記事更新日:2024年03月13日 |
人事・労務お役立ち情報 用語集 派遣社員 グローバル経済事なかれ主義とは自分の身の周りで起こる出来事に対して、波風が立たないようにしようとする考え方のことです。例えば集団内で自分が多数派とは異なる意見を持っている際に、他人から悪く思われることや衝突を避けて敢えて主張を避けようとする心理がこれに当たります。職場に事なかれ主義による同調圧力が蔓延すると、トラブルが多発しがちになるだけでなく、社員個人の成長を妨げることになる可能性も危惧されるため要注意です。
官僚主義とは新しい考え方や価値観を忌避し、従来のルールや価値観を重んじる考え方のことです。官僚主義は特に規模の大きな企業によく見られる風潮です。特徴としては、業務が何をするにも上司の承認が必要なシステムになっていることなどが挙げられます。これは「上司の命令が絶対」という認識や異なる意見を述べると自分の立場が悪くなるという社員の危機感が原因となっている可能性が考えられます。そのため、事なかれ主義が蔓延している職場では官僚主義が根強く残っていると考えて良いでしょう。
保守的とは従来から実施されてきた事柄や風習を重要視して、以前と同じ方法で現在の物事も遂行していこうという考え方の傾向です。保守的な価値観は、前例から物事を判断し、できるだけ確実な方法で失敗を少なくしようという考え方から構成されています。そのため、「波風を立てないように」という事なかれ主義と似ている部分があります。物事を計画し実行する際に、確実な手段を取ろうとする傾向は堅実とも言えるでしょう。このようなことから、保守的思考そのものは決して悪い価値観と言うわけではありません。
事なかれ主義の対義語には「進取果敢」という言葉があります。進取果敢とは、自分から積極的に物事を判断し、大胆に取り組む様子のことを指します。具体的には他人の考え方に影響されず自分の意見を出していく行為や、今までに無いことにも躊躇せず挑戦していく姿勢が進取果敢と言えるでしょう。進取果敢な人は自分で決断し行動することを避ける事なかれ主義とは対照的に、主体的に物事を判断していくことができます。そのため、自ら考えて行動できる人材が求められる現代社会では、重要視される素質と言えます。
事大主義とは、自分自身は決まった考えや価値観を持たずに、勢力の大きい集団の意見や主張に従う傾向のことです。また、問題の詳細な事情を知らないままで、小さなことを大きく騒ぎ立てることを指す場合もあります。事なかれ主義はなるべく物事を大きくしないように丸く収めることに対して、事大主義は問題を大きく捉える部分が対義的な特徴と言えるでしょう。そのため、両者の語句に優劣は無く、どちらも主体性に欠けるという点では共通する部分もあると解釈できます。
職場の上長とは一般的に上の役職に就いている人や、自分よりも年齢が上の社員など、若年層の社員を取りまとめる立場に居る人のことです。事なかれ主義の上長が職場に居ると、社員同士の人間関係のトラブルや業務上の些細なミスが隠蔽されがちです。目下の社員が問題の改善を訴えても、本人は「自分の評価に影響が出る」と考えるからです。また、相手が上長という立場であるため、本人の事なかれ主義が他の社員にも伝搬し職場全体の風通しが悪くなるなど、様々な影響が出ることも予想されます。
事なかれ主義は、公務員の職場でも蔓延しやすい考え方です。公務員の仕事は、業務の特性上業績ノルマなどが存在しません。そのため、どれだけ仕事で成果を出しても自分の評価には繋がりにくいという側面が存在します。このような理由から、公務員は業務フローの改善や新しい取り組みなど、手間暇がかかる面倒な仕事をこなすことにモチベーションを維持しにくくなります。また、本人がどれだけ変化を望んでいても、上記のような業態から周囲に協力を仰ぎにくいのも事なかれ主義が蔓延する一つの原因と言えるでしょう。
事なかれ主義が生じる原因の一つは、社員本人に自信が無いことです。人は誰しも、なるべく失敗は避けて行動したいと思うものです。特に自分に自信が無い場合は、奇抜なアイディアや革新的な意見を持っていてもなかなか周りに打ち明けにくいと感じる人が殆どです。また、過去に経験のある事例であれば、その時の対応を参考にすれば有効な解決策を講じられる反面、未知の事柄は慎重に物事を進めなければというバイアスがかかりがちです。そのため、自分に確たる自信が無い人は事なかれ主義に陥りやすくなります。
事なかれ主義は、自己がダメージを負うのを恐れる心理が影響している可能性があります。例えば、業務に取り組む際に「勝手に自分で判断して後で上司に叱られたらどうしよう」と考える人は少なくありません。また、トラブルが表沙汰になると、「自分が周囲から責められるかもしれない」と思う人も居ます。このように自分の職場での立場が危うくなると考えれば、問題を隠蔽しようという意識が働くことも否めません。そのため、事なかれ主義を防ぐためには、失敗してもフォローしてもらえる体制を整える必要があります。
