記事更新日:2023年12月08日 | 初回公開日:2023年12月08日
用語集 グローバル用語解説 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報PM理論とは1960年代に日本の心理学者である三隅二不二が提唱した行動理論です。PM理論では、リーダーに必要な要素は目標達成に必要なP機能と集団維持に必要なM機能に分かれていると言われています。さらに、このP機能とM機能の両者それぞれの強弱を組み合わせると、リーダーは四つのパターンに分類できます。PM理論は上記の各パターンの特徴を把握し、適切な対処を取ることで集団のパフォーマンスの向上を図ることを目的としています。
PM理論におけるP機能とは目標達成機能(Performance)のことで、集団が成果を挙げるために発揮されるリーダーシップのことを示しています。P機能が高いリーダーは、具体的に集団の課題達成に注力し、メンバーへの指示や指導で成果の向上を目指す、進捗管理を細かく行うなどの行動が見られます。場合によってはメンバーに対して厳しい指導を行うこともあります。上記の特徴からP機能は、リーダーシップで連想できる典型的な特徴に当てはまる要素を持つ機能と言えるでしょう。
PM理論におけるM機能とは集団維持機能(Maintenance)のことで、集団をまとめるために発揮されるリーダーシップを示しています。M機能の高いリーダーは、メンバーのサポートを重視する傾向にあります。そのため、具体的には集団における人間関係の調整や良好な雰囲気を保つための働きや、メンバー1人1人の相談に乗ることなどが例に挙げられます。上記の特徴から、M機能は目標達成に直接関係する事柄以外のフォローに重きを置いた機能と言えます。
SL理論とは、リーダーが受け持つ集団のスキルや性格により取るべきリーダーシップは異なるという内容の理論です。そのため、SL理論では相手に応じてリーダーの姿勢や行動を変えることが、より良い結果に繋がると述べられています。これに対して、PM理論はリーダー本人が持つ能力や資質に目を向けた理論です。そのため、SL理論は部下に注目した理論で、PM理論はリーダー本人に注目した理論と区別できますが、上記の二つの理論に優劣はありません。
PM型は高い目標達成能力と集団維持能力を持つ理想的なタイプのリーダーです。このタイプは管理能力や目標達成に向けた働きだけでなく、メンバーへのフォローも満遍なく行える理想的なタイプです。そのため、混乱が生じやすい新規プロジェクトの立ち上げや新しい仕組みを作る時など、一から物事を行う場合に適しています。また、PM型はその管理能力の高さから、チームに所属するメンバーも安定した精神状態で働ける環境を作りやすいタイプとも言えるでしょう。
Pm型は目標達成能力には優れているものの、集団維持能力は低い傾向にあるリーダータイプです。このタイプのリーダーはチームに課せられた業務を遂行する能力に優れているため、短期的な成果は出しやすいという特徴があります。ただし、長期的な計画で成果を挙げるためには、メンバーの結束力が必要不可欠です。Pm型は集団維持能力に欠けているため、メンバーへの配慮が行き届かず、長期的な計画を実行する際にはチームワークやモチベーションの低下を招く可能性があります。
pM型は集団維持能力に長けていて、チーム内の完成は良好に保てるという長所があります。そのため、このタイプのリーダーはメンバーにも慕われやすく、結束力の高いチームを築ける可能性を持っています。反面、pM型は目標達成能力に欠けているため、成果を出すための業務指導は困難です。集団の目標達成はメンバー1人1人の成長を促すために重要な要素でもあります。このような理由から、このタイプのリーダーはチーム内の業務の取り組み方や今後の方針についてよく考えなければなりません。
Pm型は目標達成能力と集団維持能力が両方とも低く、未熟な傾向にあるタイプです。このタイプのリーダーは、管理側に回ってからまだ日が浅く、P機能とM機能のどちらも発展途上に居る人材に多く見られます。一見リーダーには不向きな人材とも感じられますが、本人の努力次第で改善可能です。このようなタイプに分類された場合、リーダーはどのようにチームで目標を達成していくか、メンバーの結びつきを強めるにはどうすれば良いかを十分に検討していきましょう。
P機能を向上させるためには、まず自分がまとめる組織に対して明確なゴールや達成計画を設定する必要があります。複数の人材がまとまりのある行動をとるためには、目標の設定が必要不可欠です。そのため、どの程度の成果を目指して行動するか明確なゴールを設定しましょう。また、漠然と目標だけ決めても、達成のためにどのように行動していけば良いか分からないというメンバーも少なくありません。このような理由からゴールの設定時には、達成計画をなるべく具体的に設定することも大切です。
