タレントマネジメントシステムとは?【メリットとデメリットを紹介】

記事更新日:2020年02月03日 初回公開日:2019年12月12日

人事・労務お役立ち情報

昨今、日本の企業でも注目されているものの、単なる人材管理システムとの誤解が多いシステムにタレントマネジメントシステムがあります。ここではタレントマネジメントシステムの詳細と共に、貴社のニーズに合った最適なタレントマネジメントシステムを実現するために必須となるパッケージ選定のポイントについても、具体的な事例をもとに解説していきます。数多いタレントマネジメントシステムの中から、きっと貴社が最適なシステムを選定するための有益な情報リソースとなることでしょう。

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タレントマネジメントシステムとは

タレントマネジメント=適材適所の配置や育成

一般的に「タレントマネジメント」とは貴社の人材(会社に貢献できる特に優秀な人材)が持つスキルや能力を的確に把握し、適材適所に配置や育成することを意味します。更に、その人材の持つ能力を最大限に発揮させることも、広い意味でタレントマネジメントといわれます。この「タレントマネジメント」の考え方は欧米では1990年代に生まれ、21世紀に入ってから急速に普及しています。しかし、日本では2010年頃から注目を浴びているものの、現在でも未だ20%程度の導入率でしかないような状況なのです。

タレントマネジメントシステムを導入できていない企業が多い

タレントマネジメントが日本で余り普及しない課題の一つに、タレントマネジメントを実現するために必須となる「タレントマネジメントシステム」構築の難しさがあります。タレントマネジメントシステムとは、社内の人材に関する全ての情報を一元管理するシステムのことです。更に、人事評価の公平化や評価プロセスの円滑化、人材抜擢や後継者計画の支援まで実現するシステムも含まれるでしょう。よって、タレントマネジメントを推進するためには、タレントマネジメントシステムの活用が不可欠なのです。しかしながら、企業のニーズにあった最適なタレントマネジメントシステムを選定、構築するのはかなり難しいといえるでしょう。これが原因でタレントマネジメントシステムの普及率が余り上がっていないのが、昨今の日本の企業の実情なのです。

タレントマネジメントシステムが注目される理由

理由その1:新たな視点での人事管理

タレントマネジメントシステムは、従来の人事管理とは全く異なった新たな視点で利用されます。例えば、グローバルな環境でどのような人がどこにいるのかも不明な状況の中で、人材抜擢や後継者計画を判断しないといけない場合を想定しましょう。あなたが人事担当者であればどのように判断されるでしょうか。単に、担当部門が推奨した人材をそのまま承認するしかないのでしょうか。従来の人事管理方式であれば、当然、経営層や人事が知っている人材の顔を思い浮かべるには限界があり、判断に難しい局面が多々ありました。しかし、タレントマネジメントシステムを導入すれば、人材に対する考え方が根本的に変わります。人材は単に会社の歯車の一つではなく、会社全体の財産であるとの認識が必要となります。この個々の人材の活用や育成に対する方針を明確化し、そしてこれらの情報をシステム管理することから始まります。よって、今後は長期的な視点から人材育成に取組むことに関心を持ち、行動に移すことが必要となるでしょう。このシステム管理によって、人材管理の社内環境が実現出来、人材育成や人材抜擢も会社の方針をもとにシステマティックに実現出来るようになるのです。

理由その2:システム管理の重要性

タレントマネジメントシステムは、利用目的だけでなく利用対象や既存の人事システムとの連携性によっても、選ぶべきシステムが大きく変わってきます。例えば、過去の人事評価や異動履歴などがエクセルで散在して情報を活かせていないとしましょう。そのような場合にこの目的にあったタレントマネジメントシステムを導入することにより、人事情報を集約して管理することが容易に実現出来るのです。更に、人事評価もこのシステムの活用によって上司が持つ主観的な印象で判断するのではなく、日々の具体的な行動内容のアウトプットでより公正に判断することが可能となります。よって、タレントマネジメントシステムの導入によって、人材管理のやり方自体が根本的に変化してシステム管理の重要性がより増すでしょう。

