中途採用比率の公表義務化へ【推移・現状は?】

記事更新日:2020年07月23日 初回公開日:2020年07月18日

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貴社では中途採用比率を公表していますか。転職希望者が転職先を決める際に意外と見ているのが中途採用比率。中途採用比率は社員の中でどれほどの中途社員が働いているかの割合を示す数値のこと。この数値が高ければ高いほど転職希望者は転職者でも働きやすい企業なのだと判断することでしょう。今後301人以上の従業員がいる大企業は中途採用比率の公表が義務化されます。今回は中途採用比率を公開するメリットやデメリット、中途採用比率が高い企業についても紹介します。今後採用活動を活発にしたいと考えている企業の方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

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中途採用比率とは

社員全体に対しての中途採用者の割合のこと

中途採用比率とは、社員全体に対し中途社員が何人働いているかを示す割合のことを指します。現在8人に1人が転職を希望しているというデータも出ています。しかし転職希望者がなかなか転職活動に踏み切れないのは、中途社員として働いていけるのか、転職に成功できるかという不安があります。転職希望者は気になる企業の中途採用比率を見ることで、転職者がどのぐらいの割合で働いているのかを知ることができるでしょう。また転職希望者の雇用を進めている企業にとっては、中途社員の多さをアピールすることもできます。転職希望者も企業側にとっても中途採用比率を公開することで得られるメリットは大きいと言えるでしょう。

転職を希望する人の活動に活かしてもらう狙いがある

中途採用比率は転職希望者の転職活動に活かしてもらう狙いがあります。2019年は転職者数が過去最多となり、年間で351万人もの人が転職をしたという調査結果が出ました。またその調査では今働いている企業よりも良い条件の職場を探すために転職をしたという人が一番多かったことも分かりました。2020年はコロナウイルスの影響により、就業先を失った人や働き方を変えたいと考えた人も多いことでしょう。中途採用比率は数値で表されるもの。中途採用比率の数値の高さを見ることで、転職希望者はどれほどの中途社員がその会社に転職し馴染めているかを客観的に判断することができるでしょう。

開示している789社の平均中途採用比率は28%

中途採用比率を開示している786社の平均中途採用比率は28%であることが分かりました。調査結果によると97%以上が中途社員で、実際に高い利益率を誇っている企業があることも判明。しかしまだまだ中途社員の雇用は進んでおらず、世界的に見ても特に日本は中途社員の雇用が遅れています。また中途社員の定着率を上げる取り組みを行っている企業も少なく、中途社員の定着率が低いのも現状です。企業側は新卒社員、中途社員の双方が活躍できる環境にすることが求められていると言えるでしょう。社員全員が活躍できる環境を整備することで企業の業績向上にも繋がるかもしれません。

中途採用比率の公表義務化について

2021年4月から実施できるように厚労省が促している

2021年4月から中途採用比率の公表を実施するようにと厚生労働省は促しています。平均寿命が延び続けていることや少子高齢化の影響もあり、国民が長く働き続けられる環境を整備することを国は求められています。働きたいという意思が強い国民の転職活動を支援するためにも中途採用比率の公表義務化が進められるようになりました。しかし中途採用比率の公表義務化に関する企業の認知度は低いまま。また中には中途採用比率を公表することにメリットを感じないと答えた企業も。採用活動を活発にさせたいと考えている企業は中途採用比率の公表をうまく利用していくことが今後大切になってくるのかもしれません。

301人以上の大企業は義務付けられる

中途採用比率の公表義務化は2021年4月より301人以上の大企業に義務付けられます。これまでの調査により中小企業は中途社員の採用が進んでいることに対し、大企業は中途社員の採用がそれほど進んでいないという結果が出ました。この結果を受け、301人以上の大企業に対して中途採用比率の義務化が進められるようになったようです。中途採用で雇用すると教育コストを削減できる点や即戦力として活用できる点、これまでの企業で働いてきた経験を社内に取り入れられる点などメリットも多いです。この機会に中途社員の雇用を進めていくのもいいのかもしれません。

中途採用比率を公表するメリット

求職者が転職先を探す際に公平な情報になる

中途採用比率を公表するメリットとして、求職者が転職先を探す際に公平な情報になる点があげられるでしょう。転職自体や転職活動による不安から、転職活動がなかなか進んでいない求職者も多くいます。具体的には希望の条件の会社が見つかるかどうか、新しい会社で馴染むことができるのか、転職先で継続して働き続けられるのかなどの悩みが考えられるでしょう。中途採用比率を公表することによって求職者はその企業にどれほどの人が転職し、現在も働いているのかを確認することができます。中途採用比率の数値が高ければ転職希望者も中途社員が働きやすい環境なのだと認識し、企業に求職者が集まることでしょう。

比較する事で求人者の応募が集まりやすくなる

中途採用比率を公表することで求職者が会社を比較しやすくなり、結果的に会社への応募が集まりやすくなる点もメリットの1つでしょう。先ほどもお話ししたように転職希望者には様々な不安点があります。その悩みの中には転職先をどっちにすべきかと最終判断に悩んでいる場合もあるかもしれません。中途採用比率を公表することで転職希望者は中途社員の割合を確認できるのはもちろん、公開している中途社員に関する情報量の多さに安心感を抱くことができるでしょう。安心して求職者が内定を受け取るためにも、中途採用比率の公開はメリットと言えるかもしれません。

