外国人が退職する時に必要な手続きとは?【それぞれの注意点についても解説します】

記事更新日:2023年04月03日 初回公開日:2023年04月03日

外国人採用・雇用 人事・労務お役立ち情報
グローバル化や多様性の広がりにより、様々な企業で外国人労働者の採用が増えてきています。労働人口が年々減少傾向にある日本では、外国人労働者は企業にとって貴重な労働力です。そんな外国人労働者ですが、退職の際には日本人の時と同様に必要な手続きだけでなく、外国人労働者特有の手続きが必要になります。提出期日がしっかりと決まっている物などもある為、企業の人事担当者はしっかりと把握しておく必要があります。外国人の退職について詳しく解説しますので、外国人の社員を抱えている企業の方・日本で働く外国人の方は参考にしてみてください。

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外国人の退職における企業側の手続き

日本人の退職と同様の手続きを行う

外国人が退職する際に企業側は、日本人の退職と同様の手続きを行う必要があります。社会保険の資格喪失手続きや、健康保険を継続する場合の任意継続手続きが必要です。社保などの保険に関して資格喪失手続きを行う場合は、日本人と同様に退職から5日以内に管轄の年金事務所へ本人とその家族分の健康保険証と喪失届を提出しなければなりません。雇用保険の資格喪失手続きもまた、日本人の時と同様に退職後10日以内に手続きが必要です。所得税や住民税の手続きも忘れないようにしましょう。

退職証明書を交付する

外国人が退職する際には、企業側は退職証明書を交付しなければなりません。退職証明書は、きぎょうを退職したことを証明する書類で、企業は作成する義務があります。日本人が退職する際には、求められた場合にのみ退職証明を交付すれば問題ありません。しかし外国人が退職後に帰国せず他の仕事に就く場合などは、ビザの変更や就労資格証明書の交付の際に必ず退職証明書を提出します。退職証明書には外国人退職者から求められた事項のみを記載し、企業の判断で内容を決めることは出来ない為注意しましょう。

健康保険証を回収する

外国人が退職する場合に、健康保険証を回収する必要があります。日本人が退職する場合にも、健康保険証は必ず回収しなければなりません。従業員が退職してから5日以内に、企業は管轄の年金事務所に健康保険証を返却しなければならない為、必ず退職日までに従業員から返却してもらいましょう。従業員に扶養家族がいる場合は、従業員の分だけでなくその家族の健康保険証の回収も忘れてはいけません。もし退職日までに健康保険証の返却が行われない時は、「健康保険被保険者証回収不能届」を提出しておきましょう。

離職票を交付する

外国人の退職に伴い、企業側は離職票の交付が必要です。離職票は、雇用保険に加入していた従業員が退職後に再就職を行うまでの間、ハローワークで失業給付金を受ける際に必要になる書類です。離職票は本人が希望するしないに限らず必ず発行しなければならず、それは外国人でも同様と言えます。離職票は企業が発行する物ではなく、ハローワークが発行している書類の為、郵送での対応となった場合退職者の元に届くのは約1ヶ月程掛かります。発行に時間が掛かることを念頭に置き、迅速に対応する必要があります。

源泉徴収票を交付する

源泉徴収票も外国人の退職の際に、交付が必要な手続きです。源泉徴収票は、所得税の確定申告や年末調整を行う際に必ず必要な書類です。源泉徴収票には給与や賞与、支払った所得税など様々な情報が記載されています。源泉徴収票は従業員が退職してから1か月以内に交付しなければなりません。また、外国人退職者が転職する場合には、源泉徴収票を転職先で求められるため必ず交付しましょう。但し、転職をせず自国に帰る場合には源泉徴収票が不要なこともある為、退職する外国人に事前に確認しておきましょう。

貸与品がある場合は回収する

外国人が退職する際には、企業から貸与品がある場合は必ず事前に回収しておきましょう。業務を行う上で、制服や社員証・PCや名刺など企業から貸し出している物は全て退職する前に回収することが大切です。回収強い忘れることが無いようにするためには、事前に貸与物一覧などを作成し退職予定者と確認しておきましょう。企業によって扱いは異なりますが、業務上の取引で交換した取引先の名刺なども機密情報漏洩や個人情報保護のためにそのままにせず回収する事をお勧めします。

外国人の退職における本人の手続き

帰国する場合の手続き

転出の手続きをする

外国人が退職して、そのまま帰国する場合は転出手続きが必要です。入管法第19条の16により、外国人は退職して14日以内に「契約機関に関する届出(契約の終了)」を届け出なければなりません。この届出を行わなかった場合や、虚偽の報告をした場合には罰金や懲罰の対象になる為注意しましょう。住居がある市町村役場で転出届も必要です。マイナンバーカードの返却を行い、国民健康保険に加入している場合には必ず脱退手続きを行いましょう。そのままにしていると、保険料の支払いが発生します。

残りの在留期間に応じて在留資格の変更を行う

外国人が退職後帰国する場合、残りの在留期間に応じて在留資格の変更をしなければなりません。退職後に別の仕事には就かないが、帰国はせずに学校に進学して留学生になる場合や、日本人と結婚し扶養に入る場合などで引き続き滞在することは出来ます。しかし、仕事を行っていた際は就労ビザで入国しているはずです。留学生や配偶者になる場合は、ビザの種類が異なる為きちんと申請を行う必要があります。退職後何もせず、就労ビザのままで3か月が過ぎてしまうと在留資格が取り消される恐れもある為、短期滞在ビザに切り替えるなどしましょう。