タレントマネジメントシステムのメリット

メリットその1:迅速な人材の適正配置

タレントマネジメントシステムを導入することによって得られるメリットとして先ず挙げられるのが人材の適正配置です。人材の持つタレント(「能力・資質・才能」の意味)や経験値などの情報をシステムで管理しておくことで、役職に見合った人材を社内から迅速に選ぶことが可能となります。更に、空いたポジションに相応しい人材を素早く配置できるだけでなく、新設部門や新規プロジェクトチームの結成時に最適な人材を素早く選択することも可能となるでしょう。つまり、人材の適正配置によるスピーディーなビジネス展開が可能となるのです。

メリットその2:全ての人材関連情報の一元管理

長期的な視点から人材育成に取組むことで、定性的な情報のみでなく日々の個々のデータを収集、蓄積することができます。これにより、初めてタレントマネジメントシステムでのデータベース化が実現し、全社的に一元管理できるシステムが整います。また、個々の人材の適性に合った日々の職務をシステムで管理することで、人材のタレント(得意分野)や意欲を伸ばすことも可能となります。そして、これをベースに個人のキャリアアップに沿った育成計画を立てることも可能になるでしょう。このように、社員が持つスキルや経験値等の全ての情報を人事管理の情報として一元管理することによって、組織横断的な戦略や人材管理も行うことが出来るようになります。この人材関連情報のシステムによる一元管理は、将来的に貴社に多大なメリットをもたらすことになるでしょう。

タレントマネジメントシステムのデメリット

デメリットその1:システムの構築が難しい

メリットが多いタレントマネジメントシステムですが、当然デメリットもあります。それは、数多くのタレントマネジメントシステムから貴社のニーズに合致した最適なシステムを選定及び構築することが難しいということです。冒頭でもふれましたが、これが企業での普及を妨げている一番大きなデメリットでしょう。例えば、タレントマネジメントシステムの選定時に貴社のシステムへの期待内容が明確になっていないと、貴社に最適なシステムを選ぶことは難しいでしょう。これは貴社の事業規模のみでなく、システムの利用範囲や利用目的等の様々な人材管理の範囲に及びます。具体的には、国内及び海外拠点も対象か、更に海外拠点において現地スタッフの利用が必須の場合は、英語などの多言語にも対応している必要があります。利用人数等の規模感も選択の際には重要になるでしょう。大規模な企業ほど人事制度や組織が複雑になるので、システムでどこまで対応可能なのかも確認する必要があります。更に、人事情報の一元管理化だけでなく、人事評価の公平化、人材抜擢のための人材分析等、貴社が何を重視するのか等の利用目的もシステム構築の際には重要です。このようにタレントマネジメントシステムを構築の際には、検討すべき項目が多々あって難しいということもデメリットのひとつなのです。

デメリットその2:システム化の費用が曖昧

二つ目のデメリットとしては、一つ目のデメリットにも関連しますが、システムの選び方や導入の仕方によってシステム化の費用が大幅に異なるということでしょう。つまり、タレントマネジメントシステムを導入する際に、どのくらいの予算や費用を想定しておけば大丈夫かということがなかなか明確にならないということです。これは様々なネット上でのタレントマネジメントシステムの比較サイトを参考にしようと思っても、システム導入費用の予算化が難しい理由の一つでしょう。つまり、貴社の導入ニーズや目的によりシステム化の費用が大幅に異なるということです。

タレントマネジメントシステムでおすすめの方法

おすすめの方法その1:前向きな人材活用

一つ目のおすすめの方法としては、前向きな人材活用でのタレントマネジメントシステムの活用です。欧米では1990年代からその概念が生まれ、2000年代以降に導入を進める大手企業が出始めてきました。当初は優秀で非凡なタレント(そのような能力を有する人材)を如何に採用するかが重要視されていたのが実情といえるでしょう。一方、日本で2010年頃から急激に注目を浴び始めたのも、このタレントマネジメントシステムです。しかし、日本ではグローバル化した人材争奪戦の中で、如何に現場ニーズに即したグローバル人材を確保するかのほうが重要となっていました。そして、そのような目的でこのタレントマネジメントシステムが活用されたのです。この傾向は、今後タレントマネジメントのひとつの重要な活用方法として更に進化していくでしょう。これはある意味、従来の人材評価を主体とした「後ろ向きな人材活用」とは全く異なった、企業の将来に向けての「前向きな人材活用」ともいえるでしょう。

