記事更新日:2024年03月28日 | 初回公開日:2024年03月26日
用語集 人事・労務お役立ち情報 採用成功事例復命書とは、命令による始末を報告する文書であり、命令の職務を遂行した者が書き、命令者に提出します。なお、命令者は組織名となっていることも多く、提出先は命令書を渡した直属の上司であり、上司を経由して上層部に渡るというのが一般的です。前述のように、命令書を受け取ってから職務に就くことが多く、復命書は命令書と対をなすものであり、命令書に則した内容で職務遂行を簡潔に書くようにします。また、他に必要とされる書類があれば、別資料として添付しましょう。
報告書とは、上司や関係者などに対し必要な情報を報告する文書のことです。広義の意味では復命書も報告書の一種と言えることができます。強いて違うことを挙げるとすれば、復命書は命令書に対して書くことから、通常の報告書より簡潔に書けることです。また、報告書とは復命書と同様に出張や研修などの報告に用いることも多くありますが、後述する始末書などのように、トラブルや失敗などを報告することも含みます。ビジネスシーンで言う広義の報告書は、多様な場面で使われるものです。
顛末書の「顛末」とは、「出来事の始まりから終わりまでの一部始終」のことを意味する言葉です。顛末には内容を限定する意味を含みませんが、ビジネスにおける顛末書とは、ミスやトラブルなどの「悪い事態」だけに限定して書くことが慣例となっています。復命書にそのような慣例はなく、単に「命令を受けたことについて経過や結末」を正確に書く文書です。また、復命書や後述の始末書は該当者本人が書くのに対し、顛末書は上司などが書くのが一般的です。
始末書は、ミスやトラブルの時に書く文書であり、ミスをした本人が作成するのが一般的です。始末書では、ミスや失敗の事実関係を明らかにするとともに、謝罪の意思表示をして再発防止を約束します。社内で完結する文書であり、顧客や取引先などに情報が漏れることは、基本的にありません。復命書との違いは、始末書は悪い事態専用の報告に用いられるものであり、業務の報告ではなくミスの事実関係を報告し再発防止を図る文書であることです。
復命書には、基本となる記載項目があります。「報告年月日」「従業員の氏名と所属部署名」「報告内容がわかる表題」「実行した日時」「実行した場所」「実行する行動目的や内容の概要」「本文」「所感」の8つです。この8つの基本項目に付属するものがあれば、関係資料として添付します。復命書には企業によってテンプレートが定められていることも多く、8つの基本項目も含まれているため、様式に沿って書くことが望ましいでしょう。
官公庁へ提出する復命書は情報開示請求の対象となっているため、一般市民に読まれても問題ないように意識して書くことが大切です。例えば、命令を受けて行った業務が、納税者である市民生活にとって、そのように役立っているかを考えて書くことも重要になります。また、官公庁へ提出する際には、復命書の書き方にも厳格なルールが存在するため、よく理解したうえで書かなければいけません。また、前述のように復命書は命令書と対をなすものであり、一対で処理されるのが普通ですので覚えておきましょう。
企業の研修で復命書を書く場合には、研修で配布される資料などを参考資料として添付すると、内容が良く分かりやすくなります。詳細までを本文にて説明するのは難しく時間を要することもあるので、添付資料として提出することがおすすめです。本文に「参考資料参照」と書くことで、詳細な内容を簡潔明瞭に説明できる補助資料となり得ます。他にも交通費や宿泊費が発生したような場合には、領収書などを添付することを忘れずに提出するようにしてください。
出張で復命書を書く場合には、出張の目的と内容や得られた成果などを記載します。時系列で書くと見る人も分かりやすく、内容は箇条書きで短文にまとめて書くのが良策です。もし、複数の場所で職務を行った場合にも、場所ごとに時系列で書くか、時系列で書いた内容に場所を追加記載すると良いでしょう。また、復命書は公文書としての性質を持つため、内容は正確に書く必要があります。日時や日付はもちろんのこと、研修会の名前や会場および講師の名前なども間違いのないように書いてください。
介護業界では外部研修を受講することがあり、研修後に復命書を書くことがあります。介護学習は座学よりも実習やグループワークなどが中心となるため、研修内容を具体的に復命書に記述しなければいけません。座学ではノートに細かく書き残すことができますが、実務ではそれができないため、要所をメモに書き留めておくのが良いでしょう。臨床にて技術を学ぶときにも効果的で、実際に研修した場面を思い出すことができます。また、動画撮影などが許されている場合には、遠慮せずに撮影して添付資料に使ってください。
