業務委託とは【派遣との違いやメリットなどについて詳しく解説します】

記事更新日:2022年12月01日 初回公開日:2022年12月01日

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近年では働き方の多様化により、さまざまな雇用形態が浸透しています。社内で派遣社員や外部の会社員と共に仕事をすることも珍しくはありません。会社内の人材だけで業務をカバーできないときに活用できるのが業務委託です。業務委託契約はフリーランスや外部の会社と交わす契約で、会社とは関係のない人材に仕事を依頼することになります。社員で賄えない専門的な知識を持っているため、取り入れ方に成功すれば大きな力になります。この記事では業務委託がどのようなものなのか、労働者と企業それぞれのメリットやデメリットなど詳しく紹介します。

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業務委託の定義とは

企業の外部に業務を委託すること

業務委託とは業務の一部や対応できない業務を、外部の企業や個人事業主に任せる契約です。会社の雇用契約下にある会社員や契約社員とは違い、契約者同士が対等であるため企業が委託先に指揮する権限はありません。委託先企業や個人事業主は、自己の裁量と責任に基づいて業務を遂行する必要があります。契約時に約束した業務の完遂や完成品に対して報酬が支払われるシステムです。仮に途中放棄や契約時に提示された条件を満たせない納品があった場合は、何かしらの罰則が与えられます。

請負契約と委任契約の総称である

業務委託は請負契約と委任契約の総称を指します。請負契約は仕事の完成を約束した契約で、業務が完遂されなければ報酬が支払われることはありません。契約した業務を完遂できなければ、「契約不適合責任」を負う可能性のある契約です。委任契約は仕事の完成を目標とせず、業務を遂行したことに対して報酬が支払われます。委任契約は契約不適合責任を負うことはありません。しかし、通常要求される程度の注意を払う必要が定められた「善管注意義務」の規定のもと業務を遂行する必要があります。

業務委託が注目される背景

フリーランス人材が増えた

業務委託が注目されている背景として、フリーランスの人材が増えたことが関係しています。フリーランスは特定の企業や団体には所属せずに独立してクライアントと契約し、業務を遂行する個人事業主です。テレワークの浸透やクラウドソーシングの普及により働き方が多様化した現在、自由度が高く得意分野でスキルを活かせるフリーランス人材が増えています。フリーランスの業務形態の多くは業務委託です。企業と業務委託契約を交わして業務を遂行し、報酬を得る働き方をしています。

副業や兼業をする人材が増えた

副業や兼業をする人材が増えたことも業務委託が注目されるようになった背景の一つです。働き方改革の推進やコロナ禍によるリモートワークの普及により柔軟な働き方に意識が向く中で、副業や兼業を認める企業が増えました。業務委託は場所や時間の規則がないため働き方の自由度が高く、自分で業務を選ぶことができます。そのため融通が利きやすく、本業のある会社員はスケジュールや業務量の調整がしやすいため、業務委託は副業として始めやすいです。

業務委託と派遣契約の違い

派遣契約における業務は直接雇用とほぼ変わらない

派遣契約は直接雇用と同様の業務をします。派遣契約は、会社に足りない人材を確保することが目的とされています。雇用関係を結ぶのは派遣会社ですが指揮命令をするのは派遣先の会社で、業務上は直接雇用されている社員とほとんど同じで、勤務時間や勤務地の指定もあります。ただ、派遣社員の仕事内容は契約で定めたことに限り、派遣先企業は契約した内容以外の業務を指示することはできません。また、業務委託のように成果に対して報酬を得るのではなく、給与として会社から支払われます。

業務委託においては成果物が重要視される

業務委託の契約では成果物が重視されます。契約内容を守って業務を完遂することができれば、好きな時間や場所で働いて土日祝日関係なく休むことが可能です。派遣契約は業務の責任を派遣先企業が負うことに対し、業務委託ではすべて委託先に任されます。請負契約の場合は完成義務があり、納期遅延など発生すると報酬が得られないことに加え、損害賠償の請求や契約解除もあり得ることです。また、請負契約には納品物に不具合があった際に修正する義務となる「瑕疵担保責任」が定められています。

業務委託における労働者のメリット

働き方の自由度が高い

業務委託における労働者のメリットとして、働き方の自由度が高いことが挙げられます。雇用契約とは違って担当業務や勤務地の変更など会社の意向によって業務内容に影響が出ることはありません。契約した業務の完遂や成果を収めることさえできれば、業務の勤務時間や勤務地など自由に選ぶことが可能です。契約内容によっては現場に赴く必要が出る業務もありますが、企業と対等な関係で交渉できるため条件を受け入れるかどうかは自分で決められます。

自身の強みを活かしやすい

業務委託として働くメリットは、請け負う仕事を選べるため自身の強みが活かしやすくなる点もあります。雇用契約を結んでいないため、会社の意向による所属部署の異動や担当業務の指示を受けることはありません。自分の得意分野やスキルに特化した業務のみ請負うことができます。望まない業務は契約の段階で交渉もできますし、断ることも可能です。得意分野に絞って受注し、成果を出していくことで社会的な評価にもつながるため、モチベーションが維持しやすくなります。

業務委託における労働者のデメリット

収入が安定しづらい

業務委託として働くデメリットは、収入が安定しづらいことが挙げられます。業務委託は自分で仕事を探して営業・交渉して業務を完遂しなければ、報酬を得ることはできません。企業から常に求められる人材ではないため、仕事のない期間ができることもあり得ます。また、会社員とは違ってキャリアアップする制度もありません。安定して報酬を得るためには1度ではなく継続して仕事を請け負う必要があるため、営業方法の工夫や請け負った業務を効率よく進める自己管理が必要です。

