外国人労働者差別を解決するためには【外国人労働者の受け入れメリットやデメリットについても解説します】

記事更新日:2023年10月13日 初回公開日:2023年10月13日

外国人採用・雇用 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報
現在日本では少子高齢化に伴う人口減少を受けて、外国人を積極的に雇用する企業が増えつつあります。そんな社会情勢の中で、大きな問題になっているのが日本人による外国人差別です。自国の文化の違いから、偏見を持ってしまうことは誰にでもあります。しかし、この問題を放置していると大きなトラブルに発展することもあります。そのため、外国人が安心して働ける環境を整えるには外国人差別に対して、積極的に解決策を講じなければなりません。今回はそんな外国人差別について、差別の原因や解決策をご紹介します。外国人雇用を検討している方は、是非ご参考にしてみてください。

就労ビザ取得のためのチェックリストをダウンロードする

外国人差別とは

日本に居住する外国人を日本人とは区別して言動すること

外国人差別とは、日本に住んでいる外国人を日本人と区別する言動をすることです。具体的な例としては、外国人という理由だけで不利な雇用条件を提示することや、賃貸契約の拒否などが挙げられます。特に労働目的で入国した外国人が、賃貸物件を借りようとすると建物の持ち主から拒否されるケースは珍しくありません。また、雇用契約では事前に合意した契約とは異なる条件での労働を強いられる場合もあります。このような事態が横行すると訴訟問題にも発展するため、企業は解決のために尽力しなければなりません。

外国人差別が起こる原因

人格によるもの

外国人差別が起こる原因は、差別している本人が個人的に特定の国に対して悪感情を抱いているなど、人格由来のケースも考えられます。外国人差別をするに至る理由は様々です。人によっては相手と同じ国の出身者に以前嫌な思いをさせられたなど、過去の経験から判断している場合があります。中には特に理由もなく外国人だからというだけで敬遠する人も存在するため、一概には判断できません。しかし、どのような理由があったとしても、差別をして良い理由にはなりません。

集団心理によるもの

外国人差別は集団心理によって引き起こされるケースも多く存在します。例えば、特定の国出身の外国人が犯罪を犯したニュースを見ると、人は「この国の人は犯罪を犯す危険性があり、自分も関わればトラブルに巻き込まれるかもしれない」と思ってしまいます。そして、このような思い込みによる考え方が人から人へ広まれば、集団内で周知の事実として誤認され、差別に繋がる可能性も否定できません。しかし、犯罪や迷惑行為といった問題行動は日本人でも起こりうる問題であり、出身国は関係ありません。

日本における外国人労働者の現状

外国人労働者数は182万人

日本における現在の外国人労働者数は約182万人と言われています。日本人口は現状役1.2億人のため、日本に住んでいる人の約10人に1人は外国人ということになります。また、外国人労働者の雇用は日本政府が積極的に推し進めているという事情もあり、今後も増えていくことが予想されます。企業の人手不足や社会のグローバル化など様々な事柄を考慮しても、日本人が外国人と生活圏や職場を共有する機会は多く存在します。そのため、外国人差別に対する解決策の検討は避けられない問題と言っても過言ではないでしょう。

外国人労働者の受け入れメリット

人手不足を解消できる

外国人労働者を受け入れることで、企業は慢性的な人手不足を解消できるというメリットが発生します。日本に入国した外国人が就職できる業種には限りがあります。特に、特定技能の名目で在留資格を取得した場合には、政府が定めた14の業種でしか就労は認められません。特定技能の業種に該当する介護や農業などの職種は慢性的に人手が足りないことが問題となっているため、積極的に外国人を雇い入れれば上記の問題を解消することが可能です。

海外展開や組織の活性化に繋がる

外国人労働者を受け入れると、企業の海外進出や組織の活性化に繋がるというメリットもあります。日本で外国人が働くには、日本人との意思の疎通が必要になるため、日本語を習得していることが最低限必要です。さらに、日本で働く外国人によっては母国語の他に第三言語を履修していることも多く、非常に優秀な人材であることが予想されます。日本企業で働く日本人は必ずしも外国語を習得しているわけではないので、語学力の高い外国人を受け入れれば、企業の海外進出も難易度が下がります。

