ノーマライゼーションとは【意味や考え方について解説します】

記事更新日:2023年06月28日 初回公開日:2023年06月28日

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ノーマライゼーションとは、社会福祉の理念であり、あらゆる人が自然な形で社会に参加できる環境の考え方です。結果、個々の能力や多様性が尊重される社会の実現を目指すものです。近年では、障害者や特定のグループに限らず、すべての人々が平等に機会を享受し、自己実現を図ることが求められています。日本では、ノーマライゼーションの推進を目指し、一定規模以上の企業を対象に障害者雇用が義務化されていますこの記事では、ノーマライゼーションの定義や歴史について解説するとともに、企業が取り組む際のポイントを紹介します。ぜひ最後までお読みいただき、ノーマライゼーションの実現に向けた取り組みを進めてください。

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ノーマライゼーションとは

障害のある人が障害のない人と同等に生活し、ともにいきいきと活動できる社会を目指すこと

ノーマライゼーションとは、障害のある人が障害のない人と同等に生活し、ともにいきいきと活動できる社会を目指すことを言います。ノーマライゼーションは、ただ法的な義務を果たすだけではなく、障害者の自立や能力発揮を支援するために取り組むべきものです。障害者が社会で自己実現し、活躍するためには、アクセスの改善・情報の共有・意識の啓発などが必要です。企業においてもノーマライゼーションの重要性が高まっており、障害者の雇用や職場環境の改善が求められています。障害者の多様な能力や経験を活かし、多様性を尊重する組織文化を構築することが重要です。

ノーマライゼーション8つの原理

日常生活の条件をできる限り、障害のない人と同じような条件

私たちが目指す「ノーマライゼーション」には、8つの原理があります。それは、障害のある人と障害のない人が日常生活を送る上でできる限り同じような条件を享受できることを意味しています。この原理は、社会的なバリアを取り除き、障害のある人が自由に移動やコミュニケーションを行えるようにすること、情報やサービスへのアクセスを容易にすること、自己決定や選択の権利を保障することなどを指します。内容は時間的なリズムや、ライフサイクル、経済や環境の平等を指します。ノーマライゼーションは、社会全体の資源と力を結集して実現されるべき理念です。

ノーマライゼーションの歴史

北米発祥

ノーマライゼーションは、北欧デンマークで生まれた概念です。1950年代にデンマーク人によって提唱され、1959年には知的障害者福祉法で初めて言葉として盛り込まれました。その後、1960年代には北欧諸国を中心に広まり、1969年にはスウェーデン人によって8つの原理にまとめられました。このノーマライゼーションの理念は、障害のある人々が障害のない人々と同じような生活条件を享受し、社会的な参加や自己実現を実現することを目指しています。その後、1971年には国連の知的障害者の権利宣言や1975年の障害者の権利宣言の基盤となりました。

日本でのノーマライゼーションの取り組み

ノーマライゼーションの看護

ノーマライゼーションの取り組みは、日本でも広がっています。特に医療・看護の分野においては、障害のある患者さんや利用者に対して、その人らしい生活を支援するアプローチが重要視されています。看護職の場合、ノーマライゼーションの視点を取り入れることで、障害を持つ患者さんが一般の人と同じような日常生活を送ることができるような支援です。具体的には、個別のニーズに合わせた看護計画の立案や、環境の調整、コミュニケーションの工夫などが行われます。また、医療機関や福祉施設においても、バリアフリーな環境整備や情報の提供などが進められています。

ノーマライゼーションの教育

ノーマライゼーションの教育は、障害のある人と障害のない人が共に学び、交流することを重視したアプローチです。教育の現場においては、障害の有無に関わらず、すべての子どもたちが平等な機会を持って学ぶことが求められています。障害のある子どもたちが普通学級で学ぶ機会を増やし、それに伴い学校や教師のサポート体制も整備されています。また、障害のある子どもたちが学校生活を送る上での困難や差別に対して、啓発活動や対策の推進も重要です。ノーマライゼーションの教育は、多様性を尊重し、個々の能力やニーズに合わせた支援を行うことを目指しています。

ノーマライゼーションの意味

N・E・バンク-ミケルセン

ノーマライゼーションの提唱者は、N・E・バンクーミケルセン(N. E. Bank-Mikkelsen)です。彼はデンマークの社会省で知的障害者施設を担当していた人物であり、ノーマライゼーションの概念を提唱しました。当時の知的障害者施設は、隔離された環境での生活や差別的な扱いが一般的でした。バンクーミケルセンは、自身がナチスの収容所での経験を持つなど、その背景に触れたことから、障害者の生活条件を改善するための法改正を進めました。彼の提唱したノーマライゼーションの理念は、障害のある人々が障害のない人々と同じような生活条件を享受し、社会的な参加や活動を行えるようにすることです。

ノーマライゼーションのポイント

バリアフリー・ユニバーサルデザイン

ノーマライゼーションの重要なポイントは、バリアフリーとユニバーサルデザインの考え方です。バリアフリーは、障害を持つ人々が施設や環境にアクセスしやすくするための改修や配慮を行うことを指します。建物や公共交通機関などの社会インフラにおいて、段差の解消や手すりの設置、視覚障害者への案内システムなどが例として挙げられます。また、ユニバーサルデザインは、あらゆる人々が快適に利用できるような製品や環境の設計を目指す考え方です。障害の有無にかかわらず、すべての人が自由に参加し、利用できるようなデザインを追求します。