日本に残る場合の手続き

同じ業務を続けるなら「契約機関に関する届け出」を出す

外国人が退職してから日本に残り、同じ仕事に就く場合には「契約機関に関する届け出」の提出が必要です。転職先の仕事内容が依然と変わらない場合、在留資格を変更する必要がない為、そのまま働くことが出来ます。定められた在留資格の期間働くことが出来、期限が切れる前に更新を行えば問題はありません。しかし、日本に残留する場合にも、入館管理局へ届け出を行う必要があります。在留資格は就労している企業も審査を受けなければならない為、最新の情報を入館管理局に伝えておきましょう。

職務内容が変わる場合は在留資格を変更する

外国人が退職して日本に残る場合に、違う職務に就く場合には在留資格の変更手続きを行わなければなりません。許可されている在留資格以外の仕事に就いてしまうと、資格外活動と見なされてしまい、最悪の場合には強制退去処分を下される可能性もあります。そうならない為にも、今まで就いていた仕事内容と異なる仕事に携わる場合には、事前に在留資格の変更申請を行っておきましょう。転職の際に手続きに不備が発生してしまうと、変更が認められない場合もある為注意が必要です。

外国人が退職する際に本人が注意すること

3ヶ月以内に再就職する

外国人本人が退職する際に注意しなければならない事は、3ヶ月以内に再就職するという事です。前の会社を退職後に3か月以上一度も仕事に就いていない場合は、取得していた就労ビザが無効になってしまう可能性があります。就労ビザ取得の際は雇用先の企業も審査された上で、ビザが発行されています。その為、就労ビザを取得した企業を辞めるという事は付与されたビザの前提を失うことになります。在留資格を失わない為にも、退職したら3ヶ月以内に再度就職を行えるよう動くことが大切です。

無職の期間にアルバイトをしない

外国人は、退職した後の無職の期間にアルバイトをしないよう注意しましょう。前の会社を辞めて、再就職を行うまでに少し期間が空いてしまう場合、お金を稼ぐために短期のアルバイト等をしようと考えてしまうかもしれません。しかし就労ビザは、フルタイムで働くことを前提に付与されている在留資格です。その為就労ビザを持った状態でのパートやアルバイトは、資格外活動となり在留資格のはく奪の可能性がある為しないように気を付けましょう。

再就職の際にも手続きを忘れない

外国人が退職する際に気を付けることは、再就職した場合の手続きを忘れないようにすることです。再就職先が、元々所持していた就労ビザの資格内で行える業務の時は資格変更手続きは必要ありません。しかし全く手続きが不要ということではなく、「契約(/所属)機関に関する届け出」は必ず入館管理局に提出が必要です。また再就職先が今までの資格範囲外であった場合は、必ず在留資格変更届を出す必要があります。出し忘れてしまうと資格外活動に該当し、在留資格の更新が許可されない事もある為注意しましょう。

請求されていない項目は記入しない

外国人が退職する際に、企業が注意することは退職証明書には請求されていない項目以外記入しないようにしましょう。退職証明書には、在籍期間や業務の種類・賃金や退職の理由などを記載することが一般的です。基本事項は決まっていますが、退職者から記載しないでほしい項目を伝えられた場合にはその項目は記載しないようにしましょう。退職者が希望していない項目を記載してはならない事は法律で定められている為、企業の判断で勝手に記載しないように注意しましょう。

外国人が退職する際に企業が注意すること

届出の期限を厳守する

外国人が退職する際に企業は、届け出の機嫌を厳守するようにしましょう。特別永住者以外の外国人が退職する際には、企業は必ず「雇用保険被保険者資格喪失届」をハローワークに提出しなければなりません。入管法において企業は雇っている外国人が退職する場合には、企業は入局管理局に届け出ることを努めなければなりません。その代わりに資格喪失届をハローワークに出すことで、入館管理局への届け出は免除されます。この届出は、外国人が退職した翌日から10日以内に必ず提出しなければならず、期限を過ぎると罰金の恐れもある為注意が必要です。

退職後の外国人の動きを把握しておく

外国人が退職する時に企業が注意をしなければならないのは、退職後の外国人の動きを把握しておくことです。外国人が転職を行い、自社とは違った仕事内容に就く時には、必ず在留資格変更手続きが必要になる為問題ありません。しかし、同じ職業に就く場合や転職は行わないけどそのまま日本に滞在する場合には、外国人がしっかりと資格更新やビザ変更手続きを怠ってしまうかもしれません。在留資格について何か問題が発生した場合、元雇用先として入館管理局から問合せがあることも考えられる為、退職後も把握できる様にしておきましょう。

就労ビザの手続きを正確に行う

外国人が退職した際には、企業は就労ビザの手続くを正確に行うことを注意しなければなりません。就労ビザは日本企業で働く為の証明として付与されている在留資格です。その為、仕事を行っていない外国人が日本に滞在することは出来ません。しかし退職後すぐに就労ビザが切れる訳ではないので、外国人労働者にしっかりと説明しておく事が大切です。外国人が退職後にどのような選択をするかによって所有しているビザのままで良いのか、変更手続きが必要なのかが変わってきます。外国人に事前に確認し必要なビザの手続きを行いましょう。

まとめ

外国人の退職をスムーズに行いましょう

外国人が退職する際に、企業側が行う手続きや外国人本人が行う手続きなどについて解説しました。外国人が退職する場合は、日本人が退職する場合と必要な手続きはほとんど変わりません。しかし就労ビザを取得している外国人は再就職をする際や、在留資格を変更する際の手続きをしっかりと行っていなければ、資格喪失してしまう可能性もあります。退職後にトラブルにならないようにするためにも、手続きの流れを外国人としっかり話し合いを行っておくことが大切です。外国人の退職をスムーズに行いましょう。

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