日本における外国人労働者の問題点

低賃金である

外国人が日本で働く場合、日本人と同一の水準に待遇を設定しなければなりません。しかし、現状ではこれ等の決まりは守られず、低賃金での労働を強いられるケースが多く存在します。外国人が国内で働くための在留資格には、就労できる業種に限りがあるだけでなく、退職した場合も三か月間の猶予を過ぎれば自国へ帰らなくてはなりません。そのため、日本で働く外国人は職場に不満があっても、簡単には仕事を辞められません。これが、外国人の労働環境が劣悪になる原因でもあります。

過酷な環境での労働を強いられる

外国人が日本で働く際には、残業時間には上限があります。しかし、この上限も守られていないケースが多く、長時間の労働を強いられているのが現状の問題として存在します。また、外国人が技能実習生や特定技能として就労する業種は、おおむね人材不足の業界です。人材が定着しにくい業界は共通して、従業員の負担が大きく過酷な労働環境であるという特徴が挙げられます。そのため、雇用条件に問題が無くても携わる業務自体が過酷な場合も少なくありません。また、就労する職種によっては事故に遭う危険性もあります。

言語の壁によるコミュニケーション障害が生じる

外国人が日本で就労する場合には必ず日本語を習得している必要があります。しかし、いくら日本語を学んでいると言っても、どの程度の会話であれば成り立つのかには個人差があります。そのため、人によっては職場の日本人と言語の壁によるコミュニケーション障害が生じる可能性も少なくありません。意思の疎通が困難だと、仕事の指示が伝わらない、相手が本当に指示を理解しているのかわからない、などの問題が発生します。この状態が続くと、外国人労働者だけでなく監督者である日本人の負担も増加します。

昇給や昇進に対する認識の違い

日本人と外国人では昇給や昇進に対する認識の違いも生じます。日本の企業は年功序列制を重んじる空気が根強く、同じ会社に長く在籍するほど報酬や役職も上がる傾向にあります。しかし、外国の場合は、本人の成果や能力などの実力主義の考え方が主流です。そのため、外国では転職を繰り返しながらキャリアアップしていく人も大勢存在します。このような考え方の違いから、日本で就労した外国人労働者は自分が思っているようなキャリアの築き方ができないことに不満を感じる可能性があります。

外国人差別をなくすための解決策

企業での取り組み

給与や待遇などを明示する

外国人差別をなくすために企業で取り組むべき解決策として一番に挙げられるのは、外国人を雇用する際には給与や待遇を事前に明示しておくことです。具体的には賃金や労働環境は日本人と差別せず、同等の水準を保つことが挙げられます。契約書は給与の算定方法や労働日数などを細かく提示しましょう。また、日本人なら言葉にしなくても理解できる常識でも外国人にとっては理解不能な事柄もあるため、内容は細かく定めて説明することが大切です。この時に、雇用する外国人の母国語で記載した契約書を用意すると、双方の認識の齟齬が発生するリスクを未然に防止できます。

職場の受け入れ態勢を整える

外国人差別をなくすためには、雇用前に職場の受け入れ態勢を整えることも有効な解決策として挙げられます。企業の上層部がどれだけ契約内容を整えたとしても、実際に働く職場が受け入れ態勢を整えられていなければ、働きやすい環境とは言えません。そのため、外国人労働者を雇い入れる際には、母国語を理解できる日本人を担当に任命するなど職場環境を整えなければなりません。また、住む場所を提供または紹介するなど、外国人が安心して日本で生活を営めるように支援体制を整えておきましょう。

外国人雇用に関して熟知しておく

外国人差別を解消するためには、担当者や企業の上層部が外国人雇用に関して熟知し、自ら進んで差別意識を取り去る必要もあります。また、雇用者が外国人に対して理解を持っていても、職場を共にする現場の人々に理解が無ければ良好な関係は築けません。そのため、雇用する外国人の文化的背景や価値観を職場の日本人にもしっかり周知を行い、その国の文化や習慣にも理解を示してもらうことも重要です。具体的には雇用前に外国人労働者と働くための注意点や、雇用に関する手続きと守るべき労働条件に関する研修を設けることが例として挙げられます。

外国人労働者専任の担当者を設ける

外国人労働者を雇用する際には、その労働者を監督する専任の担当者を設けることも差別の解決策として有効です。指導や監督を行う人は誰なのかはっきりさせておかなければ外国人を雇用しても、誰に仕事や生活のことを相談すれば良いかわかりません。また、実際に外国人差別によるトラブルが起きた際にも担当者が決められていないと問題がたらい回しになり、早期の解決が困難になります。そのため、現在外国人の雇用を検討している場合は、先にどの部署の誰が担当者になるのか決めておきましょう。