事なかれ主義は、本人に当事者意識が薄いと起こりがちな問題でもあります。通常職場で起こった物事に対して、自分の意見や主張を持つ社員は周りの圧力を感じても自分なりに最善の行動を取ろうと努力します。逆に当事者意識が無いと、職場で何が起こっても自分にも責任があると思えず対応が消極的になりがちです。このような社員が居ると事なかれ主義による弊害だけでなく、社員個人の成長に繋がらず、周囲の人間関係も悪くなるため早急な対応が必要になります。
「自分が悪者になりたくない」という心理が働いているのも、事なかれ主義の原因となる場合があります。他者と違う考え方を発表すると、時には他者と対立するケースもあります。また、自分が誰かを悪く言うつもりがなくても、結果として他者の欠点を指摘する結果になってしまうことも多く存在するでしょう。言いにくいことを敢えて口に出さなければならない場面は、どのような職場でも起こり得ることです。しかし、自分が悪者になりたくないという意識が強く働くと、対立を避けるために敢えて意見を言わない選択を取る人も少なくありません。
上記のように、他者と異なる意見を発表すると、そのことが原因で対立関係が生まれるリスクがあります。そのため、人にへつらうのが上手い人は、他人に良く思われるために積極的な問題解決を避けます。これも、事なかれ主義が発生する原因の一つです。また、実際の業績だけでなく、上司の心証が社員の評価に影響する職場環境である場合も同じです。他人からの心証が悪くなれば、自分の評価にも影響すると分かっているのに、自分から問題を進んで指摘する人は居ません。そのため、事なかれ主義をなくすためには、職場の状況を改めて見直す必要もあります。
会社の社風が失敗に対して厳しい場合も、事なかれ主義が横行しがちになります。上司が高圧的で失敗を強く叱責してしまう傾向がある会社では、社員は委縮してミスを自分から言い出しにくくなってしまいます。この状態が放置されると、社員は起きた問題を内々に処理しようとし、結果的に問題が大きくなってしまうことも少なくありません。このような理由から、事なかれ主義を無くすために、は社員1人1人の認識だけでなく、管理職も失敗を強く追及せず、失敗を報告しやすい環境を整えなくてはなりません。
事なかれ主義は、その特徴から社員の主体的な思考や行動を妨げかねない考え方でもあります。事なかれ主義を持っている社員の考え方の根本には、「どうせ意見を言っても聞き入れてもらえない」「頑張っても評価に繋がらない」という諦めがあるからです。このような考え方が根付いている人は、「今よりもっと効率的に業務を改善しよう」という意識が生まれにくくなります。そのため、この状態を放置していると必然的に社員全体のモチベーションや、職場の生産性は低下します。
社員のチャレンジ精神が失われるのも、事なかれ主義のデメリットです。事なかれ主義の人は失敗を避ける傾向にあるため、新しい試みや挑戦を自分から進んで行うことはありません。現代社会で企業が生き残るには、他社には無い新しいサービスや革新的なアイディアを実現させる必要があり、社員は挑戦心を持って仕事に取り組まなくてはなりません。しかし、事なかれ主義の社員が多い会社は新しい試みが実現されにくい環境になりがちです。そのため、事なかれ主義の横行は社員の成長だけではなく、長期的に考えると企業そのものの損失になる可能性も否めません。
事なかれ主義の対策を実行するには、会社全体で社員のミスを責めず挑戦を進める制度作りをしていく必要があります。社員が事なかれ主義になる原因の多くは、失敗を叱責されることや他者と違う意見を述べて自分の立場が悪くなることを恐れる心理にあります。そのため、現状を改善するためには、まず部下の失敗を上司が強く責めないことや、新しい考え方を積極的に取り入れていく姿勢を持つことが大切です。ミスをしても必ずフォローしてもらえるという安心感があれば、社員は自ずと自分の意見を言えるようになり、挑戦心も高まります。
新しい試みを実行するにあたって、失敗の可能性はつきものです。事なかれ主義の考え方では、先に失敗しないように物事を遂行することを重視していますが、失敗から生まれる学びもあります。社員の失敗への恐怖を和らげるには、責任の所在を未来の対処に置き換えることが有効です。失敗をした時には社員の行動を責めるのではなく、その失敗に対する対処に責任を持つよう指導とフォローを行いましょう。起きてしまった出来事は変えられません。そのため、失敗した時には「今後どのように対処していくか」に焦点を絞って考えていくことが大切です。
事なかれ主義の人は一見すると責任感や当事者意識が薄いと思われがちですが、反面他者との調和を重んじ、責任感が強いからこそ確実な手段を取ろうとしている可能性も有ります。そのため、必ずしも本人に悪意があるというわけではありません。しかし、企業に属する社員や会社そのものが成長していくためには、未知の事柄にも積極的に挑戦していく必要があります。このような理由から、企業は事なかれ主義が社員に根付いてしまわないように、失敗に寛容な社風や上司の部下に接する態度にも注意を払い、環境の改善を試みていくことが大切です。
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