キャリアパス制度とは【人事が効果的に活用できるポイントを解説します】

記事更新日:2021年08月26日 初回公開日:2021年08月26日

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近年、働き方改革の影響もあり、企業や社員の仕事に対する考え方が変化してきました。必死になって働き、昇進して収入を増やしていくという考えだけでなく、忙しくない地位で空いている時間に副業に取り組むことで、収入を増やす考えも増えてきています。会社を辞める人は多くないですが、モチベーションの面で不安が出てくるのは事実です。この状況に対処する制度がキャリアパス制度です。キャリアパス制度では、事前に昇進の基準を示すことができるため、仕事への姿勢を変えることができます。この記事ではキャリアパス制度の内容と活用例について紹介します。

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キャリアパス制度とは

キャリアアップのための条件を定めたもの

キャリアパス制度とは、企業で昇進の基準を明確に定めたものです。昇進の基準を明確にすることで社員は昇進のために、身につけるべき能力ややるべきことを理解することができます。結果として、仕事に対するモチベーションを向上させ、社員の生産性だけでなく会社全体の業績向上にも大きく貢献します。また、キャリアパス制度を利用していく上で大切なことは、社員に様々な領域の仕事を経験してもらうことです。この経験の中で社員一人ひとりの得意分野を発掘し、効果的な人材登用につなげることもできます。

キャリアパス制度とキャリアプランの違い

キャリアプランは人生における目標達成のための指標

キャリアパスは企業内での昇進の基準を示すものですが、キャリアプランは自分の将来の理想像を実現させるために必要な行動の計画のことです。キャリアパスは一つの企業内で考えているのに対し、キャリアプランは自分の人生において考えています。終身雇用制度が崩れていく日本では、一つの会社に固執した働き方が困難です。キャリアプランは会社に問わず、人生の目標を決める計画なのでこれまでに以上に必要とされているものとなってきています。

キャリアパス制度の重要性

働き方が多様化している

近年、副業がさまざまな企業で認められるようになりました。その背景もあり、副業を始める人も増加しました。社員個人としては複数のスキルを身につけられ、実力が向上しすばらしいです。しかし副業が本業の収入を超えた場合、副業を本業にしようと考えることが予想できます。こうなると離職の可能性も生まれてきます。ただ企業内で魅力的なキャリアが描けているならば、収入でなく達成感のために企業に残ってくれる人もいるでしょう。だからキャリアパスはこれからの時代、重要度が増していきます。

効果的な人材活用が注目されている

キャリアパス制度は効果的な人材登用を行うことに役立ちます。キャリアパス制度の目的は、企業が求める理想の人材を明確に打ち出すことです。理想の人材に求める能力は複数あるでしょう。複数を同時に満たす人間はなかなか現れません。しかし一つひとつの能力に特化した人材は存在します。キャリアパス制度で重要なことは人を評価し、得意分野を判断することです。得意分野に基づいて希望の部署に移動してもらうことで、常に得意を発揮できる仕事ができます。

様々な業種で人材不足が進んでいる

様々な業種において、スキルを持った人材の不足が進行しています。原因の一つに自己成長や昇進の機会がないと感じ、別の会社の方が活躍の場があると判断してしまうことです。能力の高い人ほど成長の機会がないと判断すると、新たな成長の場を求めて高確率で離職します。離職率の増加を避けるためにもキャリアパス制度は重要な存在です。事前に成長の場や昇進の基準を明示することで、早期に見限られることが少なくなり、離職する人を減らせます。

キャリアパス制度のメリット

優秀な人材を確保できる

キャリアパス制度を充実したものにすると、優秀な人材の確保につながります。将来、すばらしいキャリアが描ける企業は印象がよく、就職先を探す人々からの人気が上昇します。企業の人気度が上がるほど、就職のための競争率は上がります。競争を勝ち上がれる人だけが入社してくるので、結果として優秀な人材がそろうことは必然です。また、企業の将来のキャリアに惹かれてきた人は企業内でのキャリア形成を想定しています。だから離職を考えることが少なく、離職率も低くおさえることができます。

社員のモチベーションを上げられる

キャリアパス制度は社員に達成すべき目標を与え、社員のモチベーションアップをもたらします。そして目標達成のために必要なことが具体的であれば、モチベーションはさらに上昇します。キャリアパス制度で示されているものは、社員に目標と達成のために必要なスキルです。そのスキルを持つことで昇進に近づけるとわかれば、努力を始めることは必然です。社員のモチベーションが上がることで生産性が上がり、業績の向上にもつながります。

社員のスキルアップを促進できる

キャリアパス制度は昇格のために必要なスキルを明示します。求められるスキルが明確にわかるので、スキル習得のために必要なこと、不必要なことを見分けた上で勉強を始めることができます。物事の取捨選択は時間を生み出すことにつながり、社員の自由時間を増加することができます。スキルアップした先に企業内での昇進という具体的な目標があるので、空いた時間を自己研鑽に充て、スキルを身につけることが増えます。結果としてスキルアップするように仕向けることができるでしょう。

採用後のミスマッチを防げる

会社にとって、早期の退職はデメリットです。採用や研修にかけたコストを回収できないからです。キャリアパス制度は早期の離職者を減らすことに役立ちます。昇進のために必要な仕事内容と基準を、キャリアパス制度は明示しています。事前に入社希望者にキャリアパスを説明することで、入社後の仕事内容を具体的に把握してもらえます。入社後の未来を具体的に理解してもらえるので、想像と異なることがなく、早期退職のリスクを減らすことができます。

