海外リモートワークとは?【ビザ・保険等の手続きから導入する際のポイントまで幅広く解説します】

記事更新日:2021年10月15日 初回公開日:2021年10月15日

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ICTを利用した、場所や時間にとらわれない働き方を包括してリモートワークといいます。家庭生活と仕事を両立しやすく、新型コロナウイルスによる出勤抑制も相まって導入する企業が日本でも増えてきています。また、国内とコンタクトを取りながら海外で勤務するケースもでてきました。一方でこの海外リモートワークは、導入における難しさなどの課題があるのが現状です。今回の記事では海外リモートワークを行なっていくうえで生じる問題や疑問にフォーカスして解説をしますので、企業の担当者様はぜひご一読ください。

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海外リモートワークとは

国外からリモートワークをすること

海外リモートワークとは、海外に居住しながら国内の業務をリモートワークで行うことを意味します。働き方改革や新型コロナウイルス感染拡大を機に、国内外の都市部を中心にリモートワークを実施する企業が増えてきました。その中で、海外に生活の拠点を置きながら国内企業の業務を行う海外リモートワークが誕生しました。海外リモートワークの誕生によって、海外で生活しながら日本企業に勤めるという新たな働き方が可能となりました。

海外に暮らしながら日本企業に勤めることもできる

リモートワークが誕生して普及するまでは、海外拠点に勤めながら日本の拠点とリアルタイムで連絡しながら業務を行うことが困難でした。加えて、Eメールや電話など従来のツールでは書類の受け渡しやミーティングといった社内間での業務は可能なものの、コミュニケーションが希薄になる点も問題視されていました。しかしICTの発展によってオンライン上で円滑なコンタクトが取れるようになったことで、オフィスにいなくとも密なコミュニケーションが図れることが今では可能です。日本企業に勤めながら海外で生活し、国内業務を行うことさえも簡単にできてしまいます。

海外リモートワークが進む背景

政府による働き方改革の推進

海外リモートワークが進む背景のひとつとして、働き方改革の推進が挙げられます。企業がダイバーシティ推進を求められる中で、海外人材の雇用も着実に進んでいます。そしてそのような多様な人材が場所にとらわれず活躍できるような労働環境の整備が、企業には必要とされているのです。そういった背景もあり、リモートワークだけでなくフレックスタイムなどの労働時間制度の見直しなど柔軟な働き方を導入する取り組みが進められています。

新型コロナウイルスの感染拡大

新型コロナウイルスの感染拡大は、政府が推進する働き方改革の大きな追い風となりました。コロナ禍で海外渡航が制限されたことから、海外に拠点を置く、また取引を行う日本企業はビジネスでのコミュニケーションがこれまでのように容易に進まなくなっています。そのため、企業は遠隔でコミュニケーションが図れる海外リモートワークを導入することで対応を試みました。導入の結果、今まで必要だった人員や出張経費が不必要であることの気付きにもなる機会ともなっています。

海外リモートワークに必要なビザ

基本的には居住国の就労ビザが必要

基本的に、日本人が海外で働きながら居住するには就労ビザが必要です。しかし海外に拠点を持たない日本企業の場合は、居住する国の法律や審査基準によってビザの申請が通らないことがあります。勤める企業の職種によっては就労ビザが不要となることもあるので、各々確認しておく必要があるでしょう。一方、海外に居住する日本人が外国人家族の帯同ビザや配偶者ビザ、または永住権などの在留資格を持っていれば、改めて就労ビザを申請する必要がない場合もあります。

リモートワーク向けのビザを発行する地域もある

新型コロナによるロックダウンや国境閉鎖によって経済的な打撃を受けた国の一部では、リモートワーク向けのビザを発行する地域があります。これは地域経済をサポートするための取組で、長期滞在者達にも現地経済を支えてほしいという狙いが根底にあります。例えばエストニアはEU初の「デジタルノマドビザ」を発行し、最大1年間エストニアで暮らしながらリモートワークができます。またバミューダでは学生も対象となるプログラムを導入し、最大1年間カリブ海の島で暮らしながらリモートワークや勉学に励むことが可能です。

