記事更新日:2024年02月08日 | 初回公開日:2024年02月08日
用語集 グローバル用語解説 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報時差出勤とは、始業時間をずらした出勤方法です。時差出勤できる時間は事前に会社が決めており、従業員は定められた時間の中で自由に出社時間を決めることが出来ます。出社時間をずらしているだけなので、勤務時間に影響することはありません。時差出勤が8時~10時に設定されている会社の場合は、8時間勤務の場合8時に出社した人は17時に退社し、10時に出社した人は19時に退社します(休憩時間1時間含む)。通勤ラッシュの緩和や通勤ラッシュによるストレスの緩和を目的としています。
時差出勤とフレックスタイム制の違いは、フレックスタイム制は日によって勤務時間を変えることが出来ます。出勤時間をずらして出社するため、フレックスタイム制をイメージする人も多いのではないでしょうか。しかし時差出勤はいくつかある勤務時間のパターンから選ぶものであり、勤務時間は従来と変わりません。それに比べフレックスタイム制は、一日の実労働時間は定められていません。総勤務時間そのものも変更できるフレックスタイム制は、似ているようですが時差出勤とは異なります。
時差出勤を導入する際に必要になる準備は、対象者や適用事由を設定することです。時差出勤を必要とする社員は、多くの場合が子育てや介護・妊娠や出産などを行っている人です。時差出勤はこういった人たちが対象となることが殆どでしたが、昨今ではワークライフバランスやメリハリを持たせて生産性向上などを目的に、対象となる人が増えてきています。業務上の理由だけでなく自己都合の理由でも利用を可能にすることで、従業員が利用しやすくなり企業としても十分にメリットを享受できます。
時差出勤を導入する場合は、始業時間と終業時間に加えて適用回数を決定する必要があります。時差出勤を活用する多くの場合は、所定労働時間は変えることなく始業・終業時間を所定の時間からずらしいくつかの選択肢を設けています。選択肢を設定する際には始業時間や適用回数などを、従業員の希望を吸い上げてなるべくニーズに合わせる事が大切です。優秀な人材を採用したいと考えている際は、より多くの選択肢を設ける事で優秀な人材が集まる可能性を高める事が出来ます。
時差出勤導入には、就業規則の改定が必要です。始業・終業時間は就業規則に必ず記載しなければいけない項目です。現状の就業規則に始業・終業時間の変更できる旨の定めがない場合には、時差出勤導入時に労使の話し合いによって決めた始業・終業時間を記載しなければなりません。記載の方法は様々ですが、労使協定と話し合って定めた始業時間と終業時間をそれぞれ記載します。始業時間の選択肢をいくつか設けている場合は、終業時間も始業時間に合わせて記載するようにします。
事前に社内に周知することも、時差出勤を導入する場合に必要になります。労使協定と話し合いの結果、就業規則に記載をしたとしても周知を行っていなければ全ての社員が認識することは出来ません。制度の利用を促すためにも、しっかりと事前に説明し理解してもらう事が重要です。従業員が利用しやすいためにも、時差出勤の申請は簡潔なものにしておくことも大切です。事前に従業員の意見をくみ取っておくことで、利用されやすい制度になります。
時差出勤のメリットは、1人1人のパフォーマンスが向上することです。毎日通勤ラッシュの中出社していると、少なからずストレスが溜まっていきます。ストレスが蓄積していく事で、従業員のパフォーマンスにも影響を及ぼす可能性が高まります。時差出勤を導入することによって、満員電車を避けられるためストレスの軽減が可能です。1人1人のパフォーマンスが上がって行くことで、組織全体の生産性が高まり業績アップにも繋がっていきます。
時差出勤は、取引相手に合わせて調整が可能になるのもメリットです。取引先が国内だけであれば問題ありませんが、海外の企業ともやり取りをしている場合時差が発生します。時差が発生するとどうしても早出や残業が発生してしまい、長時間労働にも繋がりかねません。時差出勤を利用することが出来れば、海外企業との打ち合わせに合わせて遅めに出社するという事も可能になります。また始業時間が自社より早い国内の取引先との調整も柔軟に行うことが出来ます。
従業員のワークライフバランスが整うのも、時差出勤のメリットです。時差出勤を導入することで、従業員が今日は早く帰る為に早めに出社しよう・昨日は遅くまで仕事をしたから今日は出社を遅くしようなど自分で選ぶことが出来ます。始業時間や終業時間を従業員が自分で選ぶことが出来れば、プライベートの時間を確保しやすくなります。育児を行っている従業員や、家族サービスをしたいと考えている従業員にとってメリットの大きい制度です。
