記事更新日:2023年07月07日 | 初回公開日:2023年07月07日
用語集 グローバル用語解説 人事・労務お役立ち情報 外国人採用・雇用DEIとは、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの略語です。1960年代に起こった公民権運動をきっかけとして、アメリカでダイバーシティ(多様性)が推進され始め日本でも多様性を重視する企業経営が進んでいます。従来まではD&I(ダイバーシティ&インクリュージョン)多様性と包括性という言葉を合わせて使われていました。しかし最近ではその2つにEquity(公正性)を追加したDEIが一般的になってきています。
ダイバーシティ(多様性)とは、人種や年齢・性別差にこだわることなく様々な人達が集まることを指しています。ダイバーシティには、表層的ダイバーシティと深層的ダイバーシティがあります。表層的ダイバーシティは、自分の意思で変えることが出来ない人種や年齢・民族的伝統などを指しています。深層的ダイバーシティは、客観視すると同じもののように見えるが内面的に見ると異なる職務経験や働き方、受けてきた教育などです。属性の違いを理解することが大切です。
エクイティ(公平性)とは、あらゆる人の機会が公平に保たれている状態の事を指します。企業が従業員のたようせいを受け入れるだけでなく、従業員のバックグラウンドや宗教的問題などを考慮しそれぞれが抱えている不均衡を是正するための取り組みです。似た言葉としてイクオリティ(平等性)がありますが、平等性は個人の違いなどを加味せず全ての人に同じ待遇や機会を与えるもので、個人の状況を加味しているかどうかが異なります。
インクルージョン(包括性)は、一人一人が認められ一体感をもって働くことが出来る環境を意味しています。全ての人が多様性を認められて公平な環境であっても、企業への帰属意識が高まるとは言えません。様々な環境や考え方を持った人達の考えや価値観を、認められ活かしていくことで包括的な場を提供してると言えます。インクルージョンを推進していくことで、従業員が組織に居場所を感じることが出来るようになり、エンゲージメントの向上や離職率低下にも繋がります。
DEIに似た言葉にDEIBがありますが、DEIBはDEIにビロギング(帰属意識)を加えたものです。DEIは企業の戦略としてのニュアンスが大きいのに対し、ビロギングは従業員が安心して企業で働ける環境を作るという従業員側の気持ちを尊重するものです。従来帰属意識は、企業で働いていく中で自然と高まっていくものだと考えられていましたが、何もしない状態では帰属意識は高まらないといった事例が多くありました。従業員の心理的安全性を高めるために、ビロギングも注目されています。
DEIが注目されている理由は、企業間取引がグローバル化している為です。スマートフォンやPCの普及でIT化が進み、海外の企業が日本に進出することも増えています。グローバル化に合わせたニーズへの対応を行った商品開発や、海外に負けない為の競争力など経営課題に対応する人材の育成と採用が求められています。企業としてグローバル化に対応しなければなりませんが、日本は従来閉鎖的で文化の異なる人となれていない事が多い為、全ての人が安心して働ける環境作りが重要です。
DEIは価値観が多様化している事からも注目されています。終身雇用制度の崩壊や労働者の仕事に対しての意識が変化している事から、従来の働き方とは変わってきています。ワークライフバランスの重視や、帰属意識の軽薄化など労働者の意識は様々な多様性が表れており、自らのキャリアアップの為に転職を行う人や男性の育児休暇取得も増えてきています。フリーランスや副業など働き方の選択肢が多数ある中で、優秀な人材を確保する為に柔軟な対応が求められています。
労働力人口の減少に伴い労働力が変化している事から、DEIが注目されています。少子高齢化により、生産年齢人口の減少や女性の社会進出・シニア世代の労働人口増加など労働力が変化しています。大手企業や中小企業問わず、人材の確保が課題となっている昨今ではグローバル化や価値観の多様化と合わせて人材確保も優先しなければならない課題です。性別や年齢に囚われることなく様々な人材を確保し、多様な人材が働きやすい環境を提供を迅速に行う必要があります。
DEIを促進するメリットは、新しいアイデアの創出が期待できる事です。社会情勢の変化などにより、ニーズの多様化や商品・サービス需要の細分化され従来の方法(他社との差別化)では消費者に選ばれづらくなってきています。こういった状況で企業が長く運営をしていく為には、DEIを導入してアイデアを活性化する必要があります。多様な人材が集まり、その特性を活かした配置転換を行うことでイノベーションが起こりやすくなります。
