年齢給のデメリットとは【廃止が進んでいる背景などについて解説します】

記事更新日:2023年03月17日 初回公開日:2023年03月14日

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年齢給とは、企業が従業員の年齢を考慮して、賃金や給与を決定する制度のことを指します。年齢に基づく昇給やベース給与の違いなど、さまざまな形で実施されてきました。しかし、時代の変化や労働市場の状況によって適切な制度かどうかが今、問われています。年齢給は年齢によって給与が決まる制度であるため、年齢に基づく差別が問題になることがあるのです。また、年齢に基づいて給与を決定する制度であるため、意欲や能力の違いを考慮せずに給与が決まることがあります。本記事は経営者や人事部向けに、年齢給のメリット・デメリットや、年齢給に代わる給与制度などを解説します。

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年齢給とは

年齢によって賃金を決める制度

年齢給とは、年齢によって賃金を決める制度のことです。年齢給は、年齢が上がるにつれて給与が上昇する、あるいは逆に年齢が上がるにつれて給与が下がるなど、さまざまな形で実施されます。このような制度は、年齢による能力や責任の違いを考慮して、公正な給与を与えるために導入されることが多くあります。年齢給とのベースとなる組織体制が、年功序列制度です。年齢とともに昇給が行われ、昇給額も年齢に応じて大きくなる制度です。一般的に、長期間にわたって同じ企業に勤めている人が対象となります。

廃止する企業が増えている

年齢給は、廃止する企業が増えています。年齢給が存在する企業では、同じ年齢の社員同士は給与が近くなります。社内の実績に応じたキャリアアップの機会が制限されることがあります。これにより、外部から新しい人材を採用しにくくなることがあるため、人材の流動性に問題が生じることがあります。また、現代の労働市場は、グローバル化やデジタル技術の発展などで変化の大きい時代です。年齢給が存在する場合には、このような変化に対応しづらいという問題が生じることがあります。このような理由から、現代においては年齢給に対する問題点や課題が指摘されています。

年齢給のメリット

社員の定着率が高まる

年齢給のメリットとして、社員の定着率が高まるという点が挙げられます。年齢給は年齢によって給与が決まる制度であるため、長年勤めることで給与が上がっていく仕組みがあります。企業にとってはベテラン社員が多くなり、定着率が高くなるというメリットがあります。また、ベテラン社員は企業にとって貴重な人材であり、多くの知識や経験を持っています。また、社員は年齢を重ねるにつれて給与が上がることで、年金などの退職金制度に対する積立金が確保されます。よって、社員の退職後の生活にも安心感を与えることができます。

評価の手間が少なくなる

評価の手間が少なくなるというのも年齢給のメリットです。一般的な賃金制度では、給与の決定には社員の能力や実績に基づく評価が必要です。それにより、人事部などは評価の手間がかかることが多くありました。しかし、年齢給は年齢に基づいて給与が決定されるため、評価の手間を大幅に減らせます。よって、企業は評価に時間や手間をかけることなく、社員の給与を簡単に決定することができるのです。また、社員も給与の決定に関して不公平感を持つことがなくなるため、給与に関するトラブルや不満の発生を減らすことができます。

スキルが蓄積されていく

年齢給には、スキルが蓄積されていくというメリットもあります。長年同じ企業で勤務することで給与が上がる仕組みが年齢給であり、そのためには企業に長く在籍することが必要です。長期的に同じ企業で働くことで、社員は企業内での業務や組織文化に慣れていきます。また、企業の事業や製品・サービスに関する知識やノウハウを習得することができます。そのため、社員は企業内でスキルが蓄積されていき、長期的に企業に貢献できるのです。また、企業側も社員のスキルアップを支援することで、高いレベルの専門知識や技能を持つ社員を育成することができます。

年齢給のデメリット

若手社員のモチベーションが低下する

年齢給には、若手社員のモチベーション低下というデメリットがあります。年齢給は年齢に応じた給与を支払うため、同じ職務であっても年齢が若い社員は高い給与を得られないことが多いでしょう。そのため、若手社員にとっては将来にわたって同じ企業で働くことへのモチベーションが低下することが考えられます。年齢給は同じ職務であっても、年齢が上がるほど給与が高くなる仕組みです。よって、若手社員は給与の上昇に期待しづらくなり、結果的にモチベーションが低下してしまうことがあります。

生産性が低下する恐れがある

年齢給には、生産性が低下するというデメリットも存在します。年齢給を導入する企業では、年齢を重視します。よって、成果主義ではないので、年齢が上がっても必ずしも生産性が高いというわけではありません。そのため、年齢給を導入することで、生産性が低下するという問題が生じることがあります。さらに、企業内での競争意識が低下する可能性もあります。同じ職務であっても年齢が上がるほど給与が高くなるため、職務においての目標や成果を追求する意欲が低下することが考えられます。

優秀な人材が流出する可能性が高い

他にも年齢給には、優秀な人材が流出する可能性が高くなるというデメリットがあります。若手社員にとっては、若いうちは収入が見込めないため、将来にわたって働く意欲が低下する場合があります。また、優秀な人材が企業内で昇進することが困難である場合も、他の企業に流出してしまう可能性が高くなると考えられます。年齢給は人材の能力や実績を考慮しないため、能力が高い人材でも年齢が若い場合は低い給与水準でしか報酬を得られない場合があります。そのため、能力に見合った報酬を得ることができないことから、優秀な人材が他の企業に移ることも考えられます。

