記事更新日:2024年12月26日 | 初回公開日:2024年12月26日
用語集 グローバル用語解説 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報セレンディピティ(serendipity)とは、予期せぬ発見が新たな価値を生み出す事象のことです。セレンディピティは、イギリスの政治家・小説家であるホレス・ウォルポールによる造語であり、「セレンディップの3人の王おじたち」というおとぎ話が言葉の由来とされています。セレンディピティの定義として、「偶然と賢明さによって、探していたものと異なるものを発見すること」とされ、20世紀後半からセレンディピティという言葉が普及するようになっていきました。
セレンディピティを使ったマーケティング用語に「セレンディピティ消費」というものがあります。セレンディピティ消費とは、「予測できないこと」を求める消費者をターゲットとしたマーケティングの手法です。インターネットの発達により、物事についてのさまざまな情報が容易に手に入るようになった現代では、内容や結果が容易に予測できるようになってきました。そこで、擬似的に再現性のない偶然を引き起こすことによって、消費者に「偶然その商品に出会った」と体感させることで商品の購買意欲を刺激するといったものです。
セレンディピティと似たような言葉にシンクロニシティという言葉があります。シンクロニシティとは心理学者のユングが提唱した概念であり、因果関係のない2つの出来事が類似性・近似性を持って同時に起きることを指します。セレンディピティもシンクロニシティも偶然から発生するという点では同じ意味を持っていますが、シンクロニシティは偶然発生した現象そのものを指すため、その偶然から何かを発見して利益を得るというものではありません。
セレンディピティが注目されるようになった背景として、技術革新やグローバル化があります。近年、人々の生活においてインターネットは必要不可欠となっています。インターネットを使用することによって、日常的にさまざまなセレンディピティを体験できる可能性もあります。インターネットの普及によって、世界規模でアイデアが流通しており、物事を見る状況が増えた時代である現代だからこそ、今まで得たことのない経験や知識からセレンディピティを得られるようになってきています。
セレンディピティが注目されるようになった背景として、価値観が変化していることもあります。古くから根付いていた年功序列の考え方から、能力が高い人材やスキルを持った人材を重視する考え方に変わってきた結果、古い慣習にとらわれない人材や新しい考え方ができる人材が増えるようになってきました。このような新しいことを柔軟に取り入れる姿勢からもセレンディピティが得られるようになってきているため、注目されるようになりました。
セレンディピティの事例として、ポストイットの開発があります。ポストイットは強力な接着剤を開発している際に偶然生まれた副産物から誕生しました。開発者であるスペンサー・シルバーは偶然生まれた「くっつきやすくはがしやすい」という性質を持った弱い接着剤を廃棄することなく用途を探求しました。従来の接着剤にはないこの性質をどうにかしてうまく商品として転用できないかと試行錯誤した結果、ポストイットが完成されました。
Google社は、「アメリカにあるスタンフォード大学の大学院生2人」が偶然出会ったことを機に作られました。この2人の大学院生によるセレンディピティがなければGoogle社という企業は誕生していなかったと考えられています。Google社は、検索エンジンをはじめとする数々の技術革新を通じて、現代社会の情報アクセスのあり方を大きく変えました。このような事例から、現代においてGoogle社が存在しない社会は考えられないことから、それほどのイノベーションが大学院生2人のセレンディピティによって発生しました。
セレンディピティのメリットの一つとして、新しい経営戦略の立案に繋がる可能性が挙げられます。経営戦略を立てる際には、ありとあらゆる状況を予測し、多角的に検討する必要がありますが、人間が予測可能な範囲にはどうしても限界があります。しかし、セレンディピティの考え方を取り入れることで、予測不可能な出来事や偶然の発見から新たな視点やアイデアが生まれる可能性があります。その結果、従来にはない発想を取り入れた画期的な新戦略を立案し、企業の競争力を高めることが期待されます。
セレンディピティから生まれる発想には、イノベーションへ寄与できる効果があります。セレンディピティによって得られた発想の中には、「電子レンジ」や「ペニシリン」などの事例からもわかるように、従来の常識を根本から変えてしまう可能性を持つものもあります。セレンディピティによる幸運な偶然が社内だけではなく、業界や社会にも大きな影響を与えるような新たな商機となるイノベーションの創出に繋げていくことも可能です。