DEIを促進することで、若手の人材獲得に繋がります。少子高齢化や人口減少によって、新卒で一括採用を行うことが難しくなっている中、女性や外国人・シニア層の人々を採用する必要事が必要です。貴重な若手人材は、企業がどの程度DEIを推進しているのかについて関心を寄せている人が多い為、DEIを導入している企業が選ばれやすくなっています。価値観の多様化を受け入れ、従業員にとって公平になるような環境を提供するDEIは人材確保にも繋がります。
企業イメージが向上するのも、DEIを促進するメリットです。従業員だけでなく、企業に関わる人達の個人や価値観を尊重している企業だという事は、社内だけでなく社外にもアピールすることが出来、企業ブランディングに繋がります。マーケティング戦略においても企業がDEIを推進しているかどうかは重視されており、消費者から商品やサービスを選んでもらえる基準にもなります。顧客や取引先から魅力のある企業だと認識される為にも、DEIを経営戦略に盛り込むことは重要です。
DEIを促進するポイントは、自社にDEIを取り入れる必要性を言語化することです。DEIを導入する為に最初に行うべきなのが、DEIを導入することで自社にどんなメリットがあるのかを具体的に考えることです。言語化出来た後は、DEIが浸透している状況=ゴールも具体的に設定しましょう。従業員にDEIを導入を周知する為には、具体的なゴールがある方が理解を得られやすくなります。DEIを導入している企業の評価指針を元に定量的な目標を設定するという方法があります。D&Iアワードやなでしこ銘柄を参考にすると良いでしょう。
DEI促進のためには、経営ビジョンにDEIの推進を取り入れましょう。DEIを推進する理由やゴールを確定させたら、経営理念や経営ビジョンに盛り込み社内外に公表します。DEI推進の方針をしっかりと確定させることなくDEIを推進しようとしても、現場や取引先を混乱させてしまう可能性があります。経営陣がDEIに関するメッセージを発信する・社内でDEIについて意見交換する場を設けるなど経営陣がDEI推進に対して積極的に取り組んでいる姿勢を示すことが大切です。
DEIを推進するポイントとして、人事制度の見直しが挙げられます。DEIを推進していく為には、従業員の多様性を尊重し公平な環境を提供出来る人事制度を整備しなければなりません。DEIを既に取り入れている企業や外部機関の指針を参考にしましょう。ジェンダー公平性の確保や国籍や障害の有無に囚われずに様々な人材が活躍できる環境の提供など、DEI推進の施策として行われています。従業員の家庭環境に合わせたファミリーサポート休暇なども取り入れやすい施策の一つです。
現場にDEIを浸透させるのも、DEIを推進するポイントです。DEIを企業全体で推進していく為には、経営陣の意識や人事制度の整備を行うだけでは不十分です。実際に現場で働いている従業員に理解して貰えなければ、DEIを浸透させることは出来ません。現場に浸透させるためには、リーダーに当たる管理職の人達が日々の関わりの中でDEIに準ずるアクションを取ることが大切です。管理職向けに研修を実施し、DEIとは意見が異なる従業員の意見にも耳を傾けながらダイバーシティマネジメントを行っていきましょう。
DEIはパナソニック株式会社で導入されています。大手電機メーカーのパナソニックでは、経営施策の中でも重要なものの一つとしてDEI推進と働きやすい環境作りに取り組んでいます。グループ内で共通の目標やポリシーを掲げており、「多様な人材がそれぞれの力を最大限発揮できる最も働きがいのある会社」になる事を目標にしています。具体的な取り組みとして、リモートワーク制度の導入や多様性を推進する機会としてグループDEIフォーラムを毎年実施するなどしています。
株式会社カルビーもDEIに取り組んでいる企業です。カルビーでは、女性活躍を推進することを最優先課題として掲げており、様々な働き方の提供やキャリア形成を応援する制度などの取り組みを実施しています。2024年3月期までに女性管理職を3割にするという目標を掲げ、女性を登用しリーダー育成や育児休暇からの復職などに合わせたワークショップや研修を実施しています。更に従来までは場所や回数制限を主なっていたモバイルワークの上限を撤廃し、原則モバイルワークに移行しています。
DEIを促進するポイントや、促進した場合のメリットなどについて解説しました。グローバル化が進むことによる競争の激化や、コロナウイルスにより働き方に変化が起きている中で多様な人材の受け入れを行い、企業価値を高めるためにはDEI推進が欠かせません。DEIの推進は従業員のエンゲージメント向上や働きやすさが高まり企業ブランディングに繋がる為、新しい人材獲得など企業にとっても多くのメリットがあります。DEIを取り入れて従業員が活躍しやすい職場を作っていきましょう。
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