高度プロフェッショナル制度とは?【対象・メリット・デメリットは?】

記事更新日:2020年07月23日 初回公開日:2020年07月19日

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平成31年4月に、働き方改革関連法によって高度プロフェッショナル制度が導入されました。この制度は、高い専門性と一定の年収がある人に適応されます。労働者の残業代や労働時間などの記載が無くなる点が特徴と言えるでしょう。影響力のある制度故、この用語を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。今回は、今話題になっている高度プロフェッショナル制度についてご紹介します。高度プロフェッショナル制度の理解を深めたい方や制度の導入を検討している方必見の内容です。

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高度プロフェッショナル制度とは

対象の労働者を労働時間の規則から除外する事

高度プロフェッショナル制度とは、対象の労働者を労働時間の規則から除外する、新しい労働スタイルのことを言います。現在、日本の多くの企業では、労働時間を基準にして給料が支払われています。すると、同じ成果でもだらだらと長時間働いていた人の方が給料が良いという事になりかねません。これは、企業にとって大きな損失になってしまいます。労働時間の規則が無い高度プロフェッショナル制度の導入は、労働生産性を上げるためにとても効率的な方法と言えるでしょう。

成果を上げた人が高い収入を得ることが出来る

高度プロフェッショナル制度では、成果を上げた人が高い収入を得ることができます。この制度では成果によって報酬が決まるため、労働時間によって報酬が左右されず、短時間の勤務でも高収入を得ることが可能です。優秀な人材がきちんと評価される仕組みであると言えるでしょう。しかし裏を返すと、成果が出なければ長時間労働でも十分な報酬は得られないという事です。もちろん、残業代も支給されません。良い点と悪い点を考慮した上で制度を導入すると良いでしょう。

高度プロフェッショナル制度の対象業務

金融商品開発業務

高度プロフェッショナル制度には対象業務が決まっています。制度の導入前にしっかりと確認しておきましょう。対象業務の1つとして、金融商品開発業務が挙げられます。金融商品開発業務では、金融工学に加え、統計学や数学などの専門的知識を用いて金融商品を開発します。そのため、非常に専門性の高い業務と言えるでしょう。一方で、既存商品の販売促進のための営業やデータ入力等の事務作業は、金融商品開発業務には含まれていないため注意しましょう。

金融商品のディーリング業務

金融商品のディーリング業務も高度プロフェッショナル制度の対象業務と言えるでしょう。資産運用業務や有価証券売買の業務、またはそれ以外の取引業務のうち、投資判断に基づく業務が高度プロフェッショナル制度の対象業務です。投資判断を必要としない窓口業務や、トレーダーやファンドマネージャーの指示を必要とする業務は含まれないため注意しましょう。対象業務の範囲が複雑であるため、事前に確認をしておきましょう。

アナリスト業務

また、高度プロフェッショナル制度の対象業務の1つとして、アナリスト業務が挙げられます。アナリストは、業務内容によって適応されるものとそうでないものがあるので注意しましょう。主に、有価証券の価値の分析や有価証券市場の相場の評価、または投資に関する助言などがこの制度の対象業務に含まれています。一方で調査分析の成果や質を必要としない相談業務などは、対象業務に含まれていません。導入前に対象業務に含まれているのかしっかりと確認をしましょう。

コンサルタント業務

コンサルタント業務も高度プロフェッショナル制度の対象業務の1つと言えるでしょう。対象業務となるのは、顧客の事業運営に関する分析や調査、加えて分析に基づくアドバイスなどが対象業務に含まれます。つまり、専門知識が必要となる経営戦略に関するコンサルタントの業務がこれに当てはまります。一方で分析や調査のみ、またはアドバイスのみを行う業務など、比較的裁量の少ない業務は対象業務に含まれてないため注意しましょう。

研究開発業務

高度プロフェッショナル制度の対象業務の1つとして、研究開発業務が挙げられます。具体的には、技術的な知識や科学的な知識などが含まれる、新たな商品や技術の研究開発が対象となっています。新たな価値の創出が見られない製造業務や品質管理業務、また生産業務は高度プロフェッショナル制度の対象外となるため注意しましょう。業務内容もしっかり確認した上で、この制度を導入しましょう。

高度プロフェッショナル制度のメリット

いつでも仕事ができる

高度プロフェッショナル制度のメリットの1つとして、いつでも仕事ができる点が挙げられます。定時出勤やコアタイムなどの概念が無くなるため、基本的に出社時間や退社時間は自分で決めることができます。介護中の方や子育てをしている方でも安心して働ける点が魅力的と言えるでしょう。専門性の高い知識があり、仕事とプライベートの両方を充実させたい方は、高度プロフェッショナル制度での雇用が向いているかもしれませんね。

短期間の結果を求められることから効率が上がる

短期間の結果を求められることから効率が上がることも、高度プロフェッショナル制度を導入するメリットの1つです。現在、日本企業のほとんどが、労働時間に合わせて報酬が決まる仕組みになっています。その影響もあり、日本企業の労働生産性が低いことが問題視されるように。しかし、成果重視の高度プロフェッショナル制度では、労働生産性の向上が期待できるでしょう。また、優秀な人材であるほど評価されるため、社員のモチベーション向上も期待できますよ。

