ITSSとは【レベル別の特徴や関連する資格について解説】

記事更新日:2022年08月18日 初回公開日:2022年08月17日

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急速なIT化が進んでいる現在では、今までは関係なかった人たちでも最低限のIT知識やリテラシーが必要とされつつあります。またIT人材が慢性的に不足しているため、ITスキルの向上を図ることで更なるスキルアップを目指し活躍したいと考えている人もいるのではないでしょうか。ITスキルを身に着けるうえで欠かせないのがITSSです。今回はITSSの分類や情報技術者試験の内容、組織で運用する際のポイントなどについて解説していきます。今からITのこと勉強しようと考えている人や、スキルアップを考えている人は是非参考にしてみてください。

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ITSSとは

ITスキル標準のこと

ITSSとはITスキル標準のことを指しており、「IT Skill Standard]の略称です。ITスキル標準は2002年に経済産業省が策定を行ったIT人材に対してのスキル体系を指します。ITのサービスにおいてプロフェッショナルを作り上げる際に基準を用いて、現状保有しているスキルの数値化やどのスキルが不足しているのかなどを知ることが出来ます。人事評価の一つとして採用している企業もあり、ITSSで認定されているIT資格を取ることで評価を上げることが可能です。

ITSSが策定された目的

IT産業の発展により高度な専門性を持つIT人材が求められるようになった為

ITSSが策定された目的は、IT産業の発展により高度な専門性を持つIT人材が求められるようになったためです。2000年代より以前からIT産業が急速に発展し、顧客からのニーズも多様化していきます。顧客の多様化するニーズを満たして他の企業との差別化を図る為にも高度IT人材の育成や社内体制の構築を迫られました。IT人材を効率的に育成していくにはキャリアパスや過程で身に付けるべきスキルが明確になっている必要があります。しかし当時は具体的・客観的な指標となるものが制定されていなかったため、その課題解決により策定されたのがITSSです。

ITSSの4つの分類と7つのレベル評価

エントリ

エントリのレベルは1

ITSSでITのプロフェッショナルとしてのテクノロジーの創造力がどの位備わっているのかを図るために、7段階にレベルを分けて可視化しています。また分類は4つありまず最初はエントリーです。エントリーはレベル1を指し最初のスタートラインです。レベル1ではIT業界の最低限の知識や能力を持っていて、上位レベルからの指導があれば仕事の全部もしくは一部で課題解決などを行えます。スキル開発などの業務においては自分のキャリアパス実現に向けスキルを磨くことが求められます。

ミドル

ミドルのレベルは2と3

ミドルと呼ばれる分類はレベル2と3が対象です。レベル2は上位レベルの指導者に求められた作業の遂行を行います。ITのプロフェッショナルになるための基本的な知識や技能を持っており、スキル開発においてはレベル1と同様に自らのキャリアパス実現に向けて自己研鑽が求められます。レベル3では要求される作業を全て自分で完遂し、ITスキル分野の確立することが目標です。プロフェッショナルになる為に必要な応用的な知識を所有しています。キャリアパス実現に向けての研鑽は継続的に必要です。

ハイ

ハイのレベルは4と5

ハイのレベルは4と5が当て嵌まります。レベル4ではプロフェッショナルの分野が確立しており、自分のスキルを活用することによって業務上の課題発見や課題の解決をリードしていくレベルです。社内でもプロフェッショナルとして求められる経験の知識化と後進育成にも貢献しており、企業内ではハイレベルのプレイヤーとして認められます。レベル5は社内でテクノロジーやビジネスを創り出しリードするレベルです。プロフェッショナルとしての経験や実績を持っており、ハイエンドプレイヤーとして認識されます。

スーパーハイ

スーパーハイのレベルは6と7

スーパーハイが1番高いレベルで6と7が対象です。レベル6はプロフェッショナルとしての分野が確立しており、社内だけでなく社外においてもテクノロジーやビジネスを創り上げ、リードするレベルです。社内外だけではなく市場においてもプロフェッショナルとしての経験を持ち、国内のハイエンドプレイヤーとして認められています。レベル7になると社内外だけではなく市場全体から見ても先進的なビジネスを開拓や市場化をリードした経験を有しており世界で通用するレベルと認められます。