セレンディピティのメリットとして、マーケティングに活用できるといった点もあります。マーケティングでは、消費者の行動やトレンドには予測不可能な要素が多く、従来の分析だけでは捉えきれないニーズが存在します。そこでセレンディピティを活用することで、偶然の発見や意外なインサイトから新しい価値提案が生まれる可能性があります。たとえば、消費者の予想外の反応や新たな使い方に着目し、それをマーケティング戦略に組み込むことで、競合との差別化を図ることができます。
セレンディピティのデメリットとして、必ずしも新しい発見ができるとは限らないことがあります。セレンディピティは偶然に発生した現象によって新しい有益なアイデアを得るものとなります。そのため、幸運な偶然が起きるかどうかに左右されてしまうことがあります。また、偶然の発見に依存しすぎると、計画的なアプローチや長期的な戦略が疎かになるリスクもあります。さらに、セレンディピティを意識しすぎることで、日常の中にある重要な情報や兆候を見逃してしまう可能性もあります。
セレンディピティを起こすには発見をアイデアに繋げる努力と環境が必要である点もセレンディピティのデメリットです。偶然の現象から革新的な発想を得られたとしても、それを実用化するには多くの検証が必要となり、人的や時間的、金銭的などさまざまなコストがかかります。また、新しいアイデアを閃いた社員がいたとしても、会社がそのアイデアに対して支援できる環境にない場合もあり、その場合においては、単なる思いつきで片付けられてしまい、セレンディピティに繋がらないこともあります。
セレンディピティは意図した通りの結果に繋がるとは限らない点がデメリットとして挙げられます。セレンディピティそのものが偶然に起きた現象に基づく発想であるため、活用や実用化に向けて多大なコストを費やしたとしても、必ずしも意図した通りの結果が得られるわけではありません。たとえば、同じ現象を再現できず検証が困難になる場合や、実現に向けた取り組みを行ったとしても、期待していたほどの効果が得られないケースが考えられます。セレンディピティを活用する際には、偶然性と計画性のバランスを考慮する必要があります。
セレンディピティを起こしやすくする方法として、多様な価値観を持つ人と交流することが大切です。多様なバックグラウンドを持つ人々とのつながりを持つことで、新たなアイデアや視点が生まれやすくなり、セレンディピティが起こる可能性が向上します。異業種交流会や世代の異なる人との会食などは、ビジネス・プライベートに関わらず、他者との広い交流を図れる場となるため積極的に参加することでセレンディピティが発生しやすくなります。また、その際には、自分とは異なる視点を受け入れる姿勢も必要となります。
オープンマインドで積極的な姿勢を持つこともセレンディピティを起こしやすくします。オープンマインドとは、ありのままの自分を表現しつつ、新しい視点や価値観も柔軟に受け入れることのできる心の姿勢のことです。オープンマインドでいると、自分の考えや経験に固執しないため、予期せぬチャンスや偶然の発見を受け入れやすくなります。また、ポジティブな姿勢でいることは、困難に直面した時に新たな霧口や可能性を見出す力となります。セレンディピティは失敗からも起きる事例もあるため、何事も前向きに捉えることが大切です。
興味をもち行動に起こすこともセレンディピティが起きやすくなります。何事にも興味を持ち続けることで、新たな知識や経験が積み重なり、セレンディピティが起こりやすくなります。いつもは通らない道を通る、初めてのことに挑戦する、新しい分野の本を読むなどの普段とは違う行動や小さな挑戦をしてみることで、これまで思いつかなかったユニークな発想が浮かんでくることがあります。些細な好奇心を大切にし行動量を増やすことを意識しましょう。
セレンディピティは失敗を恐れずチャレンジすることで起こりやすくなります。なんらかの行動を起こす時には、必ずしも成功に結びつくとは限りません。しかし、セレンディピティは偶然の産物であるため、失敗がきっかけとなることで偶然の幸運が舞い降りることもあります。失敗する可能性があっても、それを恐れずに前向きに挑戦することで、予期せぬ発見が生まれる土壌が整っていきます。そして、諦めずに挑戦を繰り返すことが新しいアイデアや解決策を生み出す鍵につながります。
企業の事業計画に新しい発想を取り入れもたらすには、偶然の現象から有用な発見ができる能力となるセレンディピティの視点が重要となります。確実な成果を即座に得られるとは限らないものの、セレンディピティは大きなイノベーションをもたらす可能性を秘めています。偶然の産物ではあるものの、多様な価値観を持つ人と交流することや、積極的な姿勢を持つ、行動力を増やすなど、いつもとは違う行動をしてみることでセレンディピティが起こる可能性を高められるでしょう。まずは興味があることについて行動量を増やすことを意識してみてはいかがでしょうか。
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