カンパニー制とは【メリットやデメリット、失敗しない方法などを紹介します】

記事更新日:2022年12月23日 初回公開日:2022年12月23日

用語集 外国人採用・雇用 グローバル用語解説 人事・労務お役立ち情報
企業は規模の大きさや展開しているビジネスによって、様々な組織体制が取られています。最適な組織体制を整えることは、業務改善の機会にもなるため生産性が上がり、業績が向上することに繋がります。企業の組織体制がうまく機能しているか不安に思う時は、新しい制度を検討することが必要なタイミングかもしれません。近年は、企業の中でそれぞれの事業部門が独立するカンパニー制を導入する企業が増えています。この記事では、カンパニー制と他の制度の違いや失敗しないためのポイント等を詳しく解説します。ぜひ最後まで読んでみてください。

外国人・グローバル人材の採用をお考えの企業様へ

事例

「日本語+英語+さらに語学が堪能な社員の採用」「海外の展示会でプレゼンが出来る人材」「海外向けサービスのローカライズ出来る人材」「海外向けWebサイト構築・集客」など、日本語も堪能で優秀な人材へのお問い合わせが当社に相次いでいます。

他社の外国人採用成功事例はこちらからご覧ください。

【無料】就労ビザ取得のためのチェックリストがダウンロードできます!

就労ビザ取得のためのチェックリストダウンロードバナー

グローバル採用ナビ編集部では外国人の採用や今後雇い入れをご検討されている皆様にとって便利な「就労ビザ取得のためのチェックリスト」をご用意いたしました。また、在留資格認定申請書のファイル(EXCEL形式)もこちらよりダウンロード可能です。

こちらのチェックリストはこのような方におススメです!


  1. 外国人採用を考えているがビザの申請が心配。
  2. 高卒の外国人は就労ビザの申請できるの?
  3. どのような外国人を採用すれば就労ビザが下りるの?
  4. ビザ申請のために何を気を付ければいいの?
  5. 過去に外国人のビザ申請をしたが不受理になってしまった…
  6. 外国人材を活用して企業の業績アップを図りたい方。
  7. 一目で分かるこんな就労ビザ取得のチェックリストが欲しかった!


他社での事例やビザ申請の際に不受理にならないようにまずは押さえておきたい就労ビザ取得のためのポイントを5つにまとめた解説付きの資料です。

就労ビザ取得のためのチェックリスト(無料)のダウンロードはこちらから!

就労ビザ取得のためのチェックリストをダウンロードする

カンパニー制とは

社内の事業が各々独立性を持つ組織のこと

カンパニー制とは、社内の事業組織がそれぞれ独立した会社として扱われる組織体制のことをいいます。複数の事業を展開している企業に多く見られる制度で、人事や投資、予算などの経営に関わる権限が委譲され、業績の責任も求められます。大きな組織では意思決定までの過程が長く、競合に遅れをとり生産性が下がる可能性があるでしょう。カンパニー制は迅速かつ柔軟に対応できるため、業務改善としても注目されることが多く様々な企業に取り入れられています。

カンパニー制とホールディングス制の違い

1社体制を維持するかどうかの違い

企業の組織形態の一つであるホールディングス制は、1社体制かどうかでカンパニー制との違いがあります。ホールディングス制での本部となる持ち株会社は投資権や人事権、意思決定権など傘下の会社を支配する権利を持っています。カンパニー制の場合は本社とカンパニーが法律上で同じ企業で1社体制であるという扱いに対して、ホールディングス制は本社と子会社は別会社扱いです。ホールディングス制はカンパニー制に比べて企業買収や事業売却が容易に行われるため、新規事業の参入や撤退が早くなる傾向にあります。

カンパニー制と事業部制の違いとは

人事や経営を本社が管理するかどうかの違い

事業部制は、本社が人事や経営を管理する点でカンパニー制との違いがあります。サービスや製品ごとに事業部門を分けて設置する事業部制では、事業運営に必要な権限は与えられますが、投資や人事などの経営に関わる権利は本社にあります。事業部制におけるそれぞれの事業は、利益を上げるために必要な調整はしますが経営的な決定権は本部にあるという状態です。カンパニー制は経営に関わる裁量まで管理する権限を与えられる点で、事業部制と大きな違いがあります。