海外リモートワークの税金と保険

税金

居住者は日本への納税が必要

居住者の扱いとなる場合には、原則日本に納税しなければなりません。日本に在住しているとみなされるには、日本に生活の拠点を置いている、または海外に1年以上居住しているかによって決定されます。仮に海外で1年以上生活することが予想される場合、日本に在住する非居住者の扱いになります。非居住者は原則「国内源泉所得」のみ課税されます。「国内源泉所得」とは日本で生じた所得のことで、国内の不動産や施設、また日本国債などから得た利益になります。

非居住者は基本的に現地に納税する

非居住者は基本的に海外現地に納税しなければなりません。支払うことになる税金の種類は現地の法律によって異なるため、事前に調べておく必要があります。例えば累進課税の上限が現地によって異なります。日本の場合は40%が最大の所得税率になりますが韓国では38%、フィリピンは32%です。また日本では1年以上在住していれば居住者として扱われますが、海外では6ヶ月以上滞在すれば居住者扱いとなってしまうケースがあります。そうすると2カ国に納税してしまうことがあるので、それを防ぐ制度についても調べておく必要があります。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)

日本での雇用形態が継続するのであれば国内勤務と同様

日本国内で厚生年金保険適用事業所との雇用関係を継続したまま海外で勤務していて給与が支払われている場合は、原則健康保険と厚生年金保険の加入は継続します。また社会保障協定発行済みの国であれば、保険の2重負担の防止や年金加入期間の通算の措置が受けられます。一方で社会保障協定が未定結または未発行の場合は、保険料の2重負担や年金保険の掛け捨てといった問題が生じるので事前に調べておきましょう。

海外リモートワークのメリット

個々に適した柔軟な働き方を実現できる

会社の中には、海外で暮らしながら勤務を希望する社員がいる可能性もあります。従来であれば物理的な距離の移動によって仕事を継続することが難しく、会社を辞めて海外で新たな仕事を探すしか選択肢はありませんでした。しかし海外リモートワークを取り入れることによって、そういったケースにも対応できるようになります。また場所に囚われない働き方ができることで、社員のモチベーション向上も期待できるでしょう。社員に希望通りの選択肢を提示できる柔軟な働き方を実現することで、多様な人材確保が可能となります。

海外の情報を素早く入手できる

海外リモートワークを行うことで、日本以外の拠点で社内リソースが確保されます。情報収集方法としては、海外に拠点を作るよりもリスクが少なく非常にリーズナブルです。また、海外の最新情報をいち早く手に入れることが可能です。海外の情報はインターネットを通じて簡単に確認できますが、国内にいながらリアルな状況を正確に把握することは難しいでしょう。海外リモートワークを取り入れることによって社現地の社員からリアルな状況が報告してもらえるため、それを新商品やサービス開発などに活かすことも可能となります。

通勤コストや各種手当を削減できる

海外リモートワークによって、通勤コストや各種手当の削減も可能です。通勤による社員の日々のストレスは、業務の生産性を下げる要因になります。また、企業にとっても社員の通勤費やそれに付随した諸手当などのコストはできるだけ削減したいはずです。海外のみならず国内でもリモートワークを行うことよって、コストを削減することができます。また社員全員をリモートワークにするわけではなく、部署や役職によってオフィスワークとリモートワークを併用する形態をとることで部分的な改善も可能です。

海外リモートワークのデメリット

社員間のコミュニケーションが減る

海外リモートワークの導入により、社員間のコミュニケーションが減り業務に支障をきたす可能性がでてきます。業務のやりとりはどうしてもスクリーン上で行われてしまうので、オフィスと比較して気さくにコミュニケーションをとることが難しくなります。また自宅に引きこもって仕事を行っていると、精神安定上の懸念もあります。コミュニケーションの機会が減っていくと互いの仕事が不透明になり、社員同士の信頼が失われる恐れもあるでしょう。そのため、リモートワークでは必要以上に連絡を密に取ることで、互いのつながりを確保することが大切と言えます。

時差があるため日本と連携を取るのが難しい

海外リモートワークを行うと、どうしても日本との時差の問題が生じてしまいます。メールやチャットなどで連絡を取り合うことは可能ですが、業務の締め切りや仕事内容によってはリアルタイムで連携したいタイミングもあるでしょう。しかし時差の影響で現地社員との間で生活リズムのズレが生じるため、リアルタイムにコミュニケーションが図れる機会は限定的となってしまいます。また勤怠管理も難しくなるため、業務時間の把握がしにくくなってしまうのもデメリットとして挙げられます。

