チャレンジ雇用とは?【トライアル雇用との違い・チャレンジ雇用のその後は?】

記事更新日:2020年07月16日 初回公開日:2020年07月12日

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チャレンジ雇用という採用方法があるのをご存知ですか?トライアル雇用と同じように捉えている人もいますが、採用基準や期間などさまざまな点で異なります。各省庁や自治体ではチャレンジ雇用枠を設け求職者を募集していますが、あまり認知されていないのが現状でしょう。近年は、障がい者雇用の水増しなど弱者に対する雇用トラブル問題もあり、各省庁・自治体では積極的な採用活動が進んでいます。今回は、チャレンジ雇用のメリットやデメリットに加えて、申請方法や支給額などについて解説していきます。

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チャレンジ雇用とは

障がいのある方を国や地方公共団体の機関で雇用する事

チャレンジ雇用とは、知的障害などの障害を持っている人が国や地方公共団体で働き、その経験を生かしてハローワーク等を通じて一般企業などへの就職へとつなげる制度です。身体障害者手帳や愛の手帳を取得している人が対象。仕事内容はさまざまですが、郵便の仕分けや配布などの労働作業から、パソコンによる資料作成などの事務作業まであります。障害のある人で働いた経験がなく(少ない)、働くことに不安があり就職に向け仕事の経験を積みたい人が対象です。障害の種類や障害者手帳の有無などの応募条件は職場ごとに異なり、一概ではありません。

省庁や自治体での勤務後一般企業の就職に繋げる制度

チャレンジ雇用制度を活用して省庁や地方自治体で働く場合、正規職員ではなく、非常勤職員として雇用したのち、一般企業などへの就職につなげます。ですので、一般的な就職とは違い、チャレンジ雇用で採用された場合は、期間が定められており、最終的には一般企業への就職を目指します。障害の程度により終業時間も柔軟に対応されており、精神疾患や発達障害のある人でしたら、週20時間未満など配慮がなされことも。他にも、週10~15時間くらいの勤務から始め、体調にあわせて徐々に勤務時間を増やし、チャンジ雇用期間中に週20時間以上の勤務を目指すこともできます。

チャレンジ雇用とトライアル雇用の違い

チャレンジ雇用は非常勤職員でスキルアップ

似た採用制度に、一定期間のあいだ一般企業で試しに働いてみる「トライアル雇用制度」というものがあります。この制度は、働いた経験がない、離職してから長い期間が経過しているなど、何らかの理由から就職に不安がある人が対象です。トライアル雇用は、期間が終わり双方が希望する場合は、引き続きその会社で働き続けることを前提とした制度。それに比べ、チャレンジ雇用は国や地方自体の非常勤職員として働き、ある一定の決められて期間でスキルアップし、一般企業へ就職することを目的とした制度になります。

トライアル雇用は一般企業でお試しで働く事

一般的にトライアル雇用は一定期間、一般企業でお試しで働いてみる制度です。就業経験の少ない人や就労期間にブランクがある人にとって、再び働き出すことに不安があり、踏み出せない人も多くいます。また、雇用側もブランクのある人を採用した場合、すぐに辞めてしまわないかと考え、採用を控えることもあるでしょう。その点、トライアル雇用は双方が合意すれば本採用にになりますが、期間終了後に採用しなければいけないという義務がありません。ですので、業務をおこないながら雇用者の適性を見ることができるので、ミスマッチが起こりにくいのも特徴です。

チャレンジ雇用が注目される背景は?

平成18年に障害者自立支援法が施行された

障がい者がさまざまな地域で安心して暮らせる社会の実現のため、平成18年4月に障害者自立支援法が施行されました。世界の先進国では、早くから取り入れられていますが、日本でも障がい者における就労支援が本格的に強化されてきました。これにより、従業員が一定数以上の事業主は、従業員に占める障がい者(の割合を国が定めている法定雇用率以上にする義務ができました。漠然とした「障害者も安心して暮らせる社会」という指標から、数値として明確に定義。従業員を45.5人以上雇用している企業においては、障害者を1人以上雇用する必要があります。

平成19年に成長底上げ戦略が提案された

障害者自立支援法に加え、平成19年2月15日に成長力底上げ戦略(基本的な構想)が提案。国家的な戦略の一環として「福祉から雇用へ」の推進5か年計画が新たに実施されました。その中でチャレンジ雇用の推進と拡大が大きく打ち出され、国や地方自治体でより積極的に進められてきました。この背景とも言えるのが、2006年に国連で採択され、2008年に発行された「障がい者権利条約」です。日本でもこの条約に同意し、障がい者雇用率は5%以上のドイツやフランスとならぶ雇用率を目指しています。

チャレンジ雇用の雇用期間

雇用期間は最大3年間

チャレンジ雇用は、1年以内の期間を単位として最大3年の期間で雇用します。各省庁や自治体において、非常勤職員として雇用し、働くことに自信をつけ一般社会で働くためのスキルアップ期間。それぞれの業務内容に合わせて対応するため、チャレンジ雇用の期間も1~3年と幅があります。少ない期間でスキルアップして一般企業に採用が決まれば、契約を終えても問題ありません。しかし中には、一般企業の採用に繋がらず、就労継続支援A型、就労継続支援B型といった就労移行支援事業所を利用するケースもあります。

契約期間は職場によって異なる

契約期間や勤務時間については、職場や障害の種類や程度によっても異なります。また、本人の特性(長時間の立ち仕事はできない)によって異なるため、採用前に業務可能な範囲を決めておく必要もあるでしょう。また、チャレンジ雇用は最長で3年未満と決まっていますが、それ以内であれば業種を変更することも可能。求人票の段階では、最大7時間45 分の勤務であれば勤務時間帯も双方の話し合いで決めることもあります。勤務時間帯は 9:30~18:15のみ提示するだけの場合と、勤務時間については応相談など、記載することはできます。