カンパニー制を導入するメリット

組織図が簡易化され責任の所在が明確化する

カンパニー制を導入するメリットは、組織図が簡易化されて責任の所在が明確になることです。カンパニー制は事業ごとに独立することで企業内の組織図がシンプルになります。責任の所在が明確になると、トラブルの発生時や問題が発覚した時には原因と解決策を考えやすくなるでしょう。また、カンパニー制は事業ごとの経営で独立採算制のため、どの事業の業績が良く、どの事業の業績が悪化しているかわかります。組織がシンプルになると、会社が抱える課題が可視化しやすいです。

社内の組織力が向上する

カンパニー制を導入するメリットとして、社内の組織力が向上することが挙げられます。各事業部門が1つの会社として独立性があることで、社員が経営者視点や事業への責任を持ちます。それぞれが同じ目標に向かって事業に取り組むことで、社員同士の結びつきが高まってモチベーションの向上になるでしょう。また、事業部ごとに収益責任があると、カンパニー同士が競合意識を持ち身近にライバルがいる状態になるため、組織全体の能力の向上にもなります。

素早い意思決定で迅速に事業展開できる

カンパニー制では人事や投資などの重要な決定事項の権限委譲が行われるため、迅速な事業展開ができます。大きな決定事項に本社や経営層の判断が必要とされる場合、対応に時間を要する可能性があります。カンパニー制の場合、ヒト・モノ・カネの経営資源はカンパニーの裁量で運用の方向性を決められるため、経営層の指示や判断を仰ぐ必要がありません。変化の激しい市場経済に柔軟に対応ができるため、競合他社より早い価値提供による収益化にも繋がります。

カンパニー制を導入するデメリット

社内の仲間意識が薄れる可能性がある

カンパニー制を導入するデメリットとして、社内の仲間意識が薄れる可能性が挙げられます。各事業部門が独立しているカンパニー制では、1つのカンパニーの中で経営が完結するためです。カンパニー内で全て完結すると、カンパニー同士の交流や連携を取ることがなくなって情報共有の機会が減り、カンパニー外の社員との関係は希薄になります。技術やノウハウが共有されず、新しいアイデアを生み出すチャンスを逃す可能性もあるでしょう。カンパニーの独立性に頼らず、カンパニー同士が交流できる場を設けると効果的です。

結果至上主義に陥る可能性がある

カンパニー制は、会社が結果至上主義に陥る可能性を持っているため導入の際には注意が必要です。それぞれのカンパニーは経営責任を持っているため、他の事業部門と比較するなど社内競争が意識されるでしょう。社内競争が激しくなることで不正や不都合の隠ぺいなど企業の経営に関わる不祥事に繋がる恐れもあります。競争意識はカンパニー同士の刺激となれば効果的ですが、結果や収益にとらわれて誤った方向へ進まないような注意が必要です。

カンパニー制を廃止した事例

ソニー

ソニーグループは1994年にカンパニー制を導入し、エレクトロニクス事業復活のため2005年に廃止しています。1996年には第二次カンパニー制を導入し、カンパニー制の見直しと強化を行いました。カンパニー制導入より前の1992年は創業以来の赤字でしたが、1997年にはソニー史上で最高の業績を達成しています。しかし、エレクトロニクス事業を中心に展開させるために、部門間で連携を強化させる必要があり2005年に廃止されました。

カンパニー制を失敗しない方法

社員のリーダーシップを育む

カンパニー制に失敗しないためには、社員のリーダーシップを育むことが必要です。カンパニー制では、一つの事業部門の持つ裁量が大きいため、個々の社員が経営者視点を持つことが求められます。リーダーシップを持つことでカンパニーを経営する責任感を醸成し、カンパニーが活性化するでしょう。カンパニー制を導入する際には社員にリーダーシップ研修や教育を行うなど、経営者視点の醸成を図ることを検討するのも一つの手段です。

社内での交流機会を設ける

カンパニー制は、社内での交流機会を設けることで失敗を防ぎやすくなります。カンパニー同士で交流する機会を利用して情報共有や意見交換を行うことで、新しい視点を取り入れやすいためです。カンパニーは独立採算制で経営判断を完結できる分、カンパニーごとのやり方が固定される可能性があるでしょう。改善できることがあっても、気が付いていないかもしれません。他のカンパニーの状況を知って新しいアイデアを取り入れることで生産性が上がり、業績の向上にも繋がります。