海外リモートワークのポイント

期間に余裕を持ってビザ等の手続きを準備する

海外に移住してリモートワークを行うには様々な手続きが必要になりますが、最も重要な手続きが就労ビザの取得です。海外で働く際には、基本的に企業が就労ビザの申請を行います。この申請は国によって承認されるかどうか分からず、申請してから承認に至るまである程度の時間を要します。そのため日本にいる間は企業と調整を行い、なるべく早めに就労ビザの準備をしておく必要があります。その他の手続きとしては転出届や国際免許の取得、税金や保険関連の届出などがあります。社員によって必要な準備が異なるので、担当者の方はある程度想定できる事務手続きを把握して伝えておく必要があるでしょう。

勤務先の勤怠管理や評価基準を確認する

海外リモートワーク行うにあたって、勤務先の勤怠管理や評価基準を明確にしておくことも非常に重要です。海外でのリモートワークに限らず、自宅で仕事をしていると従業員は時間管理が難しくなってきます。また周囲に働いている人がいないため、仕事をサボってしまう可能性もでてきます。そのため、企業側は時差を考慮した勤怠管理を行う、業務に見合った評価を正当に行うなど、従業員が悩みなく働ける環境を整える必要があるでしょう。あくまで生産性を下げずに業務を行わなければならないので、物理的な距離感も視野に入れて就業規定をしっかり整備しておくことが重要です。

居住国の規定や法律を入念に調べる

海外での生活を行うにあたり、その居住国の規定や法律を入念に調べておく必要があります。もちろん日本以外の国では日本の法律は適用されません。日本で規制されていない行為が海外では規制されている場合があり、その反対も然りです。また海外では日本とは違ってさまざまな行動が宗教上の理由で規制されていることもあるため、居住国の法律や規定に併せて信仰している宗教などについても把握しておかなければなりません。特に食事やジェスチャーといった日本で無意識でしてしまう行為には注意が必要です。

世界各国のリモートワーク

アメリカ

アメリカのリモートワーク普及率は85%になっており、多くの企業でリモートワークが実施されています。また、2010年には連邦政府による「テレワーク強化法」が制定され、民間企業だけでなく公務員にもリモートワークが推進されています。この法律の影響もあり、アメリカでは指示があればテレワーク可能な社員はすぐさまテレワークに移行することが可能です。プロジェクトごとに適性人材を雇用するジョブ型雇用が多いアメリカでは、勤続年数や勤続態度よりも成果が求められるためテレワークが浸透しやすい国であるといえます。

ヨーロッパ

ヨーロッパのテレワーク普及率は、日本と比較すると高くなっています。2010年に発表された「European Company Survey」によると、イギリスのテレワーク導入率は38.2%となっています。また2021年に開催されたロンドンオリンピックの交通制限によりテレワークが推進された経緯もあり、イギリスのテレワーク導入率は向上しました。フランスでは「週35時間労働制」が導入されており、フレキシブルな働き方が推進されています。2010年にはテレワーク導入率が14%だったものの、新型コロナウイルス感染拡大を機にテレワークがこれからさらに普及していくと予想されます。

アジア

日本を含むアジアでは、リモートワークの導入率の差が国によって大きく異なります。日本の導入率は19.2%とまだまだ低い数値ですが、インドでは2018年にはすでに6割の就業者達が定期的にリモートワークを行っています。また、シンガポールでも2019年には企業の8割が全ての就業者に対してリモートワークを認めている状態です。公的機関でも9割の人がリモートワークの機会を得ています。韓国では2010年に行政主導でリモートワークの推進を行なっています。

まとめ

入念に下調べや準備をして海外リモートワークを成功させましょう

海外リモートワークについての問題や疑問について、さまざまな観点から解説してきました。海外リモートワークは多くの国で推進されており、日本政府も働き方改革の一環として推進しています。そのような背景もあり、今後リモートワークを実施する企業は増加するでしょう。海外リモートワークを成功させるには、居住国についての入念な下調べや手続きの準備などを行うことが最初の一歩となります。本記事が、海外リモートワークについてお悩みの採用担当者や経営者の方のご参考になれば幸いです。

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