障害者雇用促進法

他にも、ノーマライゼーションのポイントは、障害者雇用促進法の適切な活用です。障害者雇用促進法は、企業が一定規模以上の雇用主として障害者の雇用を積極的に推進するための法律です。この法律に基づき、企業は一定割合の障害者を雇用することが求められます。障害者雇用促進法の適切な活用により、企業は多様な人材の活用や社会的責任の果たし方を実現することができます。障害者の個別のニーズや能力を考慮しながら、適切な職場環境や支援体制を整えることが重要です。さらに、障害者とのコミュニケーションや理解を深めるための教育・研修活動も重要な要素となります。

ノーマライゼーションのデメリット

ノウハウ不足

ノーマライゼーションのデメリットの一つとして、ノウハウ不足が挙げられます。ノーマライゼーションを実現するためには、障害のある人々との適切なコミュニケーションや支援方法を理解し、実践する必要があります。しかし、これらの知識や技術を持った人材や組織が不足していることが課題となっています。他にも、障害者の多様性や個別のニーズに対応する柔軟性が求められます。しかし、それに応じた専門知識やスキルを持った人材の確保や育成が難しい場合があります。さらに、ノーマライゼーションの推進には費用やリソースの面でも課題があります。

離職するリスクが高い

ノーマライゼーションの取り組みにおいて、離職するリスクが高まることがあります。これは、ノーマライゼーションが進むことで、障害のある人々が一般の社会で働く機会が増える一方で、その環境や支援体制が不十分な場合に起こります。障害のある人々は、社会的な偏見や差別に直面することがあります。ノーマライゼーションが進むと、彼らは一般の職場においても雇用されることが期待されます。しかし、実際には適切なサポートや理解がない場合、適応が難しくなることがあります。その結果、離職率が上昇する可能性があります。

理解度は個人にゆだねられる

他にもデメリットとして、ノーマライゼーションの理解度は個人にゆだねられる点です。ノーマライゼーションは、障害のある人々が社会の一員として自立し、自己実現するための取り組みですが、その実現には社会全体の理解や協力が必要です。しかし、現実にはまだまだ偏見や誤解が存在し、ノーマライゼーションの理念に対する理解度は個人によって異なります。特に、障害の種類や程度によっては、一般の人々がその困難さやニーズを十分に理解することが難しい場合もあります。認知障害や自閉症スペクトラム障害など、見た目や振る舞いに直接的な影響が現れない障害の場合、理解を得ることがさらに難しくなるかもしれません。

ノーマライゼーションを浸透させるポイント

研修を行う

ノーマライゼーションを浸透させるためには、研修を行うことが重要なポイントです。研修は、従業員や関係者に対してノーマライゼーションの概念や理念を理解し、実践するための知識やスキルを提供する機会となります。研修では、ノーマライゼーションの背景や目的、具体的な取り組み方法について説明し、参加者が共通の理解を得ることが重要です。障害の種類や個別のニーズについても理解を深めることで、適切な対応や配慮ができるようになります。さらに、研修では参加者に対して実践的な演習やケーススタディを通じて学ぶ機会を設けることが効果的です。

デスカッションで疑問をつぶす

ディスカッションを行うことは、ノーマライゼーションを浸透させる上で疑問や懸念を解消するために非常に有効な方法です。参加者が自由に意見や疑問を出し合い、それに対して共有の理解を深めることができます。ディスカッションの場では、参加者が自身の経験や考えを発表し、他の参加者と意見交換することが重要です。疑問や懸念に対しては、他の参加者やファシリテーターが適切な情報や解説を提供し、共通の理解を築きましょう。また、ディスカッションの中での異なる意見や視点の対立も重要な要素です。それによって、参加者は自身の考えを再評価し、新たな視点を得ることができます。

実例で活かせる方法を考える

ノーマライゼーションを実例で活かすためには、いくつかの方法があります。まずは成功事例の共有です。他の組織や企業が取り組んだ具体的な取り組みや成果を紹介し、参考にすることで自身の組織での活用方法を考えることができます。次に、具体的なアクションプランの策定が重要です。ノーマライゼーションの目標や価値観に基づいて、自身の組織に合った具体的な取り組みや方針を立てましょう。さらに、教育や研修の実施も効果的です。そして、フォローアップとフィードバックも重要な要素です。実施した取り組みの効果や課題を定期的に評価し、改善点を洗い出して次のステップに活かしていきましょう。

まとめ

知識を増やして実践につなげよう

ノーマライゼーションの実践を成功させるためには、知識を増やし、それを実践につなげることが重要です。ノーマライゼーションに関する情報や理論を学び、成功事例やベストプラクティスを参考にします。さらに、具体的なアクションプランを策定し、組織内での教育や研修を通じて関係者の理解を深めます。実践を始めた後もフォローアップとフィードバックを行い、適宜改善を図りながら進めていきましょう。ノーマライゼーションの知識を基に、障害者との共生を促進するノーマライゼーションの実現に向けて実践につなげましょう。

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