3K労働とは【当てはまる業界や改善の取り組みについて解説します】

記事更新日:2024年05月15日 初回公開日:2024年05月15日

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3K労働は「きつい・きたない・きけん」という三つの厳しい労働条件が理由で人材獲得が難しく、業界全体が人手不足に陥っている職業です。現在では、この3Kに加えて5Kや9Kなど様々な造語が広まりつつあります。それでは、3K労働とは一体どのような職業が該当するのでしょうか。今回はそんな3K労働について、言葉の意味と該当する業界や、従事するメリット・デメリットに加えて3K労働改善に向けて行われている取り組みについてご紹介します。就職や転職を検討している方や仕事選びに悩んでいる方は是非ご参考にしてみてください。

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3K労働とは

「きつい・きたない・きけん」な仕事

3K労働とは「きつい・きたない・きけん」という3つの労働条件の頭文字を取ったものです。「きつい」労働条件の定義は様々ですが、仕事の拘束時間が長い、体力や精神力を大幅に消耗するなどの条件が該当します。また、「きたない」は汚物の処理やゴミの収集など衛生面で抵抗感を抱きやすい、「きけん」は文字通り怪我の危険性があることなどが特徴と言えるでしょう。3K労働は上記のような、一般的に就きたくない職業の特徴として挙げられることが多く、該当する業界は慢性的な人手不足が問題となっています。

新3Kという言葉の登場

従来の3K労働は上記のような労働条件を指す言葉ですが、現在はこれと別に新3Kという言葉も登場しています。新3Kの定義は「帰れない、厳しい、給料が安い」です。これは、例えば残業が多く仕事内容もシビアな割には給料が安い仕事が当てはまります。従来の3Kは主にブルーカラーやインフラ関係の業種が該当していましたが、新3Kはホワイトカラーが該当する場合もあります。また、中には従来の3Kに加えて新3Kの条件も当てはまる職業も存在するケースも少なくありません。

5Kや9Kという言葉もある

厳しい労働条件を意味する造語は3K以外にも5Kや9Kがあります。5Kは建築業界の労働条件を意味する言葉で「きつい・きたない・きけん・休日無い・給料安い」などの不利な条件が該当します。また、9Kは主に看護業界で利用される言葉で従来の3Kに、「規則が厳しい・休みが取れない・婚期が遅い・化粧がのらない・薬に頼って生きている」が加わります。このような言葉が業界に定着してしまうと、離職率が高まるだけでなく新規の人材が参入しにくくなるため、早急な対応が必要と言えるでしょう。

3Kに該当する業界

介護・看護業界

3K労働に該当する業界の例としては、介護・看護業界が挙げられます。介護や看護は勤め先にもよりますが、昼夜を問わず長時間従事しなければならないだけでなく、利用者や患者の排泄物の処理を行わなくてはならないことがあります。さらに、場合によっては患者に暴言や暴力を振われる危険性もあるため、楽で安全な仕事とは言えません。また、厳しい労働条件の割には資格や長期間の勤続年数が無ければ昇給も見込めないので、なかなか人材が定着しない業界と考えられています。

建設業界

住宅や道路の舗装などを担う建設業界も3Kに該当する職業の一つです。建設業は体力が必要な業務が多く、屋外での作業では土や埃で身体が汚れるため、一般的に女性が就職しにくい業界です。安全確保を怠れば、事故で大怪我を負うリスクも少なからずあります。また、天気が悪いと急に仕事が休みになるなど急な予定変更に振り回される可能性も否定できません。しかし、現在では労働者の待遇改善のため、給与水準向上や福利厚生の改善を行う企業もあるため、業界全体の労働環境が厳しいわけではありません。

清掃業界

3Kに該当するビルのクリーニングや病院の清掃は、汚れた建物の清掃やゴミを集めるという業務内容から「きたない」という印象の強い職業です。さらに、清掃業は時間内に掃除を終わらせるために手早く仕事を済ませなくてはならないので、時間制限にもシビアで体力勝負な一面もあります。また、病院や建物の清掃は短時間勤務で雇用される場合もあり、空き時間を利用して働くパート雇用者が多いため人材確保が難しいのも3Kと呼ばれる理由の一つです。

IT業界

3Kは一見すると肉体労働の多い業界をイメージされがちですが、IT業界も実は3Kが蔓延している職業の一つです。例えばシステムの設計やコーディングを行うエンジニアは定められた仕様通りにコードを書くため単純作業が続き、疲れが溜まりやすくなります。さらに、初心者の場合は実労働時間に加えて、コーディングの勉強も自分で行わなくてはならないのが、辛さの理由として挙げられます。また、Webデザイナーの場合は急な修正依頼に対応しなければならない、納期に追われがちな点が3Kと呼ばれる原因です。

農林・水産業界

農林・水産業界は主に農業や漁業など第一産業に関連する業界です。この業界は殆ど毎日仕事を行う必要があり、労働時間もかなり長めです。従来の農林・水産業は一家庭が家族で従事していましたが、最近では後継者不足により外部の人材を雇う動きも増加しつつあります。しかし、農漁業については天候や自然条件に左右されやすい特色を持つ業種のため、労働基準法に則った労働時間や休日を設定する義務がありません。そのため、労働条件が労働者に不利になりがちなのも3Kと呼ばれる理由の一つです。

3K労働をするメリット

就職難易度が低い

3K労働をするメリットは就業難易度が低いという点にあります。3K労働に該当する職業は、お世辞にも労働者に有利な条件の職場とは言えないイメージが定着しているため、一般的には不人気な職です。そのため、慢性的な人材不足が深刻化しており、採用時の競争率も低めです。このような理由から3K労働は就職難易度が低く、業界未経験の人や特別な資格を持っていない人でもすぐに就職できる職業と言えます。また、労働者の資格取得を支援している会社も多いので、特定の職種でキャリアを積みたい人には向いています。

