新興国市場とは【参入するための戦略や課題について説明します】

記事更新日:2021年08月25日 初回公開日:2021年08月06日

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昨今、海外進出を考える企業は多くなってきました。グローバル化のおかげで海外進出に対する認識が変化してきていることがその要因でしょう。事業の海外進出を考える時、市場ごとの特徴をおさえていくことが重要です。市場の中でも最近注目を集めているのは成長がめざましい新興国市場です。まだ規模は小さく、不安要素が多い市場ですが、人口や資金の増加による経済成長は目を見張るものがあります。この記事では未来への期待の大きい新興国市場について紹介していきます。事業の海外進出先を考えている方には必見です。

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新興国市場とは

経済成長を続ける国の市場

新興国市場とは人口が増加傾向にあり、経済成長が期待される国の市場のことです。人口が増加していく国では消費が増え始めるのでお金がよく循環していきます。お金の循環が良くなると経済が発展し、国が成長していきます。最近ではBRICsやVISTA、ネクスト11のように経済成長の著しい国をグループにして呼ぶことがあります。これらグループに属す国々は現在成長中であり、10年後20年後の世界を背負っていくことが期待されています。

新興国市場の国々

BRICs

BRICsとはブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国の頭文字を集めた造語です。これら4カ国は2000年以降にめざましい経済の発展を遂げています。2011年からは南アフリカもこのグループに参加しており、名称もBRICSとsが大文字に変化しました。BRICSのGDPは2039年頃には米日独仏英伊の6カ国の合計GDPを上回ると想定されています。BRICSの国々は国土の広さ、天然資源の豊富さ、労働力の大きさが共通点です。これからの世界を支えていくことになる一方でエネルギーの需要が大きくなり、世界的な原油価格の高騰や食糧不足に大きく影響を与えることが予想されます。

VISTA

VISTAとはベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチンの5カ国の頭文字を合わせた造語です。BRICsに続いて経済発展が大きくなる新興国グループと評価されています。人口が増加の一途をたどり、消費の多い中産階級の割合が大きいことが特徴です。また外貨導入にも積極的であるのでVISTA5カ国に進出する外資系企業も増加しています。経済成長がめざましい一方で国内情勢が不安定になりやすい点が懸念材料です。

ネクスト11

ネクスト11も経済成長が期待されている新興国市場のひとつです。ネクスト11に属している国はイラン、インドネシア、エジプト、韓国、トルコ、ナイジェリア、パキスタン、バングラディシュ、フィリピン、ベトナム、メキシコの11ヵ国です。韓国は先進国と同様な評価を国際社会で得ています。しかし韓国以外の国々では国内情勢や通貨の価値が変動しやすいなど懸念材料は残ります。成長は間違いないですが、不安要素も大きい国々です。

新興国市場の特徴

多様性に富んでいて急成長を遂げている

新興国市場の特徴として、成長率の大きさと多様性に富んでいることがあげられます。人口が右肩上がりに増加していくので、消費は拡大していきます。参入当時、市場規模が小さくとも、時間の経過とともに人や資本が流入してくるでしょう。それにともなって市場は拡大し成長していきます。またグローバル化の影響もあり、国内外からの人や資本の流入が多くなるでしょう。市場拡大していくと扱われる商品も増えていき、市場は多様性に富んでいきます。

新興国市場における戦略

マーケティングをしっかり行う

新興国市場に参入を考えるとき、マーケティングは重要です。相手とするお客様は同じ日本人ではなく、海外の異なる文化で暮らしてきた方です。私たち日本人から見ると暮らしや考え方も違います。したがって必要とするモノやサービスも異なるでしょう。日本企業がそのような海外の人を相手にする時、日本と同じ戦略では通用しません。海外でも通用する戦略を組み立てるためには徹底的な調査が必要です。市場の傾向や競合、国の文化など調べられることは全て調べます。現地の人の意見も聞けるとなおいいでしょう。そして調査結果をもとに戦略を立てていきましょう。

インフラの整備を行う

新興国ではインフラ整備が急務となっています。インフラとは生活を支える基盤のことです。具体的には電気、水道、道路などを指します。新興国では生活に必要不可欠な基盤が不完全であることが多く、インフラが不十分であると人や物の流れが遅くなります。結果的に売上や機会の損失につながってしまいます。したがってまずはインフラに投資することが大切です。将来的にインフラ整備が大きなリターンとして返ってくることを期待しましょう。

文化の違いを共有し生産性を上げる

新興国の特徴として自国の文化が根強く残っていることがあげられます。人やモノの流れがまだ活発でないために自国の常識が強く浸透しています。現地の人を雇って事業を行なうと、宗教上の理由で取り扱うことのできない商品がある、言語の違いから意思疎通が難しい、といった問題が生じるのは日常茶飯事でしょう。しかしここで現地の人と対立してしまうとその市場における今後の事業拡大が危ぶまれます。現地の人と協力関係を築くことができれば、生産性が上がることは間違いなしです。「郷に入っては郷に従え」の精神で現地の文化を尊重しましょう。

新興国市場へ参入するメリット

成長する経済圏で利益が確保できる

新興国市場で利益を確保できることはとても大きなメリットです。初めこそ市場規模は小さく、市場の成長や国内情勢など不安な要素は多いですが、市場の成長とともに利益も拡大していきます。成長市場は国内外から人や資本が集まりやすいために同じ労力やコストであっても他の市場よりも大きな利益をあげられることが多いです。また競合も少なく、利益を確保しやすいでしょう。参入当初こそ賭けの要素が大きいですが、それに見合ったリターンも期待できるでしょう。

