持株会とは【従業員側と企業側別に分けてメリット・デメリットを簡単に解説します】

記事更新日:2024年02月08日 初回公開日:2024年02月08日

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株主は企業に資本提供をしてくれる重要な存在です。しかし大株主など「もの言う株主」という言葉があるように、経営の方向性などについても意見を言われることもあり、経営者としては頭の痛い問題にもなっています。そこで上場はせずに持株制度を導入している企業もあります。持株制度は企業にとってだけでなく、従業員にとってもメリットの多い制度です。今回は自社株を従業員に持ってもらい、その制度を運営している持株会について解説していきます。持株会の導入を考えている人事労務の方は参考にしてみてください。

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持株会とは

従業員が自社株を取得するのを奨励する社内制度

持株会とは、従業員が自社株を取得するのを奨励する社内制度です。自社の株を従業員が購入できる制度の事を従業員持株制度と言い、この従業員持株制度を常設で運営しているのが持株会です。社員持株会と呼ぶ企業もありますが、同じ意味を持っています。持株会には経営を行っている役員は加入することは出来ません。役員も自社株の保有は可能ですが規制が異なるため、役員を対象としている役員持株会は別の期間として運用されています。

そもそも株とは

そもそも株とは、企業がこれから事業を展開していく上で必要な軍資金を調達するために発行している物であり、正式名称は株式と言います。企業の株を購入し保有しているという状態は、その企業に出資し事業資金を提供していることになります。事業資金を提供していることから、株を購入した人(株主)が企業のオーナーです。株を持っている割合によって企業が業績を伸ばし儲かると株価が上昇するため、株主にも利益を還元するシステムになっています。

持株会のメリット

従業員側のメリット

奨励金がもらえる

持株会に入る従業員のメリットは、奨励金がもらえると言う点です。奨励金は自社株を購入する際に支給されます。奨励金は従業員持株会に参加するにあたって、加入促進を見込めるため導入している企業が多くあります。東京証券取引所が行った「2017年度従業員持株会状況調査結果」によると、奨励金を支給している企業は約97%と殆どの企業で導入されていました。超低金利と言われている銀行に預金を置いておくよりも、奨励金の付く持株会を利用する方がメリットが大きいといえます。

小額から購入できる

持株会では小額から自社株を買うことができるため、従業員にとってメリットとなります。2018年10月から株式を購入するには最低100株単位での購入に統一されました。これにより少しずつ株を買うという事が出来なくなり、株を購入するためには一定程度の資金が求められます。そのため投資をしたいと考えていても中々手が出せない人もいるはずです。従業員持株制度を利用することによって、毎月1000円単位での株を購入することが出来ます。

インサイダー取引が適用されない

インサイダー取引が適用されないのも、持株会に参加する従業員のメリットです。インサイダー取引とは、従業員や役員・大株主など企業の関係者が株価に影響を与える非公開情報を知った上で株の売買を行う行為です。こういった行為を行う事によって公平な株式市場に影響を及ぼしてしまうことから、禁止されています。しかし従業員持株制度は毎月一定額を定期的に購入することを目的としているため、インサイダー取引には該当しないとされています。

企業側のメリット

従業員の満足度の向上につながる

持株会を行う企業側のメリットは、従業員の満足度向上に繋がる点です。企業の業績が上がることで自社株の配当金も上がります。そうすると株を持っている従業員にも配当金として還元されるため、仕事に対してのモチベーションアップに繋がります。株価の値段は上がり下がりが激しく単純なものではありませんが、自社株を持つことで自社の動向に注意を払うようになり経営への参画意識も根付いていきます。業績アップに貢献しようとするようになり、企業成長の効果を期待することも可能です。

持株会が安定株主となる

持株会の企業側のメリットは、持株会が安定株主となることです。企業からすると、従業員持株制度で従業員に自社株を持ってもらう事で長期的に株を保有してくれる安定株主だと捉えることが出来ます。元々日本では取引先同士がお互いの企業の株を持つ「持ち合い株」と呼ばれるものが活用されていました。関係取引先が株主となることで、関係性を強固なものにしていましたがバブル崩壊後は取引先間で株の持ち合いをする事でリスクが高まり、減少しています。従業員に持ってもらう事で安心感が生まれます。

事業継続対策になる

事業継続対策になるのも、持株会を実施する企業側のメリットです。上場していない企業では、持株制度を活用することで事業を承継(相続)出来る可能性が高まります。大企業のような資金が潤沢にある場合は問題ありませんが、中小企業において株価が高くなりすぎてしまうと事業を承継する際に支払わなければいけない金額も高くなります。その場合現金を準備しなければならないため、中小企業にとっては容易な事ではありません。従業員に株を持ってもらう事で対策を行うことが出来ます。

持株会のデメリット

従業員側のデメリット

好きなタイミングで売買できない

持株会の従業員にとってのデメリットは、好きなタイミングで売買できない点です。毎月同じタイミングでの購入は出来ますが、通常の株購入時のように値下がりしたときに購入し値上がりしたタイミングで売るといったことは出来ません。また持株会を通して購入した株を売る際には、すぐに売れる訳ではありません。持株会が個人口座に株式を振り返る手続きが必要となり、数週間かかる場合もあります。また最低売買数量も決まっており、一単元以内の場合は売れないこともあります。