チームの目標を自分の中で決めていても、メンバー内でゴール地点を周知していなければ思うように成果は出せません。そのため、ゴールと達成計画を設定した後は、具体的な達成へのイメージをチーム内で共有しておきましょう。具体的な方法としては、資料等を作成して目標を可視化し、いつでも目で確認できるようにしておくのがおすすめです。また、目標の共有時には、端的な目標の明示だけでなく、なぜ今その目標を達成する必要があるのか、設定の意図についてもしっかり説明しておきましょう。
組織を構成するチームメンバーは経験やスキルによって、自分で考えて行動できる人材や、指示がもらえないと何をして良いのかわからない人材など様々な人が存在します。そのため、P機能を高めるには上記のように、バラつきのある人材が目標達成に向けて行動できるように徹底した指導が必要です。例えば、定期的なミーティングや進捗報告を義務付けるなど、経験やスキルが異なっていてもメンバー1人1人が目標達成に当事者意識を持って取り組める状況を作ることが大切です。
M機能を向上させるには、初めにメンバーとの信頼関係を築かなくてはなりません。そのため、チームを構成するメンバー1人1人と向き合い、丁寧なコミュニケーションを心がけることが大切です。さらに、集団を維持するにはメンバー個人のスキルや経験に応じて、適切な仕事を振り分けることもリーダーの重要な役割です。実力に見合わない業務をメンバーに振り分けると、そのこと自体が本人の重荷になりかねません。また、メンバーの得手不得手や持っているスキルや考え方など個人的な背景を知っておくと、M機能だけでなくP機能を高める手助けになります。
リーダー個人に限定せずチームの集団維持能力を高めるには、リーダーとメンバー個人の関係性だけでなくメンバー同士の人間関係にも配慮する必要があります。どんなにリーダーがチームメンバーに信頼されていても、メンバー同士の信頼関係が構築されていなければ、集団を維持し続けるのは困難だからです。このような理由からリーダーは、メンバー同士が相互理解を深めるための場を意識的に作ることも大切です。具体的には、定期的なミーティングの場でメンバー全員の意見を聞く機会を設けることなどが例に挙げられます。
集団の結束力を長く維持するためには、業務に取り組みやすい環境を作るだけでは不十分です。どれだけ良好な人間関係を築けているチームでも、メンバーが個人として成長している自覚が持てなければモチベーションは維持できません。そのため、チームの心理的安全性を高める取り組みの一環として、明確な評価基準を設けて定期的にメンバーを評価しましょう。これを行うことでメンバー1人1人が克服すべき課題が分かるだけでなく、メンバー本人もチームに貢献できている実感が持て、モチベーションの低下を防げます。
PM理論は、新しいチームを立ち上げる際にリーダー候補者の強みと弱みを整理したい場合に活用できます。人は誰でも得意なことと不得意なことがあり、その人の性格や価値観によってはリーダーという役割そのものに向いていない場合もあります。チームのリーダーを決める際には、このような人材ごとの適正もあらかじめ見極めて適切なポストに就かせなくはなりません。PM理論を活用すればリーダー候補者の強みや弱みを整理し、個人の課題と伸ばすべき長所を洗い出すことにも繋がります
PM理論は理想的なリーダー像を言語化する際の切り口として活用することも可能です。人材教育の場において、集団をまとめ上げるリーダーにはどのような姿勢が必要なのか、具体的に説明することは困難です。しかし、PM理論に則って、1人1人が自分はどのタイプなのかを考えてもらうことで、リーダーとしてどのような取り組みが必要なのか考えてもらうきっかけにもなります。そのため、PM理論は現在リーダーとして活躍している人だけでなく、これから集団を管理する立場に就く人にとっても、リーダーとはどうあるべきなのか考える切り口になると言えるでしょう。
PM理論は組織のリーダー陣のバランスチェックを試みる際にも活用できる理論です。通常企業は組織の中にいくつものチームがありそれぞれが各チームのリーダーの指示によって動きます。そのため、各チームのリーダーのタイプに偏りがあると、一部は効率的に機能できていても、他のチームは機能不全を起こす場合も少なくありません。組織のリーダー陣がどのタイプなのかPM理論で診断しバランスチェックをすると、各チームの個別の状態に合わせて適切な人材配置が可能になります。そのため、PM理論は企業の人事異動を考慮する際にも、有効な判断材料の一つになります。
PM理論はチームの生産性を上げるために必要な要素を洗い出すのに有効な手段の一つです。これを上手に活用することでリーダーは、現在の自分がクリアすべき課題だけでなく、自分の伸ばすべき長所への理解も深まります。しかし、PM理論で判断できるのはあくまで、現状自分が集団をまとめる立場としてどの位置に存在しているかです。そのため、結果が良くないからと言って悲観せず、自分自身を見つめ直すための一つの判断材料として活用していくことが大切です。PM理論を活用して、より良い組織を築くためにも自分自身のリーダーシップを磨いていきましょう。
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