労働基準法が適用されない

労働基準法が適用されないことも、業務委託における労働者のデメリットの一つです。労働時間や最低賃金などに関する取り決めが定められていないため、契約内容によっては割に合わない仕事を受け入れることもあります。また年間休日も保証されておらず、自分で休日を確保することが必要です。しかし、業務委託でも企業との指揮命令関係があれば雇用とみなされ、労働基準法が適用される場合もあります。自由度が高い分、労働時間や休日は自分自身で管理しなければいけません。

業務委託における企業のメリット

社内の人材を有効活用できる

業務委託における企業側のメリットとして、社内の人材を有効活用できることが挙げられます。会社の業務の中には専門知識が必要な業務があり、社員が従事するためには教育や研修が必要です。教育や研修は人員を割き、時間や費用をかけて行わなければいけないものもあります。会社に足りていない専門知識や経験を業務委託で外部の人材に補ってもらうことで、社内の人材の手が空いた状態ができます。手の空いた社員は担当業務に専念させたり、得意分野の業務へ配置すれば社員の負担が減るだけでなく社員のモチベーションの向上が期待できます。

専門的なノウハウ不足をカバーできる

業務委託における企業側のメリットとの一つとして、専門的なノウハウ不足をカバーできることがあります。業務委託契約を結ぶ相手は、専門知識やノウハウを持つ相手です。社員では対応しきれないような専門知識が必要になる業務と向き合うことになったとき、社員の教育や高い専門的スキルを持つ人材の採用が必要になります。人材の教育や採用には時間とコストがかかります。業務委託は即戦力となる専門性の高い人材に仕事を依頼できるため、会社に不足している専門知識やノウハウを補うことができます。

人件費を抑えられる

人件費を抑えられることも、業務委託における企業側のメリットです。新しく人材を採用し、教育や研修で会社で活躍できるほど専門性を高めるには費用も時間もかかります。採用から教育まで社内で執り行っても、理想通りに人材が育たないリスクもあります。業務委託で既にノウハウを持った外部の人材に依頼することで、採用や教育にかかる費用を削減して短期間で成果を出すことが可能です。特に、専門性が高くても会社全体で見て業務の小規模な業務の場合は業務委託をしたほうが生産性が上がります。

業務委託における企業のデメリット

労働者の管理が難しい

業務委託のデメリットの一つは、労働者の管理が難しいことです。業務委託をした企業は受託者に対して指揮命令権を持っていないため、業務指示ができません。そのため、意思疎通が上手くできないと成果物のクオリティが下がったり意図したものと違う形で業務を遂行されることも考えられます。業務委託とはいえ、成果物の質によって最終的に評価を受けるのは委託した企業です。契約の時点で業務範囲や業務内容を細かく設定し、進捗状況を把握するなど慎重に進める必要があります。

適切な報酬設定が難しい

業務委託の企業側のデメリットとして適切な報酬設定が難しいことが挙げられます。業務委託は専門性が高いほどコストが上がり、業務量や内容によっては採用活動や教育にかかる費用を上回ることもあるでしょう。適正額が分からず相場より多くの報酬を払っている企業もあります。報酬を決めるために必要なのは、業務内容の相場を知ることです。業務委託先は個人であることが多く、人によって能力や実績は違うため慎重な選択が求められます。また、エージェントを利用した場合は仲介手数料もかかるため、予算の中に入れておく必要があります。

社内にノウハウが蓄積されづらい

社内にノウハウが蓄積されづらいことも企業側が業務委託をするときのデメリットになります。業務委託は外部の人材に依頼するため、継続すると依頼した業務の知識を持た人材が社内で育ちません。社内で人材が育たないと業務委託を容易に終了できず、予想外の費用が発生することも考えられるでしょう。社内でのノウハウを蓄積するためには、定期的な情報共有や社員と業務委託先が仕事を共にする場を設けるなどの工夫ができます。中には実践的な場面で得られる知識もあるため、業務委託をしながら対策を考えることが必要です。

業務委託契約における注意点

収入印紙が必要である

業務委託契約書は印紙税法の第2号の文書に該当するため、収入印紙の貼り付けが必要になります。収入印紙がない場合や間違った貼り付けがされている場合は、印紙税法違反で納付額の約3倍の金額を過怠税として支払わなければいけません。未納を防ぐためには、業務委託契約書が印紙税法の該当する文書を把握する必要があります。契約書に金額が書いてあるかどうか、または請負契約か委任契約かで該当する文書が1号や7号に変わり、収入印紙の要・不要が変わります。電子契約の場合、契約内容に関わらず収入印紙は不要です。

まとめ

業務委託の契約形態について理解を深めましょう

業務委託の契約形態やメリット、デメリットなどを説明しました。業務委託を上手く活用できれば、会社に足りていない専門知識ををカバーでき、社内人材の負担を減らして生産性を上げることができます。逆に、業務委託に頼り続けていると社内の人材が育たず逆にコストがかかるという懸念点があることもわかります。失敗しないためには、企業の方針や業務範囲に合う業務委託の契約内容を検討することです。業務委託の契約について理解を深めることで、会社の成長を考えたときに候補の一つとして取り入れるきっかけになるでしょう。

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