高度プロフェッショナル制度のデメリット

残業代と言う概念が無くなる

高度プロフェッショナル制度のデメリットとして、残業代と言う概念が無くなる点が挙げられます。今までは、仕事の出来が良くても悪くても、仕事が終われば退社することが出来ました。しかし、高度プロフェッショナル制度の場合、仕事が上手く行っておらず成果に繋がらない場合、十分な報酬を得ることが出来ません。そのため、休日出勤や長時間労働が必要になる場合があります。たとえ長時間労働をしたとしても、基本的に残業代は支給されないため注意しましょう。

評価基準が難しくなり賃金格差が生まれる

評価基準が難しくなり賃金格差が生まれることも、高度プロフェッショナル制度のデメリットと言えるでしょう。労働時間は容易に可視化することが可能ですが、成果はきちんと評価をすることが難しいのが現状です。その結果、適切な報酬が支払われないという事も少なくありません。適切な評価ができなければ、社員のモチベーション低下に繋がります。高度プロフェッショナル制度を導入する際は、あらかじめ成果に対する適切な評価方法を決めておく必要があるでしょう。

高度プロフェッショナル制度のの導入方法

労使による委員会の設置が必要

高度プロフェッショナル制度の導入には、労使による委員会を設置する必要があります。労使委員会が設定されると、指定された要件の決議を行わなければいけません。決議要件の項目は、対象業務や対象労働者の範囲、または苦情処理措置など。5分の4以上の委員が賛成した場合、それぞれの要件が決議されます。その後、決議を労働基準監督署長に届け出る必要があります。決議が必要な要件は約10項目あるため、導入までにかなりの時間を費やすことになるでしょう。

本人の同意が必要

高度プロフェッショナル制度を導入するためには本人の同意が必要です。制度内容や支払われる給与額、また対象期間の確認を行い、書面上で同意してもらいましょう。また、同意をした場合、労働基準法第4章の規定が適用されなくなるという旨も伝えておく必要があるでしょう。労働基準法第4章とは、労働時間や有給休暇による規定のことを指します。これは、制度を導入するうえで重要なステップです。口頭で確認するのではなく、必ず書面上で同意をもらいましょう。

目的を明確化させる

高度プロフェッショナル制度を導入する場合は、事前に目的を明確化させておきましょう。主な目的として、能力の高い人材の労働生産性の向上や、徹底した成果主義の実現等が挙げられます。目的が不透明な場合、たとえ制度を導入したとしても上手く機能しません。上手く機能しなければ、労働者や企業が損をする場合も。高度プロフェッショナル制度を導入する際は、なぜ自社に制度の導入が必要なのか、導入するとどんなメリットが生まれるのかしっかりと考えましょう。

専門家に相談する

社会保険労務士法人東京国際事務所

専門家に相談することも、高度プロフェッショナル制度を導入する1つの方法です。特に初心者の方は、専門家に相談することでスムーズに制度を導入することが出来るでしょう。おすすめの専門家として、社会保険労務士法人東京国際事務所が挙げられます。この事務所では、高度プロフェッショナル制度の導入はもちろん、外国人労働者向けの保険の手続きなど様々な支援を行っています。経験も豊富であるため、幅広い知見からアドバイスが頂くことが出来るでしょう。

高度プロフェッショナル制度と裁量労働制の違い

不要な残業を防ぐ目的なのが裁量労働制

続いて、裁量労働制と高度プロフェッショナル制度の違いをご紹介します。主に、不要な残業を防ぐ目的なのが裁量労働制と言えるでしょう。大きな違いは、労働基準法が適応されるかどうかです。高度プロフェッショナル制度の場合、労働基準法は適用されません。残業代や休日出勤の賃金等は付かないため注意しましょう。また、高度プロフェッショナル制度に比べ、裁量労働制は対象の仕事の幅が広いです。このような違いも押さえておきましょう。

高度プロフェッショナル制度は時間を自由に使って仕事をすることが目的

高度プロフェッショナル制度は時間を自由に使って仕事をすることが目的です。そのため成果さえ出していれば、子育てや介護をしている方もでも十分な報酬をもらうことが出来るのです。仕事とプライベートのバランスがとりやすい制度と言えるでしょう。しかし、成果を出すことが難しい業務内容の場合、残業代が支給される雇用形態で働く方が良いかもしれません。どの雇用形態が企業と社員の双方にメリットがあるのか、この機会に今一度見直してみても良いでしょう。

導入の際は実施状況の報告義務があります

会社に適している働き方を導入しましょう

今回は、高度プロフェッショナル制度についてご紹介しました。働き方改革の一環として今話題のこの制度。すべての人が利用できるわけではなく、対象業務が決まっています。導入前にしっかりと確認しておく必要があるでしょう。また、高度プロフェッショナル制度導入の際は、実施状況の報告義務があるため注意しましょう。成果によって評価が決まるこの制度は、社員のモチベーションアップにとても有効的です。会社の目的に適した働き方を導入し、労働生産性の向上を目指しましょう。

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