キャリアパス制度のデメリット

視野が狭くなってしまう可能性がある

キャリアパス制度のメリットは昇進の基準を明確にし、社員に必要なスキルの向上を求められることです。社員は、昇進に必要なスキルを無意識に優先して身につけることが多くなり、必然的に昇進に必要なスキル以外を身につけることが減ります。仕事に関係ない勉強をすることが減るために、新たな視点を失いやすくなります。また、社員全体が同じ方向性を持つために、会社全体としても視野が狭くなります。これは、新たな発見に気づきづらくなる、チャンスが見えなくなるというデメリットをもたらします。

昇進できなかった場合に社員のモチベーションが低下する恐れがある

キャリアパスは昇進の基準を示していますが、あくまでも基準であって絶対条件ではありません。このことは、社員に前もって把握してもらう必要があります。また昇進の基準を考えるとき、現実的に達成可能である範囲で設定することが大切です。達成が困難であると、社員のモチベーションは大きく下がります。社員のモチベーション低下は、企業に悪影響を及ぼす可能性があります。モチベーション低下を防ぐために、昇進の基準は達成できる範囲の目標を設定しましょう。達成できるかわからないが、努力の範囲内と思える基準ならとてもいいものです。

キャリアパス制度を導入する際のポイント

必要なスキルを明確に示す

昇進のために必要なスキルを明確にすることは重要です。人間は目標があいまいであると達成が難しくなりやすいですが、目標が具体的であるほど目標を達成する自分の姿が、現実味を帯びるために目標達成が近づきます。求めるスキルで具体的に表すことは種類とレベルの二点です。スキルの種類は、営業実績やコミュニケーション能力等です。種類が不明であると無駄な努力を求めることになります。スキルのレベルは明確にしていないところが多いですが、明確にすると社員の目的意識を強めることができます。レベルはスキルでできることを具体的に表すと効果的です。

複数のキャリアパスを想定する

社員によって望んでいる将来のキャリアは異なります。キャリアパスの種類が少ないと、社員の望む将来のキャリアが所属している企業内で描けないことが生じます。これは仕事のモチベーション低下、または転職を考えることの増加につながります。複数のキャリアパスを想定することは、社員の生産性の上昇のために重要です。複数のキャリアパスを提示する上で大切なことは、必要とされるスキルが異なるキャリアを設定することです。求めるスキルが似たものであると、キャリアの数が増えても業務の種類は変わらないため、本質的な改善にならないからです。

社員の適性を考慮する

キャリアパス制度では社員の適正を考慮することが重要です。キャリアパスのおかげで将来のキャリアは明確になりますが、方向性はある程度同じものになります。方向性が合う社員ならいいですが、みんなが同じではありません。社員の適正が企業の提示するキャリアパスと異なる場合を想定してみてください。その社員は仕事を行っても成果が上がる可能性が低く、モチベーション低下が予想できます。モチベーション低下を防ぐために、キャリアパスでは種類の異なる能力を求め、社員の適正にあった能力に特化してもらうことが重要です。

キャリアパス制度の導入事例

株式会社みずほフィナンシャルグループ

みずほファイナンシャルグループでは社員の専門性を高め、社内外で通用する人材の育成を目指しています。具体的には、人事による評価や研修を通して、社員の得意領域を早い段階で見極めていきます。社員の得意領域が定まったところで専門性に特化した職務経験を積み始め、キャリア形成に移ります。複数の専門領域に携わることで、視野を広く持った人材も育成しています。また社員一人ひとりの人材価値を上げるために、学びと挑戦の場を提供する取り組みがあります。具体例として社外兼業制度や副業制度です。これによって新たな視点を得られ、社員や企業に良い影響がもたらせます。

介護士

介護士では経験がキャリアのステップアップにつながっていきます。具体的には経験やスキルを身につけることで、介護士から国家資格を持った介護福祉士やケアマネジャーにキャリアアップを目指します。現在介護福祉士になるには国家試験の合格必要ですが、受験資格を得るためには実務経験を積む、福祉系の高校に通うなど複数の方法があります。また、特定の領域に特化し専門性を高めることで、介護業界における自分の市場価値を上げることができます。専門性の高い人は貴重で高待遇を受けられることが増えます。

保育士

保育士も介護士と同様に経験がキャリアのステップアップにつながっていきます。具体的には経験を積み、研修を受けることで主任保育士、園長へとキャリアアップしていきます。保育士ではそもそも役職が少ないという欠点がありました。そのために近年では役職が増え、昇進の機会を増やす取り組みがあります。また保育士は地位だけでなく、勤続年数や実績を考慮して賃金を加算する制度があります。一つの職場だけでなく、保育士として働いてきた年数で計算されます。こちらの制度のおかげで、限られたポストに就く以外にも給料を増やすことが見つかりました。

まとめ

キャリアパス制度を導入して社員の成長を促進しましょう

キャリアパス制度は明確な昇進の基準を打ち出すことで、社員のモチベーションを上昇させるだけでなく、社員の人生設計に役立つ、企業全体の業績アップにつながるなど数多くの恩恵をもたらします。メリットは大きいですが、達成目標が現実的であること、そして企業で描ける将来のキャリアが魅力的であること、この二つが満たされていないとキャリアパス制度は逆効果になる場合もあります。今回の記事で紹介してきた重要な部分をおさえ、社員のため、企業のためとなるキャリアパスを形成しましょう。

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