生活オリエンテーションとは【実施する目的や注意点などについて解説】

記事更新日:2021年08月02日 初回公開日:2021年07月30日

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特定技能1号外国人を迎え入れる際に必要となる、「生活オリエンテーション」の準備はできていますか。生活オリエンテーションとは、特定技能1号外国人が就業や日常生活を円滑に行うための情報適応を表し、多くの企業が開催しています。しかし、ただ開催すれば良いというわけではなく、日常で必要となる様々な種類の情報や注意点を伝えなくてはいけません。今回は、生活オリエンテーションの目的や実施項目について詳しく紹介しています。この記事を読んで、特定技能1号外国人の受け入れ準備に漏れがないかチェックしてみてください。

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生活オリエンテーションとは

特定技能1号に対して受け入れ事業が行う情報提供のこと

生活オリエンテーションとは、特定技能1号に対して受け入れ事業が行う情報提供のことを指します。企業は特定技能1号外国人の入国後に、生活オリエンテーションを実施する必要があります。受入れをする事業者自らが行うことを原則としていますが、事業者から委託を受けた機関で実施される場合もあります。委託を依頼する場合には、あらかじめ出入国在留管理庁長官の登録を受けた事業者でなければなりません。生活オリエンテーションでは特定技能1号外国人の入国後に重要な知識を指導するので、委託業者の選定は慎重に行う必要があります。

生活オリエンテーションを実施する目的

日本で生活をスムーズに行ってもらうため

生活オリエンテーションを実施する目的は、特定技能1号外国人が就業、生活環境の両側面において必要となる知識を習得し、日本での生活をスムーズに行えるようになることです。また文化を教えることで、外国人労働者によるトラブルや迷惑行為を防ぐという意味付けもあります。そのため、様々な知識を習得できる生活オリエンテーションは研修にはなくてはならないプロセスです。ただ実施するのではなく企業が生活オリエンテーションの目的を理解し、日本での生活様式を正しく伝えられるかが大切と言えます。

生活オリエンテーションで提供するべき情報

入国と在留手続きに関する情報

生活オリエンテーションで提供するべき情報としては、入国と在留手続きに関する情報が挙げられます。手続きに関する情報が必須となる理由は、特定技能1号外国人が入国および在留期間中における手続きを理解し、国内への滞在ができる環境を作るために必要だからです。手続きを誤ってしまうと不法滞在となり自国への送還など重い罰を受ける可能性があります。国で定める手続きが重要であることを理解させておきましょう。

生活一般に関する情報

金融機関の利用方法

生活オリエンテーションで伝えるべき情報の1つに、「生活一般に関する情報」があります。特に、「金融機関の利用方法」は給与の受取に関する重要な項目です。具体的には、金融機関での入出金、振込の方法や、利用可能な時間、ATMの使い方と手数料などについて説明する必要があります。出国する際の口座の閉鎖方法も説明しておきましょう。多くの人が母国への送金を希望するため、その手続き方法などについてもしっかりと理解できるレベルで伝えることが不可欠です。

交通機関の利用方法

生活オリエンテーションでは、交通機関の利用方法についても十分に触れておきましょう。生活スペースから勤務先までの交通経路や、通勤手段として利用するバスや電車の利用法や料金の支払い方法についての説明は必ず行いましょう。その他にも、日本人にとっては当たり前のことかもしれない自転車の乗り方や駅の利用方法について理解させることも必要です。特にスマホなどを利用しながら自転車に乗る行為は法令違反などになる点も十分に理解してもらうよう説明をしましょう。また、日本で生活する以上、交通機関だけではなく法令遵守の必要性も理解することは日常生活において重要です。

生活必需品の購入場所

生活必需品の購入場所として、最寄りのスーパーや直売所、コンビニや薬局などの場所や商品の選び方も説明必至です。それ以外に、会計の方法、ポイントカードなどを活用して日用品などの購入が安価にできる方法なども説明しておきましょう。生活必需品を購入することは、日常生活を快適に行うために必ず行うことが必要です。また、他にも一般的に流通している食材などは母国と異なることも多いため、スーパーの利用だけではなく購入できる商品の扱い方も説明しておく必要があります。

生活ルール

就業先、居住地域におけるゴミの廃棄方法などの生活ルール全般について、情報提供が必要です。分別方法や出し方、収集日、粗大ゴミの捨て方等について伝えるようにしましょう。また、大声で騒いだり騒音を出したりするなど、近隣住民の迷惑になる行為、空き地や畑に無断で入ることは違法となることも教えましょう。最近では喫煙についてのルールが厳密になっているので、喫煙者には喫煙場所等のルールも必要な情報となります。

教育制度に関する情報

仕事をしながら専門学校や日本語学校に通う外国人もいるため、日本の教育制度についても教える必要があります。日本語学習の概要や、学習方法、学習教材についての情報提供を行います。日本語学習を学習して会話等で使用できるようになることで、就業先での活躍が期待できます。また、学校や参考書での学習だけでなく、ユーチューブのような動画でも学習することができるので、その外国人に見合った学習方法を提示するのが良いでしょう。

出産と子育てに関する情報

入国時や在留期間中に妊娠や出産をした際の手続きなども説明項目です。入国時に妊娠中であれば、健康状態の告知するように促す必要があります。また、日本で妊娠をした場合には、安全な出産や育児ができるようにするための知識が必要です。そのため、前もって利用できるサポート先や相談できる窓口の説明を行い、安心できるサポート環境があることを認知させておきましょう。いざという際に相談できる先があると把握しておけると、外国人労働者は安心感を持って生活することができるでしょう。

