記事更新日:2024年02月06日 | 初回公開日:2024年02月06日
用語集 グローバル用語解説 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報レジリエンスとは、困難を乗り越え回復する力を意味する言葉です。元を辿れば物理学の分野から発信された言葉であり、「外から加えられた力によって変形した物体が、どのくらい元に戻ろうとするか」という、跳ね返す力を表すものでした。その後に心理学の分野においても多く使われるようになり、障害を受けた患者などが、ストレスなどを乗り越えて回復する「精神的回復力」として使われるようになります。逆境やトラブルによって強いストレスを受けたときに「速やかに立ち直ろうとする力」は、ビジネスマンや企業にも必要であるとして、レジリエンスが注目されているのです。
メンタルヘルスとは「精神的健康」「心の健康」を意味する言葉で、心の健康状態をチェックすることで、ストレスや精神的疲労を軽減および緩和するという意味で使われます。企業では従業員のメンタルヘルスケアを定期的に行うことで、個々の抱える悩みやストレスを緩和することで、サポート役にまわって従業員の心の健康維持に寄与するします。定期的チェックなどのサポートによるメンタルヘルスと、ストレスなどから自発的に回復する力であるレジリエンスは、心の健康という意味は同じですが似て非なるものです。
ストレスコーピングとは、自身が抱えるストレスを理解することで、ストレスに上手く対応しようというヘルスケア手法の一つです。ストレスコーピングでは、問題や困難な状況によってストレスが発生したあとに、ストレスから切り抜けて上手く対処しようということが大きな目的になります。一方のレジリエンスは、問題やストレスに対する個々が持つ耐久力や回復力を示すもので、ヘルスケアの手法と個々の持つ能力という大きな違いがあります。
ビジネスの世界でもレジリエンスという言葉が注目され始めたのは、いままでには起きえなかった環境問題や経済および国際情勢の変化が発生したことによります。こうした状況を踏まえると、今後の社会状況は全く想像のつかないものとなっているのです。このような大きな変化によって企業が受ける影響も大きく、企業は変化に対応しながら成長維持する方法を模索していかなければなりません。企業に所属する社員を始めとする従業員も、外的要因や内的要因からくるストレスに対応する柔軟で強い対応力と、いち早く立ち直る能力が求められているのです。
レジリエンスとは個々が持つ能力であり、個々によって能力に差があるものの、環境や訓練などによって向上させることができます。レジリエンスが向上することで、ストレスへの耐性が高くなり、心身のバランスを崩して体調不良になる社員は減少するでしょう。また、ストレスを受けて心身に変調をきたしても、回復力の向上により早い復帰が期待できます。また、ストレス耐性が高まることによって心身の健康が維持しやすくなり、従業員のモチベーションアップに繋がるとともに離職率低下も期待できるでしょう。
目まぐるしく変化する時代を迎えた昨今において、変化に対応する能力とともに、困難を乗り越えて適応する力が企業と企業人に求められています。リスクを避けることは重要ですが、VUCAと呼ばれる時代にはどこにリスクが潜んでいるのかも予想できないのが実情です。日常が日常ではなくなり、安全であったものが危険を含むものに変わった現代では、困難な状況に遭遇したときの対応が重要になります。組織と社員のレジリエンスを向上させることで、困難な状況や大きな変化にも柔軟に対応できるようになるはずです。
レジリエンスを向上させることは、目標達成力を高めることにも繋がります。高い目標を掲げるほど、個々が受けるプレッシャーは大きく、目標には期限を設けることが殆どであるため期限が迫るほどプレッシャーは強くなるでしょう。その中で目標達成に向けて課題を克服していくためには、プレッシャーなどのストレスに適応する能力が必要です。プレッシャーという大きな力に圧し潰されそうになる中で、負けずにチャレンジし続けようという力がレジリエンスであり、目標達成を高める力になります。
柔軟な思考はレジリエンスを高めるために有効であり、高いレジリエンスを持つ人の大きな特長とも言えます。困難に陥ったり大きなプレッシャーを受けたりしたときには、人は視野を狭めてしまう傾向があり、柔軟な思考を妨げてしまいます。そのような状況に陥らないために、日頃から柔軟な思考を心がけましょう。自分が置かれた状態を冷静かつ客観的に把握することで、次の適切な対応が見えてくるはずです。パニックに陥りそうになったときほど、一息置いて冷静に自分の周囲を見渡すようにしてみましょう。
感情をコントロールできるようになれば、状況の変化に一喜一憂することもなく、物事の本質を見極められるようになります。とくにパニックに陥ったときには感情も高ぶってしまい、視野を狭めることに繋がるでしょう。高いレジリエンスを持つ人は、自分の感情をコントロールすることが上手く、感情に流されず冷静な行動をすることができます。周囲の人も同様に、予想しない状況に陥ったときには感情的になる人が続出し正常な議論ができないため、リーダーは全員の感情を抑えて現状を把握するように努めましょう。