仕事を覚えるのが簡単

3K労働は職種にもよりますが、業務を覚えるのが簡単という側面もあります。3K労働は毎日同じ動作を繰り返し行う肉体労働が多いため、ホワイトカラーの職種と比較すると覚えることは少なめです。勿論、役職が上がると覚えた内容だけでなく、柔軟な考え方や適切な判断力が求められますが、一般の社員であれば業界知識が無くてもすぐに業務を覚えられます。また、3K労働は業界全体が人材不足なので、新規の人材離れを防ぐためにも既存の社員は丁寧に仕事を教える傾向にあります。

インフラ系の仕事が多い

3K労働は、厳しい労働条件を理由に見下されがちな職業ではありますが、多くの人の暮らしを支えるインフラ系の職業が多いことも事実です。例えば、介護や看護業界は携わる人材が居なければ、一般市民は病気になっても受診どころか治療すらも儘なりません。建設業や各種サービスのシステムエンジニアも同じく、存在しなければ困る人が大勢生まれる職業です。そのため、人の役に立つ仕事がしたいという人がやりがいを持って従事できる職種という点では、メリットの大きい職業と言えるでしょう。

3K労働をするデメリット

体力的にきつい

3K労働は体力的に厳しいというデメリットがあります。前述した通り3K労働は時間外の勤務や長時間労働の多い職業です。そのため、初めは問題無くても仕事を続けていくうちに、精神的なストレスや肉体的疲労から身体を壊してしまうリスクがあります。また、休日も仕事の疲れを回復するので精いっぱいでプライベートの時間を取れず仕事中心の生活になってしまうケースも少なくありません。このような理由から3K労働は仕事の大変さだけでなく、仕事とプライベートの両立が難しいことも敬遠される理由の一つと言えます。

長時間労働で賃金が低い

3K労働や長時間労働や大変な業務内容の割には賃金が低く、労働者が不満を抱きがちな職業です。特に介護・看護業界は緊急事態に陥ると、業務時間が終わっても退勤できず業務に追われることがあります。インフラ系の職業は人の暮らしを支える重要な役割を果たす仕事の割には、生み出す利益が少ないことも給与が安い理由の一つと言われています。苦労の割には低い賃金は労働者のモチベーションを下げる原因にもなるので、賃金の低さも3K労働の離職率の高さの理由と言えるでしょう。

周りから見下される可能性がある

3K労働に該当する職業は世の中に無くてはならない業種ですが、周りから見下される可能性があります。これには、未経験の人でも入れる仕事なら誰でもできる職業なのだという先入観や、キツイ仕事しか選べない人がやる仕事という偏見が関係しています。しかし、どのような仕事にも言えることですが、誰にでもできる仕事というのは本来存在しません。始めるのは簡単でも継続するのが難しいからこそ3K労働は人材不足が問題になっています。そのため、該当する業種に属する企業は上記のような偏見を払拭するためにも、労働者が働きやすい環境を確保する必要があります。

3K労働に対する国の取り組み

働き方改革

時間外労働の上限規制

3K労働の慢性的な人材不足を解消するために、政府は働き方改革に基づき2024年から建設業や運送業に対しても、時間外労働の上限規制を設けることになりました。そのため、2024年4月からは建設業でも、原則年間360時間以上の時間外労働は違法になります。また、特別な理由があり労使協定を結ぶ場合にも、上限は年720時間となり、違反した場合使用者は懲役や罰金刑に処されることとなります。そのため、3K労働も2024年以降からは、休暇が取れないという状態も少なくなっていくことが予想されます。

賃金の引き上げ

3K労働は低賃金が問題に上がりがちですが、こちらも政府の働きかけにより今後賃金の引き上げが期待できます。例えば、現在政府は介護業界の深刻な人材不足を受けて、介護報酬の改定を検討中です。改定後の報酬は未決定ですが、改定までの施策として2024年2月からは介護職員1人に対して、6,000円の補助金が支払われます。また、介護業界に限らず建設業など3K労働に属するその他の業界でも、企業が独自に労働者の賃上げを検討する方向に動いており、今後も賃金の引き上げが予想されます。

公正な待遇の確保

政府の働き方改革では、パートや有期雇用労働者が正規雇用の労働者と比較した場合に、待遇に大きな差が出ないよう法改正を行いました。2020年に施行された均衡待遇規定では、非正規雇用者と正規雇用者を比較して不合理な待遇を設定してはならないと定められています。この施策は企業と労働者の双方が、納得して雇用契約を結べるようにする狙いもあります。そのため、非正規社員にありがちな、賃金は正社員より低いのに正社員とほぼ同等の業務量や責任を負わされるという問題も今後の改善が期待できます。

まとめ

3K労働の実態を理解してキャリアを考えよう

3K労働は「きつい・きたない・きけん」という印象から、敬遠されがちな職業です。さらに、業界全体の実態も、決して労働者が働きやすい環境が構築されているとは言えません。しかし、政府の働きかけや業界に属する各企業の努力によって、働きにくい環境はこれからも改善していくことが期待できます。また、各業種は業務内容や世間体的に不利な面もありますが、長く従事してキャリアを積めば、その道のプロフェッショナルとして活躍できる可能性もあります。そのため、3K労働のメリット・デメリットを考慮した上で、しっかりとキャリアプランを立てていくことが大切です。

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