ITSSの職種

11の職種に分類される

ITSSの職種はIT産業における職種を11個に分類しています。一見するとITには直接関係がなさそうな「マーケティング・セールス・コンサルタント」や、「プロジェクトマネジメント・カスタマーサービス」もITSSの職種です。他にもITアーキテクトやITスペシャリストITサービスマネジメントも職種の一つです。ソフトウェアデベロップメント、アプリケーションスペシャリスト・エデュケーションと言ったものもあり、IT産業において様々な場面でITSSの職種があります。

ITSSと他のITスキル標準との違い

UISS (情報システムユーザースキル標準)との違い

ITSSとUISS(情報システムユーザースキル標準)との違いは、対象をベンダー(売り手や販売店)ではなくユーザーにおいている点です。UISSはITシステムを活用している組織で必要なスキルや知識を体系的に整理した指針を指します。組織機能とその業務を切り口にしており、ソフトウェアライフサイクルを体系化しています。ソフトウェアライフサイクルとはシステムの企画開発や保守、運用・廃棄までといった全ての過程を示します。UISSは高度なIT技術者の育成のための一つの指針です。

ETSS (組み込みスキル標準)との違い

ITSSとETSS(組み込みスキル標準)との違いは、ETSSの対象が組み込みエンジニアのみに絞っているという点です。ETSSは組み込みソフトウェアの開発に必要な知識やスキルを明確に表した指針のことです。システムエンジニアのみに絞っているため、スキルフレームワークに限定されています。一般的なビジネスなどの個人の特性に関するスキルの定義づけを行っていないのが特徴です。ETSSには国際社会においてITを高める技術者にとって必要な情報が網羅されています。

CCSF (共有キャリア・スキルフレームワーク)との違い

ITSSとCCSF(共有キャリア・スキルフレームワーク)との違いは、CCSFが複数のスキル標準を一括して比較検討し活用できる点です。CCSFは「タスク(業務)・人材モデル・スキルモデル」と言った3つのスキル標準を持っています。この3つのスキル標準を用いてITSS・UISS・ETSSの切り口の差を意識することなく比較検討出来ます。CCSFは自由にタスクの追加や削除が可能です。そのため、タスクに必要な「人材とスキル」の設定もカスタマイズでき、幅広い人事施策に対応することが出来ます。

ITSSと情報処理技術者試験について

ITパスポート試験

ITSSと対応付けられている試験でIPAが主催して行っている情報処理技術者試験があります。ITパスポート試験は最も簡単なエントリーレベルの試験です。ITパスポートは業務を行う上で必要となる基本的なITの知識を網羅した経済産業大臣が実施している国家資格です。ITを活用していくうえで必要な知識を幅広く身に着けることが出来ます。これからITについて勉強しようとしている人や異業種の仕事に携わっている人にもおすすめの試験です。

基本情報技術者試験

基本情報技術者試験はITエンジニアの基礎資格と言われるものでITエンジニアを志す人はITパスポート試験合格後に基本情報技術者試験に挑戦します。基本情報技術者試験は高度なIT人材になるのに必要な基本的技術やちしきを持っていて実践的な活用能力を身に着けた人が対象です。プログラム設計書を作成し、開発から単体テストまでを担当できる実戦経験のある人向けの試験です。出題問題はITパスポートと代わりませんが、テクノロジー系の分野ではより深い知識が必要となります。

応用情報技術者試験

応用情報技術者試験もITエンジニアの認定資格として有名です。ITSSレベル3にあたる応用情報技術者試験は、IT人材として数年のキャリアを積んでいる必要があります。この試験はITエンジニアとしてステップアップするための関門と言えます。試験内容は一部記述式もあることから、今までの試験以上に内容を理解し論じる必要があります。応用情報技術者試験に合格すると、マネジメント系とエンジニア系に分けられている個々の専門試験も受講が可能です。

