限定正社員とは?【正社員との違いからメリット、導入例の紹介まで】

記事更新日:2020年11月18日 初回公開日:2020年11月02日

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働き方が多様化している現代社会。フリーランスやリモートワーク、フレックスタイム制など、仕事に関する様々な言葉が徐々に浸透してきています。今回ご紹介する「限定正社員」も比較的新しい言葉だと言えます。そのため、限定正社員という言葉を初めて聞いたという方もいるかもしれません。限定正社員を採用することで会社にどのような影響があるのでしょうか。今回は限定正社員の意味から種類、導入の背景、メリットなど幅広く紹介していきます。この記事を読んで「限定正社員」についての知識を深めていきましょう。

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限定正社員とは

勤務地や職務、労働時間などを限定して働く正社員

まず初めに限定正社員の意味について確認をしましょう。限定正社員とは、勤務時間や職務内容、勤務地などを限定して働く正社員のことです。限定正社員は、「多様な正社員」、「ジョブ型正社員」などと呼ばれることもあります。第二次安倍政権で、経済政策であるアベノミクスの成長戦略の一つが多様な働き方の実現でした。そこで、これまでの正社員と非正規労働者という二分化をなくすために、限定正社員という区分が生み出されました。その結果、企業の中でも、限定正社員として新たな人材を雇用する動きが高まりました。

正社員との違い

正社員よりもワークタイムバランス重視

正社員と限定正社員ではどのような違いがあるのでしょうか。正社員とは雇用期間を定めずに雇用主と労働契約を結んだ労働者のことです。結論から言うと、正社員と限定正社員は基本的に昇給や福利厚生などの待遇に違いはありません。しかし限定正社員の場合は、勤務先や勤務時間などといった条件を限定して労働契約を結ぶことが出来ます。ですので、労働者にとってはよりワークライフバランスが取りやすい職場で働くことが可能になるでしょう。

契約社員との違い

限定正社員は正規雇用

続いて契約社員との違いについて説明をしていきましょう。まず契約社員とは、雇用主が雇用期間を定めた上で労働契約を結んだ労働者のことです。ただし契約社員は同じ企業で5年以上継続した働いた場合は、無期雇用契約に変更することも可能です。限定正社員との一番の違いは、契約社員は非正規雇用であるという点です。やはり限定正社員を含む正社員と比較すると契約社員は、給料などの面からも企業からの待遇が劣る傾向があるといえるでしょう。

限定正社員制度の導入状況

まだまだ導入する企業の割合は低い

ここまで限定正社員に関する基本情報を説明してきましたが、実際にはどれくらいの企業が限定正社員制度を活用しているのでしょうか。2018年に労働政策研究・研修機構が行った調査の結果によると、2260社のうち限定正社員がいると回答した企業は20.4%でした。限定正社員を採用する企業は年々増えているものの、その割合はまだまだ少ないといえるでしょう。また、限定正社員のうち三割程は、給与などの面から不満を抱えていることが分かりました。

限定正社員の種類

職務限定正社員

限定正社員は大きく三つに分類することが出来ます。ここではそれぞれの特徴を説明します。一つ目は職務限定正社員。職務限定正社員は、業務内容や職種などをあらかじめ限定して働く労働者を指します。職務を限定することで、労働者の業務内容に関する希望とのミスマッチを事前に防ぐことが可能です。企業側としては、募集する職務に対する知識や経験を持った最適な人材を選ぶことが出来るでしょう。また入社後に、ある分野に関して専門性の高い人材に育てることにも繋がります。

勤務時間限定正社員

続いて紹介するのは勤務時間限定正社員。その名の通り、勤務時間を限定して働く正社員のことです。この場合は雇用契約の際に労働者が週に何時間働くか、何曜日は休みなどの労働時間に関する条件を事前に確認することが必要です。勤務時間限定正社員の中でも主に「短時間正社員」、「残業免除等正社員」、「勤務日数限定正社員」の3つに分けられます。労働者の中には育児、介護といった理由で長時間働けないという方も多いかもしれません。そんな方でも正社員として働ける雇用形態となっています。

勤務地限定正社員

最後に紹介するのは、勤務地限定正社員。こちらも雇用契約の際に、労働者がどの勤務地で働くかをあらかじめ決定します。ただし限定される地域の範囲は様々で、企業によって条件が異なっています。例として自宅から通勤可能な地域内での異動の可能性がある、特定の事業所のみで働くなどのケースが想定されます。全国転勤や海外赴任の可能性がないので、家庭の事情などで単身赴任や長距離出勤が出来ない社員でも継続して働くことが出来るでしょう。

限定正社員を採用するメリット

正社員転換への受け皿

企業として限定正社員を採用するメリットはどんなものがあるのでしょうか。ここでは三つの理由を紹介します。まず一つ目が正社員転換への受け皿です。今までの雇用システムでは正社員と非正規労働者という二つの選択肢しかありませんでした。また、2013年に施行された改正労働契約法によって、本人が希望する場合は5年以上継続して働いた非正規労働者を無期雇用契約に変更しなければなりませんでした。しかし限定正社員という概念が登場したことによって、今まで非正規で働いてきた労働者を新たに限定正社員として雇用することが可能となったのです。