会社への依存度が高い

持株会に参加することで従業員側は、会社への依存度が高くなってしまうこともデメリットといえます。制度を利用して自社株を持つことでメリットは沢山ありますが、もし企業の業績が落ちた場合は株価も下がってしまう可能性があります。本来個人で株の売買を行っている人は、分散投資をしている場合があり1つの企業で業績が悪化したとしてもそこまで影響を受ける事はありません。しかし持株会では自社株を購入しているため、給料と資産を同じ企業に頼っており依存度が高くなってしまいます。

株主優待がない

株式を持っていても配当金はもらえますが、株主優待は受けることが出来ないのも持株会の従業員側のデメリットです。個人で企業の株を保有している場合、保有数に合わせて優待として食事券や自社商品の詰め合わせをもらうことが出来ます。しかし従業員持株制度では、個人で自社の株を持っている訳ではなく持株会の名義で株を購入しているため、株主優待の対象にはなりません。最低売買数の株を持っている場合は、自分の証券口座で株を出庫すると優待は受けられますが奨励金などはなくなります。

資産が減少する

資産が減少してしまう可能性があるのも、従業員側のデメリットの一つです。投資の原則の中に、「卵は一つのカゴに盛るな」というものがあります。一つのかごに全ての卵を入れていると落とした時に全部割れてしまいますが、分散していれば一つ落としても他の卵は無事です。持株制度は株価が下がると保有資産が目減りするだけでなく、業績悪化により給料や賞与の低下も考えられます。最悪の場合倒産し職と資産を失うかもしれません。収入と資産の両方を依存してしまう持株制度はリスク分散が出来ず資産が減ってしまう点がデメリットです。

企業側のデメリット

配当を出し続ける必要がある

持株会の企業側のデメリットは、配当金を出し続ける必要があるという事です。持株制度は安定株主や従業員の満足度向上など、導入することによって企業としてもたくさんのメリットがある制度です。しかしそれは企業の業績が安定して配当金を出し続けられている間に限ります。世界情勢の変化や新しいウイルスの流行によって、経営状態が悪化する可能性もあります。業績悪化によって配当金なしとしてしまうと、従業員の信頼が無くなる可能性もあります。但し業績が悪化しているのに無理して配当金を出し続けると企業運営が出来なくなることも考えられます。

議決権の問題が生じる

持株会は議決権の問題が生じる可能性があるのも、企業側のデメリットといえます。株主には株主総会において議決権という権利があります。少数株主の権利として、3%の議決権を保有していれば帳簿閲覧権、1%以上で提案権、1株以上で代表訴訟提起権が行使可能です。これは持株会で自社株を持っている従業員にも当てはまります。少数株主であるため、基本的に企業運営に影響が出る事はありませんが安定的な運営が出来なくなる可能性も考えられます。持株制度を導入している企業では議決権を付与しない対応を取っている場合もあります。

従業員のモチベーションが下がる恐れがある

従業員のモチベーションが下がる恐れがあるのも、持株会の企業側のデメリットの一つです。業績が上向いている時には、奨励金や配当金をもらえ企業に貢献するためのモチベーションになる持株会です。しかし企業の業績が悪化してしまうと、株価が下がり資産が目減りしてしまうためモチベーションの低下は避けられません。また保有している資産だけであれば何とか耐えられる可能性もありますが、業績悪化に伴い手当や給料の減少に繋がると益々モチベーションが低下します。業績悪化した際の対策などを立てておく必要があります。

持株会を導入する際のポイント

配当金の支払い基準や買取価格を明確にする

持株会を導入する際のポイントは、配当金の支払い基準や買取価格を明確にすることです。持株会では従業員は自分のタイミングで株を売りキャピタルゲインを得る事が出来ないため、持株会に加入する従業員の期待は配当金に集中します。配当金の割合などが事前にきちんと説明されていない場合などは、会員から不信感を抱かれる可能性もあります。不信感から加入することに不安要素が高まり、結果として持株会の運営自体に影響を及ぼすかもしれません。トラブルを防ぐためにも、支払い基準や買取価格は明確にしておきましょう。

必要性を慎重に判断する

必要性を慎重に判断することも、持株会を導入する際のポイントです。持株会は企業側にも従業員側にもメリットのある制度です。しかし持株会を運営するには長期的な目線が必要となり、安易に導入してしまうと失敗する可能性があります。そのため導入する際にはしっかりとした計画を立てておくことが大切です。会員になる従業員との間でトラブルが起きないような仕組みづくりを行う必要があります。企業側が突然持株会を導入するのではなく、導入前に従業員に説明の場を設けメリット・デメリットを理解してもらうようにしましょう。

まとめ

持株会の特徴を理解し導入を検討しよう

持株会の企業としてのメリット・デメリットや、従業員側のメリット・デメリットについて解説しました。持株会は自社の株を従業員に購入してもらい、購入額に応じて配当金を支払う制度です。安定的な株主確保や福利厚生の充実などに繋がる為、導入する企業も増えています。その一方、持株会は長期的な運営が必要な制度のため安易に導入してしまうとトラブルに発展しかねません。導入する前にはトラブルに発展しないようルール作りや、従業員への説明が必要不可欠です。持株会の特徴を理解して導入を検討しましょう。

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