溶接で技能実習を実施するためには【受け入れのポイントや移行試験について解説】

記事更新日:2021年10月08日 初回公開日:2021年10月08日

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開発途上国への技術移転などを目的とした技能実習制度によって、さまざまな業界や職種で外国人技能実習生が活躍しています。なかでも日本人の労働者が減少傾向にある業界においては、技能実習生は技術を習得するだけではなく貴重な労働力としても非常に重要な役割を担っています。例えば溶接業は高い技術力が必要とされることから、国内での労働力を確保するのが困難な職種です。今回の記事ではこの溶接業に焦点を当てて、技能実習における溶接業について解説します。溶接業で技能実習生の受け入れをお考えの企業の方は、ぜひご一読ください。

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日本の溶接業の現状

労働者の高齢化が進んでいる

若年層の労働者数が減少傾向にあり、全体的な高齢化が進んでいるというのが日本の溶接業における現状です。したがって、溶接業において若い労働力はとても重宝されるという傾向があります。しかし高い技術を身につけるのには長い年月が必要とされるため、若いうちから即戦力として第一線で活躍し続けることは難しいとされています。ハードな業務内容であるという印象を持つ若者が多いということも、業界全体の高齢化が進んでいる原因だと考えられるでしょう。

人材の確保が難しい

高度な技術力が必要とされるため、溶接業において人材を確保することは非常に難しいとされています。肉体的にハードな業務内容だというイメージが強いことから、溶接業を目指す若者が少ないというのも理由のひとつでしょう。このような人材不足は溶接業のみならず、製造業全般において課題とされています。多くの知識とスキルが必要とされる溶接業は、今後も需要がなくなるとは考えにくいため、今のうちから人材を確保しておく必要があります。

技能実習における溶接業

さまざまな産業分野がでの受け入れが可能

溶接業は製造業においてさまざまな場面で必要とされる業種であることから、多くの分野で受け入れが可能です。自動車や船の製造工場での業務が一般的とされていますが、そのほかにも建設現場など金属の溶接を行う多くの場面において活躍しています。受け入れ企業としては、技能実習生に指導できる業務の種類が多ければ多いほどいいでしょう。それは技能実習生にとっても同様で、多くの技術を身につけて自国へ還元できるのが理想です。それと同時に指導すべきことが多岐に渡りますので、根気強い指導が必要とされるでしょう。

溶接で技能実習生を受け入れる流れ

候補者の選考・面接

溶接業に限らず、技能実習生を受け入れる際にはまず候補者の選考と面接を行います。企業は技能実習生に対して求める人材像を明確にしたうえで、面接を行って採用を決定します。双方の都合によって対面での面接が難しい場合などは、必要に応じてWeb面接を実施するのもいいでしょう。また、実習の内容に応じて適性を図るためのテストをあらかじめ実施することもあります。企業は求めている人材をより確実に受け入れられるように工夫しましょう。

必要書類の申請

受け入れる人材が決まったら、必要な書類の準備にとりかかりましょう。中でも最も重要とされるのが、技能実習計画です。技能実習の概要について詳細を記したものになりますが、監理団体などにサポートしてもらいながら作成する場合が多いです。その他にも技能実習生の入国に関する在留資格証明書などを申請する必要がありますが、基本的には監理団体や送り出し機関が申請してくれます。証明書の有効期間なども考慮する必要がありますので、技能実習生の入国などはなるべく速やかに行うようにしましょう。

来日後の講習

技能実習生が来日したら、講習施設において生活などに関する講習を行う必要があります。1ヶ月ほどの期間で、おもな講習内容は日本語をはじめとする日本文化や、ゴミの分別といった生活マナーなどについてです。技能実習生が、日本での生活を安全にトラブルなく過ごすための講習といえるでしょう。生活においてトラブルや不安を抱えていると実習を中断しなければいけない可能性がありますので、事前講習は非常に重要な期間ということになります。

技能実習における溶接業の職種

手溶接作業

手溶接作業では、アーク溶接機を使用して手作業による溶接作業を行います。手溶接は比較的場所を取らないというのがメリットですが、熟練度が作業のクオリティに大きく影響するといわれています。手溶接・半自動溶接のそれぞれにおいて必ず行わなければいけない業務があり、手溶接ではアーク溶接機及び付属機器の取扱い作業などが必須業務とされています。また、必須業務に関連する業務も選択して実施しなくてはいけません。手溶接の場合は、半自動溶接作業などが関連業務の対象のひとつとされています。

半自動溶接作業

半自動溶接作業ではおもに、半自動アーク溶接機及び付属機器の取扱いなどの作業を行います。手溶接に比べて対応できる金属の種類が多いということもあり、多種多様な分野で活用されています。さらに手溶接よりも作業の難易度は下がることから、実習生に対して指導がしやすいというのもメリットといえるでしょう。とはいえ手溶接と同様に危険が伴う作業であることに違いはありませんので、技能実習生が安全に作業を実施できるようにしっかりと監督を行いましょう。