ITSS+とは

新たに策定された学び直しの指標

ITSS+は新たに策定された学び直しの指標のことです。第4次産業革命に向け必要とされるIT人材の育成を目標として策定されました。IT投資は伝統的な領域から新たに売り上げなどに直結するフロントエンド領域へと拡大しています。ITSS+ではITSSに加えてセキュリティ領域やデータサイエンス領域・IoTソリューション領域、アジャイル領域が展開されています。ITSS+のレベルは共通レベル定義を元に総合的に判断が行われます。

ITSSを組織で運用する際のポイント

導入する目的を明確にする

ITSSを組織で運用するときのポイントは、導入する目的を明確にすることです。ITSSを活用する目的はそれぞれの企業によって異なります。ITSSを活用する際に評価に利用するのか、人材育成に利用するのか等目的を明確にしておくことが大切です。ITSSはITスキルに関する指標に過ぎないため、目的が明確化されていない場合上手く運用できない恐れがあります。導入する際には企業のビジネス戦略に基づいて活用しなければなりません。

経営陣と社員が一緒にプロジェクトを進める

経営陣と社員が一緒にプロジェクトを進めるのもITSSを組織で運用するときのポイントです。ITSS導入の際に、社内プロジェクトの一つとして経営陣と社員が一体となって進めていくことが理想です。経営陣からトップダウンで行うことも出来ますが、間接部門や実際に教育を行う現場の開発や営業のメンバー等も一緒に部署の垣根を超えてプロジェクトとして行いましょう。プロジェクトにかかわる社員が当事者意識を持つことで、運用成果を高めることが出来ます。

一時的な把握で終わらせずに運用フローを決めておく

ITSSを組織で運用する際には一時的な把握で終わらせずに運用フローを決めておくことがポイントとなります。ITSSの分類する職種や専門分野・個人レベルとそれに定められたスキル項目に沿い現在地を一時的に把握するだけでなく、長い目で継続的な運用が必要です。そのために運用フローを定めておきましょう。運用フローを決め継続することが出来れば、自社組織で有する人材の能力を可視化でき適切に把握しマネジメントすることが出来ます。

ITSSを活用して高揚的な人材育成を行うには

経営戦略に基づいた人材育成と採用方針を策定する

ITSSを活用して高揚的な人材育成を行うためには、経営戦略に基づいた人材育成と採用方針が必要です。効率的な人材育成を行うためにITSSを導入する際には自社の経営戦略に沿い人材育成の方針や採用方針を明確にしておくことが重要です。例として10年後に掲げる企業目標に到達するためには、どういった人材が不足していてどのようなスキルを持った人が必要なのかなどをリストアップし人材育成や採用育成に活用していきましょう。

計画的な育成計画を作る

計画的な育成計画を作ることも、ITSSを活用して高揚的な人材育成を行うために必要です。ITSSではそれぞれの職種と専門分野で必要とされるスキルや知識の項目が整理されています。必要なスキルと知識を効率よく習得していくために「研修ロードマップ」が策定されています。標準化されている研修ロードマップを利用し自社の経営戦略・人材育成に基づいた教育や研修メニューを作成することが可能です。スキルマップを用いて個人個人にあわせた育成計画を作成しましょう。

まとめ

経営戦略に沿った設計と運用をして、ITSSを活用しよう

ITSSの職種や活用し人材育成を行う際のポイントなどについて解説しました。ITSSはITエンジニアのスキルを数値化できる指標です。ITスキルを身に付けることで、業務効率化が行えたり転職市場においてのアピールポイントに繋がります。ITSSは社内だけではなく社外に対しても「ITのプロフェッショナル」であるという証明になります。ITSSはあくまでもITスキルの標準を定めた指標であるので、あらゆる企業でそのまま活用できるとは限りません。企業でITSSを導入する際には経営戦略に沿った設計と運用を行い、ITSSを活用していきましょう。

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