おすすめの方法その2:人事業務の適正化・効率化

二つ目のタレントマネジメントシステムの活用方法としておすすめなのは、「スキル情報」よりも実務経験から得る「キャリア情報」を重視して管理するという方法です。人材のスキルは、従来の管理のように単にセミナーに参加させたからといって簡単に身につくものではありません。逆に参加していなくても、実務を通して身についている場合も当然あります。この管理の違いは、従来の人事管理とは大きく異なるでしょう。一旦、タレントマネジメントシステムの基盤が整い始めたら、これが次のキャリア評価システムにもつながります。客観的な評価と個人の希望に沿ってキャリアパスを明示できることも、タレントマネジメントシステムの重要な役割の一つといえるでしょう。つまり、タレントマネジメントシステムの有効活用により、人事業務の大幅な効率化や適正化が実現出来るのです。

タレントマネジメントシステム事例

システム事例その1: 人材データベースの維持・管理

システム事例その1は、人材管理の対象範囲を明確にすることです。つまり、どのような人事情報をどのような目的で活用するかも明確にした上で、人材データベースの維持・管理をタレントマネジメントシステムでサポートする事例です。現状の人材配置情報のみでなく新たな人事配置を検討する際の検討経緯等も含めて、全ての関連する人材情報を一元管理して人材データベースを構築します。この人材データベースにより全ての対象人材の見える化がはかれるでしょう。更に、人材の配置替えや昇格の際のシミュレーションまでも可能なパッケージを利用する手もあります。これらのパッケージを活用すると、効果的な維持・管理もタレントマネジメントシステムで出来るでしょう。パッケージによっては社員の定期的な意見を取り入れて人材の職場での満足度等を分析し、退職リスクを早期発見できる機能を有するパッケージもあります。これらのパッケージは、昨今の中途採用人材の離職率を低減する為にも役立ちます。例えば、あるパッケージでは数多くの企業の中途社員や新入社員の「退職予兆」データをもとに離職リスクがある社員を想定でき、離職リスクの管理も出来るのです。このように、離職を未然に防ぐためのフォローに向けた対策を提示してくれる機能を有したパッケージは、ネット等で探せば容易に見つかるでしょう。

システム事例その2:組織目標・実績管理

システム事例その2は、組織の目標をもとに人材の目標管理や実績の管理をタレントマネジメントシステムにより実現する事例です。実績管理機能の活用により、それぞれの目標を可視化して確認することが出来ます。更に、設定した目標の中間評価や上長からのフィードバックも管理できるでしょう。また、設定した目標に向けたアクションを起こせているかどうかを上司がフォローし、目標の達成を支援する機能を有したパッケージもあります。これらのタレントマネジメントシステムを活用することにより、効果的な組織目標・実績管理が実現出来るのです。 例えば、この組織目標や実績管理に特化したシステムパッケージとしては、目標シートの記入から評価オペレーション迄をクラウドで一元化出来るパッケージが最適でしょう。パッケージによっては目標を登録するだけでなく、目標面談の記録やその後の人事評価等のプロセス管理迄トータルに実現出来ます。このことによって人事データが蓄積され、様々な切り口から可視化・分析を行うことも可能となるでしょう。もし貴社が目標管理で悩まれているのであれば、このようなパッケージを活用することが重要です。これらパッケージの活用で様々な企業ノウハウをベースとした目標管理シートのひな形も利用出来、 効率よく貴社にあった目標管理制度を実現することも可能となるでしょう。