溶接で技能実習生を受け入れる要件

技能実習生が18歳以上である

技能実習生が18歳以上であることが、受け入れ要件としてあげられます。なるべく若くて熱心な実習生を受け入れたいと考える企業が多いので、18歳から20代前半くらいの人材を受け入れるケースがほとんどです。一方で技能実習で受け入れる実習生の年齢に上限はありませんが、30歳くらいまでが一般的に受け入れの対象とされています。監理機関や現地の送り出し機関を経由して受け入れを行うのが一般的ですので、年齢の要件に関するトラブルが起こることはほぼないと考えられますが念のためしっかりと確認しておきましょう。

技能実習指導員及び生活指導員を配置している

技能実習生を受け入れる企業は、技能実習指導員及び生活指導員を配置しておく必要があります。技能実習生に対する技術的な指導はもちろん重要ですが、生活に対する指導も円滑な実習を行うために必要とされます。業務においても生活においても、技能実習生が不安を抱えないようにするのが重要です。したがって受け入れ企業は技能実習生に対して適切な指導を行えるように、コミュニケーション能力や言語力に長けた指導員を配置できるのが理想的でしょう。

日本人が従事する場合と同等以上の報酬を提示する

日本人が従事する場合と同等以上の報酬を、技能実習生に対しても提示しなければいけません。技能実習生であることが理由で不当に報酬額を低くしてしまうことは禁止されています。職務責任や職務内容が同程度の日本人従業員と同等以上の報酬を提示し、理由についてしっかりと説明する必要があります。実際に、報酬に対する不満が原因で失踪してしまう技能実習生ががいるというのも事実です。自分自身や家族の生活がかかっているので、当然といえるでしょう。技能実習生が安心して実習に取り組めるように、企業は適切な報酬を提示するべきです。

技能実習における溶接業のキャリア

移行のための技能検定試験を受験する

技能実習第2号、技能実習第3号へと移行するために、技能実習生は技能検定試験を受験します。これらに合格することによって、技能実習を実施できる期間が延長されるのです。学科試験と実技試験の両方が実施されますが、合格できなかった場合には再受験が一度だけ許可されています。再受験にも合格できなかった場合には、1年で帰国しなくればいけないということもあります。また、技能実習3号への移行には受け入れ企業と監理団体の両方が優良認定を受けている必要がありますので、長期の実習を考えている企業は監理団体選びにも注意しましょう。

最大で5年間の実習を行える

溶接の技能実習は、最大で5年間実施することができます。しかしこれは最も長く実施できた場合の年数であって、必ずしも5年間実施できるというわけではありません。技能実習生は自身の在留資格を「技能実習第2号」「技能実習第3号」と移行させることによって実施期間を延長することができるのです。先述の通り、移行するためには技能検定に合格する必要があります。企業としては技能実習をなるべく長期間実施できるというのが理想的ですので、技能実習生が検定に合格できるようにサポートする必要があるでしょう。

溶接で技能実習生を受け入れる際のポイント

数年間連続して受け入れる

溶接で技能実習を受け入れる際のポイントとして、数年間連続して受け入れを行うということがあげられます。連続して受け入れを行うことによって、企業として受け入れの実績を積むことができて技能実習性からの信頼が厚くなるというのがひとつの効果です。さらにそれだけではなく、新たに入国した技能実習生の先輩に当たる人材が確保できるので、悩みや不安な点などについて受け入れ企業とは違った視点で解決できるかもしれません。

日本語教育に注力する

日本語の教育に注力するということも、溶接で技能実習生を受け入れる上では重要とされるでしょう。もちろん溶接業に限らず、日本で実習を行うにあたって日本語についての教育は必要不可欠です。しかし溶接業においては危険を伴う作業も多く、また高いスキルや知識の伝達が必要とされることからも日本語能力の高さは非常に重要となるでしょう。実習が開始してからも頻繁に会話などでコミュニケーションを取るなど、技能実習生の日本語能力が伸びるように企業は工夫を施しましょう。

技能実習生向けのマニュアルを作成する

溶接業の技能実習生のための、作業マニュアルなどを作成するのもいいでしょう。危険な作業が多いだけでなく、日本語での知識の伝達が難しいという場合も想定されます。したがって、技能実習生がこまめにチェックできるようにマニュアルは簡単な日本語もしくは実習生の母国語も交えて作成するのが効果的です。すでに社員に向けたマニュアルを作成しているという企業はそれらをそのまま使用するのではなく、技能実習生向けに少し変更を加えてみると良いかもしれません。

事故が起きないよう最大限に注意する

先述の通り溶接業においては危険を伴う作業が多いため、事故防止のために最大限の注意を払う必要があります。高熱を使用して金属の溶接を行うので、技能実習生が火傷などをしないように特に注意しましょう。また、放電によって高熱を作り出す場合もありますので、感電による事故も溶接業においては発生する可能性があります。大量の電気が流れた際に自動で電流量を抑える自動電撃防止装置は、どこにでも設置が義務付けられているわけではないので、設置されていない場所での作業は特に注意しましょう。

まとめ

貴重な人材を受け入れるために万全な体制を整えましょう

溶接業における技能実習の実施について、お分かりいただけたでしょうか。高い技術と豊富な経験が必要とされることもあり、日本国内で溶接業の労働力を確保することは非常に困難であると考えられます。技能実習生の受け入れは企業のイメージアップにもつながるため、技能実習を円滑に実施することができれば国内での求人増加も期待できるでしょう。したがって技能実習生への教育と安全の確保に十分配慮することが、溶接業全体にいい影響を及ぼすことになるのです。

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