企業と求職者のマッチング精度が高くなる

中途採用比率を公表するメリットとして、企業と求職者のマッチング精度が高くなる点もあげられるでしょう。採用面接を実施し採用したのに、求職者に辞退されてしまった経験がある企業もあるかもしれません。実際に面接中のやりとりや企業の雰囲気を見て求職者自身がミスマッチを感じ、採用を辞退してしまうケースも多いです。ミスマッチが起こると採用活動にかかったコストも無駄になりかねません。中途採用比率をあらかじめ公表し、中途社員がどれほど働いているのかを求職者自身も知ったうえで求人に応募してもらうことで、ミスマッチを減らすことができるでしょう。

中途採用比率を公表するデメリット

情報開示のためのデータ整理に手間がかかる

中途採用比率を公表する際のデメリットとして、情報開示のためのデータ整理に手間がかかることもあげられるでしょう。中途採用比率公表の義務化により、大企業は中途採用比率を算出するために従業員の人数や従業員のこれまでの経歴を洗い出す必要があるでしょう。特に従業員が何千、何万人もいる場合は膨大な数のデータを整理しなければなりません。また従業員を新しく雇用したり従業員が退職した場合は、その都度従業員の数も変動します。従業員が多い企業は中途採用比率公表義務化のためにも、できるだけ早くデータを整理し始める必要があるでしょう。

公開が企業や求人者に有意義となるのか明確ではない

中途採用比率を公表する際のデメリットとして、中途採用比率の公開が企業や求職者に有意義となるのか明確ではない点があげられるでしょう。転職希望者にとっては中途採用比率を見ることで、転職先を探す1つの目安になるかもしれません。しかし中途採用比率が義務化されていない現時点では、働きたい企業が中途採用比率を公表しておらず参考にできない場合もあるでしょう。また新卒社員を多く雇いたいと考えている企業の場合、新卒社員の採用に力をいれるとその分中途採用比率は下がってしまいます。場合によっては転職希望者から近寄りがたいイメージを持たれる可能性があることも懸念しておきましょう。

中途採用比率を公開している企業

日本オラクル株式会社

日本オラクル株式会社は中途採用比率を公開しています。日本オラクル株式会社はハードウェアやソフトウェア、クラウドサービスを提供している企業。アメリカのオラクル・コーポレーションの日本法人として設立された会社ですが、2000年には東証一部上場したほど業績のある会社です。日本オラクル株式会社は中途採用比率が97%とかなり多くの中途社員が働いている企業だと言えるでしょう。実際に2014年度は新卒社員を5人、中途社員を209人も雇用したようです。日本オラクル株式会社の売上高は右肩上がり。即戦力である中途社員を多く雇用した結果、利益の向上に繋がったのかもしれません。

ANAホールディングス株式会社

ANAホールディングス株式会社も中途採用比率を公開しています。ANAホールディングス株式会社は株式会社エアージャパンやANAウイングス株式会社等の航空運送や航空整備、空港地上支援など様々な事業を展開している企業をまとめる会社。2014年に行われた調査によると、ANAホールディングス株式会社の中途採用比率は81%。大企業は中途採用が遅れていると言われる中、ANAホールディングスでは中途社員の採用が進んでいることが分かりました。ANAホールディングスはグループ企業ということもあり、求職者の経歴や強みによっても応募職種を決めることができます。転職希望者からは大企業である安心感や転職者の多さ、応募職種の多さも魅力に感じられていることでしょう。

Zホールディングス株式会社(旧ヤフー)

Zホールディングス株式会社も中途採用比率を公開しています。Zホールディングス株式会社は旧ヤフー株式会社。現在ではヤフー株式会社をはじめ、アスクル株式会社や株式会社ジャパンネット銀行、株式会社ZOZOなど非常に多くのグループ会社を運営している企業です。2014年度の調査になりますが、Zホールディングス株式会社(旧ヤフー株式会社)の中途採用比率は73%。ヤフー株式会社ではエンジニアやAIプランナー、データアナリストなど専門的な知識を要する職種を募集しています。中途採用比率を公開することで高度な知識を持つ求職者の獲得に繋げているのかもしれません。

セコム株式会社

セコム株式会社も中途採用比率を公開しています。セコム株式会社は日本初の警備保障会社として1962年に創業され、現在は東証一部上場しているほど売り上げを伸ばしている企業。現在は常駐警備や現金護送、安全商品の提供を行うセキュリティ事業だけでなく、防災やメディカル、保険、不動産など様々な事業を展開しています。2014年の調査によるとセコム株式会社の中途採用比率は83.1%と、中途社員の雇用が進んでいることが分かりました。セコム株式会社は社員の個性や能力を伸ばすため人事評価制度も充実しています。転職した後もキャリアアップを狙えるのかと不安視している転職希望者には魅力的な会社と言えるかもしれません。

中途採用比率の公開に向けて今から準備しましょう

301人以上の従業員がいる大企業は特に中途採用比率の公開義務化に向け、今から準備しておくことが大切でしょう。転職者の増加や終身雇用制度の崩壊により、転職希望者は今後も増えていくことが予想されます。より高度な知識や経験がある求職者を獲得するため、企業は他社との差別化が必須となるでしょう。中途採用比率を公表することで、その企業が中途社員にどれほど期待しているのかも判断することができます。中途社員雇用の競争の激化、中途採用比率公開義務化に向け、できるだけ早くデータを準備し高度な人材の獲得に繋げていきましょう。

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