優秀な社員の確保

二点目は優秀な社員の確保です。正社員として働きたくても様々な制約によって働くことができないという人も少なくありません。一方で限定正社員の場合、多様なライフスタイルに対応した働き方が出来るでしょう。企業にとっても今までの労働条件では採用することが出来なかった優秀な人材を確保することが出来るので大きなメリットとなり得ます。特に職務限定社員の場合は専門性が高いスキルを持った社員を雇うことも可能なので、会社の利益アップに繋げることも出来るでしょう。

社員満足度の向上

最後に三点目として挙げられるのが社員満足度の向上です。限定正社員という新たな働き方が企業に導入されることで、それぞれの生活に合ったより多様な働き方が実現できるようになりました。限定正社員は仕事と私生活のバランスもとりやすいので、結果的として仕事に対するモチベーションが上がり、社員満足度も向上しやすい傾向があります。企業にとっても社員満足度を上げることで、離職率の低下や生産性アップにつなげることが可能になるでしょう。

限定正社員を採用するデメリット

人事管理の複雑化

限定正社員の雇用はメリットばかりではありません。ここでは3つのポイントを紹介します。まず一つ目は人事管理の複雑化。限定正社員を採用することによって、今までよりも雇用形態の種類が増えることになります。これによって人事管理がより複雑化し、人事や労務担当者の負担が増加することでしょう。それだけでなく、雇用形態によって異なる管理をする必要があるので、管理コストの増加にもつながってしまいます。実際に導入する際には、新たな制度づくりをする必要があるでしょう。

状況の変化に対応しづらい

二つ目は状況の変化に対応しづらいことです。限定正社員は通常の正社員と比較すると、仕事に関してどうしても制限が多くなってしまいます。先程紹介したように、「時間、職務、勤務地」などといった条件が特に制限されています。具体的には勤務地限定社員であれば異動が難しい、職務限定社員であれば範囲外の業務が出来ないといったことが含まれるでしょう。そうなると、限定正社員は社内環境の変化に対応しづらく、会社としては扱いづらい人材となってしまうかもしれませんね。

社員が不満を持つ可能性がある

最後の3つ目は社員が企業に対して不満を持つ可能性があることです。正社員、限定正社員、非正規労働者といった複数の雇用形態が混在している企業の場合、従業員同士の比較が行われがちです。例えば給料に関して、限定正社員と正社員の差がほとんどなければ残業が多い正社員の方の不満が大きくなるでしょう。他にも転勤、勤務時間などといった条件に関して従業員の不満が溜まってしまう可能性があります。そのような事態を避けるためにも、限定正社員に対する待遇を明確にして、他の雇用形態の方とのバランスを取らなければなりません。

限定正社員制度を導入している企業

株式会社リンガーハット

最後に実際に限定正社員制度を導入している企業を3社、ご紹介しましょう。まず一社目は株式会社リンガーハットです。長崎ちゃんぽん、皿うどんなどの料理を提供する飲食チェーン店としてご存知の方も多いのではないでしょうか。この会社では「エリア社員」制度を導入しています。これはいわゆる勤務地限定正社員と同義語で、地域に密着した店づくりを行うために社内で推進されるようになりました。パートやアルバイトからの転換も可能なので、現在まで多くの従業員がエリア社員として働いています。

株式会社ダスキン

続いては株式会社ダスキンです。株式会社ダスキンは、主に掃除用品の販売やミスタードーナツの運営などを行っています。この会社は勤務地及び職務限定の正社員区分を新しく創設し、2018年の時点では289名が限定正社員として働いていました。また優秀な人材を登用するために、限定正社員から総合職への転換を行うことも可能となっています。その結果、従業員も多様なキャリアパスを描くことが出来るようになり、定着率アップにもつながっています。

株式会社グルメ杵屋

最後に紹介するのは株式会社グルメ杵屋です。本社は大阪府にあり、主に飲食店を経営する企業です。こちらの会社では2015年に社員形態の整備を行い、正社員の中でもさらに「総合職、一般職、専門職、地域専門職」の4つに分けられました。地域限定職は他の3職種と比較すると給料は低めですが、転居を伴う異動はありません。また「パートナー社員」と呼ばれる非正規雇用労働者の転換の受け皿としての役割も果たしています。さらに正規雇用の社員間でも転換を行うことが可能となっています。

まとめ

条件を考慮した上で採用の検討を

今回は限定正社員の種類やメリット、導入例などについて詳しく紹介してきました。限定正社員についての知識を深めることが出来ましたでしょうか。限定正社員を採用することで様々なメリットが得られる一方、人事管理が複雑になるといった問題も存在しているのが現状です。限定正社員を採用すると決めたら、労働条件や制度の整備、事前確認を行う必要があるでしょう。ぜひ今回の記事を参考にして、限定正社員の採用を検討してみてください。

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