キャリアプランを立てる

外国人労働者を雇用する際には、雇用する外国人のキャリアプランを事前に本人と話し合っておきましょう。雇用した人材の将来的に目指すポストや求めている待遇をすり合わせることが重要です。人材不足解消のためにその場しのぎで外国人を雇用すると、将来的に雇用した外国人に就かせる役職が無いという事態になりかねません。そして、いつまでも地位や報酬が上がらなければ、そのこと自体が外国人差別になってしまいます。そのため、外国人労働者が日本人と同様にキャリアアップできるように、企業は積極的にプランを立て人材育成に取り組む必要があります。

各市町村での取り組み

外国人専用の相談窓口を設置する

日本各地に点在する各地域の労働局では外国人専用の相談窓口が設置されており、電話で相談することができます。さらに、厚生労働省が設置した労働関係の相談窓口でも、職場の労働環境やトラブルについて相談可能です。しかし、市町村によってはこのような相談窓口が設置されていない場合もあります。また、人によってはこのような窓口の存在自体を知らない外国人も少なくありません。そのため、外国人差別の解決策の第一歩として、各市町村は外国人労働者が身近に相談窓口を利用できるよう、窓口の設置や周知活動に尽力する必要があります。

企業などへ講演会を実施する

外国人差別をなくすために各市町村が行える解決策として挙げられるのは、企業などへの講演会を実施し、理解を深めてもらえるよう働きかけを行うことです。外国人雇用には、手続きの方法や労働条件に関する知識を有している必要がありますが、企業単体が自助努力で上記の知識を補完するには無理があります。そのため、各市町村は外国人差別解消のために必要な支援体制を企業が築けるようにフォローしなければなりません。有識者を招いた講演会や研修を行い多くの人に参加を促し、外国人に対する理解が深まるだけでなく、差別に対する意識を変えていくことが大切です。

まとめ

外国人差別について理解し共に平等に働く環境を整えよう

人は誰でも特定の性質を持つ他人に対して偏見を持っているものですが、その事実を自覚することは難しく、外国人に対しても差別をしていることすら気付かない日本人も国内には大勢存在します。このような事実があるからこそ、外国人に対する差別意識は、外国人を実際に雇用する企業や行政を管轄する市町村が積極的に解決策を打ち出し、偏見を払しょくしていかなくてはなりません。そのためには、外国人差別に対して正しく理解を深め、できるだけ日本人と同じ水準で働けるよう環境を整えていくことが大切です。

外国人・グローバル人材の採用をお考えの企業様へ

事例

「日本語+英語+さらに語学が堪能な社員の採用」「海外の展示会でプレゼンが出来る人材」「海外向けサービスのローカライズ出来る人材」「海外向けWebサイト構築・集客」など、日本語も堪能で優秀な人材へのお問い合わせが当社に相次いでいます。

他社の外国人採用成功事例はこちらからご覧ください。

【無料】就労ビザ取得のためのチェックリストがダウンロードできます!

就労ビザ取得のためのチェックリストダウンロードバナー

グローバル採用ナビ編集部では外国人の採用や今後雇い入れをご検討されている皆様にとって便利な「就労ビザ取得のためのチェックリスト」をご用意いたしました。また、在留資格認定申請書のファイル(EXCEL形式)もこちらよりダウンロード可能です。

こちらのチェックリストはこのような方におススメです!


  1. 外国人採用を考えているがビザの申請が心配。
  2. 高卒の外国人は就労ビザの申請できるの?
  3. どのような外国人を採用すれば就労ビザが下りるの?
  4. ビザ申請のために何を気を付ければいいの?
  5. 過去に外国人のビザ申請をしたが不受理になってしまった…
  6. 外国人材を活用して企業の業績アップを図りたい方。
  7. 一目で分かるこんな就労ビザ取得のチェックリストが欲しかった!


他社での事例やビザ申請の際に不受理にならないようにまずは押さえておきたい就労ビザ取得のためのポイントを5つにまとめた解説付きの資料です。

就労ビザ取得のためのチェックリスト(無料)のダウンロードはこちらから!

ページトップへ戻る
ダウンロードはこちら
ダウンロードはこちら