記事更新日:2020年11月18日 | 初回公開日:2020年10月30日
人事・労務お役立ち情報 グローバル用語解説2019年度の女性管理職の比率は、平均7.7%と前年比を0.5ポイント上昇するものの、世界的にみるとまだまだ日本は低い数値。女性管理職の割合が30%以上とする企業は7.1%(0.3ポイント上昇)と緩やかな増加をみせるも、女性管理職がいない企業は46.7%と半数もあります。女性従業員の割合は25.2%で(同0.3ポイント上昇)と増加傾向にあるものの、女性管理職の割合は企業によってかなりの差があります。企業におけて女性の活躍は、企業の成長に必要不可欠という認識があるもの結果として伴っていないと言えるでしょう。
日本企業の半数は社内外を問わず女性の活用・登用を推奨しており、従業員や管理職の女性比率が低い業界でも何らかの施策を打っている様子はみえました。しかし、女性管理職の占める割合は平均 7.7%、役員の割合は平均9.8%と毎年上昇をみせるも1ケタ台にとどまっています。また、女性管理職が多い企業では女性従業員の割合が高いこともわかっており、企業全体での女性従業員の増加・活用が鍵になるでしょう。業界別では、小売業での女性管理職の割合は平均13.9%となっており、他の業界より女性の活躍が顕著になっています。
女性活躍推進政策は、第二次安倍内閣がアベノミクスの柱として掲げた施策のひとつです。女性の活躍が成長戦略の第三の矢である発表した安倍内閣は、女性管理職の占める割合を増やすことに加え、待機児童解消プランや子育て後の再就職・起業支援を施行。小池百合子(現東京都知事)を中心とする自民党議員が女性経営者などの意見を聴き、施策案をまとめ推し進めてきました。女性活躍促進法と命名し、首相官邸において経済三団体のトップ陣と会談。「全上場企業で積極的な女性役員・管理職の登用」「役員に1人は女性を登用」など具体的な要請を行いました。
日本政府は「2020年までに指導的地位(管理職)の女性が占める割合を少なくとも30%程度へ増やす」という目標の元で活動してきました。今年は節目の2020年ですが、達成は絶望と言えるでしょう。政府がこの目標を示唆したのは、小泉純一郎内閣時代の2003年のことです。17年もあれば実現可能と考えていましたが、とくにここ数年は伸び悩み低速飛行状態。2016年に女性活躍推進法をテコ入れをするものの大きな成果が出ていません。日本IBMでは、管理職候補者向けの年間プログラムを開始するなど独自の施策をスタートしていますが、全国区で通算すると目標達成には程遠い数字と言えるでしょう。
女性は家事負担が多く、育児期に勤務時間を短縮したり、残業ができなかったりすることもあるため、企業が仕事と子育てが両立できるよう配慮することが必要です。敢えて子育て期の女性に負荷の軽い仕事だけを与え、本人の意向も確認せずに重要案件から外すといった行いでは女性管理職は育たないでしょう。育児と両立しながら女性が仕事の質を落とさず、さまざまな経験を積んで成長していけるかを経営者や管理職が一丸となって考えなければなりません。能力や経験の面で管理職のポジションの責務を満たすことができる女性の数を増やしていかなければ、管理職に就く女性が増えることはないでしょう。
働く女性の人数は増えているのに、なぜ管理職が増えないのか疑問に思う人も多いでしょう。企業は「本人がなりたがらない」「昇進や昇格を嫌がる」と女性側の意識を理由に挙げています。確かに「責任ある仕事を任されたくない」「プレッシャーの中で仕事をしたくない」などを理由に管理職を回避する人がいるのも事実。しかし、「重要な仕事は男性に任せる」とった風潮が根強くある企業の中で女性に対して昇進など成長機会を与えていないケースも多々あります。日本企業は昔から責任ある仕事を男性に割り振る傾向が強く、根本的な部分での改革が必要なことを忘れてはいけません。
世界的にみてもダイバーシティ(多様性)が備わった組織作りが推進され、日本企業でも浸透してきました。女性の活躍は企業の永速的な発展にも繋がり、多様性を持った組織の構築にはなくてはならない存在です。その中で女性管理職比率が増えることは、男女問わず優秀な人材を惹きつけてる企業の証にもなります。女性の活躍推進は「社会正義のため」「女性のため」と思っている経営者もいますが、そのような考えのままでは世界ですぐに通用しなくなるでしょう。女性の活躍は重要な経営課題として捉え、トップから意識改革をして動くことが大切です。
