ジュニアボード制度とは【実施するメリットやデメリット、導入事例について解説します】

記事更新日:2023年10月12日 初回公開日:2023年10月12日

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次世代幹部の育成や、マンネリ化した企業に新しい風を吹き込む目的として「ジュニアボード」という制度が注目されています。90年以上も前にアメリカで生まれた制度は、若手社員に経営陣の疑似体験をさせることでした。貴重な体験は経営感覚を身に付けるとともに、会社に若手人材による斬新で新鮮な意見を反映することができます。また、将来における経営陣を育成することにも繋がるものです。ここでは、ジュニアボード制度の成り立ちから実践する方法まで、詳しく解説致します。企業発展および後継者育成の一助になれば幸いです。

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ジュニアボードとは

若手社員と中堅社員による疑似役員会のこと

ジュニアボードとは、若手社員と中堅社員による疑似役員会のことで、発案したのはアメリカの大手スパイスメーカーであるマコーミックです。マコーミック社では社員の意見を取り入れるために、当時の社長(1930年頃)が、考えて実施された制度だとされています。マコーミック社ではこのような制度を総合して「複合経営性(Mulciple Manegement」と称するとともに、その一部である疑似役員会のことを「ジュニアボード(Junior Bord of Directers)」と名付けました。

ジュニアボード制度の目的

若手の経営参画への意欲を高め次世代経営人材を育てる

マコーミック社の社長が社員の意見を取り入れるために行ったジュニアボードは、若手の経営参画への意欲を高めるとともに、次世代経営人材を育てることに繋がります。後継者がいなくて困っている中小企業にとって、次の後継者選びと人材育成ができるジュニアボードは最良の策です。若手人材にとっては疑似であったとしても経営に参画出来たと言う喜びがあり、仕事への意欲が高まることは間違いありません。また、経営者の視点を経験できることは大きな成長に繋がるでしょう。

若手社員と中堅社員目線の意見を経営に反映させる

繰り返しになりますが、ジュニアボード制度の元祖と言われるマコーミック社の目的は、若手社員と中堅社員目線の意見を経営に反映させることでした。同じ方向ばかりから物を見ていると偏った考え方になりがちです。消費者目線にも近く、現場の最前線で働く若手社員の新鮮な意見の中には、経営者が気付けなかった貴重なものが多くあります。凝り固まった社風や考え方に風穴を開けるためにも、斬新かつ大胆で消費者寄りの意見は会社にとって大きな財産です。

会社全体を活発化させる

また、ジュニアボード制度では部署の壁を越えた柔軟な発想ができる若手社員が集まるため、軌道に乗れば意見交換も活発に行われます。若いだけに行動も早く、会社全体に活気を与えてくれるでしょう。会社の一部が盛り上がることで、それが伝染して全体に影響を与えることは良くあることです。活気がある会社は常に前進を考えており、そういう社風は他から見ていても魅力的に映ります。魅力的な会社には自然に人が集まり、会社の発展に寄与します。

ジュニアボード制度のメリット

社員のモチベーション向上に繋がる

ジュニアボード制度のメリットの一つが、社員のモチベーション向上に繋がることです。参画できた社員は選ばれた社員として自信となり、その後の活躍に繋がります。それを見る新入社員たちも、目指す目標として、ジュニアボードへ参加することに憧れを持つでしょう。否が応でも若手社員のモチベーションはあがり、売り上げや新商品の開発にも好影響を与えます。若手社員から刺激を受ける中堅から上の社員にも影響を与えることは必須であり、全体もモチベーションアップに繋がるでしょう。

社内コミュニケーションを促進させる

ジュニアボードに選抜されるメンバーは、多数の部署から集まることが多く、部署の垣根を越えて議論が交わされます。部署を越えた人材の交流は、別の視点から他部署を見るため、新しい気付きを得られる良い機会です。また、若いうちに部署をまたいで議論することにより、将来においても他部署とのコミュニケーションの促進や連携が上手くいくことにも繋がります。社内では競争意識も必要ですが、お互いに協力して大きなプロジェクトを行うことも重要です。若いうちから多部門の意見や知識を得ることは、統括責任者や経営陣の育成にも大いに役立ちます。

会社が抱える問題を可視化できる

ジュニアボード制度を行うことで、会社が抱える問題を可視化できることも大きなメリットです。多部門の若手人材が集合して、各部門で抱える問題を共有することにより、今まで見えなかった隠れた問題が見えるようになります。経営陣にとっても、部門が抱える細部の問題までは見えないことが多く、小さい問題が大きな問題の引き金になっていることも多いものです。小さな問題を解決することで、大きな問題を未然に防ぐこともできることがあります。会社で起きている問題を見える化することにより問題解決が早くなり、会社への早い効果が期待できるでしょう。

ジュニアボード制度のデメリット

会社全体の指揮を執るのが難しくなる

若手社員が貴重な経験をすることにより、自信を持つことは非常に良いことです。しかし一度の体験で全てを知り尽くしたような発言などが多くなると、会社全体の指揮を取ることを難しくしてしまいます。ジュニアボード体験により、何でも自分の思い通りになるという考え方に陥ることも多く、これがジュニアボード制度のデメリットです。ジュニアボードは、経営手法の一端を見る疑似体験です。実際の経営は大きなリスクを伴うものであり、成功への裏付けを十分に得る為、決断には時間もかかることを良く理解しなければなりません。