人件費や原材料費などのコストを削減できる

新興国の特徴として人口が増加していること、天然資源が豊富であることがあります。したがって人件費や原材料費などのコストが削減できる点がメリットです。新興国では先進国と比べて人件費が安いです。さらに人口が増加の一途をたどっているので労働力の確保に困ることはなくなります。したがって優秀な現地の人材を確保することが重要です。また新興国では天然資源が豊富であることが多く、資源の輸出が貿易の中心となっている国も多いです。輸入分のコストがかからないので日本よりも安く資源を利用できます。

新興国市場への参入における課題

リスクを伴う

市場や経済のリスク

新興国の市場や経済は成長が著しい一方でリスクも存在します。そのリスクとは海外の影響によって市場や経済が変動しやすいことです。新興国の市場や経済は先進国に比べ、規模が小さいために海外からの多額の資金の流入出があった場合には大きく変動します。また国内の有力な投資家も少なく、海外の投資家に資本の多くが握られているために自国で経済や市場を管理しきれず、不安定な状況が続いているのも事実です。新興国市場では国内だけでなく海外の影響も考慮することを覚えておきましょう。

政治などのリスク

新興国特有のもう一つのリスクは国内情勢が不安であることです。具体例で言えば、ミャンマー政権が軍に乗っ取られたことやインドやパキスタンでの空爆でしょう。新興国では政権交代による影響がとても大きいです。政権交代後、派閥の変化により前政権とは方針の異なる改革が行われる可能性もあります。また新興国諸国では政治に対する不満に対してデモが発生することが非常に多いです。デモがストライキにつながり、経済活動に影響を与えていることは言うまでもありません。

新興国市場での各国の動き

中国の動き

経済状況と推移

中国経済はコロナ影響により2020年1-3月期はマイナス成長になりましたが、その次期以降プラス成長が続いており持ち直していると言えるでしょう。輸出入も増加しておりコロナの影響は去ったともいえますが、中国経済で今一番懸念されているのはバブル崩壊です。2020年後半には中国の大手企業で社債の債務不履行が多発しました。いずれも中国政府が支援している国有企業でした。中国国内の各市場は過熱気味の傾向があり今の勢いが収束する可能性が高いです。収束時に中国経済がどこへ向かうのか、非常に気になるところです。

中国人民元と状況

中国人民元は2016年に国際通貨基金が特別引出権構成通貨に採用したことで米ドルやユーロと同様、主要通貨に位置づけられました。また近年では人民元のデジタル化が進められており、世界的に地位向上が期待されている通貨です。人民元の特徴は金利の高さです。先進国の中で4%前後の金利を保っているのは中国だけでFXでも注目を集めています。また中国のGDPは製造業の割合が他国よりも大きいので、人民元の動向はGDPや物価関連指数、景気消費指標に大きく左右されやすいです。

インドの動き

経済推移と課題

インドの経済成長の背景には人口の増加とITの発展が要因として挙げられます。インドの人口は現在約13億人です。2027年には中国の人口を超えると言われています。また働き手である生産年齢人口の割合が約70%であり、成長の加速が期待できます。インドがITに強い理由はエンジニアが多いからです。エンジニア増加の背景にはIT分野がカースト制にとらわれないことがあります。身分関係なく就職しやすいことからエンジニアは増加しています。インドの課題は貧富の格差と大気汚染問題です。成長が大きいと、格差が拡大し環境が崩れていくのは必然のことかもしれません。これらの問題に対する対応がインドの未来を左右するでしょう。

経済改革

インドでは税制簡素化や外貨規制緩和、労働関連法制などの改革を進められてきました。これらの改革の目的はインドでのビジネス環境を改善していき、海外からインドへの企業進出を増加させることです。現在はアメリカとの折り合いの悪さのために中国から他の新興国へ拠点を移す企業が増えています。インドの狙いはその移転先の筆頭となることです。移転先となればインドへの経済効果は非常に大きなものでしょう。海外からの企業進出、成長スピードの増加のためにもインドの経済改革は外せません。

ブラジルの動き

経済の推移と課題

ブラジルの経済成長は大豆やコーヒーなど農畜産物の輸出、原油や銅など天然資源の輸出に支えられています。輸出額は2000年以降数字を大きく伸ばしてきており、現在では中国とともに輸出大国です。また天然資源が豊富であるおかげで製造業も成長してきています。ブラジル経済の課題はインフレと環境問題です。貨幣価値が相対的に下がることで貿易では有利に働きますが、ブラジル国内ではお金が動きづらくなります。国内での成長が遅くなる原因です。さらに過去には農地拡大のためにアマゾン伐採もありました。貿易は成長しましたが、近年では降雨の減少による停電や水道代の上昇を引き起こしています。

まとめ

新興国市場に進出して企業の成長に繋げよう

新興国市場は人やモノの流れが加速しどんどん成長していく、未来がとても楽しみな市場です。10年、20年先には世界経済を支えていく可能性があるので、市場に参入する価値はとても大きいです。成長率が大きく利益をあげやすいメリットがある一方で、デメリットとしては調査を行なわないと思うように利益を上げられないという不安があります。また国内情勢が不安定さや文化の違いなどの懸念材料も多数存在することが現実です。事前に調査をして参入リスクを知った上で計画的に進出していきましょう。

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