記事更新日:2021年02月05日 | 初回公開日:2020年12月28日
人事・労務お役立ち情報経験学習とは、経験を通じてそれらを深く省察することによって、学びを得るという学習方法です。経験をするという行為だけでは、私たちはそこから学びを得ることはできません。経験の過程を振り返り、反省すべきことや気づきを得ていくことが大事です。経験から気づきを得ることができれば、次の取り組みに過去の経験を生かすことができるようになるでしょう。過程を振り返り次に生かすという点で、経験学習とPDCAは、同じ意味合いだと解釈されることもありますが意味合いが異なることに注意が必要です。
PDCAは、業務改善を重視することに重きを置いています。PDCAとは、計画(plan)をし、実行(do)した後、それらを評価(check)し、次へ生かすために改善(action)をしていくという手法です。改善(action)を行ったら、また計画し実行を行い、という具合にPDCAのサイクルを繰り返し行っていきます。繰り返すことで継続的に業務を改善していくことができるでしょう。PDCAの最終的な目標とは、PDCAを繰り返し行うことで、より良い業務の改善につなげていくことです。
PDCAが業務改善を重視するのに対して、経験学習は経験から気づきを得ることを重視しています。経験学習は、経験を行った後に多角的な視点から考察を行います。その後、様々な場面で過去の経験を生かすために概念化をし、それが使用できそうな場面で試行していきます。PDCAは業務改善をすることが目的ですが、経験学習は具体的な経験から気づいたことを深く掘り下げて、学びを得ることを目的としているので注意しましょう。二つの手法はよく似ているものですが、目的が異なることを知りましょう。
経験学習の目的には、社員の能力の向上があります。経験学習を行うことで、社員は業務を振り返り気づきを得られるだけでなく、概念化し試行することで、他の社員へ更に効率的な業務方法を共有できるでしょう。また、新しい理論を試行していくことで、社員に新しいことに挑戦する心も生まれます。優秀な人は業務で起こった失敗から学び、次に同じ失敗を繰り返すことがありません。反対に同じ失敗を何回も繰り返す人もいます。この違いは、経験からきちんと学習をしているかどうかから来ています。
経験学習の目的は、仕事の生産性を上げることにもあります。私たちは経験を繰り返しそこから学びを得ることによって、その業務を上達させていくでしょう。仕事の生産性を上げることは、経験した仕事をしっかりと振り返り、さらに効率の良い手法へ変化させていくことが大切となります。経験学習をすることで、生産性を向上させ短時間で質の高いパフォーマンスができるようになるとともに、問題解決能力も鍛えることができるでしょう。
経験学習の手順として、最初に具体的な経験をすることから始まります。まず具体的な経験をしなければ、そこから学びを得ることはできません。自身が経験をしていない事象について考察し、他者と議論を交わしても、経験で得ることのできる本質的な学びを得ることはできないでしょう。また具体的な経験には、自分では予想だにしなかった経験について題材にすると良いです。予想できなかった経験について深く考察することで、次に同じようなことが起こった時にスムーズに対応できるようになるでしょう。
経験学習の手順の二つ目は、多角的な視点から考察をすることです。予想できなかった経験を、客観的にどうしてそれが起こったのか考察してみましょう。私たちは起こった経験に対して、客観的な考えで物事を見ることが難しく、一方的な視点で物事を見てしまいがちです。予測困難であった結果をもたらした経験について、自問自答を行い客観的な視点からいくつか考えられる気づきをあげていきましょう。また、多面的な考えを聞く機会として、他者の力を借りることも最適です。アクション・ラーニングという手法は、一つの問題に対して、グループ単位で解決と考察をしていきます。ルールとして、他者は質問以外の具体的な助言などをしてはならず、本人も質問に対しての答えしか話してはなりません。先入観を取り払うための工夫と言えます。
経験学習の手順の三つ目は、様々な場面で生かすために経験を概念化することです。多角的な視点からの考察を利用して、次に同じようなことが起こった際に、どのような行動をとるべきかの概念化をしていきます。概念化には、自分だけでなく他者にも分かるように、分かりやすく書くことが大切です。概念化の過程を行わないと、次の機会に生かせず、新しい事態に対応することができなるでしょう。振り返りだけでは、具体的な経験を応用して新たな事態につなげることができないので、概念化のステップは重要です。