チャレンジ雇用の給料について

給料は当人の能力によって異なる

給料は業務時間や当人の能力によっても異なりますが、多くは他の非常勤職員と同一、またはそれに準じた基準で設定しているようです。これは、チャレンジ採用に限らず一般の採用にも当てはまりますが、Word、Excelなどの基本的なデスクワークスキルがあると採用に繋がりやすい傾向があります。例えば、環境省が募集しているチャレンジ雇用の場合でしたら、日給8,150円~9,640円の間で学歴や職歴などを考慮した上で決定されており、業務時間も固定。これはあくまでも一例になるため、賞与、通勤手当、扶養手当、住居手当など福利厚生面も合わせて決めていきましょう。

雇用者は給与設定に気を付けなければならない

障がい者であるという点で給与を下げてはいけない

チャレンジ雇用で採用した場合、他の従業員に比べて仕事量において劣ることが多くみられますが、「障害はある」という点だけをもって給与差をつけてはいけません。ステップアップ期間という位置付けではありますが、そのような点からも給与設定には気をつける必要があります。給与については他の非常勤職員との均衡のとり方がポイントになりますが、同程度とするところが多いでしょう。もちろん、業務内容によっても変わってきますが、他の非常勤職員と比べて極端に低いなど、明らかな対応は本来の目的にも反します。給与設定はハローワークなどにも確認すると良いでしょう。

モチベーションが上がる給与設定を心がける

給与設定に加え、昇給などは働く人にとってのモチベーションにつながります。もちろん、雇用者の能力(成果)によるところもありますが、契約更新の際などには、わずかでもよいので給与額を引き上げることでやる気をもたらすでしょう。働いた経験のない人にとって、他社からの良い評価ははじめての経験であり、働くということへのモチベーションがより向上するという効果もあります。同じ仕事ばかりでは評価もしにくい部分もあるため、雇用者のためにも少しづつでも新しい業務を加え、スキルアップしている感覚を持たせるようにしましょう。

チャレンジ雇用の全体の流れ

事前準備をする

チャレンジ雇用を受け入れる環境づくり

チャレンジ雇用の実施に当たり、まずはどの部署で受入れるかなど、受け入れる環境づくりをする必要があります。障がい者の雇用経験がないと、どうしても各部署が受入れに消極的になる傾向があります。まずは、人事担当部門などでチャレンジ雇用を実施し、実績を示した上で他部署への普及を図ることからはじめて見るもの良いでしょう。チャレンジ雇用は、周りで働く従業員の理解と協力がなければ実現しません。人事部での実績をや働きぶりを伝えたり、職場内のさまざまな部署が障がい者の雇用に対して前向きに考えらえる環境をつくるようにしましょう。

ハローワークで募集をする

各省庁や自治体のチャレンジ雇用の採用は、基本的にハローワークに求人を依頼します。ハローワークを通して、障がい者雇用の部署から障害のある人に求人が紹介され、履歴書や面接へと進むのが一般的です。採用方法は、面接だけで決まる場合もあれば、雇用前実習と呼ばれる3〜5日間勤務をして、マッチングを図り、採用を決める場合もあり、全ての職種で同一ではありません。また、募集の時期によっても求職者が少ない時期、多い時期があり、1年と通して一定とは限りません。採用を希望する前に、一度ハローワークの担当者と面談などをし、不明点を洗い出しておくと良いでしょう。

就業前実習をしてから就業をしてもらう

採用に至る前に、2、3日程度の就業前実習を行い、業務内容などを確認するのもひとつです。この就業前実習の実施に当たっては、あらかじめ任せる業務の候補を割り出し、その業務に要する時間を想定しておきましょう。職種との適性を把握することで、就業後に行う業務や時間配分を組み立てていくことができます。知的障がいを持つ人の中には、時間にルーズだったり、時間を気にしながら業務をできないという場合も場合もあります。チャレンジ雇用期間でそのような課題をクリアにしていくことも必要でしょう。一般企業で仕事をする上では、時間概念をしっかりと身につけ業務についてもらわなければなりません。

ジョブコーチとの定期的な打ち合わせから一般企業へ

チャレンジ雇用期間が終了する数ヶ月前から就職活動を行いますが、その際はハローワークなどの就労支援機関(ジョブコーチ)の支援を受け、一般企業への就職を目指します。一般企業への円滑な就職のためにも、障がい者が日頃からジョブコーチと定期的に打合せを行うように促しましょう。チャレンジ雇用の職場では成立していても、一般企業に通用しない内容だと判断されれば、業務内容などを見直しや改善を行い、雇用者の能力の向上するように努める必要も。障害を持つ人の特性を考慮しつつも、一般企業でも通用するための指導が大切です。

障がい者が自立しやすい環境を作っていきましょう

チャレンジ雇用は、障害を持つ人が賃金を貰いながら、国や地方公共団体の機関で働いた経験をもとに一般企業への就労を目指すことができる制度です。まだまだ、世界の先進国に比べ、障がい者雇用率が低い日本において、障がい者が自立しやすい環境を作ることは日本社会の大きな課題でもあります。障がい者の支援は、希望的側面だけではなかなか難しく、一人ひとりの心構えも大切でしょう。「雇用」という面からのサポートであるチャレンジ雇用は、少子化社会で労働者が減る日本においてもさまざまなメリットになるでしょう。

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