「管理職になれるならなりたい」「推奨されるならなりたい」という女性が増える一方、昇進意欲がある女性が現実的に働けない環境が多いのが事実です。日本女性は家事負担が男性より多く、育児期には勤務時間を短縮したり、残業ができなかったりするケースが多くみられます。家事の分担は家庭の問題ではありますが、企業は仕事と子育てが両立できるよう配慮しなければなりません。もちろん、配慮のし過ぎは批判にも繋がりますが、子育て期の女性が仕事の質を落とさず、経験を積んで成長していける環境を整えることが大切です。女性も安心して働ける環境を作ることは優秀な人材の確保にも繋がります。
女性管理職が育ちやすい環境にするためには、まずは育児中の女性が働きやすい環境を整えることが重要です。そのひとつに、働き方の自由度をあげるフレックスタイム制度の導入が挙げられます。出産後に職場復帰をしても育児期は時短勤務など制限下での勤務となり、今までのような勤務スタイルが容易ではありません。育児中の社員を対して育児フレックスタイム制やリモートワーク、短時間勤務制度を導入するなど女性が長期的に活躍できる環境整備に取り組んでいる企業もあります。新型コロナウィルスの影響で自粛や在宅勤務を余儀なくされるなど、働き方自体が見直されつつある日本においてますます増えてくる働き方になるでしょう。
昨今では、キャリアプランを見据えスキルアップが目指せる資格取得支援などの福利厚生を用意している企業も増えてきました。業務上必要な資格を取得する場合には、必要な費用の一部(または全額)を福利厚生として負担し、資格取得を積極的に後押ししてくれます。また、書籍購入費用や講座・セミナー参加費の補助など、お金のかかる子育て世代にとってスキルアップを後押ししてくれる制度はとても心強い福利厚生制度と言えるでしょう。休暇に関しても「リフレッシュ休暇」「バースデー休暇」など面白い休暇を設けているところもあります。
意外かもしれませんが、厚生労働省が発表した「働く女性白書」によると民間企業の女性管理職の割合は、都道府県別では高知県が22.7%とトップです。もともと働く人口に占める女性従業員の割合が高いことに加え、医療や福祉など女性の活躍が目立つ分野の企業が多いことが要因に考えられます。東京や大阪、名古屋などの大都市圏での女性管理職率が高いと思いきや、中小企業などの女性比率が高い企業での管理職割合が目立つ結果に。勤続年数や産後の復職率など総合的な分析結果は出ていませんが、地域によっても大きな差があるのは確かでしょう。
愛知県では女性管理職が10%に満たない企業が81.3%、企業に占める女性管理職が4.1%と女性登用率が最も低いことがわかっています。全国平均の78.9%を 2.4 ポイント上回り、女性管理職比率が1位の高知県とは15%以上も差がついています。日本三大都市に含まれる名古屋の割合の低さに驚いた方も多いでしょう。トヨタを代表する自動車関連企業が軒を連ねるもの、男社会という印象でしょうか。女性管理職の割合は、5 年前と比較しても大きく変わっておらず、女性従業員の積極的な活用や登用を進めている改善施策が早急に求められています。
日本の女性管理職比率がおよそ7.7%に対して、世界の管理職に占める女性の割合は平均27.1%と国際平均を大きく下回る状況です。アメリカ・フランス・イギリス・イタリア・ドイツ・カナダ・日本の主要7ヵ国(G7)の中でも断トツの最下位です。先進国の中でも女性の社会進出が遅れてると言えるでしょう。その他の地域別にみても日本の割合は低く、女性の社会進出が遅れてると言われているアラブ諸国の11.1%と近い数値です。日本では「子育ては女性がするもの」という意識が強く、女性の社会進出を阻んでいる要因だと指摘する声もあります。
アメリカやスウェーデンなどの先進諸国を抑え、女性管理職比率1位を誇るのがアジアに位置するフィリピンです。フィリピンでの女性の積極的な活用は有名な話です。1986年にアキノ氏が女性初の大統領に就任してから、女性の社会進出や環境整備などさまざまな制度改革が実施されてきました。議員の割合が一定数は女性になるようにするなど政治における女性比率をあげ、フィリピン女性の発言力を高めることに成功。海外への出稼ぎ労働者の中心は女性であることからも、女性の発言力は強く、今なお民間企業の女性管理職比率をあげています。
現状の女性管理職比率10%以下の日本において、30%まで底上げするのはまだまだ遠い未来のように感じる人も多いでしょう。しかし、東京都では小池百合子都知事をはじめ、北海道や千葉など自治体の首長が女性になるケースも増えており、女性管理職を活用する流れは確実に高まってきています。福利厚生や働き方の柔軟性など、女性がキャリアアップしやすい環境を整えサポートする企業も増えてきました。多様化する社会において、女性の積極的な活用を取り入れることは日本の未来のためでもあります。目標である女性管理職比率の30%を目指しましょう。
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