経験学習の最後の手順は、使えそうな場面で試行することです。具体的な経験から得られた考察と、次に生かすため概念化した理論を、新たな場面で試行していきます。しかし、本格的に導入するのはリスクが伴いますので、経験から生み出された概念化を、まずは検証していきましょう。新たな理論を試行するのには、勇気が伴うものです。理論は試していかなければ、それに伴った行動も遅れていくだけなのでスピード感を持って行動してみましょう。
経験学習のメリットは、業務をする中で普段は見落としがちな気づきが得られることです。具体的な経験をした場合、それについて振り返ることはあってもわざわざ概念化することは少ないでしょう。結果の予想が困難であったエピソードについて、考察の後に概念化をすることによって普段見落としがちな気づきを得ることができるでしょう。一つの経験に対して、アクション・ラーニングで他者のサポートを受け、自分自身に深く問いかけることで、客観的な視点での気づきや教訓を得ることもできそうです。
経験学習のメリットは、どの年代にも有効であることです。経験学習は、いつどのタイミングで始めても効果が得られることが利点です。経験学習の中の二つ目の考察は、アクション・ラーニングという手法を用いるのが効果的です。グループ単位で問題を解決していくものですが、一人ではどうしても客観的な視点で物事を考えることが難しいでしょう。その中で多くの人がアクション・ラーニングに参加することで、様々な価値観に触れることができるので参加者は良い刺激になることでしょう。
経験学習が促進される職場の特徴して、社員の能力向上に重きを置いていることです。社員が能力向上に重きを置いている会社は経験のプロセスを重要視します。単に業績を上げることばかりに目を向けている会社であると、利益のみに捉われ、社員の能力向上が疎かになるでしょう。社員の能力向上に重きを置いている会社は、経験を通して得られる気づきや学びが社員の幸福や、仕事へのモチベーションを上げることに気づいています。また、経験から得た学習を次に生かせること業績の向上にもつながるでしょう。
経験学習が促進される職場の特徴として、日常的に業務の振り返りを行っていることが上げられます。日常的に業務を振り返る習慣があるかどうかということは、会社の企業理念や風習にも関連性があるでしょう。社員が自然と日常的に業務の振り返りを行っている会社であれば、社員全体に、無意識下で経験から学習をし次の業務に生かしていくという取り組みが生まれます。結果が全てという職場より、結果に至るまでのプロセスも重視することを評価している会社であれば、自然と経験学習も促進されます。
経験学習の導入事例として、OJT制度で成長を促す取り組みがあります。OJT制度とは、上司が部下を指導する制度のことですが、上司の部下への指導の仕方に注意する必要があるでしょう。上司は、部下に対して傾聴の姿勢を持ち、部下が自主的に考察できるような環境作りが必要です。上司は部下に対して全てを指導するのではなく、部下に対してどのようにすれば業務がスムーズに進むかなど、部下をアシストするような問いかけが大切です。
経験学習の導入事例として、研修でプロセスを学んでもらうのも良いです。経験学習をいきなり日々の業務で実施しようとしても、実際にどのような流れで行えば良いのか分からない場合も多いでしょう。研修でじっくりとプロセスを学び、練習として研修の中で経験についての考査と、概念化の流れを行ってみると良いかもしれません。研修でしっかりとプロセスを学び、シミュレーションができたら、実務でも使用して感覚をつかんでいきましょう。
経験学習を導入している代表的な企業には、ヤフー株式会社が上げられます。ヤフー株式会社は、経験学習の取り組みとして、社内で「1on1ミーティング」を実施しています。週に1度30分程度のミーティングが、上司と部下の間で行われます。部下は上司へ業務の振り返りや、今後の業務の課題や目標を共有し、上司と解決方法について話し合います。こまめなミーティングを行うことにより、経験学習の習慣がつくでしょう。また気づきを糧にして、今後の業務と向き合う姿勢が培われます。
経験学習とは、経験を通じそれらを深く省察することによって、学びを得るという学習方法です。具体的な経験をした後、内容を考察し分かりやすく概念化、そして試行するという手順を辿ります。今回は、経験学習の目的から手順、また導入事例などをご紹介しました。毎日の仕事の中で経験学習を導入できることは多いでしょう。ぜひ日常的に経験学習を取り入れ使うことでさらなる能力の向上を図ってください。日常的に経験学習を行うことで、やがてそれが習慣化し、意識しなくとも自然に行うことができるようになるでしょう。
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