記事更新日:2020年09月24日 | 初回公開日:2020年09月14日
人事・労務お役立ち情報 採用・求人のトレンドそもそも従業員満足度とは、従業員が自分の職場や会社にどの程度満足しているかを測る指標のこと。英語では「Employee Satisfaction」、頭文字を取って「ES」と表現されます。会社のビジョンや人間関係、待遇など、後述する複数の項目において、従業員が満足のいく状態を形成できているかを定量的に数値化したもので、多くの会社がこれを向上させようと取り組むようになりました。一般的には定期的に社内アンケートを実施するなどして数値分析を行い、企業運営の健康診断のように活用されています。
現在、日本の大手企業では6割以上の会社が従業員満足度調査を行っていると言われ、ES向上は企業が取り組むべき重要な施策の一つです。顧客満足度=CSと並べられ、「ESなくしてCSなし」という言葉もよく耳にしますよね。企業として顧客満足度を高め利益を生みたければ、まずは従業員満足度を上げるべきだという考え方で、ESとCSの相関性は多くの調査が保証しています。似た言葉に「従業員エンゲージメント」という言葉もありますが、これは自発的に企業への貢献を行う姿勢や意欲のこと。企業としては従業員満足度を高めることで、その延長として従業員エンゲージメントを高めていくという流れが理想的と言われています。
では次に、従業員満足度に影響を与える5つの要素を取り上げて考えてみましょう。一つ目は企業のビジョンに共感ができているかどうか。これは働きがいを左右する重要な要素です。会社としての全体の方向性をしっかりと理解し、共感ができていれば、従業員は会社に期待感を持ち、その一員としての帰属意識も持つことができるでしょう。より細かい単位で自分が所属するチームの目標が分かりやすく落とし込まれ、一人一人まで届いているかも大事な観点ですね。
次に、直属の上司や管理層などマネジメントに納得感があるかどうか、も従業員満足度に影響します。上司から適切に評価を得られているかどうか、という観点は通常業務に直結するため、不安や不満が出やすい部分ではないでしょうか。上司との定期面談を導入し、単純にコミュニケーション機会を増やすだけでも満足度向上に繋がる可能性もあります。併せて、マネジメント側の社員自身が満足のいく働き方ができているかどうかも重要視するべきでしょう。
次に、自分の仕事が社会および会社全体にどの程度影響を与えられているか、という観点です。仕事の社会的意義が感じられない、自分自身の成長が実感できない、というような場合は従業員満足度の低下に繋がります。また間接部門など仕事内容によっては会社全体への貢献度が見えにくいこともあり、全ての職種の社員を同様に評価する風土が求められるといえるでしょう。社内でお互いに興味関心を持ち、業務を称賛し合える企業文化が醸成できているかどうかが大切ですね。
職場の風土や雰囲気、人間関係も重要度の高い項目です。職場は一日、一生のうち多くの時間を過ごす場所ですから、人間関係への不満は大きなストレスとなり、実は退職理由として一番多いのもこの人間関係トラブルだと言われています。IT等の発達により、対面でコミュニケーションを取る機会は減り効率を求められつつありますが、職場で雑談を楽しんだり、カジュアルな情報交換の機会を増やしたりすることも企業の活性化には必要な取り組みでしょう。
さらに、働く環境および福利厚生など制度が整っているかどうかも重要な観点の一つです。例えば従、業員の業務効率が上がるシステムや備品が整っているかどうか。有給や特別休暇が取りやすい環境かどうか、ライフスタイルが変わっても働き続けられるかどうか、等です。これらの観点が整備されれば、モチベーション高く働き続けられるでしょう。また評価制度や報酬基準の整備も環境を整える取り組みの一つといえ ます。自身の努力への正当な評価、報酬というのは何よりも従業員満足度を左右させるのではないでしょうか。
次に、従業員満足度を向上させる主なメリットを3点確認します。まずは社員のモチベーションが上がり、生産性が向上するという点です。言わずもがなの内容ではありますが、モチベーション高く前向きに仕事を行う社員は自主的、自律的に働き、高いパフォーマンスが期待できます。このような社員が多くいる職場は組織内でもコミュニケーションが活性化され、次に述べる顧客満足度向上、そして業績向上、と全体的な好循環が生み出されていくでしょう。
2点目は、冒頭にも述べましたが、ESの向上がCSの向上に繋がるという点です。従業員満足度が高い企業の従業員は、自社の商品やサービスをより深く理解し、顧客に対しても高い価値を届けられるように親身に対応を行うと言われています。生き生きと働く姿はお客様にも伝わるもので、より良い印象を与えることができるでしょう。従業員満足度の向上はすぐに結果に表れない場合もありますが、長期的観点でみると確実に顧客満足度の向上に貢献します。特に直接顧客との接点があるサービス業や営業職などではこの影響は顕著です。