国または自治体への届け出に関する情報

生活オリエンテーション確認書で国または自治体への届け出に関する情報も重要なテーマです。具体的には「所属機関(雇用企業)との契約手続き」「転入・転出手続き」「社会保障」「税」「マイナンバー関係の手続き」などになります。このような働く上で必要な届け出と意味について理解を促しましょう。また、説明と同時に手続きをする場合もあります。給料から控除する税の説明などは、収入に直結する内容です。十分に時間を掛けて説明し理解を促していきましょう。

相談や苦情を受ける機関の情報

実際に就業や生活を開始した後に発生する問題や相談する場所についてもガイダンスで説明しておきます。緊急時などの連絡する支援担当者の連絡以外にも、地方出入国管理局、労働基準監督署や警察署、消防署などの相談先を把握しておくことは、日々の安心感につながります。常に連絡先を把握できるような連絡先一覧などを作成し配布するなどしておくことが有効な手段となります。こうした細かな配慮は、外国人が安心感を得る重要な要素になります。

医療体制や機関に関する情報

医療体制や機関に関する情報については、就業場所や生活空間の近くで通える医療機関の場所や診察方法を説明します。保険証などの発行から利用の仕方、費用に関する知識も説明し医療機関の利用についての理解を促します。当然のことではあっても、体調不良に陥った場合や緊急の場合に診察を受けられるように、通いやすい生活圏内の医療機関や総合病院のような大型医療機関について確実に説明しておきましょう。

防災や急病等に関する情報

日常生活において万が一のことが起きる可能性はゼロではありません。緊急時には救急車や消防車、パトカーなどを呼ぶこともあるため、各施設の場所や連絡先、連絡の仕方などを説明することも必要です。また、緊急時には冷静に対応することが必要となるためトラブルの種類別に、どこに連絡するか整理した一覧を作成し手渡しておきましょう。連絡先を知っておくことは安心感と迅速な対応につながり大きな問題になることを抑制します。

雇用や労働に関する情報

雇用や労働に関する基礎的な知識も生活オリエンテーションで必ず伝えるようにしましょう。雇用条件に関する知識や労働に対する対価は働く上で知っておかなくてはいけない項目なので、後々のトラブルを未然に防ぐためにも伝えておきましょう。労働契約と実際の就労状況が異なる場合には、早期にリタイアする人や問題の多発にもつながりかねないため、隠し事はせず正確な情報開示を心がけましょう。特に重要な内容なので、日本に来て右も左もわからない方達にも理解できるレベルでの説明をしてください。

法的保護に関する情報

在留期間中の法的保護は我が国の責任です。労働基準法による労働条件の保護、在留期間中の心身の保護は法令で定められています。雇用主となる事業主は、在留期間中の保護や適切な労働環境を提供する義務があります。法令があるからではなく就業する従業員を守ることを意識して労働環境や心身の保護についての整備する義務があることを理解する必要があります。日本国籍の従業員以上に配慮が必要な場合もあることも理解しておきましょう。

生活オリエンテーションを実施する際の注意点

8時間以上ガイダンスを行う

生活オリエンテーションを実施する際の注意点を紹介します。ガイダンスは、最低でも8時間以上の実施が義務として定められています。しかし、8時間を過ぎればいいということではありません。原則として、内容を理解できるまで丁寧な指導をすることが必要です。内容を理解するには、8時間では不足されているとされる考え方もあり、最低限のガイダンスの後にテーマ別に数回オリエンテーションを行うことを想定して予定を組む必要があります。

受講者が理解できる言語で実施する

実施する時間以外にもガイダンスを実施する際のルールがあります。それが、説明に使用する「言語」についてです。ガイダンスは、特定技能1号外国人の母国語で実施するなど理解しやすい言語を使用します。ガイダンスの内容を理解してこそ目的を果たします。そのためには、理解できる用語を使って説明することが原則です。対象者の国籍が異なる場合には、それぞれ別にガイダンスを実施するなど理解度を高める対応も企業責任です。

実施後に確認書に署名してもらう必要がある

ガイダンスの実施後には、修了に関する証明として署名が必要です。この署名も義務化されており生活オリエンテーションの実施を正しく行ったという証明となります。署名する書類は「特定技能所属機関による支援実施状況に係る届出」と呼ばれ出入国在留管理庁のHPに雛形を掲載されています。このフォーマットを利用し定められている期間中(第1~4期)に提出する義務があります。HPには記入例なども掲載されています。

生活オリエンテーションの参考資料

東京都国際交流委員会のホームページ

東京都国際交流委員会のホームページ「多文化共生の推進」内に「在住外国人の生活支援(多文化共生の推進)」として参考資料を掲載しています。ここに掲載されている内容には、外国人向け防災情報として外国人のためのヘルプカードなど生活オリエンテーションで活用できる様々な情報が掲載されています。その他にも「やさしい日本語(にほんご)」というテーマなどもあり在留外国人に対する支援する情報が掲載されています。参考になる情報が多いため、特定技能1号外国人を受け入れる際には予め閲覧しておきましょう。

まとめ

生活オリエンテーションを実施して外国人材の生活をサポートしよう

特定技能1号外国人が円滑に業務を遂行することは企業の労働力の確保、業務運営上でも非常に有効です。反対に円滑な業務ができなければ早期帰国など労働力の低下や業務負担が増加します。そのため、企業が生活オリエンテーションを実施して情報提供をすることで、外国人が就業や日常生活を円滑にできるようにさせることは重要といえるでしょう。理解できているかを常に意識しながら、必要な情報提供を実施し企業発展につなげていきましょう。

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