時差出勤のデメリットは、実労働時間を把握し辛い点です。時差出勤は従業員が自由に出退勤時間を選ぶことが出来る制度です。しかし出社する時間がバラバラになってしまうと、一人ひとりの実労働時間を把握することが難しくなります。時差出勤出来る時間の選択肢を増やすことで従業員にとってはメリットが大きくなりますが、自由度が高くなればなるほど管理が大変です。管理職の業務が増え、導入したことで効率が悪くなる場合もあるため注意が必要です。
時差出勤は、統一感を生み出しづらくなるデメリットがあります。時差出勤を導入すると、従業員の出社する時間がバラバラになり従業員全員がオフィスに揃っている時間が少なくなります。今まで習慣になっていた朝礼や全体ミーティングなどを実施することが難しくなり、必要な情報の伝達などがスムーズにいかなくなることも考えられます。従業員が同じ時間に出社していた時は社内に統一感が生まれていますが、出社時間がバラバラになることで失われる統一感を損なわない工夫が必要です。
時差出勤が向かない業務があるのも、時差出勤のデメリットです。時差出勤は満員電車などを避け、取引先の時間に合わせるなどメリットの多い制度ですがどの業種でも導入できるわけではありません。オフィスでの事務作業など自分の業務の時間を自分で決めれる場合は問題ありません。しかし飲食業界や接客業など客サービスを提供している場合には、営業時間が決まっているため導入できません。自社が導入できるかをしっかりと確認しておく必要があります。
時差出勤を導入する際の注意点として、深夜割増賃金に気を付けましょう。労働基準法では、法定労働時間を超えて労働した物に対して割増賃金を支払うよう定められています。割増賃金の対象となるのは、22:00~翌5:00までの労働です。この時間に働くことで生じる深夜割増賃金を、時差出勤を導入する際には考慮しておく必要があります。労働時間を8時間+1時間の休憩としている場合は、13時から時差出勤が出来るようにしていると深夜割増賃金が自動的に発生するようになります。
時差出勤を導入する場合は、労務管理の仕組みを整える事が重要です。時差出勤は始業時間の選択肢が増えれば増えるほど、従業員にとっては自由度が高まり働きやすいと感じてもらえますが労務管理が煩雑になります。利用しやすい仕組みであることは大切ですが、時差出勤で選択肢を増やす場合には労務管理をいかに効率的に行うかが成功させるカギとなります。打刻をPCやスマホからできるソフトウェアやサービスの導入などを行い、管理を簡素化できるようにしましょう。
労使協定を締結する必要があることも、時差出勤を導入する際の注意点です。原則として6時間労働した場合は45分、8時間労働した場合に1時間の休憩を労働者に一斉に付与しています。しかし始業時間が従業員によって異なる場合は、一斉に休憩を取ることが出来なくなります。そのため、時差出勤を導入する際は届け出まで行う必要はありませんが労働者との間で労使協定を結ぶ必要があります。各地の労働局に一斉適用の適用除外に関する労使協定書があるので、参考に締結できます。
時差出勤を導入しているのは、NTTアドバンテクノロジーです。NTTアドバンテクノロジーは、ソフトウエアの設計や開発、販売や運用などを手がけるNTTグループの技術的中核を担っている企業です。NTTアドバンテクノロジーでは時差出勤を導入しており、出社時間を6時半~10時の間で幅広く選ぶことが出来ます。出社が早いとその分退社する時間も早くなり、帰りづらくなりそうですがNTTアドバンテクノロジーでは早く帰る従業員が気まずさを感じないような工夫も行っています。
時差出勤を導入している企業は、コクヨです。コクヨは文房具の製造販売、オフィス家具の製造販売を行っている企業で授業員に多様な働き方をしてもらうために時差出勤を導入しました。コクヨでは7月後半から10月後半までの3か月間を対象として、フレックスタイム制や時差出勤を強化する期間を設け社内から実施する従業員を公募しています。時差出勤を行う人には朝食を提供するなどの工夫を行い、従業員が積極的に時差出勤を行えるような環境整備を行っています。
アスネットでも時差出勤が導入されています。アスネットはシステム開発のソリューションベンダーです。8時~10時までの時差出勤を導入しており、アスネットの時差出勤の最大の特徴は事前申請が不要な点です。従業員が柔軟に活用しやすいように、申請制度を設定していません。導入後に従業員にアンケートを実施し、制度導入の賛成者は9割を超え通勤ストレス軽減による生産性向上やプライベート時間の充実などが満足度に繋がっています。
時差出勤を導入するメリット・デメリットや、実際に導入する際の注意点について解説しました。時差出勤の選択肢を広げる事で、従業員が自由に出社時間を決める事ができ柔軟な働き方を行えるメリットがあります。しかし企業側として選択肢の自由度を高めてしまうと、労務管理が煩雑になり管理職の業務が増えるなど却って効率を下げてしまう可能性もあります。メリットも多い制度ですが、課題もあるため時差出勤が自社に合うかしっかり検討した上で導入するようにしましょう。
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