各事業の独立性を持つ

各事業の独立性を持つことは、カンパニー制を失敗しないためのポイントとなります。カンパニー制は、一つの会社として大きな権限が付与されるため、スピード感がある決断や柔軟な対応ができることで結果に繋がります。本部や経営層の干渉が入ると、独立性ゆえのカンパニー制のメリットが失われる可能性があるでしょう。カンパニーの経営がうまくいっているか監視する意識はもちつつ、独立性を保つための工夫が必要です。本部や経営層が介入するべき部分とカンパニーの裁量に任せるべき部分は、あらかじめ明確にしましょう。

カンパニー制における給与形態

各企業によって異なる

カンパニー制において、給与形態は各企業によって定め方が異なります。カンパニーごとに給与形態が異なると、人事評価から給与に反映しやすく、社員にとっても理解しやすいです。しかし、一つのカンパニーだけ優遇されていると他のカンパニーの社員が不満を感じ、モチベーションの低下に繋がることもあるでしょう。給与形態は社員が不公平を感じないよう、企業に合った方法で慎重に定める必要があります。給与形態に関わる人事管理や評価方法も明確にしておくことで、混乱を減らすことができます。

カンパニー制を導入している企業

トヨタ

トヨタは「もっといいクルマづくり」のための「人材育成」を促進するため、2016年にカンパニー制を導入しました。トヨタは組織で発生する調整に時間を要することを課題に感じ、カンパニー制を導入することで意思決定の迅速化や完結化を図っています。当初は7つのカンパニーが設置され、各カンパニーで企画から生産を担う「製品軸」にすることで組織の壁を取り払う試みをしました。ヘッドオフィスとして「未来創生センター」が新設され、長期視点や社会視点でのビジネスを展開していく役割を担っています。

ドコモ

ドコモは2022年にカンパニー制を導入し、金融やエンタメ、メディカル分野など通信以外のビジネスを担う「スマートライフカンパニー」が設立されました。通信事業のイメージが強いドコモですが、時代の変化に合わせて顧客の期待に応えるため、カンパニー制を導入して様々な事業を手掛けています。携帯電話料金の引き下げなどで通信事業の業績が伸び悩む環境では、専門事業以外での収益化が必要とされるでしょう。カンパニー制ではカンパニーの裁量で柔軟且つスピード感のある経営できるため、新たな事業を始めるチャンスに繋がることがわかります。

みずほ銀行

みずほフィナンシャルグループは、顧客満足度の向上を目的として2016年にカンパニー制を導入しています。本部に権限が集中していたところを、カンパニーに分けて商品開発から販売まで自己完結する「製販一体型」の組織に分割しました。カンパニー制の導入によってマーケットごとに戦略を立て迅速な意思決定ができるため、多様化する顧客のニーズに応えることができます。また、それぞれのカンパニーが自主性・自律性・創造性を発揮し変化の激しい環境に柔軟に対応することで、業績の向上が期待されています。

楽天

ネット通販や銀行、クレジットカードなど様々な事業を手掛ける楽天グループ株式会社は、2016年にカンパニー制度を導入しました。人員配置の最適化や社員の起業家精神の醸成によって組織を活性化させ、顧客満足度の向上に繋げることが目的とされています。海外へ展開し多くの事業部門を持つ楽天グループが、迅速な意思決定をするために最適な制度といえるでしょう。2018年には制度の見直してカンパニー制の強化を行うなど、目まぐるしく変化する市場経済への対応力を高めています。

まとめ

カンパニー制で企業の発展に繋げよう

カンパニー制のメリットや実際に導入した会社を紹介しました。カンパニー制は、組織の対応力が迅速且つ柔軟になることから顧客満足度の向上につなげるために導入する企業も多いです。しかし、導入するのに最適な企業とそうでない企業があることがわかります。変化の激しいビジネスの世界で企業が発展を続けるには、置かれている状況や今後の方向性から導入に最適な制度やタイミングを見極める必要があるでしょう。選択肢の一つとしてカンパニー制を知り、競争力の高い企業を目指しましょう。

ページトップへ戻る
ダウンロードはこちら
ダウンロードはこちら