向く機会が生じる場合もあるので、双方の距離が遠いと迅速な対応ができないからという理由が考えられます。そのため、特定技能人材を雇い入れる際には、派遣元と派遣先の距離にも留意しましょう。

3年を超える派遣雇用ができない

派遣雇用において派遣先事業所は特定技能人材に限らず、3年を超える派遣雇用ができないという決まりがあります。そのため、特定技能人材を雇う場合、同じ労働者を3年以上雇い続けることは原則不可能です。ただし、3年以上派遣雇用の継続を希望する場合には、過半数労働組合などの意見聴取を行えば3年の期間限定で派遣可能期間の延長ができます。期間延長のシステムを利用した場合、延長後に雇用されるのは別の人材になります。そのため、派遣で同じ人材を3年以上雇うことはほとんど不可能と言えるでしょう。

農業と漁業分野では雇用人数の上限はない

特定技能は建設・介護に関しては常勤の日本人労働者の人数以上の雇用ができないと決められていますが、農業や漁業分野に関しては明確な上限が定められていません。しかし、特定技能は業種ごとに受け入れ見込み人数というものが決められていて、全体での受け入れ人数は農業の場合は36,500人、漁業が9,000人となっています。しかし、見込み数を超える人数はそもそも日本に入国できません。そのため、特定技能を農業や漁業で雇い入れる際には特に人数を気にする必要は無いと言えます。

まとめ

特定技能の派遣制度について理解し雇用しよう

特定技能人材は派遣雇用できる業種や従事できる業務内容が限られていますが、上手く雇用することで人手不足の解消や人件費の削減に役立てることができます。しかし、派遣先または派遣元になるには様々な要件が必要なため派遣制度をしっかりと理解する必要があります。また、外国人を派遣で雇用する場合、雇用した外国人の日本での生活を支援する取り組みも同時に行わなければなりません。不当な扱いをすると罰則を科される可能性もあるため、制度の理解や要件も含めて下調べは確実にしておきましょう。

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