3点目のメリットは、優秀な人材の流出を阻止し、定着させられる点です。従業員満足度が高い企業では、従業員が長く働きたいと感じるような環境が整っており離職率が低くなりますし、またこの企業はより良い条件を求める求職者にとっても魅力的です。終身雇用制が薄れ、転職も一般化している現在において、自社の優秀な人材は企業にとって大きな財産です。離職に伴う引き継ぎや人材教育には大きなコストがかかりますから、従業員満足度を高め、離職率を減らすことは大変重要な施策ですよね。
次に、従業員満足度の調査方法について、多くの企業ではアンケートを実施し数値化をしていることがほとんどです。従業員満足度向上の施策の効果を検証するには時間がかかることも多いため、定期的、継続的に測定をしていくことが必要でしょう。また、アンケートを実施する際には従業員に調査の目的を開示し、例えば個人評価には一切関与しないことを伝えるなど、精確な回答を得やすくするための工夫も必要となります。そして何よりも、アンケート結果をもとに次の改善行動へ移すことが最も重要ですね。
従業員満足度調査は外部のアンケートツールを使うのが簡単でお勧めです。Webでの外部調査だからこそ社員の率直な意見を拾いやすいという利点もありますよね。「freeasy」は従業員満足度以外にも多くのアンケート調査・集計を扱っていますが、何よりも低コストで運用でき、体裁の良い報告書が仕上がるという点が評価を集めています。アンケートシステムのセキュリティが安心、専任スタッフによりサポート体制が万全、という点もハードルが下がりますよね。
上長・同僚・部下など360度多面評価サービスで有名な株式会社シーベースのスマレビ。同社の従業員満足度調査は200社以上の実績を受けて、ノウハウが詰まった調査診断項目が強みです。回答レポートも社員の満足度とその重視度が一目でわかるようなフォームで課題の優先順位をつけやすくなっています。分析結果へのフィードバック、対策までコンサルしてもらえるというのも有難いポイントですね。最短5日で実施可能なので、まずは問い合わせてみましょう。
Great Place to Work®は、「働きがい」に関する調査・分析を行い、一定の水準に達していると認められた会社や組織を各国の有力なメディアで発表する活動を世界約60カ国で実施している専門機関。毎年「働きがいのある会社」ランキングを公表していることでお馴染みですが、企業内の調査・分析サービスも行っています。同社が実施しているランキングに参加するのは無料ですが、なぜその順位だったのかの分析や、その分析を受けてのアドバイスや他社事例を提供するサービスは別途有料で提供しています。
では具体的に企業の取り組み事例もご紹介していきます。earth music & ecologyなどのブランドを展開するストライプインターナショナルでは、会議のスリム化を実践することで職場環境の快適性を向上させています。具体的には、会議室ではなくミーティングスペースを使う、ホワイトボードやプロジェクターを使わないなどルールを設定することで、会議用資料を作る準備時間が不要となり、大幅な時間短縮となりました。本来業務に集中でき、残業時間の大幅削減を実現できた事例です。
サイボウズでは多様な働き方を認めるワークスタイル変革を実施し、離職率が28%から4%前後に改善したといいます。育児・介護短時間勤務制度や在宅勤務制度、子連れ出勤制度など次々に制度を整え、社員自らが勤務時間・場所を決める「働き方宣言制度」も実施しているようです。このような充実の就業制度は経営陣から従業員への信頼の表れとみることもできるでしょう。給与体系としても個人の幸福度とチームの生産性のバランスが取れた評価方法を実現させています。
クラウド名刺管理サービスを提供するSansan株式会社では、従業員同士が感謝の言葉をWeb上で送りあえるサービス「Unipos」を導入し、社内のコミュニケーション活性化、風土改革を図りました。日々の些細な感謝の気持ちなどを従業員同士で送り合うサービスを導入することで今までは無かった「日常的に感謝し合うような仕組み」を実現でき、従業員同士のコミュニケーションが活発になったといいます。当事者以外も投稿見ることができ、周りの人にもその行動が伝わることもメリット。組織課題であった「承認」の数値の上昇がはっきりと向上した事例です。
オンライン経済メディア「NewsPicks」などを全世界に提供するユーザベースでは、従業員が守るべき「7つのルール」と「31の約束」をイラスト付きでまとめた手のひらサイズの冊子を作成し、全社員に配布するようにしました。組織が大きくなるにつれ、会社としてのビジョンや方向性を浸透させるのが難しくなりますが、「DO(すべきこと)」と「DON’T(すべきでないこと)」を明文化しているようです。これがあることで採用活動やチームの振り返りなどの基準ができたという効果が出ています。
以上、本記事では従業員満足度を構成する要素や従業員満足度を測定したり向上させる方法の事例を紹介しました。労働力人口が年々減少しており、AIなどIT技術の進歩ももちろん有用ですが、やはり企業にとっては人材が生み出す価値は計り知れません。企業価値を上げるために、従業員満足度を上げる取り組みを続けていきましょう。
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