復命書を書く際の最も重要なポイントは、実行後すぐに提出できるように作成することです。指示命令を実行し帰社したら、なるべく早く復命書作成に取り掛かりましょう。時間を空けると記憶が曖昧になったり忘れたりすることが多くなります。詳細な事実を正確に報告するためにも、早期に書き上げることが大切です。とくに具体的な内容などを早めに書き、命令書に書かれているような事項は後で書くようにしても問題はありません。そして作成後は、速やかに提出するようにしましょう。
復命書を書く際には、情報を明確に掲載することも大きなポイントです。復命書は前述のように重要な証拠となる文書であり、内容に誤りがあってはいけないため、地名や人名なども間違わないように注意しなければいけません。訪問先や講師名などは書き終わったあとに見直して、情報に誤りがないか再チェックするようにしましょう。日付なども和暦をローマ字で省略するようなことはせずに正確に書き、情報を明確に掲載しようとする意思が相手に伝わるように、思いを込めて書いてください。
復命書で最も重要と言える「本文」は、時系列で簡潔にまとめて書くのがポイントです。すべての事柄を羅列するのでは読み手に上手く伝わらないため、要点を簡潔にまとめた短文で書いた方が良いでしょう。時系列で順番に箇条書きにすると、読み手は報告を簡単に理解することができます。細かいことは添付資料を利用し、自分の感想などは後述の所感に書くようにしましょう。本文には事実が起きた順に要点だけを書き、他の事項や添付書類で補足すると読みやすく分かりやすい文章になります。
所感を上手く活用して書くことも、復命書を作成する際のポイントです。所感には自分の感じたことなどを書きますが、ただ感想を書くだけでは意味がありません。出張や研修などによって得た貴重な経験から、その後の業務に活かせることを提案しましょう。復命書自体では「本文」が重要だと言えますが、個人の評価では「所感」を上手く活用することで、高い評価を得ることが可能です。箇条書きにした、それぞれの工程の中で複数の学びを得たことを書き、その後のキャリアアップや企業への貢献のために役立つことを考えてください。
研修に使われた資料などがあれば、参考資料としてまとめて添付するようにします。資料には番号を振り、本文中などに「詳細については添付資料(1)を参照」などと書けば、分かりやすくなるはずです。復命書を読んでいく順番に並べて添付するようにしましょう。また、交通費などの経費に関わるレシートも時系列に並べて添付するようにします。会社によっては、経費のレシートは旅費精算書などの別の書類に添付することもあるので確認してください。細かい内容が書かれた添付資料を使うことで、報告書全体が引き締まった印象を与えます。
復命書は命令書に対する報告書類であり、正確さが求められます。文章に正確さを強調するには、数字を意識して多く使用することです。抽象的な言葉よりも具体的な数字は大きな説得力があります。例えば、「高い」「高額」と表現するよりも、「3,600万円」などと具体的な数字を表記した方が分かりやすく直感で高いと感じることができます。また、パーセントや率なども使用すると全体に対する割合などが見えてくるため便利です。できれば皆が理解しやすいように、他社や前年の実績などもあれば比較数値として書くことをおすすめします。
研修参加時の復命書には、8つの記載項目の他に「研修名」や「研修講師」などを忘れないように書きます。研修名が、目的や概要と重複する場合には、8つの項目の一つとして書いてください。また、研修では事前に研修資料などが配布されますので、メモなどが書かれていない資料を別に用意するようにし、添付資料として提出します。本文は時系列で簡潔にまとめ、所感の部分の内容を濃く書くようにしましょう。毎年行われているような研修であれば、前年の復命書が残っているはずです。フォーマットや前年の書類を参考にして書くのが最も良い方法と言えます。
出張時の復命書には、表題部分に出張の目的を明確に記載しましょう。出張は会社として目的を持って視察や会議への参加を命じられるため、目的を理解していることを示すためにも、明確かつ的確な言葉で表題部分に書いてください。複数の場所を訪問した場合には、時系列に沿って訪問先や内容を書いていきますが、訪問した順に番号を付けるのが一般的です。また、あまりにも書類が煩雑になるようであれば、訪問先別に復命書を作成する方法もあります。所感には出張の成果と課題などと、今後に活かす内容を記載し、訪問先でもらった資料などは必ず添付するようにしましょう。
復命書は報告書の一つと捉えることができます。ただし、命令書と対であることを忘れてはいけません。命令書には詳しい情報も書かれているため、復命書は一般の報告書よりは簡潔に書く必要があります。また、復命書は用途により書き方が異なりますが、重要なのは正確さが求められることです。抽象的な言葉よりも具体的な数字を多用し、読む人の理解を深めましょう。また、人の名前は肩書きなども省略せず正確に書くことが重要です。復命書を書く際には、目的や内容を十分に理解して適切に作成しましょう。
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