年齢給の廃止が進んでいる背景

終身雇用制度が崩壊している

年齢給の廃止が進んでいる背景には、終身雇用制度が崩壊していることがあります。年齢給制度が導入された時代は、長期的な雇用を前提とした終身雇用制度でした。年齢や勤続年数に応じた報酬体系が当たり前であったため、導入されたものであったと言えます。しかし、日本の経済情勢が変化する中で、企業は経費削減やグローバル化の波に押され雇用形態が多様化しています。そのため、企業は長期的な雇用ではなく、短期的な雇用が増加しています。また、現代では企業の求める人材の要件が変化し、能力や実績に応じた報酬体系が求められています。

働き方改革が進んでいる

年齢給の廃止が進んでいる背景は、働き方改革が進んでいることにもあります。働き方改革は労働時間の短縮や柔軟な働き方の導入など、働く人々の健康や生産性を向上させることを目的としています。その流れの中で、年齢給は働き方や能力による報酬体系への転換が求められるようになってきました。特に、能力主義や成果主義が重視されるようになった現代社会においては、年齢給が適切な評価を行う上で不適切な場合があると指摘されています。また、社員が自己実現やライフスタイルに合わせた働き方を選択できるようになったことも年齢給の廃止につながっています。

年齢給に代わる制度

職能給制度

年齢給に代わる制度として、職能給制度があります。職能給制度は、従業員の職務内容やスキルレベルに応じて決定される給与制度です。社員が経験やスキルを積み重ねることで、職能給も自然に上がっていくため、年齢に関係なく能力に応じた公正な給与を受け取ることができます。職能給制度のメリットは、職務内容やスキルレベルに応じて給与が決定されるため、社員の能力や貢献度に応じた公正な評価が可能となります。また、スキルや経験を積むことで職能給が上がるため、社員は自己成長に繋がる仕事を積極的に行うようになり、モチベーションが向上することが期待できます。

職務給制度

ほかにも年齢給に代わる制度として、職務給制度があります。職務給制度は、社員が担当する業務内容や責任範囲に応じて決定される給与制度です。同じ職務につく社員でも、業務内容や責任範囲によって給与が異なる場合があります。職務給制度を導入することで、職務内容や責任範囲に応じて給与が決定されるため、社員の能力や貢献度に応じた公正な評価が可能となります。また、給与が業務内容や責任範囲に応じて決定されるため、社員は職務内容に応じた責任を感じることでモチベーションが向上することが期待できるのです。

役割給制度

役割給制度も年齢給に代わる制度です。役割給制度とは、多くの企業で採用されている給与制度で、社員が担当する役割に応じて給与を決定する給与制度です。例えば、プロジェクトのリーダーとメンバーでは、担当する役割によって給与が異なります。役割に応じた給与が決定されるため、能力や貢献度に応じた公正な評価が可能となります。また、役割に応じた給与が決定されるので社員はより責任感を持って仕事に取り組むようになり、意識の向上が期待できます。働き方においても、役割に応じた給与が決定されるため、社員の働き方が多様化することが期待できます。

年齢給を廃止する際のポイント

給与体系と評価制度に一貫性を持たせる

年齢給を廃止する際のポイントは、給与体系と評価制度に一貫性を持たせることです。年齢給を廃止する場合、職務給制度や役割給制度に基づく新しい給与体系を整備する必要があります。新しい給与体系は、社員の業務内容や貢献度に応じて適切に評価されるように設計することが重要です。また、年齢給を廃止する場合、評価制度を見直す必要があります。評価基準を明確化し、社員が目標を設定しやすくなるような評価制度を導入することが重要です。さらに、評価制度の透明性を高めることで、社員のモチベーション向上や公正な評価が可能になります。

導入後の運用までを想定する

年齢給を廃止する際は、導入後の運用までを想定することもポイントです。まずは給与の透明性でしょう。社員が自分の給与額を理解し、納得できるように給与の透明性を高める必要があります。給与の計算方法や評価基準を明確化し、社員が給与について疑問を持った場合にも適切な説明を提供できるようにすることが重要です。給与制度を導入するにあたって、社員と上司とのコミュニケーションを改善することが必要です。上司が社員の業務内容や貢献度を的確に評価し、フィードバックを提供することで社員が給与に反映されるようになります。

外部からのアドバイスも取り入れる

外部からのアドバイスも取り入れることも年齢給を廃止する際のポイントです。外部からのアドバイスとは、人事コンサルタントや労働法律専門家など、給与制度の導入や運用に精通している専門家や業界団体などが提供する意見やアドバイスを指します。まず、専門家の意見を取り入れることで、給与制度の導入や運用についての知見が得られます。その知見により、社員の業務内容や貢献度に応じて適切に評価されるように設計することができると考えられます。よって、社員にとって納得のいく給与制度を導入することができます。

まとめ

年齢給以外の給与制度について理解を深めましょう

近年、年齢に応じた給与制度である年齢給の廃止が進んでいます。その背景には、年齢による差別や能力や実績を反映しない不公正さが指摘され、多様な能力を持つ社員を活かすための制度改革が求められているためです。年齢給以外の給与制度では、社員の能力や実績に応じて給与を設定し、目標設定や定期的な評価を行います。その評価により、昇給やボーナスなどの報酬を与えることでモチベーションを向上させることができます。また、企業にとっても社員の能力を最大限に活かすことができるため、生産性の向上や組織力の強化につながるとされています。年齢給の廃止が進んでいる今、年齢給以外の給与制度について理解を深めましょう。

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