システム事例その3:人員計画・管理

システム事例その3は、過去数年分の人員構成や人件費等のデータをもとに、今後の人員計画を人件費や収益等も想定した上で立案することをシステムにより実現する事例です。人員計画は貴社の事業計画や想定される人件費に基づいた既存人材の人事配置のみでなく、もし新たに人材が必要となる可能性があれば新規人材採用計画も含めて策定します。パッケージによっては、想定される人件費や会社の収益等をもとに新規に必要となる要員が発生の場合、新規人材の採用計画を立案できる機能を有しているものもあります。このようなパッケージを活用すれば既存人員の計画や管理のみでなく、貴社の既存の人材だけで十分であるかどうかも分析できるでしょう。最適なパッケージの活用によって、現状を踏まえた上で新規で採用する人材も含めて効率良くトータルでの人員管理が実施出来るのです。

システム事例その4:昇給・報酬管理

システム事例その4は、社員のパフォーマンス情報やその結果をもとに、報酬の管理をタレントマネジメントシステムにより実現する事例です。つまり会社の業績情報も加味した上で、各種人材情報にもとづいて報酬の配分もシミュレーション管理する事例です。パッケージによっては、報酬の配分シミュレーションのみで無く、賞与や昇降給等の自動計算管理機能を有するパッケージもあります。もし貴社が昇給等の報酬管理で悩まれているのであれば、必要とされる昇給や報酬管理に最適な機能を有するシステムを実現出来るパッケージを選ぶ必要があるでしょう。特に、この昇給・報酬管理というのは他の様々な人事情報とも関連しますので、ある意味的確な機能を有したパッケージでないとシステム化が難しい事例です。しかし、昨今このような機能を有した様々なパッケージも利用可能ですので、貴社に合ったパッケージを良く吟味してタレントマネジメントシステムを構築してください。

システム事例その5:人材採用管理

事例その3でも少し機能面で触れましたが、システム事例その5はタレントマネジメントシステムの中でも、特に人材の採用管理に特化した機能を活用する事例です。優秀な人材を採用する為には、貴社のタレントマネジメント戦略に基づいた採用戦略を事前に良く立案する必要があるでしょう。そして、これらのタレントマネジメントシステムの機能を有効活用することにより、より効果的な人材の採用管理を実現することが可能となるのです。採用管理機能を有するパッケージを活用すれば、人材採用において重要な企業戦略や人材の活用計画とも連動させて、人材採用における費用対効果の分析も可能です。よって、貴社もこのようなタレントマネジメントシステムを構築しての人材採用活動を推進することが、今後より重要となってくるでしょう。もし貴社がグローバル人材の採用を中心とする企業であった場合には、昨今は世界各国の様々な言語をサポートしたグローバル対応が可能なパッケージも利用可能です。これらのパッケージの有効活用で、多言語で書かれた経歴等も含めて様々な候補者の採用を比較検討するシステムを構築し、グローバルな人材採用管理も可能となるでしょう。

貴社に最適なタレントマネジメントシステムの導入に向けて

以上、「貴社に最適なタレントマネジメントシステムとは?」ということで解説してきました。更に「タレントマネジメントとは何か?」や、最適なタレントマネジメントを実現するために必須となるシステム構築上のポイントや具体的な事例についても紹介してきました。昨今、ネットで検索すると数多くのタレントマネジメントシステムを構築するためのパッケージが見つかりますよね。しかし、その中から貴社が必要となるパッケージやシステムを選定するのは至難の業です。したがって、ここでのシステム事例をもとに貴社のニーズに良く照らし合わせながら最適なパッケージを選定することが、貴社にあったタレントマネジメントシステムの実現につながるでしょう。最後に、タレントマネジメントシステム新規導入の際に重要な点があります。それは、タレントマネジメントシステムは人材データを一元的に蓄積・管理するが故に、他システムへの乗り越えの際のハードルも当然高くなるということです。よって、システム新規導入の際は現時点の利用目的や利用範囲だけでなく、貴社の将来の事業戦略等も見据えた上で最適なタレントマネジメントシステムを導入してください。

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