若手が自分中心の考え方になる可能性がある

同様に若手社員の発言が増えて、若手が自分中心の考え方になることは大きな危険を伴うことであり、ジュニアボード制度のデメリットといえます。実務経験の浅い若手社員の意見は理想論が多く、実務には程遠いことも良くあることです。理想を追い求めることも重要ですが、理想と現実の違いもしっかりと受け止めなければいけません。その上で建設的な意見を交わすことが重要であり、いくら正しく高い理想を掲げたところで、実現できないことを語ることは単なる時間の無駄と言えるでしょう。

長期間取り組む必要がある

ジュニアボード制度は疑似体験であるものの、継続して続けることで効果を発揮する若手育成手法です。そこで選ばれたメンバーに長期間にわたって、特別な時間を与える必要があります。メンバーは通常業務をこなしながら制度に参加してもらわなければいけません。選ばれなかった若手社員からは、やっかみの目で見られるとともに、特別な時間を与えられていることもあり愚痴などをこぼされることも多いでしょう。選ばれたものだけが参加できる長期間の研修制度は周囲からの理解も必要になります。

ジュニアボード制度の進め方

メンバーを選出する

実際にジュニアボード制度を進めていくには、まずメンバーを選出することから始まります。男女の比率や部署ごとの配分なども重要です。あまりにも偏った人選は同じ若手社員や周囲の社員から不平不満が出ると考えられます。明確な選抜基準があれば問題ありませんが、若手社員の中には「どうして自分が選ばれなかったのか」と考える人もいるはずです。評価によっての人選であれば、その評価基準や評価の高低の理由などもフィードバックし、メンバーの選定は慎重に行いましょう。

取り組む課題を選ぶ

ジュニアボードに参加してもらうメンバーを選抜したら、次は取り組んでもらう過大を決定しましょう。参加者の殆どが初めての取り組みとなるでしょうから、課題は前もって決めておいた方が参加者は取り組みやすくなります。事前に社内でアンケートなどを取るもよし、経営陣が問題視している課題から選ぶことも一つの方法です。ただし参加メンバー自ら決定した課題の方が取り組み方も前向きになるので、参加メンバーの提案する課題を取り上げてみることも検討しましょう。最初はあまり難しい課題ではなく、現実味のある身近な課題を選ぶことをおすすめします。

課題に対する検討をし実施する

課題を決定したら、参加メンバーそれぞれが課題に対する意見を検討してもらいます。メンバー全員から意見を得ることが重要ですので、期日を決めて意見交換を行いましょう。定期的に意見交換をしていくためにスケジュールを組み立てて、感覚を開け過ぎず詰め過ぎないように会合の日程を調整してください。意見交換会では全員の意見を聞くとともに、互いの意見を否定しないようにすることが大事です。全ての意見を肯定的に聞き、中で最も良いと思われる解決方法や複合した解決法などを選ぶのが良いでしょう。

プロジェクトを立ち上げる

実施すべきことが決定したら、実施に向けたプロジェクトを立ち上げます。期間とスケジュールを綿密に考えて、実行計画を詰めていきます。スケジュールは、あまりギリギリまで詰め込まず、余裕を持って立てることが重要です。スケジュール通りにいかないことも多くあり、各工程において多少の余裕はとっておくことが成功のポイントにもなります。プロジェクトの実施については、別工程でも同時進行できるものがあれば、メンバーを分けるなどして効率の良い実施を目指しましょう。

ジュニアボード制度の導入事例

株式会社・日本総合研究所(日本総研)

SI(システムインテグレーション・顧客情報システムを企画から運用まで一括して請け負う)など、総合情報開発を手掛ける日本総合研究所も制度を有効活用しています。日本総合研究所では2004年より若手から中堅社員の意見を積極的に会社経営として活用するために、ジュニアボード制度を導入しました。シンクタンク部門やコンサルティング部門も併せ持つ日本総合研究所では、時代のニーズを先取りするためにも若手社員の意見を取り込み、会社経営の将来も見据えて将来における経営層の育成を目的にジュニアボード制度を導入し成功している会社です。

株式会社パソナグループ

あらゆる専門行書に対応する派遣で有名な「株式会社パソナグループ」では、若手人材の育成を目的としてジュニアボード制度を積極的に取り入れている会社です。パソナグループでは、グループ各社より有能な若手人材をジュニアボードメンバーとして選抜し、10名程度のメンバーで制度を運用しています。ジュニアボードメンバーの任期を1年と区切り、社員の仕事に向かう姿勢や経営にも一役買うことに成功している企業です。将来の幹部の育成にも役立っており、各グループ間の連携も良くなり、企業の発展に大きく貢献しています。

ユニ・チャーム株式会社

デリケートな感覚と清潔さが重要となる紙おむつや生理用品などの販売で有名な「ユニ・チャーム株式会社」では、ジュニアボード制度で若手社員の新しい意見を積極的に取り入れています。ユニ・チャームが手掛ける多くは、日々改善されて進化を続ける商品です。競合他社に先を越されないためにも、若手社員の新鮮かつ斬新な意見が必要であり、常に先を見て開発および製造を行わなければいけません。そのためジュニアボード制度も一年で完結するように、任期は一年としています。

まとめ

ジュニアボード制度で長期的な戦略を練ろう

ジュニアボード制度は、一年程度のスパンでメンバー交代するのが一般的です。ただし、一年ごとに完結するのではなく、将来にわたって継続されることで大きな効果が期待できます。それぞれの年度での課題と成果を得るまでのプロセスを振り返ることで、次の世代へと繋げ成長する制度です。単年ごとの課題を考えることはもちろんですが、併せて長期的な戦略を練り人材育成と企業の成長と時代のニーズにあった変化を実現することが重要になります。貴重な若手人材を最良の方法で育成してください。

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