楽観的であることは、明るい未来に向かって考えるという意味から「未来型思考」とも言えるでしょう。希望を持てる未来型思考でなければ、困難に対して前向きな行動を起こすことができません。楽観的に考え、どんな困難であっても必ず対処する方法があると考えることが大事です。まずは「必ずできる」と前向きに捉えて、解決方法をいくつも模索することが重要になります。悲観的に「これもダメ、あれもダメ」と考えているようでは、プレッシャーやストレスは増幅するばかりです。困難を自分が成長するための試練と前向きに受け止めて、積極的に行動を起こすようにしましょう。
挑戦を諦めないことは、ビジネスにおいて非常に重要なことです。無理だと思い、諦めたときが、ビジネスにおける本当の敗北です。何度も困難にぶつかって失敗を繰り返したとしても、挑戦する気持ちを忘れてはいけません。常にチャレンジし続ける人は、自己肯定感が強くレジリエンスがある人の大きな特徴でもあります。年齢を重ねても諦めずに挑戦し続ける人は少なくありません。それは、たくさんの失敗のあとに成功があり、自分が大きく成長することになると分かっているからです。
企業がレジリエンスを高める方法としては、やはり社員のレジリエンスを高めることが最も効果的だと言えるでしょう。その一つの方法として、研修によって社員のレジリエンス強化を図ることがあります。個々に指導を行うよりも、集団による研修という機会を設けることで、他との競争や協力する精神も養うことができるでしょう。ただし、レジリエンスの能力が個々によって異なるように、向上速度も個人によって違うものです。それらを正確に把握しながらアドバイスを加え、社員全体のレジリエンスを高めることが重要になります。
レジリエンスを高めるには挑戦し続けることが重要であると前述しました。企業では、それをバックアップする「挑戦を評価できる制度」を設けることで、より社員が積極的にチャレンジすることを期待できます。とくに企業が期待する新分野のチャレンジを推奨するのも良い方法です。それらも含めて公正に社員を評価することが肝要であり、適切な評価は愛社精神にも繋がります。個々のモチベーションアップや離職率減少も期待できるでしょう。ただし、挑戦に対する評価は結果が伴わないことも多いため、簡単ではありません。時間をかけてでも適切な評価制度を構築していきましょう。
企業理念を浸透させることで、社員のレジリエンスを高めることができ、ひいては企業全体のレジリエンスを高める事に繋がります。「なぜ自分が所属する企業が存在し、どのような目的をもって経営を行うか」を知ることにより、個々のレジリエンス向上に大きく影響を与えるでしょう。そして企業理念を頭に入れてレジリエンス向上に努めることで、企業と個人の方向性が一致します。それは個人や企業が困難に向き合ったときに、同じ方向性で打開策を考えることに繋がるでしょう。たくさんの打開策の中から、共通する理想のビジョンに合う最適な解決方法を見出すことができるのです。
BCP(事業継続計画)とはBusiness Continuity Planningの略称になります。BCPとは、平常時に行う活動や、緊急時における事業計画のための方法や計画を事前に取り決めておくことです。とくに災害や事故などによる緊急時の企業や組織の対応が重視され、災害などによるダメージから速やかに復旧し通常の状態を取り戻すことを目的としています。BCPとレジリエンスでは規模こそ異なるものの、基本的な考え方は非常に似ているため、両方を理解して取り組むことで相乗効果も期待できるでしょう。そして、個々と企業全体のレジリエンスを高めることにも繋がります。
ABC理論とは「Adversity・出来事」から「Belief・認知や解釈」が生じ、結果として「Consequence・感情や行動」が引き起こされると考える理論です。同じ出来事であっても、解釈によって相手の受け取り方が変わるといった考え方がABC理論になります。ABC理論に「Dispute・異議」と「Effect・結論」を加えたのが、ABCDE理論です。Bの解釈が偏ったものの見方であった場合に、異議によって生まれた結論という思考プロセスを客観視できる枠組みがABCDE理論になります。この理論を理解することで、個々のレジリエンスは高まるはずです。
自己効力感と自尊感情は大きな意味で酷似していることから、同じ意味として使われることも多くあります。自己効力感とは「自分はできる」と自信を持つことで次の動作に移行しやすくなるのが大きな特徴です。自尊感情は「自分をどれだけ愛せているかを測る指標」と呼ばれるもので、多くの悩みと繋がるもので心の健康を測定するバロメーターとも言われています。自分が不幸であるとか人間関係に悩む人の多くが自尊感情に問題があるとさえ言われる重要事項です。これら2つを高めることは、レジリエンスを高め個人の悩みを少なくするとともに、前向きな人間になるための最高の手法になります。
自発的治癒力とも呼ばれるレジリエンスを向上させることにより、困難にぶつかっても簡単に挫折しない強い心が育ち、負けずにチャレンジする精神が育ちます。それは企業にとってのレジリエンスを高めることであり、変化に柔軟に対応する理想の姿に近づくことです。どんな不利な状況にあっても、諦めず果敢に挑戦し続けることが成功に繋がることを忘れてはいけません。先の見えない状況に不安を感じることもあるでしょうが、企業理念のもと、レジリエンスを高めて社会の変化に柔軟に適応していきましょう。
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